落第騎士の英雄譚 破軍剣客浪漫譚〘本編完結〙 作:どこかの超電磁砲
『兄さん・・・まだ間に合います!ですから!
お父様とお母様に詫びを入れてください!』
降りしきる雨の中、まだ小さい私は思いっきり
叫んだ。でもあの人は・・・兄さんは・・・
『麻衣・・・もう俺は綾崎家の人間じゃない。
詫びを入れてももう駄目なんだよ』
『にい・・・さん・・・』
『さようなら・・・麻衣』
『・・・!?』
兄さんは微笑みながら私を・・・私やお姉ちゃんを
置いていった。魔力値が全てを決める・・・
それが綾崎家の決まりだった。
でも、絶対に間違ってるよこんな事・・・だから
私は家が嫌いだ・・・兄さんの未来を、居場所を
取り上げた綾崎家は。
ねぇ―――お姉ちゃんはどう思ってるの?
嫌だよ‥‥兄さん・・・何処にも行かないで・・・
私はお姉ちゃんや兄さんが戦う姿なんて見たくない。
一輝の試合が終わり、次に翔真の試合が
控えていた。本当ならば倒れた友人の元へ
行きたいが、それはステラに任せるとして、
翔真は優先的に対戦相手を相手にしなければならない。
選手控え室。
「翔真君大丈夫なの・・・?相手は愛理ちゃんだよ?」
「・・・こういう時でしか、ちゃんと話せる機会が
ないからな・・・愛理は倒す」
心配する明日菜をよそに、翔真は暗い表情のまま
会場へと向かう。そして会場に着けば再び会場は
熱狂に溢れる。
『先程の試合の興奮は冷めぬまま白熱して
おります!次の対戦は1年でありながらも
優れた能力を持つ綾崎愛理選手!そして
黒鉄選手と同じFランクである綾崎翔真選手!』
アナウンスが響く中、愛理は余裕な表情で
翔真を見据えていた。
「兄さん。遠慮なんてしませんよ?綾崎家の
恥である貴方を倒します」
「・・・そうかい。だったらやってみろよ愛理。
泣き虫なお前が俺を倒すって事を」
「ッ!」
愛理は《袖白雪》を、翔真は《天鎖斬月》を
取りだし構える。
「(アイツの能力は氷だったかな・・・
敢えて神足で対応するしかない)」
技が使えるのは近接を得意とする飛天御剣流のみ。
愛理は恐らく、能力を使いながら自分を攻める
だろうと考える翔真は、一手を考える。
『それでは試合開始ッ!』
試合開始のブザーが鳴る。
「次の舞い・白漣」
袖白雪で地面に数ヶ所突き刺し、攻撃を仕掛ける。
強大な凍気が発生し翔真に迫る。
「甘い・・・土龍閃ッ!」
力を込めて地面へ突き刺さす。コンクリートの
破片が翔真を守るように一点に集まる。そして
間合いを見て、懐へ飛び込む。
「飛天御剣流・・・龍巣閃ッ!」
「早いッ!」
天鎖斬月を高速に振るい乱撃を繰り出す。
愛理は袖白雪でガードする。
「(無駄のないスピード!それにこの力は!)」
圧倒される力。魔力がなくても翔真はそれを
剣術で補う事でカバーしている。
「何故・・・何故兄さんにこんな力が!」
「無駄口を叩く暇があるのか?」
「ッ!?」
鋭い目付きでこちらを睨む翔真。思わず
後退りしてしまいそうなくらい迫力がある。
「愛理・・・昔は泣き虫で、よく俺に付いて来て
たお前がこんなに強いとはな・・・成長したな」
「え・・・ッ!うるさいッ!」
袖白雪で一閃。互いに距離を取る。
「(今さら兄ヅラですか・・・私が居て欲しい時・・・
私の側に居なかったクセにッ!)」
氷の柱を形成し、自分を固めるように
バリアを張る。
「私は貴方が嫌いです。自分勝手で、
Fランクの分際でありながらこの破軍学園に
いるなどと・・・参の舞・白刀」
刀身を氷の刃で延長して、再び攻撃する。
さらに氷の柱を破壊して破片をまるで
ミサイルのように操り遠距離から放つ。
「ぐっ!」
突き刺さる氷の弾丸。天鎖斬月を振るい
弾き返すが隙を見せてしまい腕に直撃する。
「ッ・・・」
「FはFらしく劣等生しないとダメですよ。
この学園は魔力値で全てが決まる・・・それは
兄さんが実感したはずでしょ?」
確かにそうだ。Fランクが故にまともな
授業すら受けられず、挫折しそうな時もあった。
だが一輝という友がいて、明日菜という
幼なじみがいた・・・だから今ここにいる。
支えがあるから、翔真もこの試合に出場出来ている。
「確かにそうだよ・・・けどな、それは世間が
勝手に決め付けたルールだろ」
「口が減りませんね。なら一つだけ
教えましょう。Fランク騎士がいくら足掻こうと
無駄なんです。お父様が言ってました」
愛理は目付きを鋭くして、刃の先を向ける。
「私は綾崎愛理・・・一番じゃなければ意味がない!」
そして氷の斬撃波を繰り出した―――。
次回は遂に翔真の伐刀絶技じゃないけど新たな技が
披露される!?元ネタはFGOになります。