落第騎士の英雄譚 破軍剣客浪漫譚〘本編完結〙 作:どこかの超電磁砲
モールでの事件は取り敢えず幕を下ろした。
ビショウやその仲間達は逮捕され、人質は
全員、一輝や翔真達の活躍で無事だった。
思わぬ再会を果たした翔真は明日菜と
別れて部屋へ向かっていた。
「(桐原はどうでもいいけど、まさか
恵ちゃんと会うとはなァ・・・・)」
桐原との再会の後、恵から電話番号を
渡された翔真。ハイライトの消えた瞳で
恵の存在を問う明日菜が怖かったのは
言う間でもない。
「はぁ・・・・今日はもう寝よう」
自室の扉を開けて、いざ寝室へ向かおうと
した時、リビングから金髪の少女が走って来る。
「お帰りなさいッ!ショウマ」
「・・・・え」
金髪の少女――その少女は黒乃から部屋の
合鍵を渡されたシャルロットだった。
「もう忘れちゃったの?ボクだよ、
シャルロット・デュノアだよ」
「え・・・・えええェェェェ!?」
本日三度目の再会。思わず声を上げるが
取り敢えずリビングへ向かう。
「なんでここにシャルちゃんが?」
「どうしても・・・・ショウマに会いたくて。
それにあの時・・・・お礼も言えてなくて」
「あの時・・・・随分懐かしいな」
あの時とは、翔真が拾われ母の立場である
人物に育て上げられた14歳の頃。翔真は
もっと世界を見たいという理由で旅を
始めた。
その旅の最中、解放軍の伐刃者に襲われて
いる親子を救った。その時母親と一緒に
いたのがシャルロットだった。
「あの時、ボクはお礼すら言えなかったし
必死に勉強して、伐刃者になる為に訓練して
今こうしてここにいるんだよ」
「そっか・・・・でもわざわざ俺に会うって
理由で伐刃者になったのか?」
「ダメ?それとも・・・・こんな女の子はイヤ?」
上目遣いで問うシャルロット。綺麗な
アメジストの瞳はうるうるとしている。
「(か、可愛い・・・・)」
『翔真くーん、いる~?』
「げ!?明日菜!?」
玄関の扉の向こうから明日菜の声が聞こえる。
「し、シャルロット!隠れてくれ!頼む!」
「え!う、うん!」
焦る表情を見たシャルロットはひとまず隠れる。
そして駆け足で玄関へ向かう。
「よ、よぉ明日菜。どうしたんだ?まさか
イケメンである俺が恋しくなったのか?」
「翔真君のそのポジティブは何処から
来てるのかな?ま、カッコいいのは本当だけど」
呆れる明日菜。冷や汗を掻きながら次の一手を
考える翔真。
「はい肉じゃが。作りすぎちゃったから
半分おっそわけだよ」
「わ、わりぃな・・・・ハハハ」
急いで彼女に帰るよう促そうとした時、
明日菜の目付きが変わる。
「・・・・ねぇ翔真君」
「な、なんだ?」
「何か隠してない?」
「い、いいや!?そんな事全然ありまへんよ!?」
明らかに口調はおかしくなっている。もし
シャルロットと今日から同棲するという
事実がバレれば――――
『翔真君・・・・O☆HA☆NA☆SHIかな?』
「(そうなれば、二度と太陽が拝めなくなる)」
だがここで翔真はある事に気付いた。
何故か明日菜は自分が他の女子と絡むと
不機嫌になるという事を。
例えばつい最近、加々美とメアドを交換した
だけで不機嫌になっていた。
「(まあ、原因は分からんが今は!)」
まるっきり原因はコイツ(翔真)なのだが
気付いていない。
「隠してないよ。今日は遅いからもう
帰れよ?夜うろちょろしてると変な生徒が
出るからな・・・・うん」
「うん。分かった・・・・じゃあおやすみ」
「お、おう」
明日菜は笑顔でそう告げると自室へ戻ってゆく。
だが敢えて言うおう。明日菜は隣に住んでいる。
「(これからどうなるんだ・・・・俺)」
シャルロットとの同棲。しかし明日、波乱が
待ち受けようとはこの時、翔真はまだ知らない。
次回は一輝達と試合の話をするけど再び・・・・