Colorful Star Project   作:SIVERREX

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SIVERREXです。
第4話はまゆとの行動がメインとなります。ではどうぞ!


第4話「I need more Star」

ーホテルー

RV「この高級ホテル、私が貧乏体質だったからか知らんが、何かあんまり熟睡出来なかったな…」

 

布団が柔らか過ぎるというのも有るが、やはり慣れない環境というのは落ち着かないものだ。そもそも普段から雑魚寝レベルの生活だった為に、身体が拒絶を起こして寝れなかったというのが一番だろう。

 

RV「…まあ良いや、朝食が付いてたな…バイキングだと嬉しいが。洋食なら更に良し」

 

和食も良いのだが、どうしても朝は洋食が欲しいと身体が求める。重過ぎる料理も駄目だが、軽過ぎる料理だと一日のエネルギー量が心配である。

我侭な体してるなと思いつつも、まだ完全に覚醒していない体を引き摺りながら朝食場へ向かうのであった。

 

 

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ー朝食場ー

RV「最高か!洋食だ!」

 

子供の様な喜び方である。洋食だと知った瞬間に体は覚醒し、皿を取り色んな料理を皿に入れる。

特に気になるのがヨーグルトだ。様々な味が用意されているので思わず結構な量を盛る。

 

エリ「リヴェル君それ食べ過ぎじゃない?」

 

RV「朝にヨーグルトを大量に食いたかったんですよね…バイキングなら食べr…ってオドラワァ!?」

 

日本語だが日本語ではない声を発した。聞き覚えのある声がしたと思ったら、何故か横にはエリさんが居た。何故此処に居るのか。

 

エリ「おはよう、良く眠れたかしら?」

 

と、私の驚き方とは対照に、冷静に挨拶をしてくる。でも何故此処に居るのか分からないので聞いてみよう。

 

RV「何故此処に!?」

 

エリ「いや、私だってそりゃ滞在するわよ。本命は貴方の付き添いなんだから」

 

そう言われると納得はするが・・・いや、するのか?

 

RV「もう帰ったと思ってました…」

 

エリ「可愛い可愛い私の部下をそんな簡単に見捨てる女と思ってる?うう、そんなに慕われてないのね私…」

 

オヨヨ、と泣きそうになるエリさんであるがいつもの事である。はいはい、と流しながらバイキングの目当ての料理を探す。

 

RV「おっ、彼処にロールパンが有る」

 

エリ「無視!?無視なのね!?リヴェル君いつからそんなに反抗的になったの!?」

 

いつでも反抗期でございます。

だが上司と部下のこのやり取りは嫌いじゃない。寧ろ日常を実感出来てとても良い。

 

RV「いやー、このやりとり毎回じゃないです?例え出先でも、実家のような安心感が有りますわ」

 

少なくとも私はエリさんにこうは言いつつも、恩が有るので本当に逆らう事なんて無いとはしないのだが。

 

エリ「嬉しいのやら悲しいのやら…そういえば例の件はどう?考えは決まった?」

 

エリさんはサッと顔を変えて私に聞く。

この人急に真面目モードに入るから割と毎回驚く事がある。

 

RV「まだ、としか言いようが無いですね…もう少し期間が欲しいところですが…」

 

エリ「ふーん…リヴェル君ちょっとこっち向きなさい」

 

エリさんはそう言って私の頭を掴み、自分の方向へ向ける。いたたた、結構この人力強いんだった・・・。

 

エリ「その目は嘘付いてる目ね、何か隠してるでしょう」

 

どうやらこの人には色々とお見通しらしい。

大体は昨日の志希との話で、自分の答えは殆ど決まっているのだが、取り合えず白を切っておこう。

 

RV「いや?何も隠してませんが?」

 

エリ「貴方が人の目を見ないなんて有り得ないのに、貴方は私の鼻の辺りを見てる。いつもの貴方の癖よ、それ」

 

自分でもそんな癖分からなかった。もしかして私ポーカーフェイスできないタイプか。

とはいえ、自分で分からない事も多々有るとは思うのだが、この人は私の事を一体どれだけ見ているのだろうか。

 

RV「本当に良く見てますね…」

 

私は半分諦めた顔で返答する。

 

エリ「何年貴方を見てると思ってるのよ、それ位お見通しよ?で、何隠してるの?」

 

RV「…言わないといけないっすか」

 

本心というものはあまり出すべきでは無いと長年の経験から分かったのだが、この人なら出してもまあ問題は無いと思う。

 

エリ「あら、強制はしないけども…言った方が気が楽じゃない?貴方に隠し事は似合わないわ、女は隠し事が似合うけれどもね」

 

この人はいつだって絶対的な強制はしない。

でも、遠回しに話して欲しいって伝わるからこれまた話さないって訳にもいかなくなる。

 

RV「女ってずるい」

 

エリ「褒め言葉として受け取っておくわ」

 

ケラケラと笑いながらエリさんは言う。まあ、軽く言っておいた方が良いのかもしれない。

 

RV「まあ、実際の所考えは殆ど決まってます」

 

エリ「それは此処に残る方向で?」

 

まあ分かりますよね。

 

RV「ええ、昨日ちょっとした事が有って」

 

エリ「ふむ、私にとっては凄く嬉しい報告よ。貴方にはその才能が有る…いえ、こう言われるのは嫌いだったわね。貴方のその振る舞いは人を引き寄せる。それは即ち、人を育てる能力にも繋がるの。貴方は後から入ってきた後輩に対して、全力を尽くして面倒を見てた。そんな貴方をこのスタッフという枠に収めるのには勿体無い位よ」

 

なんか凄い褒め殺しされた気がする。悪い気はしないのだけれどもコレは・・・

 

RV「大袈裟過ぎません?私なんかただの高卒でバイトレベルのスタッフですよ?」

 

実際アレである。野垂れ死にそうになってた私を拾ってくれて、食べる為に働いてたレベルである。

 

エリ「下卑し過ぎよ。現に貴方は今は346のスタッフ、そして今じゃ私の右腕となってる。この私の右腕よ?それに関しては誇っても良いのよ、自分で言うのもアレだけども」

 

偶然とはいえ、こんな大きい所で働けたのは幸運だとは思っている。

でも、拾われた当時では考えられない位に今の自分は成長してると感じている。

 

RV「右腕か…嬉しい言葉っすな、まあ確かにプロデューサーをしたいのは確かなんですが後1歩、何か引っ掛かってる部分が有るんですよね」

 

言うなれば、もう一つ理由が欲しい。面白そうだからって理由だけじゃ流石に格好が付かない。

 

エリ「そうね、残りの6日間それを見つけなさい。必ず貴方がプロデューサーになりたいというきっかけを見つけれる筈よ」

 

そうか、昨日ですらあんなに濃い一日だったのに後6日間も有るのか。

まだまだ時間は残されている。焦らずゆっくりと決めていこうと思っていたら腹の虫が鳴った。…取り合えず食べるか。

 

RV「ですね、そうします…っと彼処のテーブル空いてますしそこで食べましょうか」

 

エリ「あら、貴方の事だから1人で食べるとか言い出しそうだったけども」

 

私結構1人で食べるタイプだから珍しいと思われるのも仕方が無い。

 

RV「普通の上司なら絶対そうしてますが、あー、その…さっきの言葉が…嬉しかったので…」

 

と、少し似合わない言葉が出てしまった。

 

エリ「ふふっ、もっと褒める事有るから褒め潰してあげようかしら?」

 

RV「ちょっとーやり過ぎるともう1人で食いますよ」

 

コレ以上の褒め殺しは本当に勘弁してください。

 

エリ「可愛いわねもう。さ、彼処で食べましょうか」

 

そんな会話を続けながら朝食を食べるのであった。

 

 

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RV「じゃあ私はコレで」

 

エリ「ええ、気を付けてね。もっと色々見て回りなさい」

 

朝食を終えて食器の片付けをした後、エリさんと別れる前に一応聞いておく。

 

RV「オススメの場所とか有ります?」

 

エリ「観光と間違えてない?いや、ある意味観光なんだけれども…そうね、346にはアイドル部門だけじゃなくて読者モデルの部門の事務所とか色々あるから見るのも良いかもね」

 

そうだ、何も見るのはアイドルだけじゃないのか。なら今日は方向性を変えてそこら辺りの方を見に行くのも大アリだ。

 

RV「ウィッス、ならそこら辺回ってみますわ」

 

エリ「ええ、私はまた回る所が有るから…またホテルで会えれば会いましょう」

 

RV「了解しました、そちらもお気を付けて」

 

そう言って、私は本社の方に向かう事にした。

 

 

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ー346ビル本社ー

RV「うーん、さて…まずは慶さんに会いに行くか」

 

やはりこのビルは広過ぎる。案内人が居ないと無理だなこれは・・・サッと慶さんが来てくれたら理想なのだが。

 

慶「後ろに居ますよー」

 

居た。おばけかよ。

 

RV「だああ!?急に話し掛けるの止めてくれません!?寿命が36秒位縮みましたよ!?」

 

慶「36秒位良いじゃないですか…」

 

ホラーとかは大丈夫な人間だが、ビックリ系は勘弁して欲しい。

ついでに36秒という数字には特に意味は無いが、心臓が30秒程高速で心拍するのは確かだ。

 

