落第騎士の英雄譚 破軍剣客浪漫譚「本編完結」   作:どこかのシャルロッ党

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第二十五幕「天剣と飛天 後編」

貪狼学園には一際目立つ少年がいる。片目が

隠れる程に伸びた髪。常に自分より強い相手を

求め斬り合う狂った剣士。小柄であり、常に

青く派手な女性の着物を羽織っている。その

少年に目を付けられれば最後――その伐刃者は

生きて帰っては来れない。

 

対立する翔真の前にはニコニコと笑う顔をした

少年がいる。不気味な程に完成されたその顔は

ただの貼り付けただけの仮面に過ぎない。翔真は

警戒心を露にして天鎖斬月を構えた。

 

 

「お前・・・なにもんだ?」

 

「僕ですか?アハハハ・・・なら自己紹介しないと

いけませんね。僕は貪狼学園所属の加宮翼と

申します。いや~、先程の剣捌きなかなかでした」

 

「(こいつ・・・一体・・・全く気配を感じられない)」

 

小柄で、女性ものの着物を羽織っている加宮翼。

常に笑顔を絶やさずにいるが、この表情がただの

『作り物』に過ぎない事は翔真も気付いている。

 

「じゃあ加宮・・・一つ聞くがなんでお前等貪狼が

こんな場所にいるんだ。理由を聞きたいんだが」

 

「理由?さあ、僕は理由なんて知らないし・・・

蔵人さんの考える事はよく分かりませんから」

 

そう話す翼。手元に自身の日本刀型の固有霊装を

召喚して翔真に近付く。一歩、また一歩と進む。

翔真は天鎖斬月を構えたまま動かない。

 

 

「僕は・・・誰かと戦えればそれでいいんですよ

・・・だから・・・死んでください」

 

告げた後、翼は超神速の移動術『縮地』で

翔真の背後を取る。これにはシャルロットや

翔真すらも反応出来なかった。

 

「ッ・・・!」

 

だが間一髪のところで、翔真は剣を交わして

地面を強く蹴り、上へと昇る。翼もそのまま

同じように地面を蹴り、翔真と対等する。

 

「ハハハ・・・・・・ハハハハハ!!!」

 

「ちぃ!」

 

互いの剣が交差する。どちらも目に見えない

速さで隙を突く。一瞬の動きに対応が遅れた

翔真は、肩に切り傷を入れられる。

 

「ショウマ!・・・ッ!」

 

「貴女の相手は私です。ツーくんの戦いの

邪魔は・・・・・・させません」

 

助けに向かおうとするシャルロット。だが

彼女の前に小柄な少女が立ちはだかった。

独自に改造した貪狼の制服を身に纏いながら

こちらを牽制する白髪の少女『塔城小猫』は

拳を突き出す。

 

「やる気・・・みたいだね」

 

「貴女が邪魔するなら、私は阻止するだけです」

 

サンダルフォンの一振り。小猫は拳一つで

斬撃を食い止めた。そして固有霊装を召喚し

シャルロットに襲い掛かる。

 

「さすがですよ・・・噂通りの強さだ」

 

「なにが・・・噂通りだ・・・ッ・・」

 

地上へ降りた二人は剣撃を繰り出しながら

互いに譲らぬ戦いを繰り広げていた。翼は

ニヤリと笑い、話を続ける。

 

「貴方有名なんですよ。飛天御剣流を使う

Fランクの伐刃者がいるって・・・だから・・・」

 

「ッ・・・!」

 

横に一閃。翼は交わしながら翔真と距離を離した。

 

「ククク・・・アハハハ!行くよー・・・氷・輪・丸ッ!!」

 

「・・・グラーフアイゼン」

 

翼は自身の固有霊装『氷輪丸』で翔真に攻撃を

加える。小猫は自身の固有霊装『グラーフアイゼン』

でシャルロットに一撃を与える。

 

 

「「ッ・・・!?」」

 

 

二つの攻撃が同時に発動された瞬間―――辺りは

大きい爆発を起こした。

 

 

 

 


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