思い付きのネタ集   作:とちおとめ

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原作:彼女が野球部の性処理マネージャーに……

美咲ちゃん凄い可愛いキャラなんですよね。

寝取られ系ヒロインを集めた純愛ギャルゲーをやってみたい今日この頃。寝取られって奪われる喪失感を与えるためなのか、寝取られモノのヒロインって皆可愛いし好きになる要素がそこかしこにあるようにも思えます。



姫川美咲の場合1

 野球の名門、幸誠学園に通う野球部マネージャーの少女――姫川美咲には最愛の恋人が居る。その恋人の名は立花亮太、良くも悪くも平凡な少年だ。反対に美咲は花の咲いたような魅力的な笑顔に男が好みそうな起伏の激しい体、エロさと可憐さを抜群に両立させた彼女は野球部の中でも、果てには学園内でも圧倒的な人気を誇っていた。

 そんな彼女ではあるが、恋より野球が好きで、恋愛は後回しで野球部のマネージャーとして精を出していた。普通の部員なら嫌がるであろう部室の掃除、ボール磨きなどを率先して嫌な顔せず行うくらいに。そのように日々を過ごしていた美咲にある日、転機が訪れることとなる。それが恋人である亮太との馴れ初めだ。

 

『好きです! 付き合ってください!』

 

 シンプルに好きだと伝えられた告白、その当時のことはずっと色褪せない記憶として美咲の中には残り続けていた。恋愛よりも部の為に日々を過ごしていた美咲だったが、その頃から良く亮太のことは美咲の目に留まっていた。練習が終わっても一人残って自主練に励む彼、そんなひたむきさにいつの間にか美咲は惹かれていたのだ。そんな中での気になる亮太からの告白、これに胸がときめかないわけがなかった。

 規律に厳しい野球部には恋愛禁止というルールが設けられている。しかしいくらルールと言えど、思春期の少年少女の恋愛を止める足枷にはならず、他の部員たちには黙っているということで亮太と美咲は秘密の付き合いをすることになったのだ。

 それからの日々は美咲にとっても、もちろん亮太にとっても忘れられないほどに充実した日々なのは言うまでもない。学園では隠れた付き合いをし、放課後や休日は互いに普段の物足りなさを埋めるように甘く溶けるようにイチャイチャと過ごす。そして極めつけはそんな日々の中で伝えられた亮太からのこんな言葉だ。

 

『野球は好きだよ。でも、美咲の方が何よりも大切さ。もしこの関係がバレて野球部を辞めさせられることになったとしても、俺は君の恋人になれたことを後悔なんてしない。むしろ、変なしがらみがなくなって良いかなって思ったりもするよ』

 

 手を繋ぎ、深いキスをした後に囁かれたこの言葉は美咲の心に深く刻まれた。あんなに頑張っている野球よりも大切だと、後悔しないなんて言われてしまった美咲の心は完全に亮太のモノになった。そして亮太の言葉に続くように、美咲もこんな言葉を返していた。

 

『私も、私も絶対に後悔なんてしない。リョー君と恋人になれたこと、凄く嬉しいもん。それこそ、今言われたみたいにこの関係がバレてマネージャーを辞めさせられたとしても私は構わないわ。リョー君の傍に居る。それだけが望み、だからお願いリョー君。ずっと私を貴方の恋人で居させて?』

 

 他の全てを犠牲にしたとしても亮太の傍に居ることを望む。それが野球に情熱を捧げてきた美咲が変わった瞬間だった。

 亮太は真っ直ぐに伝えられたその言葉に顔を赤くして照れ、そんな様子さえも美咲にとっては愛おしいという感情を抱かせもっと好きになってしまう。亮太のことを知れば知るほど、一緒に居れば居るほど好きになる。それこそ際限なく、亮太の為に生きたいと思ってしまうほどに重い愛へと変化していく。

 いつしか美咲の中では、あれほど好きだった野球よりも……亮太への愛が圧倒的に多くなっていた。野球部員だけでなく、学園の男子からもスケベな目で見られることに殺意を抱く日々も、亮太さえ傍に居てくれれば幸福な感情が上書きしてくれる。もう美咲にとって亮太はなくてはならない存在、彼を裏切る自分が居るなら縊り殺してやる……それほどの想いを美咲は抱き続けていた。