RV「36秒有れば腹筋12回位出来ますよ!」

 

適当な事言ってみた。

 

慶「何故に腹筋なんです!?」

 

RV「いや、慶さんトレーナーだからそっちの方が分かり易いかなって」

 

でもトレーナーだからと言ってこの例えは無いな。自分でも無いレベルだ。

 

慶「そこ関係有ります?」

 

RV「多分無いッス」

 

慶「無いんだ…」

 

慶さんは呆れ顔で言った。

だが、そんなくだらないやり取りもまた日常の一つ。この人とどれ位の付き合いになるかは分からないが、冗談とか飛ばし合えるレベルになればなと思っている。

 

RV「さてさて、今日はどちらに?」

 

今日の予定を慶さんに聞いてみる。

 

慶「そうですね、今日はリヴェルさんの望む場所に行こうかなと思ってましたが」

 

RV「あ、じゃあアイドル部門以外の場所って行っていいんですかね?」

 

早速エリさんが言ってた場所を所望する事に。

 

あ、でもどうなんだろう。私がそこに行って良いのかな・・・下手したら無関係者だし。

 

慶「構わないですよ、あのスタッフカードはこのビル全部に対応してますので」

 

大丈夫そうだった。

 

RV「イエッサ、なら行きましょうか」

 

そう言ってまた案内してもらう事になった。今日は何が起こるのやら。

 

 

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ー読者モデル撮影スタジオー

RV「なんとなくで来てしまったが」

 

慶「日曜日なのか今日はモデルの数もスタッフの数も多いですねー」

 

撮影現場では色んなスタッフの人が世話しなく動いている。結構ガヤガヤしてて、1人1人の言葉が聞きにくい位には騒がしい。

凄いな・・・こんなに大人数のスタッフを見るのは初めてだ。

 

RV「しっかし慌しい感じが凄いな、全員フル稼働みたいな」

 

1分1秒が惜しいというレベルでスタッフが走り回っている。それ位分刻みのスケジュールの人達も居るのであろう。

 

慶「コレが通常なのかいつもとは違うのかは分からないですが…おや?」

 

慶さんはとある場所に目を向ける。

 

RV「どうしました?」

 

慶「いや、今撮影されてる子こちらを見たような」

 

慶さんが指差したその方向には、誰かが撮影されていた。

私自身目はあまり良くないので、目を凝らして見てみる。

 

RV「んー…?あっ」

 

いや、見覚えが有るぞあの子。昨日廊下でぶつかった女の子だ。

 

慶「知り合いですか?」

 

モデル・・・なのか?なんにせよ昨日は怪我が無くて良かった。

 

RV「あー、昨日会った子ですね…慶さんと別れた後にちょっと話したというかなんというか。いや、アレは話した、というカウントには入らないな…」

 

ぶつかっただけじゃあ会ったって言うのかな・・・

 

慶「名前は…あ、彼処に書いてますね、佐久間まゆって子らしいです」

 

佐久間まゆ・・・ああ、確かに。

 

RV「ああそうか、一人称まゆだったもんなぁ…」

 

遠いからあまり良く見えないが、改めて見ると中々可愛らしい子だ。

 

慶「折角だから話します?…ってあっ、すみませんちょっと電話入ったので外します!」

 

慶さんがそう提案しようとすると、慶さんの携帯が鳴った。

 

RV「はいはい、どうぞー」

 

そりゃ普段の仕事も有るのに私の案内役してくれてるのだから、それ位全然構わない。寧ろ此方が申し訳ないと思ってる位だ。

 

 

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慶さんが帰って来ないので、しばらく佐久間まゆという子の撮影現場を見ていた。

 

RV「何歳位だろうなぁあの子、成人はしてないとしても高校生位か…?いや、アイドルとか見てたら小学生とか中学生居るからもしかしたらって事も有るな…おっ、撮影終わったか」

 

あまり外見だけで年齢判断するのは得意ではないが、高校生位だろうか。

と、そんな事を考えていると撮影が終わったらしい。

 

撮影スタッフ「佐久間さんお疲れ様でしたー」

 

まゆ「お疲れ様でした」

 

そう言ってあの子はスタッフに挨拶をする。

と、その瞬間コッチを見てトテトテと走ってきた。

 

まゆ「あの、昨日はごめんなさい」

 

コッチに来たと思ったら、謝罪の言葉が出て来た。

 

RV「いやいや、アレは私の不注意だから気にしなくて大丈夫ですよ佐久間さん」

 

実際アレは私が暢気に歩いていたせいなので、向こうが非を感じる必要は全く無かった。

が、私が名前を読んだ瞬間佐久間さんの目は変わった。

 

まゆ「っ!まゆの名前知ってるんですか、嬉しいです!」

 

おおう、えらい喜び様だな!?名前書いてあっただけなんだけども。

 

RV「さっきの撮影の時に名前確認しましてね、佐久間さんは読者モデルの方です?」

 

まゆ「はい、読者モデルをしてます」

 

読者モデルか、成程その為の撮影だったのか。

 

まゆ「それと…」

 

RV「ん?」

 

佐久間さんは何か言いたそうな目をしている。

 

アレ?私何かしただろうか?

 

まゆ「まゆの事は、まゆって呼んで欲しいんです…」

 

ほう、名前呼びか…初対面レベルで名前呼びするのは少し気が引けるが向こうがそう御願いしているのなら断る訳にもいくまい。

 

RV「ああ、分かりました、まゆさん」

 

ああ、なんだろう。とてもしっくり来るな。

 

まゆ「出来れば敬語の方も…」

 

RV「あー…なるべく控えたいんですが…それでも?」

 

飛鳥とか志希ならまだしも、真面目そうな子に対しては敬語を崩したく無かったが、向こうがそれを望むならまたそうした方が言いのであろう。

 

まゆ「はい、お願いします」

 

RV「えーとじゃあ、まゆ」

 

そう言うと、

 

まゆ「はい!」

 

とても明るい笑顔で返事をしてくれた。不覚ながらドキッとしてしまった。

まゆの事ちょっと知りたいので少し禁断の質問をしてみる。

 

RV「あーまゆ、女性に歳を聞くのは失礼だとは思うのだけれども、今ってお幾つ?」

 

高校生と踏んだが、如何に。

 

まゆ「まゆは16歳ですよぉ、血液型はB型で、趣味は料理です。後…貴方のお名前を聞かせてください。歳はお幾つですか?血液型は?」

 

何か投げた質問が4倍位になって帰ってきた。

 

RV「おおう、情報が一気に飛んで来たな、失礼。まだ名乗って無かったな、私はリヴェルだ。22歳のA型だ」

 

にしても高校生と踏んだのは正解だったか。16歳なら飛鳥と志希の間かな。

 

まゆ「リヴェルさん…リヴェルさんのお仕事は?」

 

仕事なぁ・・・絶賛失業間際ですが。

 

RV「1週間だけ東京勤務のスタッフとして今は働いてる」

 

間違ってない言い方だ、と思ったその時。

 

まゆ「1週間だけ…?1週間経ったら帰っちゃうんですか…?」

 

場の空気が凍る位のトーンでまゆはそう言った。

そして目は先程と一転して、一切笑っていない。私何か爆弾発言でもしたか!?

 

まゆ「嫌です、そんなの嫌…」

 

悲しそうな、そんな顔で言った。不味い、これは何か言わないと。

 

RV「ああ!大丈夫!1週間だけスタッフだけどもその後も居るから!!」

 

まゆ「本当ですか…?」

 

と、流れで言ってしまった。どちらにせよプロデューサーになるのなら此処に居る筈だ。

 

RV「本当の本当だ、嘘はつかない」

 

まゆを安心させる為に念を押しておく。

けど、何故この子は私に拘るのだろうか?さっきのオーラレベルの威圧感と良い、理解出来ない所が多々有る。

 

まゆ「じゃあ1週間だけっていうのは?」

 

当然の疑問だ。・・・この子に嘘は絶対に付いてはいけないと本能が叫んだ故、ちゃんと言おう。

 

RV「あまり大きな声では言えないけどもスタッフの後、プロデューサーになる予定というかほぼ確定というか」

 

まゆ「プロデューサーに…?」

 

話の流れを知らない人からしたら訳の分からない話になってるなこれ・・・どう説明したものか。

 

RV「アイドル部門の方らしいけどね、最初は乗り気じゃなかったけども…まあその、色々あってね」

 

まゆ「…」

 

まゆは黙り込んでいる。何を思っているのだろうか。

 

RV「まあだから346の本社の方には多分居るよ」

 

まゆ「そうなんですか…」

 

まゆは少し安心した顔をした。うーん、この子の考えていることは読めないな。

それとも私が察せないだけか?そんな事を考えていると

 

RV「今は色々見て回ってる感じかな?今日は此処に…ってごめん、少し電話来たからちょっと外すね」

 

会話を遮る様に電話が掛かってきた。これは慶さんからかな?

