鴉が飛ぶ (リメイク)   作:ベクセルmk. 5

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船上

「ふんふんふんふんふーふ、ふんふんふーふーふーん。ふんふんふんふふ、ふーふ、ふんふふふんふーふん」

朝、クレーエは新兵達とのキャンプを終わらせ、汗を流した後すぐにいつもは着ない白のスーツに着替える。

ロイヤリティと余裕のある男はスーツをよく着る。それがクレーエがよく黒スーツを着ている理由だ。今回はその場の空気に合わせて、白のスーツを着る。

戦闘用のコートは着ない。装飾品兼戦闘用の魔術礼装も、無刃の魔剣と障壁の指輪のみにする。

「楽しみだ。竜船の完成セレモニー!」

~~~

大運河・・・・・・全長2500㎞。

これを完成させるために帝国は100万人の民衆を動員し、わずか7年という短い期間で工事を終えた。

本来であれば7年という短い期間ではなく何十年とかけてやるべき工事だ。

期間が短いほど民への負担は大きく、それが帝国への不満をさらに高めた。

長い目で見れば運河は流通の動脈として間違いなく機能する。

(良識派の連中はそう考えて力を注いでいるが・・・・・・)

今、クレーエが乗る竜船の完成セレモニーもその一環である。

「ふむ、華やかでいいな」

船内ホールを見ながら手に持ったグラスの中身を飲む。オレンジの酸味と共にやってくる桃の甘味、度数の高い酒特有の熱さが同時にやってくる。更にいつの間に手にしたのか、皿の上には数種類の料理が並んでいた。

クレーエは芋しか食べない偏食家のようにも見えるが、美食にもそれなりに関心がある。そのうち、アンゼルムや新しいパトロンである凰々(ファンファン)フーズのコネを使って、食品関係に進出するのもいいだろう。

「久しぶり」

背後から聞こえた声に、食事の手を止めて振り向く。

そこには紫色の髪の三つ編みにした、黒いシンプルなワンピースタイプのドレスを身に纏った女性が目の前に来ると小さく微笑んだ。

「久しぶりだな、TT(ティーツー)。いや、今はリュリエのほうがいいか?」

「ええ。今は任務中だから、そのほうが助かるわ」

今クレーエの目の前にいるのは、TTことリュリエ。以前から反乱軍にスパイとして送り込んでいた五大将の一人だ。

「相変わらず変装が上手いな」

「でも気づいてくれたでしょ?限りなく素顔に近いけど、一応これも変装よ」

そう、彼女はクレーエにしか素顔を見せたことがない。そのうえ彼女は、どこにいても違和感がないくらいその場の環境に溶け込める潜入能力を持っている。

(今にしてみれば、こいつほど有能な諜報員はいないよな)

どこにいても違和感がないということは、如何様にも暗躍が出来るということ。そして顔が知られていないということは、身元が割れることがないということだ。

「任務と言っていたが、内容を聞いていいか?」

「勧誘よ。帝国を憂いている同志を募ってるんだとか」

「そうか。何か俺から聞いておく必要のある情報はあるか?」

そう聞くとリュリエは少しばかり口を閉じて、考え始める。

「あまり正確な情報過ぎても、疑われちゃうから困るのよ」

「確かにな。そうなると・・・・・・」

帝具使いだけで構成された特殊部隊についての話がいいだろう。これはそう遠くないうちに発表されるはずだ。

「なら、帝具使いだけで構成される部隊でどうだ? そう遠くないうちに発表されるはずだ」

「それなら問題ないわ」

ウエイターからお互い色の違うドリンクを受け取り、乾杯とグラス同士を軽くぶつけて話を先ほどまでのとはまったく違う一般的なものへと変えるのだった。

 




次回予告

「お、お待たせしました!ツインベリー/クラッシュナッツ/キャラメルスクランチ/モカケーキ/カスタード&モンブラン/プリンアラモード・オルタです!」
「貴様の負けだ、ブラート!」
「後悔させてやる、アンゼルム一家を敵に回したことを」
「熱い魂で!」
「インクルシオオオオオオオオオオオオオ!!」
「今度は四人でつつくか・・・・・・この名前の長いパフェを」

次話 激流
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