理不尽外道神話録   作:EX=ZERO

7 / 9
豚は飛ばず、されど異世界を渡る

 

「で、だ・・エルフ至上主義な世界に行ったわけだよ

 なぜかオークに侵略されてたけどな」

 

《唐突に話を持ち込むのはよくある事だからいい

 でもその耳に刺してるバナナは何の真似だい?》

 

『影の怪物』としては『銀騎士』の旅の話より

銀騎士の今の姿の方がよほど気になっていた。

 

「よくぞ気がついた、完璧な変装だろう?

 こいつのおかげでどこからどう見たってエルフだ」

 

どこからどう見たって馬鹿にしか見えない。

しかし銀騎士の変装はこれで完璧な効果を発揮する為

一概に否定できないのが悩みどころである。

 

《そうかい、で・・あー・・そうそうエルフだったかい?

 まあ、どうせ英雄気取りが大好きな君の事だ

 オークを全てミンチにでもして世界を救ったんだろう?》

 

「いや一緒になってエルフに種付けしてた」

 

《それエルフに変装する必要あったのかい?

 豚耳でもつければよかったじゃないか》

 

「あれだよ、お姫様を報酬としてもらう代わりに

 オーク側に協力したんだ、半日も掛からなかったぜ」

 

《ああ内通者としてエルフの変装をしてたんだね

 しかし珍しいじゃないか、孕ませる種もない癖に》

 

「・・・。」

 

―種もない

 

その言葉を聞いた途端銀騎士の目に殺気が宿る

『種無し』という言葉に過剰反応を起こすのも

英雄気取りと同じく銀騎士の変な癖の一つである

もっとも身体は女なので種が無いのは当たり前なのだが。

 

《・・ところでお姫様はどっちの?》

 

「両方だ、どちらも甲乙付けがたいんだなこれが」

 

オークのお姫様と聞いてはたして

ピンと来るようなイメージはあるだろうか?

そもそもアッチの方はピンと来るのだろうか?

元々性に関して見境がないのできっといつもの事なのだろう。

 

《それで?結局その世界の結末はどうなったのさ?》

 

「あの世界に滞在したのは二十万飛んで五百八十年ちょっと

 その期間延々と犯されては孕まされるエルフはな?

 抵抗したわけだ、このまま犯されたままでたまるかとな」

 

《ほう、起死回生のチャンスがめぐって来たんだね》

 

「ああ、エルフの血が濃くなっていったのさ

 そんで生まれてくる子供がオークから

 だんだんとエルフに代わっていくんだ

 最終的にオークは全滅しエルフだけの世界に戻った」

 

《嫌な進化の仕方だねそれは》

 

オークの遺伝子が弱いのか、エルフの遺伝子が強いのか

元々長命のエルフだからこそできる芸当であるが

多次元世界においてエルフの平均寿命はおよそ千年ほどだ

長命な癖に異種族を妊娠しやすい不思議な性質を持っている。

その多産を武器に世代世代に繋いで復讐を成し遂げた果てには

 

「ただその後うっかりくしゃみしちまってなぁ

 全部ぶっ壊れちまったぜ、HAHAHA」

 

《台無しじゃないか》

 

何も残らなかったらしい。

 

 

 

 

後に影の怪物が天界で盗み聞いた話によれば

エルフのいる世界に元々存在しなかったオークを送り込む。

そんな嫌がらせが神々の間で流行していたそうだ。

しかし銀騎士の八つ当たりのせいで神々が絶滅寸前なのに

よくもまあそんな小競り合いができるものだと

影の怪物は呆れながらも楽しいなら自分も参加してみようと

銀騎士がかき集めたコレクションの中から

オークを大量発生させる兵器を盗み取った。






裏話として
エルフ好きの光の神が自分の管理している世界のエルフを
事あるごとに自慢しまくる事にキレた獣人好きの女神が
大量のオークを異世界から送り込んだのが事の始まりらしい。
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。