 

 

慶「リヴェルさんすみません、ちょっとこの後急遽トレーナーの仕事の予定入りまして・・・今日は付き添い出来なさそうです…黒崎さんの方には話しておきますので、今日は完全に自由にして頂いて構いません」

 

RV「了解です、お気になさらず。色々と見てみますわ」

 

そりゃ慶さんには本業というか本来の仕事優先して貰わないとコッチが困る。

 

慶「ではよろしくお願いします」

 

RV「はいさー」

 

 

 

 

 

RV「完全にフリーになったな…」

 

案内人が居なけりゃこうなったら自由に動いて色々見てみるしか無いな。まあなんとかなるだろう。

 

まゆ「リヴェルさん…?」

 

と、考え事をしていたらまゆが真後ろにピッタリと居た。

 

RV「うおぁ!?いつの間に後ろに!?」

 

まゆ「リヴェルさん…お昼って何か予定有りますか?」

 

と、私がびっくりしてるのを差し置いて予定を聞かれた。ふむ、確かに昼からの予定は完全にフリーになったからな。

何かの誘いだろうか?

 

RV「んー、いや有ったけどさっきの電話で無くなったよ?」

 

予定は未定とは良く言ったものである。

 

まゆ「もし、良かったらお弁当作ってきたのでまゆとお昼を食べませんか?」

 

ほう、昨日に引き続きまた誰かと食事するとは。断る理由も無いが一つ気になる点が有った。まゆの手に持っている弁当についてだ。

 

RV「うむ、構わないが…その弁当はまゆのじゃないか?」

 

まゆ「いえ、リヴェルさんのとまゆのと2つ有りますから大丈夫です」

 

ほうほう。用意周到、それは有り難い事で。

・・・ん?

 

RV「…私の分?」

 

まゆ「はい」

 

いたって普通に返事するまゆ。

 

RV「今日会うって約束してたっけ?」

 

まゆ「いいえ?」

 

私の記憶でも約束してないよなぁ?

 

RV「でもその弁当って私の為に作ってくれたのか?」

 

まゆ「はい」

 

アァン?

 

RV「もし私が此処に来なかったらどうするつもりだったの?」

 

まゆ「まゆからリヴェルさんに会いに行きますよぉ」

 

HAHAHA、コイツはトンデモガールだ。未来予知でも出来るのか。そもそも私がこのビルに来ない可能性すら有ったと言うのに、まゆは弁当を作ってきてくれた。

この子ギャンブルの才能有るかもしれんな・・・とか余計なこと考えるのをやめて素直に受け取ることにした。

 

RV「…うん、深い事考えるのは止めとくか。ならありがたく頂いても良いか?」

 

まゆ「はい」

 

まゆから弁当を受け取り食べる場所を考える。

 

RV「昼食うには少し早いが…まあ適当な場所で食べるか。此処って弁当食べれそうな広場って有ったかな…」

 

まゆ「広場ならまゆ知ってますよぉ」

 

流石。新参者の私より良く知っている。まゆの言う通りにしよう。

 

RV「なら丁度良いや、そこで食べようか」

 

まゆ「はい!」

 

まゆは最初に見せてくれた明るい笑顔で返事をしてくれた。・・・うん、良いなこの顔。

 

 

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ー広場ー

RV「良し、着いた!まだ4月だからちょっと冷えるなぁ」

 

日は出ているが、風は冷たい。だがそのお陰か丁度良い感じになっている。

 

RV「さて、食べようか」

 

まゆ「はい」

 

まゆはそう言うと、手提袋から弁当を取り出した…ってデカッ。

 

弁当屋もビックリの重箱サイズだった。これ食べれるのかな私・・・絶対食べるけども。

 

RV「しかし弁当なんて作ってもらうの久しぶりだな、毎日作ってるのか?」

 

まゆ「はい、毎日作ってますよぉ」

 

ハイスペック女子高生だった。

 

RV「そいつは凄い、その歳で自分で弁当か」

 

まゆ「まゆは女子寮に住んでるので、こうしないとお昼ご飯とかが用意出来ないんですよね」

 

RV「女子寮?それは346のか?」

 

確か大阪にも寮は有ったが、そうか。当然コッチにも当然有るわな。昼外食とかで済ませれないしなぁ。

 

まゆ「はい、仙台から上京して今は東京に住んでるんです」

 

RV「仙台から!?また遠い所からだな…」

 

北も北、かなり遠い所からやって来たんだなまゆは。

 

まゆ「ええ、でも親は了承してくれましたし、今は此方の学校に通ってるので、とても楽しいですよぉ」

 

RV「そっか、まだ高校生だもんな…読モの仕事しながら学校生活って厳しくはないのか?」

 

普通に考えて学業とモデルなんて両立、忙し過ぎる。

 

まゆ「ちゃんとスケジュールも考えてくれてるので全然大丈夫ですよ」

 

RV「ほうほう、ちゃんとそこら辺りも考えてくれてるんだな…そりゃ中学生とかも居るからそうなるか」

 

それでも忙しいとは思うのだが。

 

まゆ「小学生も居ますからねぇ」

 

さっき歩いてて通った子供ももしかしたらモデルとかアイドルかも知れんなぁ。世の中は広い。

そんな事を思いながら弁当の玉子に手を付ける。おっ、美味い。

 

RV「子役みたいな感じか、成程なぁ…あ、この卵焼きとても好みの味付けだ、実家を思い出す」

 

まゆ「褒めて貰って嬉しいです…リヴェルさんは、今は一人暮らしですかぁ?」

 

褒められた事が嬉しいのか、満面の笑顔のまゆ。そして私に尋ねてきた。

 

RV「ああ、一人暮らしだ。元々大阪に住んでてね、まゆと同じ上京したって感じかな」

 

上京仲間だなって笑いながら言った。と、まゆが真剣な顔で私の方を向いた。

 

まゆ「…リヴェルさんは」

 

RV「ん?」

 

むぐむぐと食べながらまゆの話を聞く。何を話すのだろうか。

 

まゆ「リヴェルさんは、まゆの事をどう思いますか?」

 

RV「いきなりな質問だな!?んー、まだ第一印象しか言えないぞ?」

 

流石に突拍子も無い質問にむせかけた。他人の評価が気になる子なのかな。

 

まゆ「じゃあ…その第一印象は?」

 

RV「第一印象ですら中々難しいが…感覚で言うなら真っ直ぐな子だなと」

 

悪い印象は無い。可愛くて、素直だなと。

心の中でちょっと思うのは、たまに威圧感出すとrころだけども。

 

まゆ「真っ直ぐ…ですか?」

 

RV「第一印象だからな?」

 

…うーん、何か思う所でも有るのかな。私もしかして無神経な事言ってしまったか?

 

まゆ「…」

 

黙り込んでしまった。…ちょっと情けないな私。

 

RV「…気に障ったこと言ったのならすまない、まゆ」

 

まゆ「い、いえ、そうじゃなくてですね。ちょっと考えてただけです」

 

本当にそうなのかな…?と、ちょっと不安になる。

思った以上に雰囲気が暗くなってしまったので話題を変えてみる。

 

RV「そっか、にしても弁当凄い美味いぞ、料理が得意なのか?」

 

素直にこの弁当が美味しい。地味に食にうるさい男だから大丈夫かなと思ってたが、なんてことはない。最高の味だった。

 

まゆ「はい、ママに料理だけはこの先の為にも上手くなっておきなさい、と言われ続けてきたので」

 

花嫁修業って奴なのかな。いや、コレなら充分合格ラインとっくに超えてる気がするのだが。

 

RV「ほう、良い親御さんじゃないか、その結果がこれなら素晴らしいぞ。にしてもまゆ、お前は食べないのか?」

 

まゆの箸が止まっている。自分の弁当を食べるのは気が進まないのか?

 

まゆ「リヴェルさんの食べる姿を見ていたいので…」

 

RV「ん?私の食べる姿綺麗か?」

 

とか自惚れてみた。ユースやエリさんから注意食らうレベルには、たまにおかしな食べ方をする位だが。

 

まゆ「いえ、なんというか…夢中になって食べてくれるので」

 

RV「ああ、まあ確かに私普段黙々と食べてるし、周りから食べるの死ぬほど早いって言われるしなぁ」

 

要するにがっついて食べるタイプだ。いや、美味しいもの食べたらそりゃ夢中になってしまうのよね。

 

まゆ「そうなんですか?」

 

RV「ああ、だって美味しい物は美味しいから仕方ないじゃない」

 

何度か早食い競争したのは内緒のお話。アレは二度とやりたくない。

 

まゆ「ふふっそうですね」

 

RV「何より人に作ってくれた弁当を食べるのが久しぶり過ぎて、周りに人が居なかったら真面目に涙目で黙々と食べてたかもしれない」

 

自分で作る料理って自分で食べてもこう、成功しても自分で食べて終わりって感じで呆気ないんだけど、人が作った料理を食べる時って格別に美味しいのは何故だろう。

ああ、とても美味しいな。何時振りだろうか、人が作ってくれた料理を食べるのは。

 

まゆ「リヴェルさん…」

 

まゆはなんとも言えない目をしていた。辛気臭い雰囲気にしてごめん。

と、夢中で食べている内に、アレだけの量があっさり消えていた。なんだ、全然余裕だったじゃないか。

 

RV「良し、食べ終わった!御馳走様でした!」

 

まゆ「お粗末さまでした、美味しかったようで何よりです」

 

昨日の鰻とはまた違う幸福感が得られた。こりゃ何か返さないとな。

 