 亮太を愛し愛される、そんな充実した日々を過ごしていた時だった――この平穏にメスを入れるように、無謀にも二人の世界を破壊しようとした存在が現れたのは。必ず破滅させてやると、美咲が初めて怒り狂った瞬間が訪れたのは。

 

 

 

 野球部が所有する空き倉庫、人の気配が普段ならないはずのその場所に二つの人影があった。一つは美咲、そしてもう一つは郷田勲という男のモノだった。この郷田という男は今年、野球部の顧問として赴任してきた男だった。元プロ野球選手という肩書を持つ彼は多くの学校を甲子園へと導いてきた実績を持ち、学園側も彼に大金をはたいて来てもらったという経緯がある。

 そんな顧問である郷田とマネージャーである美咲がこの場に居ること、野球部の倉庫ということもあり特に珍しいことでないのだが、二人の間で行われている会話は顧問とマネージャーがしていい会話ではなかった。

 

「お前と立花が付き合っているのを知られるのはマズいだろう? それを黙っていてやるから一つ、お前にしてもらいたいことがある」

「……それは……何でしょうか?」

 

 郷田はニヤリと笑い、その顔に欲望をこれでもかと張り付けて美咲に向かって言い放った。

 

「俺のセフレになれ。そうすればお前たち二人のことは黙っておいてやろう」

「っ!? そ、そんなことできるわけ――」

「断ってくれても構わんぞ? そうなった場合、立花を退部させる。あれほど頑張っているのに辞めることになるとはかわいそうな奴だなぁ?」

「……っ!!」

 

 悔しそうに唇を噛む仕草をする美咲に、完全に郷田は自分が上の立場に立っていると確信した。元々この学園に来た時からエロい体をしている美咲のことを郷田は狙っていた。顧問として決して許されないことだが、郷田には元プロとしての肩書もあるし何より、学園側が高い金を払っているため強気に出れない部分もあり何をしても揉み消してもらえるという自信があるのだ。そうやって郷田はいくつもの高校で多くの女生徒を食ってきたのだから。

 郷田は距離を詰め、美咲の手を捻り上げた。

 

「い、いや……離して!!」

「無駄な抵抗はやめるといいぞ。ここはグラウンドの隅の倉庫だ。声を出しても誰も来はせん」

「そんなこと……誰か! リョー君助けてええええええ!!」

「ククク! 全くいい体をしてるじゃねえか姫川。大丈夫だ安心しろ、俺がしっかりお前を調教してやる」

 

 下種びた表情で舌なめずりをしながら、郷田は勢いよく美咲の上着を捲り上げた。健康的な肌色のムッチリとした肉体が姿を見せ、豊満な二つの胸をブラジャーが重たそうに支えている。涙を流しやめてと懇願する美咲を郷田は押し倒した。

 美咲は必死に逃げようとしているが、郷田は現役を退いても体を鍛えるのを怠ってはいない。故に女子高生の美咲が郷田の拘束から逃げることなどできるはずもなかった。

 

「暴れるなって。すぐに良くしてやる。それこそ恋人のことを忘れちまうくらいにな」

「……リョー君! いやだよぉ……っ!」

 

 今目の前で泣いている美咲がすぐに快楽に溺れてダラシナイ表情を浮かべるのかと思うと、郷田は下半身がすぐに熱くなるのを感じた。片手は美咲の両腕を押さえつけ、もう片方の手で美咲の下半身を守る下着を下ろそうとした……正にその時だった。

 ガタンと、一際大きな音が倉庫に響き渡った。

 強く響いた音に郷田は体を震わせた。一体誰だと、郷田が考える間もなく倉庫の扉が開くのだった。

 

「無事か美咲!!」

「あ……リョー君……リョー君!!」

 

 扉を開けて最初に入ってきたのは美咲の最愛の恋人、亮太だった。亮太は美咲のあられもない姿を見てその表情を怒りに染め、次いで美咲を押し倒している郷田に思いっきり拳を振り抜いた。

 

「がふっ!」

 

 郷田は亮太の拳をモロに受けて倒れ込む。普段なら体を鍛えている郷田がここまで無様な醜態は晒さなかっただろうが、あまりに色んなことが立て続けに起こり混乱していたのが大きいのかもしれない。

