影から見守る、ソードアートオンライン 作:karusiumu
小町からもらったゲーム、ソードアートオンラインがデスゲームとなって、1カ月程度がたった。
死者の数は、もう2000を超えている。
本来、オンげー初心者同然の俺は、この2000人の中に入る可能性があったかもしれないが、この隣に座っている俺の相棒キリト様のおかげで、このデスゲームを生き残ることに成功している。
マジキリト君ぱねぇわ~!!うぇ~い!!うぇ~い!!なんか最近の俺、戸部みたいになってんな...気をつけよう…
で、今は攻略会議とやらの真っ最中。広間に集められたゲームをクリアしようと考えている猛者たちが、集まっている。
「キリトなんで、俺こんなところに連れてこられてるんだっけ?」
俺は、隣で何処か不安そうな表情を浮かべたキリトに聞いてみることにした。
「な、何でてっボス攻略の為だろ?」
「そうだったな...で、俺は、何故こんなやつらと、集団行動しなきゃならんのだ?」
「はぁ...またそんなことを…ボス攻略は、一人では無理だ。だから、レイドを組んでボスに挑まないといけない」
「そんなもんか?」
「あぁ」
俺は、納得いかなかった。ゲームだろうと何だろうと、今まで一人でやってきた。俺がなぜ見知らぬ他人を頼らなきゃならんのだ。と思っていたものの、よく考えたら、ゲーム始まってすぐに、キリト様に頼ってしまっていた俺。何時からこんなに俺は、弱くなっていたのだろうか・・・
俺が、そんなことを考えていると、青髪のイケメンが、広間の中央に立つ。
「みんな今日はよく集まってくれた!!」
ディアベルとかいう、男が仕切り始めた。どこに行っても仕切りやというものがいるもので、仕切りやは対外俺たちボッチをさらし者にする。その証拠にみろ、ト〇ピー見たいないちゃもん野郎が、出てきて黒人の男が、場を収めたかと思うと、パーティーを組めと言うじゃないか...。俺は何故か、材何たら君が、頭に浮かぶ。
俺は、嫌な記憶を振り切りると、隣のキリト様が、こちらを向く。
「ハチマン、もう一人ぐらいパーティーに入れてもいいか?」
「いいが...俺は、関わらんぞ、めんどいし・・・」
俺がそう言うと、キリト様はうなづき、となりの俺達と同じようなボッチ、フードかぶった女か男か分からないやつに近づいて行く。やめろ!キリト!ボッチとボッチがであっても決まずいだけだぞ!!ソースは、俺とキリトの関係。と思っていたがもう遅い。キリトは、フードに話しかける。アイツ、ボッチのくせにコミュ力たけぇな...まさか、あいつ、ボッチのフリしたリア充か、、、許せん!!と思っていると、どうやら話が着いたようだ、コミュ力高い系ボッチキリト様が、こちらに戻ってくる。
「で?フードはなんて?」
「了解をもらったよ...」
「そうか」
俺は、頷くと辺りが解散したのを見て俺達も解散した。フードは、キリトと一緒に行動するもんだと思ったが、あっさりと別れる。なんだキリト様やっぱりコミュ症なのね...。俺は、とりあえず明日の攻略作戦に向けて、装備を整えるため鍛冶屋に向かった。
鍛冶屋についた俺は、我が愛剣「メタリックナイフ+7」を取り出す。俺の武器は、ナイフだ。キリト様がタゲッている間に後ろからちょくちょく指すのが俺の役目。なので。俺らしくて気にいている。特に後ろからちょくちょくと刺すところなんかは、普段人を後ろから刺すようにちょくちょく見ているので似たようなものだ...違うか?違うよな…
「メタリックナイフ+7」のメンテナンスが終わり、装備をブラブラと適当に見て歩いたころには日が暮れていた。俺は、宿に戻る為に帰路を歩く。すると、裏路地の一角に、キリト様とフードが石でできたオブジェクトの淵に、座っているのを見つけた。俺は、とっさに物陰に隠れる。なんで隠れる必要があるかって?単純に関わるのがめんどくさいからだ。
何やら、フードとキリト様はパンを食べながら雑談しているようだが、この距離では聞こえない。すると、キリト様は懐…ではなく、アイテムボックスから、小瓶を取り出したではないか。キリト様が、その小瓶に手をかざすと、光り輝く。その光をいつもかすかすで、不味いパンにかざすと。白いものがどろりと出てきた。どうやらクリームのようだ。キリト様は、クリームの乗ったパンを美味しそうにむしゃむしゃと食べている...俺は、パンにとろけるクリームを見て唾をのむ。俺は、自分で言うのもなんだが甘党である。この世界に入ってからは、甘いものをほとんど食べていない。なので、クリームを見て黙っているわけにはいかない。
「おい!!キリト!!俺にそのクリーム!!寄越せや!!」
物陰から飛びだした俺を見て、唖然とするキリト様。フードも、表情は分からないがどこか驚いた様子だ。
「いや、クリームこの人の分しかないから...」
キリト様が、フードを指しながらもう一つ小瓶をアイテムボックスから出す。だが、此処で引き下がっては、甘党の名が泣く。俺は、自分に正直に生きたい。正直大事、正直こそ正義!!