RV「折角こんなに美味しい物を作ってくれたんだ、何か礼をしなきゃな…」

 

まゆ「いえ、まゆが勝手にした事なので大丈夫ですよ?」

 

そうは問屋が卸しません。

 

RV「いやいや、流石に何もしないのは私の中の何かが許さないのよな!…とは言っても何も思いつかないけども」

 

まゆ「あの、それじゃあ…」

 

まゆは少し躊躇いながら言った。

 

RV「ん?言ってみ?出来る限りの事なら要望に応えよう」

 

出来る限り、だが。

 

まゆ「まゆ、さっきの撮影で今日のお仕事終わったので…今日これからリヴェルさんについて行っても良いでしょうか…?」

 

RV「お安い御用。寧ろこのビルの分からない所がまだまだ沢山有るから、教えてくれると凄くありがたい」

 

なんだ、丁度良かった。実際1人でほっつき歩いてたら迷うかもしれないから同行してくれる人が居ると凄く助かる。

 

まゆ「ありがとうございます…!」

 

RV「じゃあ早速行こうか。あ、その前に…ほい」

 

私はまゆに手を差し出した。

 

まゆ「手…ですか?」

 

RV「握手だ。まゆ、今日一日よろしく頼む」

 

今日一日って訳でも無い気がした。何故かまゆとの付き合いはこれで終わる気がしなかった。

 

 

 

―何故か運命の様な物を一瞬感じた―

 

 

 

まゆ「…はい!」

 

まゆ「(リヴェルさんの手…力強くて温かい…もっと触れていたいな…)」

 

ついつい力を入れてしまった、と思ったらまゆの顔が緩んでいた。

 

RV「ま、まゆ?結構強く握ってない?」

 

私の力強さに負けない位の力強さで握ってくる。痛くは無いのだが、凄いがっしりと掴んで来る。

 

まゆ「(もっと…もっと触れていたい…)」

 

RV「あのー、まゆー?」

 

呼びかけても顔は緩んだままで返事が返って来ない。私の手がそんなにおかしな形でもしていたのか?

 

まゆ「(ああ…やっぱりこの人なんだ…)」

 

RV「戻ってこーいまゆー、カムバーック」

 

上の空と言ったら良いのだろうか。多分これ意識が夢の国とか行ってる?

某ネズミは関係無い。

 

まゆ「(逃がしません、絶対…逃がしませんから…絶対に…)」

 

RV「うーん、完全にトリップしてるなら…そいやっ」

 

こうなりゃ現実に引き戻すまでだ。私はまゆの頭を撫でた。

 

まゆ「きゃあっ!?」

 

撫でるとまゆは甲高い声を上げた。

 

RV「お、戻ってきた…な…?」

 

まゆ「(うっとり)」

 

撫でたのが失敗だったか、更に夢の国へ行ってしまった。参ったな、こりゃ時間が掛かるぞ。

 

RV「あ、逆効果だこれ!」

 

まゆ「リヴェルさん…」

 

まゆは限界まで緩み切った表情で言うが…これ対応してたら真面目にヤバそうなのでスルーすることに。

 

RV「よ、良し行くぞホラ!」

 

全く、なんというか…真っ直ぐだけども掴みどころも分からない子だ。

 

まゆ「(うふふふ…)」

 

 

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ー1Fホールー

RV「なんとなく1階ホールに来てしまった訳だが」

 

困ったら先ずは入口に戻れと誰かが言ってた気がする。誰だっけ。

 

まゆ「此処には346プロダクションが関係するお仕事の一覧が書いてある掲示板が有りますね」

 

RV「ほうほう、直近で言うと…成程、今日の夜にライブのイベントが有るんだな。後で行ってみるか」

 

これからの事を考えると見た方が良い気がする。

ただでさえ予備知識が殆ど無いのだから、まだまだ様々な事を知らなければならない。これからは貪欲に知識等を求めるのが大事なのかも。

…私自身現場関係だからあまりそういうのは得意ではないのだが、どうも文句も言えない状況になってきた。

 

まゆ「見に行くんです?」

 

RV「ああ、観客席から見たいけども折角だからスタッフとして見に行こう」

 

許可貰えれば入れそうだな。貰えれればだが。

 

まゆ「それってまゆも入って大丈夫なんですか…?」

 

RV「大丈夫だろう、関係者なんだし。心配なら上に聞いとこうか?」

 

まゆ「お願いします」

 

大丈夫とは思うのだが、私自身も内心心配なので、連絡を取る事にした。

 

RV「上とは言ってもそのライブの関係者に言っといた方が良いか。誰が関わってるのやら…ん?」

 

まゆ「どうしました?」

 

どうやら関係スタッフのところを見ていると見た事が有る名前の人が居た。というより見過ぎた名前だ。

 

RV「アレ、スタッフ一覧にエリさんの名前が有る」

 

まゆ「…誰ですか?」

 

まゆは怪訝そうな顔をしている。ちょっと落ち着いて、ね?

 

RV「ああ、私が大阪に居た頃の上司だ。今はコッチに来てるが…それも兼ねてだったのかな」

 

そう言うと、まゆの顔が戻った。うん、嘘は付いてない。

 

RV「まあ顔見知りが居るなら話は早い、エリさんに頼んでみるか」

 

まゆ「一緒に…見れると良いんですけど」

 

RV「あの人の緩さなら多分…うん、大丈夫だと思う。というわけで探しに行くか」

 

まゆ「はい!」

 

厳しいところは厳しいのだが、その他では滅茶苦茶緩いのがあの人だ。

それに今回なら多分理由を言ったら必ず通してくれると思う。

 

RV「とは言っても何処に居るか見当すらつかないから電話してみるね」

 

まゆ「はい」

 

 

 

 

RV「…あ、エリさんすみません、今大丈夫です?」

 

エリ「あら、貴方からかけてくるなんて珍しいわね、明日は雨かしら?」

 

エリさんの外出の日に大雨降らせてやろうか。

 

RV「私晴男なんで大丈夫です、それはそうとエリさんって今日のライブのスタッフなんですかね?」

 

エリ「ええそうよ。それがどうかしたかしら…あ、もしかして私の雄姿を見に来てくれるとかしら、ねえそうでしょう?」

 

50%正解である。もう半分はスルー。

 

RV「んーまあそこはどうでも良いとして、ライブの見学なのは間違いないです」

 

エリ「どうでも良いとか言われたら私傷付くわよ!?」

 

RV「ダイヤモンド並みのハート持ってるんですから大丈夫ですよ」

 

あの御仕置き部屋、その芯の強さから名付けられた、アイアンメイデンと恐れられ呼ばれた人が何を言うか。

 

エリ「貴方私を何だと思ってるのよ」

 

そりゃあ。

 

RV「鋼鉄の非道女」

 

エリ「リヴェル君後でビンタね」

 

殺されると確信した。

 

RV「調子に乗りました!で、そのライブ見学に一人同行させたい子が居るんですけど大丈夫ですかね?」

 

真面目な話題に戻す。いや、だってあの人のビンタ加減知らないから顔吹っ飛ぶもの。

 

エリ「ええ、全然構わないわ。」

 

RV「助かります、じゃあ夜またそっちに行くのでお願いします」

 

だが流石はエリさん、本当にありがたい。

これでまゆにも安心して貰えるから良かった。

 

エリ「分かったわ、来たら声かけてね」

 

RV「了解」

 

そしてそのまま電話を切りまゆの方へ向き直った。

 

まゆ「…どうでしたか?」

 

RV「どうやら一緒に見に行けそうだな、良かった」

 

まゆ「…!ありがとうございます!」

 

やだ、眩しいこの笑顔。まゆってもしかしてONとOFFのスイッチ切り替えるの凄い得意だったりするのかな。というよりモデルやってたらその技術は自然と身に付くのかもしれない。

 

RV「まだ夜まで時間が有るから、それまで喫茶店か何処かで暇潰そうか」

 

まゆ「リヴェルさんのお仕事は大丈夫なんですか?」

 

仕事っていうよりただの見学だけども。でも給料は発生するんだよな、万歳。無職になりそうになってるけど。

 

RV「問題無し、というか今日はもうフリーにして良いって言われたしな。けど敷地の外に出るのも気が引けるからなぁ…346の敷地内で喫茶店って有るかい?」

 

流石にこう、なんと言ったら良いのか。学校の授業が終わったけどまだチャイムが鳴ってないから廊下に出れない気分。今まさにそんな感じ。

 

まゆ「あっ、1つ有りますよ」

 

RV「良し、ならそこに行くか」

 

流石、此処はまゆに案内して貰うとしよう。

 

まゆ「はい!」

 

 

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―喫茶店―

RV「ほうほう、いたって普通の喫茶店だが…」

 

まゆ「まゆ、初めてこの喫茶店に入りました」

 

成程、喫茶店とは知っていたが入る機会は無かったんだな。まあ喫茶店で一人で入る時って大体状況が限られてる気もするしなぁ。

 

RV「ほーそうなのか、店員さーん」

 

??「はい!御注文ですか!」

 

店員を呼ぶとうさぎ耳を付けたメイド服の店員さんが来た。おう、此処はメイド喫茶だったのかな?