 倒れ込んだ郷田には目もくれず、亮太は美咲に駆け寄ってその震える体を強く抱きしめた。下着姿にされてはいるが、まだ事に及ばれた形跡はないため一先ず安心できた。亮太は胸の中で泣き続ける美咲を抱きしめながら、立ち上がった郷田を睨み続ける。

 

「……ったく、いてえじゃねえか立花。顧問に手を上げてどうなるか分かってんのか?」

「うるせえよ。美咲に手を出そうとした屑のくせに、顧問なんつう肩書を語るんじゃねえ!」

 

 怒りに震える亮太を前にしても郷田は表情を変えることはない。だがそのどちらでもない、美咲はというと亮太に熱い視線を投げかけていた。潤んだ瞳は亮太だけを写し、美咲には亮太しか居ないのだという絶対の想いを抱かせる。

 とはいえ、だ。

 先ほども言ったように郷田には高い金が払われているため学校側は彼に強く出れない。それが郷田がこんなにも慌てずに普通で居られる理由にもなっている。だが……だ、もしこの学校側が強く出れないという大前提が崩れた場合は果たしてどうなるのだろうか。

 亮太と美咲、郷田しか居ないこの場に続々と何かが近づいてくる足音が聞こえて来た。一体何だと、郷田が視線を向けた時……そこに居たのは他の教員を始め、まだ学園に残っている多くの生徒だった。

 一体どうして、そう考える郷田の元に一人の教員が焦った顔で近づいてきた。

 

「郷田さん! 何てことをしてしまったんですか! ……今学園は大変なことになっています! さっきから引っ切り無しに電話もかかり続けているんですよ!?」

「な、何を言ってるんだ……?」

 

 ここまで来てついに混乱の極みになったのだろう。郷田の表情から余裕が消えた。

 

「……どうしたんだ一体」

「……フフ」

 

 亮太自身も何が起きているのか分からない中、ただ一人……美咲は亮太に見えないように嗤っていた。真意の分からない美咲の不気味な笑み、その答えを示すように一人の生徒がこんなことを口走った。

 

「今SNSでリアルタイムの動画が上がってるんだよ。その……郷田さんが姫川さんに性的暴行を加えようとした動画が……」

 

 その呟きは全員に波及したが、今はそんなことよりも目の前で実際に犯罪が行われようとしたこと自体が問題だった。遅れて警察が到着し、郷田はそのまま連れて行かれた。美咲は亮太に支えられながら、友人たちに無事で良かったと言葉をもらいとりあえずその場は解散となる。

 今回の出来事は学園内に留まらず、ネットを経由して外に漏れ出た不祥事であり揉み消すことは不可能な状態になった。当然のことながら郷田が逮捕されたことで野球部の顧問という肩書は無くなり、この学園に再び足を踏み入れることはおろか、顧問として仕事に就くことは一生ない。しかも美咲に性的暴行を加えようとしたことだけでなく、今までの学校で行われた郷田の淫行の証拠がどこからともなく警察に届けられ、彼の築き上げた華々しい経歴は跡形もなく消え去るのだった。

 

 

 

 その日の夜、亮太と美咲は激しく交わった。

 互いに互いを強く求め、不安を消し去るように激しい情交だった。何時にも増して激しく求めてくる美咲に、亮太はあんなことがあったのだから当然かと思った。不安と怖さを消し去るように、美咲はあんな恐ろしい記憶を消してほしいと亮太に頼んだ。

 

『リョー君で私のあの記憶を消して、上書きして……。リョー君の愛で私を満たして!』

 

 それからはもう言葉に出来ないほどのモノだった。

 体の相性が驚くほどに良い二人の情交は凄まじい。それこそ美咲の意識が何度も何度も飛びそうになるほど、亮太としても何回も何回も限界を迎えてしまうほどの激しさである。

 亮太にとって美咲の存在を一番感じる瞬間、美咲にとっては自分が亮太だけのモノだと感じられる瞬間、二人にとってこの交わる瞬間というのは何よりも大切な瞬間なのである。

 事が済み、ベッドの上で裸で抱き合う二人。

 美咲の頭を優しく撫でながら亮太はふと、こんなことを言ったのだ。

 