「クリームくれ」
俺が短くそう言うと、フードは此方を見る。
「別にこの人に上げてもいいわ...」
フードの声は、思ったより高かった。そんなことはどうでもいい、それよりクリームだ。
「キリト、フードの人もこう言ってるし、クリームくれ」
「はぁ...分かったよ...」
「ありがとう!!キリト様!!フードの人!!」
俺は、優しいキリト様と、フード様に感謝しながら、早速かすかすのパンを取り出す。そして、おもむろにパンにクリームをべったりと付け、大きく口を開けて一口。口の中に広がる田舎風パンケーキの味、甘さが口の中を支配し、頬が落ちそうな感覚が襲ってくる。よく咀嚼すると、パン本来の甘みと、クリームの甘みがマッチして何とも言えないうまみを巻き起こす。そして、ぱさぱさでいつも飲み込むのに苦労していたパンも気づけばすんなりと、のどを通っていた。
「うまい!!うまいぞこれは!!」
「そ、そうか・・・」
キリト様はドン引きしているようだが、俺は、手に持っているパンをむさぼるように食べる。二口目だというのに飽きさせることのない、程よい甘さで牛乳が欲しくなる。俺は、アイテムボックスから牛乳に似た飲み物、「2つ足牛の血」を出現させる。甘いものがない間は、これで我慢していたものだ...俺は、口の中で、パンとクリームが混ざりあったのを確認した後、小瓶の中身をを口の中に流し込む。牛乳に似たそれは、パンを程よく柔らかくして、クリームの深みをさらに高め最高の味わいとなった。
気づいた時には、手の中には何も残っていなかった。
「ごちそうさまでした...」
俺は、手を合わせてお礼を言う
「よかったら、出現場所教えるけど?フードの人もどう?」
「ぜひ!!教えてくれ!!」
俺は、そう言ったがフードの人はあまり乗り気ではなさそうだ。
「美味しいものを食べるために私は、この街に来たわけじゃない...」
フードが、ぼそっと言った。
「そうか、なら仕方ないな...キリト教えてくれ」
俺は、キリトにクエストとそのコツを教わった後、隣にまだ座っていた。フードに話しかけることにする。
「あ、あ、あの...えっと...」
「なに?」
知らない人に話しかけるのが久しぶり過ぎて、緊張してしまった。それを射抜くような声で、言ってくるもんだから委縮してしまう。
「い、いや、何でもないです...」
「言いたいことがあるんなら、ちゃんと言えば?」
何でこの人、こんなにとげとげしいの?もしかして、クリーム取ったこと実は、怒ってるんじゃないか?欲しいなら欲しいってちゃんと言えよ。分かんねぇじゃねぇか...
「じゃあ、言わせてもらおう。何のためにこの街来たんだ?」
俺が言うと、フードが此方を見る。
「私は...」
フードが長々と、自分語りをし始めた。今気づいたが、こいつ女だな。俺の鍛えられた観察眼がそう言っている。フードの自分語りを相槌を打ちながら聞いていると、やっと終わったようだ。要約すると、このフードの女はどんな状況でも自分らしくいたいらしい。そんなフードに俺が言う言葉なんてほとんどない。自分らしくあることの難しさは、ボッチな俺は誰よりも知っている。自分らしくある。それは、突き詰めてしまえば絶対に無理な話で、周りはそれを許さないだろう。俺は、それを曲げることをしないから、ボッチなのだ。分かっていても、そこだけは譲れない。しかし個性は、捻り潰され、砕かれ、粉みじんにされる。このデスゲームにおいてもそれは、一緒だ。その選択をすることは、過酷で難しい。俺は、現実に戻る為に、手段を択ばずどこか自分らしさをどこか失っていた様に感じる。だから俺は、こいつを今この瞬間に尊敬した。
「明日は死ぬなよ...」
俺は、それだけ言って気恥ずかしくなり、その場から退散する。キリトも同じ宿なので、後ろから付いてくるが、今の情けない顔を見られたくなかったので、振り向かない。