と、突っ込む所は沢山有れど、メニューとかは普通だし、この店員さんの趣味だったという事にしておこう。

 

RV「私はアイスコーヒーを、まゆは何飲む?というか食べたい物有ったら食べても良いぞ」

 

今日はコーヒーが飲みたい気分。たまに紅茶が飲みたくなる時も有る。

まゆに提案してみたのもこの店、喫茶店にしては料理のバリエーションがとても多いからだ。いや、これ喫茶店のメニューの量じゃねえ・・・

 

まゆ「あ、じゃあ…このALICEパフェ1つでお願いします」

 

なんだかその言葉を聞いた瞬間、私の直感が一瞬警告を出した気がした。てかなんだそのパフェ。

 

RV「何それ?」

 

??「苺がいっぱい入ったパフェになります!」

 

いっぱいねえ、まあ値段見ても極端に高い訳じゃないので大丈夫そうか。いざと名りゃ私食べれば良いし。

 

RV「じゃあそれでお願いします」

 

??「畏まりました!」

 

そう言うと店員さんは厨房の中へ消えた。・・・ちょっと嫌な予感するけど大丈夫だろう。

 

RV「まゆ苺好きなのか?」

 

まゆ「はい、好きです!」

 

いいねえ、年頃の女の子らしい好物だ。まあ私も好きなんだけど。

 

RV「あの店員さんが言ってたいっぱいってのが気になるが…大丈夫か?」

 

まゆ「いえ、まゆ一人だけじゃなくて…リヴェルさんと一緒に食べたいなって…」

 

やだ、私の苺大好きオーラが溢れ出てたのバレたかな?

冗談は置いといて、気を遣ってくれたのは純粋に嬉しかった。

 

RV「おおう、そりゃ気遣わせたか、すまんな」

 

まゆ「リヴェルさんは苺嫌いですか?」

 

どうやらバレては無かったらしい。

 

RV「いや、大好物だぞ」

 

そう言うとまゆは安心した顔をした。

 

そんな会話をしている内に先程の店員さんが良く視界に入ってくる。・・・メイド服なぁ。着る人によってがっつり印象変わる服装だと思う。

と、目を取られていたら何か視線を感じた。まゆの方を向くと、ジーっと私を見つめていた。

 

まゆ「…リヴェルさんはメイド服が好みなんです?」

 

素直に答えましょう。

 

RV「YESかNOって言われたらYESだな。好みだ」

 

メイド服って有る意味男のロマンだと思うのは私だけだろうか。いや、だってこう、気になるじゃない。

 

まゆ「…そうですか。」

 

ちょっと不満そうな顔をしている。こりゃ参ったな。

 

RV「ん?どうしたまゆ?怖い顔して」

 

まゆ「いえ、何でもないですよぉ?」

 

あ、これ目が笑ってない笑顔だ。気を付ける事にしよう。

 

RV「…にしてもまあこの後のライブが楽しみだ。まゆはアイドルのライブとか見た事とか有るのか?」

 

まゆ「はい、1度だけですがお仕事の関係で少し見させて頂いたことが」

 

ふむ、読者モデルでもそう何度も見れるって訳でも無いのか。まあモデルだから当然なのかも知れないが。

 

RV「ほうほう、なら私と殆ど同じだな。読者モデルとは全然ジャンルは違うが、まゆはあのステージのアイドルを見てどう思った?」

 

まゆ「まゆは、あのステージに立つのは似合わないって感じました」

 

これは意外な返答が返って来た。似合わないとはどういうことだろうか。

 

RV「ほう?それは何故だい?」

 

少し深く突いてみる。

まゆ「まゆは、あんなに大勢の人達に思いを届ける事は出来ません。まゆに出来る事は、1人の人に対して尽くす事しか出来ません」

 

…そうか、まゆなりにやっぱり思うところは有るのだろう。

思いを届けるか…器用と言ったらおかしいが、ファンとかの人達に平等に想いを届けるってのは相当難しいことなのかもしれない。

 

まゆ「リヴェルさんはアイドルのライブを見た事が有るのですか?」

 

私がそう考えていると次はまゆから質問が来た。

 

RV「ああ、スタッフとしてだけどね。その時は照明担当だったから良く見えた」

 

まゆ「…どのように感じました?」

 

全く同じ質問だな、向こうが答えたのなら私もしっかり答えよう。嘘偽り無く答えるのが礼儀だ。

 

RV「素晴らしかった、あの笑顔が堪らなく眩しかったな。ファンに対しては当然最高のプレゼントだし、スタッフとして見てる私にも素晴らしいプレゼントだった」

 

まゆ「笑顔が…プレゼントですか?」

 

まゆは不思議そうに聞く。

 

RV「ああ、プレゼントだ。私はそれを見て単純だが元気を貰った。その時に思ったのは、アイドルってのは人を元気にさせるのが目的なんだなって」

 

笑顔は人を救う、なんて大層なことは言わないが…実際笑顔を貰う事で目には見えない何かを得れるのも確かだろう。

そう答えるとまゆは神妙な顔をしている。

 

まゆ「…もしも」

 

RV「ん?」

 

まゆは私の目を見て話す。

 

まゆ「もしも、それがステージを見に来てくれた、たった1人に対して笑顔をプレゼントをするのであっても、それはアイドルなのでしょうか」

 

まゆは心配そうな声で私にそう聞いてきた。当然答えはこうだ。

 

RV「立派なアイドルだと思うよ私は」

 

少なくとも私はそう言い切れる。誰も人数なんて指定していないからな。

 

まゆ「…」

 

まゆは私の言葉を聞いた後に少し下を向く。何か思うところでも有るのだろうか。それともまゆの過去に何か有ったのか…どちらにせよ私には分からない。

そんなこんな考えている内に横から店員さんが来るのが見えた。

 

??「お待たせしました!アイスコーヒーとALICEパフェです!」

 

店員さんがパフェを運んで来た・・・と思ったら目を疑った。二度見とはこういう事か。

 

RV「お、来たな…ってなんじゃこりゃ」

 

まゆ「う、うわぁ…」

 

パフェにはこれでもかと言う程イチゴが乗り、アイスも結構な量になっている。おまけに生クリームマシマシだ。

 

??「それでは、ごゆっくり!」

 

そう言うと店員さんは去っていった。チラッと眼が見えたが・・・

 

RV「…あの店員絶対私達が食えるかどうか気にしてるだろ、目が笑ってた」

 

まゆ「こ、これどうしましょう?」

 

まゆは少しやってしまったという顔で私に聞く。まあ頼んだ本人もこれ程とは思って無かっただろう…というかシェアサイズとしてもこの大きさは規格外だろう。

 

RV「取り敢えず食べるしか無いだろう…まゆ、無理はするなよ」

 

まゆ「は、はい。リヴェルさんも無理はしないでくださいね?」

 

その言葉を皮切りに、2人のパフェバトルが始まったのであった。

 

 

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RV「おお、口が苺まみれだ、舌に残る」

 

まゆ「本当に食べきったんですね…」

 

30分かけて食べ切ったものの、私の口は冷え切っていた。まゆは半分の量になった所でギブアップし、残りは私が引き継ぐ形になった。まあ女の子だし量は食べれないだろう。

 

RV「出された物は食べなきゃな、ご馳走様でした」

 

実際美味しかったから良いのだが。

 

まゆ「…」

 

RV「ど、どうした?まゆ」

 

まゆが怪訝な目でコッチを見てくる。…もしやまゆもう少し食べたかったのか?

 

まゆ「やっぱり無理してませんか?」

 

あ、そこですか。

 

RV「い、いや?してないが?」

 

まゆ「…(スッ)」

 

白々しく返答するとまゆは私の頬をに手を伸ばして触れて来た。

 

RV「おわァ!?急に顔触るとびっくりするからやめて!?」

 

まゆ「…汗だくじゃないですか」

 

どうやら無理してたのがバレたらしい。いやぁ、全然ですよ全然。

という訳でまだ白を切ってみる事にした。

 

RV「これはアレだ、汗っかきだからだ」

 

まゆ「…」

 

はい、これ以上言ってももう見苦しいので認める事にする。

 

RV「ごめん、私が悪かったから。全く、流石に多かったな!」

 

まゆ「無理はしないでくださいって言いましたよね?」

 

完全に怒ってますねこれ。素直に謝るとしよう。

 

RV「だって美味しいんだもん、それに残すのは好きじゃない。まあ結果食べれたから良いじゃないか 」

 

量が多い料理って味を疎かにするイメージが有るが、このパフェは普通に美味しかった。

 

まゆ「お腹壊さないでくださいね」

 

RV「はっはっは、体の頑丈さには人一倍自信が有るからな」

 

昔ユースに変な物ばっかり食わされて毎回痛い目見てたら腹も鍛えられる。具体的には賞味期限2年過ぎたカップラーメンとか。

 

まゆ「どうしましょうか、まだ此処に居ます?」

 

RV「そうだなぁ、まだ15時だしな…もう少し居るか」

 

ライブにはまだ早い時間とは思うが…どうしたものか。

 

まゆ「ライブって何時からですか?」

 

RV「18時だな、もうリハーサルとかしてる筈だが…あ、リハーサルとか見に行くか折角だし」

 

今の立場なら多分見れるだろう。多分だけど…エリさんにお願いしてみるか。

 

まゆ「良いですね、まゆもステージ裏とか見てみたかったんです」

 

