「はーあ、最悪だ」
クレーエは負傷したセノアの状態を見て、ぼやいた。
(
「とりあえず基礎骨格の修理からだな」
とはいえ作るための素材をどうするか。量産型の戦闘用人形に採用しているのはこの世界特有の特殊な金属を用いた合金。それ以外の・・・・・・カミラのような
だが、セノアは違う。彼女は元は
「思いのほかうまくいったと思ったが、そうでもないのか」
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浪漫砲台パンプキン。
かつてクレーエの上官だった女性、ナジェンダが使用していた帝具。使用者の精神エネルギーを消費し、エネルギー砲、所謂レーザーを放つ帝具。
「今のその持ち主が、お前みたいな奴とは」
「・・・・・・っ!」
現在クレーエは工房の隣に作られた地下牢にいた。そこにはマインとシェーレが捕えられていた。
「マイン・・・だったか?取引しよう」
「なんですって?」
両腕を吊り上げられた状態のマインが睨みつけてくる。
「今から渡す装備を付けた状態である人物を殺せ。それで帝具なしの状態で解放してやる」
「正気?」
「うん」
驚きを通り越して呆れ顔のマインに対し、クレーエは笑顔で答える。
「冗談じゃないわ!信じれる訳ないでしょ!?」
「それもそうだな。じゃあこうしよう」
クレーエはあらかじめ答えを知っていたかのように次の話に移す。
「シェーレに毒を盛った。解毒したければこいつらを殺して来い」
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「な、なん、で・・・・・・貴女が」
ここは帝都に存在する革命軍の密偵の拠点の一つだ。しかし現在この拠点にはすでに15体の死体と3人しか残されていなかった。
「これで全員か」
一人はクレーエ。いつもと同じ黒スーツと戦闘用の黒コート。もう一人は、ナイトレイドのマイン。
髪型も服装もいつもと同じ物。ピンク一色の目立って仕方のないが、今は無視しておく。
最後に椅子に座ったまま気絶しているシェーレ。
「ええ。15人ぴったりよ」
マインとクレーエは取引をしている。
「反乱軍の密偵15人でシェーレの解毒剤を投与する」
「ああ、今から投与してやる」
解毒剤の入った注射器をシェーレの腕に刺し、解毒する。
「いやあ、見事だった。流石は狙撃の天才だな」
「・・・・・・なによ、急に」
「純粋に誉めてるだけだぞ?ほら、俺ってよく誉め上手だって言われるだろ?」
「知らないわよ・・・・・・シェーレ!」
話している間にシェーレが目を覚ました。薬がまだ抜けきっていないのか、ぼんやりとしている。
「シェーレ!シェーレ・・・・・・」
「・・・・・・あの」
――――――――――貴女は、誰ですか?
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「え・・・・・・何言ってるの、シェーレ?」
ぼんやりとした表情のまま答えた一言に、マインは顔を青ざめた。
「ごめんなさい、私は貴女が誰なのか解りません」
「あんた、シェーレに何をしたのよ!?」
青かった顔を真っ赤にして、クレーエの胸倉を掴む。
「おいおい、俺はシェーレの解毒をしただけだぞ?ただ・・・・・・知らなかったんだ、副作用に記憶を消す効果があるなんて」
クレーエの放った一言に、目を見開いて後ずさる。
「う、うそよ。そんな、シェーレ!忘れてなんか無いわよね?」
クレーエの答えを聞いて、驚愕と絶望に顔を染める。
その瞳には涙が溜まっており、普段の強気な性格の彼女からは想像も出来ない位、憔悴しきっていた。
だが、
「ごめんなさい。私、本当に貴女が誰なのか解らないんです」
シェーレの答えは無慈悲にも、マインを否定した。膝から崩れ落ち、涙を流すマイン。
「これで契約は成立だ、マインは見逃してやるよ。シェーレ」
「ありがとうございます、クレーエ。さようなら、マイン」
二人の会話は泣き続けているマインには聞こえなかった。