倒れていた女の人は今、村長に預けていて結構重傷らしい。村長はあの人を知っているみたいで、かなり腕の立つハンターらしいのだが、そんな人があれだけの怪我を負うのは異常だと話していた。そのことをヨモギとトウマにも話したら、顔を見合して俺に一つの噂話をした。
どうも最近、渓流当たりのモンスターがおかしいという。原因は調査中、ファンゴやジャギィやケルビがあまり姿を見せないらしい。いつもなら採取をしていると攻撃してくるのに、最近は採取中に見かけても無視してどこかに行ってしまうらしい。
「確かにそれはおかしいな・・・モンスターだけに効くウィルスとか?」
「いや、たぶんそれはないよ。ヨモギが気になって様子を見に行っていたし、もしレイのいう通りならヨモギはとっくにやられてる。それと植物にも問題はないよ。植物を食べたガーグァの卵を俺たちは食べてるし」
「あと考えられるのは新種のモンスター・・・か」
こういう話はプロの専門家に話を伺うのがいいはず。
「やっぱこういう時はアイツだな」
「クゥお嬢様ですニャ?確かにあの人なら詳しそうですミャ・・・レイ様、差し入れにプリリンですミャ」
「おう!じゃあ早速行ってくるな」
「いってらっしゃい!」ですミャ~!」
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俺は集会浴場にいる受付嬢のクゥと話していた。コイツは噂話やら都市伝説やらが大好きでいつも変なことばっかり調べているが、こういう時のコイツは素直に頼もしい。
俺はヨモギ達から聞いた噂のことと、あの人のことも一応話しておいた。
「その女の人のことは分からないけど、噂のほうなら一応知ってるよ」
「やっぱり新種のモンスターとかなのか?」
俺が身を乗り出して聞くと、クゥは辞書のようなものを取り出しパラパラとページを捲っていく。
「えっとねー‥‥ジンオウガぐらいの大きさの狼みたいなモンスターが2頭、たぶんオスとメスだと思うけど、2頭で行動している。
昼間はあまり目撃情報がなく、夜にガサガサと動く音を聴く人が多いみたい、たぶん夜行性だね。
ジンオウガみたいに発行することがないから夜に目をつけられると見えない内にガブッとやられる可能性が高い。あと物凄く速いらしいよ。
小型のモンスターがハンターを攻撃してこないのはそんな暇がないほどの危機的状況だったんじゃないかな?」
「クゥはなんでそんだけの情報収集能力があるのに受付なんかやってるんだ?正直頭おかしいと思うぞ」
「トウマ先輩に憧れてるんだよ、冷静で状況把握にたけていて何時もレイ先輩を助けてたじゃん?でも私はハンターになれなかったから、せめてココで皆の役に立ちたい。私が伝説や噂話にこだわるのは、ほんの些細な情報でも手に入れたいから」
「ほうほう・・・ふむふむ。成程、トウマにお前の気持ちを伝えておくよ」
「それより先にやることがあるでしょ!村長に今の情報を全部伝えてきなさーい!」