どうやらまゆも乗り気らしいので今から行く事にする。

 

RV「そうと決まれば早速行動するか」

 

まゆ「はい!」

 

予定が決まると、すぐに席を立ち店員さんに会計を頼み店を出た。

 

 

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―会場―

RV「ほうほう、結構大きなステージだな」

 

まゆ「スタッフさん達も慌ただしく動いてますね」

 

会場に行くと、スタッフ達があちらこちらで動いているのが見えた。

 

RV「あ、アレってエリさんじゃないか?」

 

まゆ「何方ですか?」

 

RV「アレだ、あの長髪の人」

 

見間違う筈も無い、あの人の立っている姿は幾度も無く見てきた。

 

まゆ「なんだか凄い怒ってる様に見えますね…」

 

RV「ああ、いつものことだと思う…」

 

怒ってると言うよりかは指示する時凄い声が大きい人だからそう見えるのかもなぁ。

 

まゆ「あ、コッチに気が付きましたね」

 

なんであの距離で私達に気が付くのかというツッコミは無しにしておこう。

 

エリ「リヴェル君、来てたのね」

 

RV「ちと早めに来てしまいましたが迷惑でしたかね?」

 

一応私達は関係者とは言え見学が目的だから準備の邪魔をする訳にはいかない。早めに着き過ぎて迷惑にはなってなかっただろうか。

 

エリ「全然問題無いわ、その隣の子がリヴェル君の言ってた子?」

 

まゆ「初めまして、佐久間まゆです」

 

まゆはエリさんに対して綺麗にお辞儀をする。

 

エリ「まゆちゃんね、よろしく。リヴェル君に変な事されなかった?」

 

何を言いやがりますかこの人は。

 

RV「してませんよ!?」

 

まゆ「…あんな事やこんな事をされてしまいました…」

 

打ち合わせでもしたのかこの2人は。波長が似てる?いや、そんな事は無いと信じたいが既成事実を作られるとたまったもんじゃない。

成程、私のプロデューサー人生が始まる前にゲームオーバーという訳か。断る。

 

RV「まーーーゆーーー!?」

 

エリ「これは説教ねリヴェル君、こんなあどけない子に手を出すなんて」

 

心の中で中指を立てながら反論する。まあこの人も嘘って分かってるとは思うが悪乗りは勘弁して頂きたい。

 

RV「誤解ですから!」

 

此処最近で一番叫んだ気もしなくもない。こんな所で体力使ってどうする私。

 

エリ「まあ、冗談として。此処のスタッフ達動き悪いわね…中々思い通りにセッティング出来ないわね」

 

RV「そりゃあエリさんに鍛えられた大阪の精鋭共に比べればそう思いますって」

 

自惚れる訳では無いのだが、エリさんが指導した大阪支部のスタッフ達と比べたら多少なりともやり難い所は有るだろう。あの人の指示と私達の動きが合わさればベテランにも負けない位の動きはしていたと思う。

故にエリさんにとっては手足の如く動かせるスタッフが居ないので多少なりの苛々感は有るのだろう。

 

エリ「おまけにスタッフリーダーは急病で倒れるし…」

 

RV「あ、だから指示してたんですね」

 

エリ「そうそう、これだったら大阪のスタッフ連れて来た方が良かったわね…」

 

それはそれで嫌な予感がするのですが気のせいでしょうか。

 

RV「あいつら絶対旅行だって言って付いて来そうですけどね」

 

ユースとか絶対喜んできて観光楽しみそうな気がする。

 

エリ「良いじゃない、それでもやる時はやる子達なんだから」

 

エリさんは笑いながら言う。まあやらなかったら怒られるの私達だからなぁ…。

 

RV「さて、あんまり邪魔するのも悪いんでちょっとリハーサルとか見ときますわ、時間取って申し訳ないです」

 

エリ「ええ、また本番が近くなったら連絡するわ」

 

そう言うと、エリさんはまたスタッフに指示を出し始めた。本当に仕事が早いなぁ…。

 

 

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まゆ「あの人が…上司の人ですか?」

 

まゆは先程の会話の時にはきょとんとしていた。

 

RV「ああ、私の尊敬する人でもあるし恩人でもある」

 

まゆ「…恩人ですか?」

 

そう、命の恩人って言ったら大袈裟だけど、当時はそれ位感謝していた。

 

RV「簡単に言うと、私は働く場所も無いし、帰る場所も無い時にあの人が私を拾ってくれたんだ」

 

まゆ「…」

 

ちょっと重い話だったかな?いや、今となっては懐かしい話なんだけれども。

 

RV「そりゃ嬉しかったな、あの人に働く場所を貰って、住む場所も与えてくれた。返そうとしても返しきれない恩が有る。例えやり取りはあんな感じでも、心から尊敬してる」

 

まゆ「…そうだったんですね」

 

まゆは胸元を手で押さえながら答えてくれた。…話題変えるか。

 

RV「…あんまり湿ったい話はするもんじゃないな。さて、色々見に行こうか!」

 

まゆ「…はい」

 

 

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RV「もう本番も近いが、スタッフがちょっと動き悪いなやっぱり…アイドルの方は全然問題無さそうだが」

 

若干予定より準備が遅れているみたいだ。ライブ自体に支障は無さそうだが、時間ギリギリまで掛かる流れだなこれ。

 

まゆ「あ、リヴェルさん、エリさんが呼んでますよ」

 

RV「おっと、何用かな…」

 

エリさんが無効から私に向かって手招きしているのが見える。何か見せる物でも有るのだろうか。

 

エリ「リヴェル君、本当に申し訳ないんだけどお願いが有るわ」

 

RV「はいさ、何なりと」

 

エリ「照明担当の子がかなり不安だわ、もしもの時の為に、ステージ裏で待機をお願いしたいんだけど」

 

私自身もそこまでベテランって訳ではないがそれ程不安なのだろうか。取り敢えずは承諾しておこうと思ったら、まゆの事を考えるとどうしたものか。

 

RV「了解…あー、まゆどうしようか」

 

まゆ「まゆは、リヴェルさんと一緒に居ます」

 

折角ライブ見に来たのにステージ裏からじゃなんか物足りないよなぁ。

 

エリ「ごめんねまゆちゃん、本当だったら正面から見せてあげたいんだけども」

 

どうやらエリさんも同じ事を考えてたらしい。

 

まゆ「いえ、良いんです。まゆは、リヴェルさんと見たいです」

 

エリ「…ふふっ」

 

まゆの言葉にエリさんがとても満足そうな顔で笑っている。…どうして嬉しそうなのか。

 

まゆ「…?」

 

エリ「いや、なんでもないわ、じゃあステージ裏でお願いね」

 

まゆ「はい!」

 

RV「了解!」

 

元気に返事するとエリさんはまた向こうへと行った。

 

まゆ「じゃあリヴェルさん」

 

RV「おう、行くか」

 

特に準備する事も無いのでそのままステージ裏に向かうことに。

 

 

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まゆ「始まりましたね」

 

開場まであっという間だった。既にステージではアイドル達が立っており、オープニングを披露している。

 

RV「ああ、こう見ると横から見るステージも面白いな」

 

まゆ「そうですね、アイドルに一番近い場所ですし」

 

文字通り舞台裏というのも有ってこう、DVDの特典映像みたいな感じだ。

 

RV「…何もトラブルが起こらないと良いが」

 

トラブルが起こらないに越した事は無い。何も無いのが一番平和だからな。

 

まゆ「…ですね」

 

RV「…」

 

まゆ「…どうしました?」

 

無言でステージのアイドル達を見ているとまゆが話しかけてきた。

 

RV「いや、改めて見てもアイドルの笑顔が素晴らしいなって」

 

あの時得た感情を、今もまた体感してる。何度見ても色褪せない。

 

まゆ「…まゆは」

 

RV「ん?」

 

まゆは下を向きながら呟く。

 

まゆ「まゆは、あの笑顔が羨ましいです」

 

RV「それは何故だい?」

 

羨ましい、か。

 

まゆ「…凄く、眩しいんです。まゆにはとても真似出来ません。読者モデルの撮影の時に、笑えと言われて作った笑顔というのはあの笑顔とは大違いです」

 

RV「なんだろうな、気持ちは分かる気がする。写真撮る時に笑えって言われても、難しいよなアレ」

 

例えが悪過ぎるが大方そんな感じなのだろう。大体私も写真撮られるの苦手だしなぁ。

 

まゆ「でも、あのアイドル達は…心から笑っているように見えます」

 

まゆはしっかりとアイドル達を見つめていた。

 

RV「そうだなぁ…でもまゆ」

 

まゆ「…はい」

 

少し明るい話をしよう。

 

RV「論点から外れてるかもしれんが、笑顔なんて人それぞれだ。何も羨ましがる事は無い」

 

まゆ「でも」

 

そのまま続ける。

 

RV「人を元気にする笑顔、人を幸せにする笑顔、人を興奮させる笑顔、様々なんだ。それらの笑顔は絶対に作ろうとして作れる物じゃない。その顔はな、自然と出てくる笑顔じゃなきゃ出来ないんだ」

 

まゆ「自然な笑顔…」

 

まゆは呟く。さっきまゆは笑顔が苦手だと言った。けれども皆が求めてる笑顔ってその笑顔じゃないと思う。

 