「そう言えば美咲、良く郷田のやつに好きにさせたね」

「え?」

「だって美咲……喧嘩凄い強いじゃん? ナンパしてきた男たち一気に沈めてたし」

「……あ~……うん、えっとね。まあ私も怖かったから体が動かなかったの」

「そっか……でも間に合って良かったよ本当に」

「ふふ、私は信じてたよ。リョー君が助けに来てくれること」

「胸騒ぎがしてさ……本当に俺、美咲のことになると周りが見えなくなっちまう」

「そういう所、凄く好きよ。リョー君、ずっと私を……私だけを愛してね?」

「もちろんだ。美咲こそ俺だけを……その……」

「もう、何でそこで照れるのよ」

「は、恥ずかしいモノは恥ずかしいんだ! ……コホン、ずっと俺と一緒に居てください」

「……はい。ずっとリョー君の傍に居ます」

 

 笑い合う二人の未来、それはきっと絶対に引き裂かれない未来であると確信を持てるほどの光景だ。亮太と美咲、二人の未来はこれからも続くが一つだけ言えるのは。

 これから先、この二人が離れる未来は決して来なかったということだけは伝えておこうと思う。

 

 

 

「……分かってくれ姫川君。学校としても彼に強くは出れないんだ」

「女子生徒を食い物にして来た屑ですよ? 前科があると分かっているのに何も言えないなんておかしくないですか?」

 

 美咲の指摘に教員は苦しそうに顔を伏せた。

 結局金と権力に逆らえないのは誰も同じ、学園のトップの決定には一教員である彼では何もできない。そんな彼を見て美咲は心底見下げ果てたと言わんばかりの冷たい表情を浮かべていた。全てを貫くような鋭利な視線は教員を射抜き、美咲に対して途方もない恐怖を抱かせる。

 そもそもの話、何故美咲が郷田に対してここまで言うのか。それは彼に関してありとあらゆる伝手を使い知ったからである。自分の身を護るということももちろんだが、亮太が関わることになる存在になるのならその人物について調べるのは当然のこと。

 調べ上げた結果郷田の過去、そして彼が美咲を見る視線を合わせて考えれば、郷田が自分を肉欲の対象として見ていることを美咲自身はすぐに気づいた。亮太を愛する女として、少したりとも誤解の一切を与えることは許さないと自らを戒める美咲にとって、郷田という存在は限りなく邪魔になると結論を出した。

 だからこそ美咲は――郷田を破滅させることを決めた。

 

「分かりました」

「そうか――」

「あなたたち教員が役立たずということがです」

「……………」

 

 役立たず、真っ直ぐにそう言われて教員自身も何を言われたのかすぐには理解できなかった。理解できたとしても怒りに身を任せて反論することもできない。美咲の纏う雰囲気が怒りを抱かせるという衝動すら押さえつけてしまうほどに凶悪なものだったからだ。

 

「学園内で揉み消されてしまうのなら、そうできないほどに事を大きくしてしまえば済むことです。本当なら近づくことだけでも嫌ですけど、リョー君と私の幸せな学園生活の為には仕方ありません」

「何を言ってるんだ……姫川?」

 

 教員の問いかけに答えず、美咲はそのまま職員室を出て教室をへと向かう中、小さく呟く。

 

「たとえ内側でうやむやにされようとも、それが外側に広がってしまえば後の祭り。興味があるないにしろ、外野はすぐにこういった話題には飛びつく。寧ろ外野は面白がって燃料投下してくれるだろうし、嫌でも学園側はこれに対して対処しなくてはいけなくなる……フフ、我ながらリョー君が絡むと大胆になっちゃうなぁ」

 

 今は傍に居ない恋人を考え、熱い吐息を溢す。

 これから行われるのは儀式みたいなものだ。その儀式の生贄は一人の屑、美咲と亮太の仲を引き裂こうとする救いようのない屑の断罪。

 美咲は嗤いながら、その時が来るのを待つのだった

 

「……あ、私生配信のやり方知らないじゃん。確かあの子そういうのに詳しかったし……聞いてこよう」

 

 ちょっとだけおっちょこちょいなのも、美咲の魅力の一つとも言えるのかもしれない。

 




終わりません。

だって美咲を狙っているのって部員にも居ますし。
次はまた待たすかもしれません。

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