落第騎士の英雄譚 破軍剣客浪漫譚〘本編完結〙 作:どこかの超電磁砲
黒乃から打ち明けられたルームメイトという事実にステラと一輝は
驚きを隠せない。しかも一輝はFランク、ステラはランクAという
アンバランスなペア。当然ステラは納得いくはずがなく、部屋について
一輝と言い争いになりかけたが翔真は提案を出し模擬戦で戦いどちらかが勝ち、
部屋のルールを決めろと勧めた。最初ステラは拒んだが一輝の軽はずみの発言を機に
模擬戦を受ける事になった。
「ちなみに!負けた方は勝った方に一生服従よ!」
「えええェェ!?」
などと言われてる始末に至る。一輝は取り敢えず部屋を出て
模擬戦に備える。理事長室に残されたのは翔真と黒乃のみ。
「綾崎、お前はどちらが勝つと予測するんだ?」
「一輝ですよ。確実に」
「ほう。理由はあるのか?」
「Aランクのお姫様は炎の魔術を駆使した戦いをするだろう。だが・・・
接近戦を得意とする一輝には絶対に勝てない」
「飛天御剣流でもヴァーミリオンには勝てるか?」
「うーん・・・・・どうでしょうかね」
苦笑いしながらも翔真は一輝が勝つと予測する。
―アリーナ―
『オイあれが噂のヴァーミリオンの皇女かよ?』
『彼女、十年に一人っていう天才なんでしょ?』
ヒソヒソと聞こえる声。ステラはいい気分ではなかった。
自分を才能だけが取り柄の人間にしか見られていない事に。
「(私だって最初から強い訳じゃない。だったら見せてやろうじゃない・・・・
私が才能だけの人間じゃない事を)」
ステラの視線の先には余裕な表情を浮かべた一輝がいる。審判を務めるのは黒乃。
「それではこれより模擬戦を始める。両者固有霊装(デバイス)を幻想形態で展開しろ」
「来てくれ陰鉄!」
「傅きなさい!『妃竜の罪剣』!」
一輝は陰鉄を。ステラは妃竜の罪剣―レーヴァテイン―を展開する。
「試合開始ッ!!」
黒乃の合図と共に模擬戦が開始される。
「はあァ!」
妃竜の罪剣を地面へと叩き付ける。その破壊力は
とてつもなくアリーナが揺れる程だ。
「いい見切りね」
「全く・・・・・なんてふざけた攻撃力だ」
二人はそこから剣での打ち合いを始める。観戦席には複数の生徒が見ており、
中には翔真、明日菜の姿があった。
「凄い・・・・ねぇ翔真君見た!凄いよヴァーミリオンさん!地面にヒビが
入ってるよ!?まるでアニメの1シーンを見てるみたいだよ!」
「落ち着け明日菜」
まるで子供のようにはしゃぐ明日菜を可愛いと思いながらも、
翔真は明日菜を落ち着かせる。
「大丈夫かな一輝君。ヴァーミリオンさんの力・・・・相当な破壊力だよ?」
「だな。だが、あの皇女様にはある欠点がある」
「欠点?」
「あの大剣タイプの固有霊装じゃ速さを生かす一輝に当たらない。
あの皇女様は精一杯に剣を振るいながら、踏み込んでいるが焦りがある」
「(?・・・・翔真君のポケットに何か入ってる・・・)」
二人の戦いは五分五分。しかし次第に一輝が攻めてゆく。
ステラの一振りを陰鉄で交わす一輝にステラは段々と焦り始める。
「(アタシの攻撃が読まれてる!?・・・・・
剣を受けきらず後ろへ進む力にしている・・・)」
「・・・・・」
先程からステラは力を込めて剣を振るっているが一輝にはまるっきり効いてない。
「そんな簡単に見切れる程アタシの剣は・・・・お安くないわよッ!!」
「いや・・・・・もう見切ったさッ!」
この瞬間、一輝は反撃に出る。陰鉄を振りかざしステラを押し返す。
「(嘘・・・・なんで私の皇室剣技を!?)」
一輝はこの短期間でステラの技をコピーしたのだ。
見ただけで技の仕組みを理解した一輝はさらに反撃する。
「どうしてアンタが・・・・アタシの皇室剣技を使えるのよ!」
「僕は昔から嫌われ者で誰も何も教えてくれなかった。他人の剣を見て学び剣術を
掌握する。それを上回るものを作り出すのが《模倣剣技》―ブレイドスティール―だ」
そう、これが一輝の得意技である。さらに一輝は飛天御剣流―龍槌閃―も使えるのだ。
一輝は陰鉄をステラに降り下ろすがダメージはない。
「魔力がバリアの役割を果たすから、魔力を纏う伐刃者は同じく魔力を
纏った攻撃でなければ倒せない」
ステラはゆっくり立ち上がり、話を続ける。
「つまりどれだけ卓越した技を持とうと、アンタの少ない魔力では
絶対にアタシを傷付ける事はできない」
「残念ながらそうだね」
「異能を用いる為の総魔力量は努力では伸ばせない。生まれ持った才能だもの。
だから私は剣でも勝ってアタシが才能だけじゃないってことを思い知らせるつもりだった」
ステラは再び妃竜の罪剣を構える。
「けどこの一戦、アタシが勝てたのは才能のおかげよね。
イッキ・・・・・最大の敬意をもって倒してあげるわ」
「そっか。でも僕も・・・・簡単には負けられない!」
一輝は意識を集中させる。
「僕の最弱(さいきょう)を似て、君の最強を打ち破る!」
そして一輝は《一刀修羅》を発動した――――
ちなみに。
「どうして私のブラジャーをポケットに入れてるの!翔真君~!!」
「まてまて!これには深い訳があるんだッ!」
「訳ってなにかな?」
「・・・・・明日菜のブラは・・・・可愛いデザインだから!・・・・・取りました・・・・てへ☆」
「ば、ば、バカァァァァァァァァ!!」
明日菜は顔を赤くさせて自身の固有霊装『レヴァンティン』を出現させる。
「ギャアアアアァァァァ!!」
残念なイケメン、略してダメメンの翔真の叫びは空に響く。