RV「さっきまゆがパフェ食べてただろう?私はあの時のまゆが、笑顔で美味しそうに食べてるのを見ていると私も嬉しくなる。自然に出てくる笑顔ってのはそれ位素晴らしい顔なんだ」

 

まゆ「…」

 

お世辞ではない本心をまゆに伝える。

 

RV「何も誰かに合わせる必要も無い。自分だけの、誰にも真似出来ない自分だけの自然な笑顔。それが最高の笑顔だと思うのよ私は」

 

まゆ「自分だけの笑顔…」

 

この世に同じ物なんて存在しないなら笑顔だって1人1人違う筈。オンリーワンって訳だ。

 

RV「ほら、あのアイドル達が心からの笑顔に見えるんだろう?ならまゆのさっきの笑顔も心からの笑顔なんだ、まあ撮影の時には絶対に出来ない笑顔なんだよなやっぱり」

 

まゆ「…」

 

顔ってのは自分では見えないから。自分から気付かなくても、相手が気付く。きっとあのアイドル達も今自分がどんな顔してるかは分かってはいないと思う。

 

RV「難しいし、難儀よな。撮影の時には笑ったりしないといけないのにそれが1番難しいってのも結構酷だよなぁ…私にはまゆが凄いと思えるよ。私がその立場なら絶対に出来る気がしない」

 

まゆ「まゆは…」

 

まゆが言おうとしたその時。

ブツンッ!!!

 

まゆ「きゃっ!?」

 

RV「なんだ!?停電か!?」

 

急に明かりが消えた。ステージを見ているとあっちは問題無さそう…だがこいつは不味い。

 

まゆ「リヴェルさん!」

 

RV「大丈夫、多分これ照明の操作ミスったな…!まゆ、私の手掴んどけ!明かりはスマホのカメラとかで確保するぞ!」

 

まゆの手を掴み、慣れしたんだ操作でスマホのカメラで灯りを付ける。臨時の時に役立つ懐中電灯代わりにはもってこいだ。

 

まゆ「は、はい!」

 

 

---------------------------------

エリ「リヴェル君!」

 

すぐにエリさんが掛け付けた。

 

RV「エリさん、状況説明を!」

 

エリ「多分照明操作の子が操作間違えたと思うわ、ダッシュで見て来て!この曲が終わるまでに復旧してきなさい!」

 

また無茶苦茶な注文を受けたが急がないといけない事には代わりは無い。

 

RV「了解!まゆ、エリさんの傍に居とけ!」

 

まゆ「あっ…」

 

RV「すぐ戻る!」

 

エリ「…まゆちゃん、心配?」

 

まゆ「いえ、そうではなくて…暗い中何か有ったら怖くて…」

 

エリ「大丈夫よ、私が信頼出来る子よ。伊達に私の右腕じゃないわ。現場の経験は人一倍積ませたからね」

 

まゆ「…でも」

 

エリ「分かるわ、それでも何が有るか分からない。けれども今はあの子に任せるしかないわ、後はどれだけこのトラブル解決の時間をアイドル達が稼げるか…」

 

まゆ「リヴェルさん…」

 

エリ「…」

 

 

---------------------------------

RV「照明担当は何方かなァ!?」

 

ドアを開け次第取り敢えずその言葉を言おうと決めていた。走ってくる途中言葉いっぱい考えてきたからな。今は一分一秒が惜しいから時間のロスは避けたい。

 

照明スタッフ「は、はい!」

 

RV「ちょっと見せてもらえるか!」

 

まずは何が起こってるかの把握、それからの対処だ。トラブルの対処は焦れば負けだ。

 

スタッフ「あ、あの、部外者の方ですか?」

 

いきなり現れたらまあ確かにそう言われても仕方がない。下手したらただの厄介なファンの可能性も有る。それはそれで厄介だからな。

 

RV「エリさんの部下のスタッフだ!緊急で呼ばれてね、とにかくちょっと退けて貰えると嬉しい」

 

スタッフ「は、はい」

 

機械をいざ見てみると予想通りの事が起こっていた。

 

RV「うわ、完璧にこれ裏の照明とのリンク切れてるじゃねえか…一体何処触ったんだ…」

 

スタッフ「曲が変わる時に此処のリンクをOFFにしたんですけど…」

 

やっちまったなオイ。

 

RV「それメインの奴だ!やらかした事に対して怒っても仕方ないから次から気を付けようなっ…!良し、コレでどうだ!」

 

今までの経験からこのスイッチを弄れば直ると記憶していたので即座に操作する。そうすると案の定手応えが有った。

 

スタッフ「も、もう大丈夫なんですか?」

 

RV「ああ、此処の電源ONにしてくれ!」

 

準備が出来たのでスタッフに指示をする。

 

スタッフ「はい!」

 

スタッフが返事をして、スイッチを入れた瞬間、ステージ裏の照明が元に戻った。取り敢えずは安心か。

 

 

---------------------------------

パッ

 

エリ「あら…照明戻ったわね。流石ね」

 

アイドル達の曲が終わる直前に照明が戻った。流石はリヴェル君、やってくれるじゃない。任せておいて大正解だわ。

 

まゆ「良かった…」

 

エリ「ね、言ったでしょう?あの子なら大丈夫って。普段は抜けてる所有るけど、大事な時には必ずやるのよ彼」

 

抜けてるというか、詰めが甘いというか。何が怖いっていずれあの子が大事な時にミスを犯さないか心配なのよね。

 

まゆ「普段抜けてる…?」

 

まゆちゃんが意外な顔をしている。まあ普段の彼を知らないからそうなるわよね。

こうなったら色々教えてやろうかしら。

 

エリ「そーなのよ、あの子普段凄い抜けてるのよ。色々と事案やらかしたりしてるのよ、例えば…」

 

RV「人が仕事してきて帰ってきたと思ったら何を話してやがりますかこの人は」

 

チッ帰ってきたわね。思った以上に早かったわね…まゆちゃんにあんな事やこんな事を話してやろうかと思ったけれどもコレじゃ話せないじゃない。全く気が利かないわね…冗談だけど。

 

エリ「あら、おかえりなさいリヴェル君。助かったわ」

 

まゆ「リヴェルさん!」

 

まゆちゃんがトテトテとリヴェル君の元に駆けつける。まゆちゃんリヴェル君にべったりじゃない。…待ってもしかしてコレは有りかも知れないわね…ええ、これは良いわ。

 

RV「おう、まゆ。心配かけたな」

 

リヴェル君は軽く返事をする。リヴェル君自身は気が付いてないのかしら。

 

エリ「原因は分かった?」

 

RV「スタッフの操作ミスっすわ、まあ私もやらかした事有るので全く責めれませんでしたが!」

 

あらあら、あの時の失敗が役に立った訳ね。私の教えが発揮されたじゃない。

 

エリ「良いじゃない、コレで彼も学ぶわね。ありがとう、本当に助かったわ」

 

RV「まあ無事で良かった。またライブゆっくり見るとするかな、まだ裏で待機しといた方が良いですかね?」

 

エリ「いや、横の方で待機しておいて、そこからならライブの様子も良く見えるでしょう」

 

もう心配は無いと思うけれども一応怖いっちゃ怖いので、そう離れない位置で見させる事にする。

 

RV「助かります、じゃあそこで見ておきますわ。まゆ行くか」

 

まゆ「はい」

 

成程…面白いわねあの2人。期待しか湧いて来ないわね…リヴェル君の一歩としては最高の状況になるかも知れないわ。

 

 

---------------------------------

 

 

 

RV「ひょー、城ヶ崎の嬢ちゃん凄いなぁ…完全にライブを自分のテリトリーみたいな感じにしてやがる」

 

今はステージに城ヶ崎美嘉の嬢ちゃんが歌っているが、その姿は完全にカリスマ全開。観客全員を虜にしている。

 

まゆ「まるでファンを操ってるような…」

 

操るか…扇動と言った方が

 

飛鳥「まさに扇動者だね彼女は」

 

と、考えていたら飛鳥が横に居た。突然現れるのはびっくりするので勘弁して欲しい、心臓が後3つは欲しいくらいにはビビリだから勘弁して欲しい。

 

RV「うおう!?飛鳥何故此処に!?」

 

飛鳥「そりゃボクも出演するからさ、何かおかしいかい?」

 

そりゃそうか、ライブの衣装着てるからそりゃ出るか。しかしこうなんというか…

 

RV「いや、それなら良いのだが…格好良い衣装着てるなぁ」

 

なんと言ったら良いのか。飛鳥の姿はまるで王子のような…語彙力を失わせるこの感じ、昨日までの飛鳥とは別人のように感じる。

 

まゆ「リヴェルさん知り合いですか?」

 

飛鳥「知り合って1日経ったか経ってないか、だけどね。そんなキミはどうして此処に?」

 

昨日知り合ったばかりだけどね。

 

RV「ライブの見学だな、隣のこの子は佐久間まゆという読者モデルの子だ。色々346について教えて貰っててね、一緒に見学してる訳だ」

 

まゆ「初めまして、二宮さん」

 

まゆは飛鳥に挨拶をする。…ん?まゆって飛鳥の名字知ってるのか…?初めましてって言う位だから面識はないとは思うのだがどうなのだろうか。

 

飛鳥「ボクの名前を…知ってるのかい?」

 

御尤もな意見だ。飛鳥はまゆの事は知らないみたいだな…。

 

まゆ「はい…だって今日の出演者の皆さんの名前と顔は覚えましたから…」

 

RV「ウッソ、いつの間に!?」

 

まゆ「ライブの見学に行くって言ってから出演者の皆さんの事を調べてました」

 

恐るべし、佐久間まゆ。そういえば今日の移動中に色々と見てたのってそれかよ。え?てか本当にその一瞬で?

 

飛鳥「…驚きだな、おっとそろそろ出番だから外すよ」

 

そう言うと飛鳥は衣装を翻しながらステージの方へ向かう。戦場に向かう王子ですか貴方は。

とまあそれ位には綺麗だった。男だけど女に格好良いって思ってしまったよチクショウ。

 

RV「おう、しっかり見ててやるからな」

 

飛鳥「フフッ、それはプレッシャーをかけているのかい?」

 

掛けているつもりは無いが敢えて此処は言っておこう。

 

RV「人は逆境に強いからな、アイドルが扇動者というのなら、最高のヤツを是非見せてくれ」

 

飛鳥「良いだろう、ボクもアイドルとして最高のパフォーマンスを見せよう。じゃあ行ってくるよ」

 

自信溢れた14歳は、そう言いながらステージ上の光に飲まれて消えていった。

 

 

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RV「飛鳥の奴、すげえなぁ…」

 

演者としてステージ上で披露している飛鳥に目を奪われる。THEクールだな。

 

まゆ「…」

 

RV「ん?まゆ、どうした?」

 

まゆの方を見ると、まゆも飛鳥の方をじっと見ていた。どうしたのだろうか?

 

まゆ「いえ、アイドルというのは色々な人達が居るんだなって…」

 

うーん、ありゃ個性的っていうか厨二というか。割と重症レベルで拗らせてるとは思うが…世の中には厨二を拗らせ過ぎて、もう手遅れな人も居るからな。

 

RV「そりゃ個性的な子が多いだろうなぁ」

 

うん、まゆも十分個性的だと思うが。

 

まゆ「…」

 

まゆは飛鳥の方を見つめる。何か思う事が有るのかな?

そんな事を考えているとそろそろプログラムの終わりが近付いて来た。

 

RV「さて、そろそろ終わりか。飛鳥のが終わったからもうEDか」

 

まゆ「この後は?」

 

そうだな…取り敢えず現状手が空いてるからエリさんの所に向かって聞いてみよう。

 

RV「取り敢えずエリさんの所行くか、手伝える事有れば手伝うし」

 

まゆ「はい」

 

そう言って私もまゆはえりさんの所へ向かうのであった。

 

 

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エリさんの所に行くともう撤収準備を進めていた。だがどうやらもう手は足りているらしい。

 

エリ「ああ、片付けまで手伝って貰ったら流石に悪いわ、今日はもう大丈夫よ。リヴェル君、本当にありがとうね」

 

エリさんは私に礼を言う。とは言ってもそこまで大したことはしていたいのだけれども、エリさんからの礼は結構珍しいので地味に嬉しかったりする。

 

RV「了解です、じゃあこのまま帰っても?」

 

特にやることが無ければ後は帰ったほうが良いかな、もう夜だし。

 

エリ「ええ。お疲れ様、まゆちゃんも今日はリヴェル君の案内ありがとう」

 

まゆ「いえ、こちらこそ関係者でも無いのにライブを見せて頂きありがとうございました」

 

まゆは綺麗なお辞儀をしてエリさんに礼を言う。

 

RV「じゃあ帰るか、まゆは…女子寮だっけ、そこまで送るよ」

 

まゆ「あっ、私エリさんと少し話したい事が有るのですが良いでしょうか」

 

まゆを連れて帰ろうとすると、まゆから意外な言葉が出てきた。何かエリさんに用が有るのだろうか。

 

エリ「私に?」

 

RV「じゃあ私は外しておくか。出口の方で待っとくから終わった来てくれ」

 

多分私は席を外したほうが良いだろう。そう思いながら会場の出口の方へ向かった。

 

まゆ「はい!」

 

 

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RV「まゆがエリさんに話か…女同士の話だから私には想像付かんな…一体何話してるのやら」

 

女同士の話か…アレかな、男が聞いたら駄目な話題かな?あんな事やらこんな事やらとかいう感じの。

そんなくだらない事を考えていたら、会場の方からまゆが見えた。どうやら思ってた以上に速く終わったらしい。

 

まゆ「お待たせしました」

 

RV「おう、話はもう良いのかい?」

 

そこまで重要な話じゃなかったのかな。

 

まゆ「はい、大丈夫です」

 

RV「良し、じゃあ帰るか」

 

そう言うと私はまゆを連れて女子寮の方へ送る事にした。

 

 

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会場から女子寮までは少し離れていたので、まゆを社用車に乗せて送っているが、車内は沈黙に包まれている。お互い疲れているのも有るが、無言なのは頂けない。そう思ったので私から話を切り出すことにした。

 

RV「しかし今日は見学なのに疲れたなぁ」

 

まゆ「リヴェルさんはスタッフの仕事をしてましたから」

 

緊急対応の時だけ動くスタッフか…あまりに限定的過ぎる仕事過ぎて二度と体験することは無いだろうと思った。アレだな、非常勤みたいな感じかな。

 

RV「あんな感じの急な対応は確かに疲れるわなぁ…まあすんなり直って良かったよ」

 

基本私はハプニングが起きるとパニックになりがちだが、今回は冷静に対処出来た。当事者じゃないからかな。

今回のことを考察していると、まゆがこっちを見た。

 

まゆ「…リヴェルさんは」

 

RV「ん?」

 

運転中なのでまゆの方は向けないが、声はしっかりと聞き取る。

 

まゆ「この先もスタッフとして居たかったですか?」

 

RV「未練が無いと言ったら嘘になるな、そりゃ折角培った技術だしそれを無駄とは言わないが、他の職に付いて活かせなくなるのは辛いなって思うな。だけど成り行きだ、あーだこーだ言っても仕方ないから前見るしか無いな」

 

まゆ「…」

 

飯を食っていけなくなるよりかは、他の職に付いた方がマシだ。それに…

 

RV「でもな、まゆ」

 

まゆ「え?」

 

RV「今分かってるのは、このままいくと私はアイドルのプロデューサーになるんだろうな。だが悪い気分じゃない、寧ろ少し楽しみにしている位だ」

 

志希と話してから色々と考えが変わった気がする。前のネガティブな思考とは一転して、いつもの前向きな考えに戻ってきた。

 

まゆ「…」

 

RV「…担当するアイドルだってもしかしたら完全な新人アイドルかもしれない。私も少しは気が楽なんだがな」

 

少し願うような、出来ればそうであってほしいと思いながら今の気持ちを漏らす。

 

まゆ「どうしてですか…?」

 

RV「そりゃスタート地点が一緒ならお互い歩きやすいだろう?立場は違えどそこは同じな筈だ。これがベテランアイドルだったら私が醜態晒すだけだからな…いや、そうしたくはないけど」

 

お互い初めてならそりゃ失敗もするかもしれない。けれども失敗無しの成長は無いと今までの人生で感じてきた。伸びは大きい方が良いに決まっている。

 

まゆ「…」

 

RV「…長く話してしまったな、アレが女子寮か?」

 

今の自分の気持ち吐露していたらどうやら目的地に付いてしまったらしい。

 

まゆ「あ、はい」

 

RV「良し、なら今日はお疲れ様。色々ありがとうな」

 

…長く、濃い一日だった。まゆが居たからだろうか、とても充実した日だった気がする。

 

まゆ「リヴェルさんも、お疲れ様でした」

 

まゆはシートベルトを外して車から出ようとする。と、ふと思い出したことが有った。

 

RV「あ、それとこれ渡しておく」

 

まゆ「これは?」

 

RV「私の連絡先だ、何かあったら連絡すると良い。空いてたら飯位は付き合うぞ」

 

大体初めて会った人にはこうやって連絡先を渡す。…でもまゆとはそうしなくても何かまた会う気がするな、ふとした所でバッタリ会いそうだ。

 

まゆ「っ!ありがとうございます!」

 

まゆは連絡先の紙をとても嬉しそうに受け取った。

 

RV「じゃあおやすみ、帰ったらすぐ寝ような?」

 

まゆ「もう、子供じゃないんですから」

 

睡眠はしっかり取ったほうが良いからな、まだまだ成長期だからちゃんと寝た方が良い。私はその歳の頃はあんまり寝なかったが…。

 

RV「ご尤もだ、じゃあね」

 

まゆ「はい、おやすみなさい」

 

そう言って私は車を走らせた。バックミラーを見るとまゆが手を振っているのが見える。…本当に良い子だな。

 

 

 

 

 

まゆ「…金曜日に、また」

 

 

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RV「あー疲れた、歩き過ぎて腰が痛い」

 

今日は風呂入ってさっさと寝るか…明日から金曜日までは慶さんにお願いして自由行動取らせて貰おう、まだまだ情報を集める必要が有る。

…金曜日の言葉、どうしたもんかなぁ。そう考えながら昨日と同じく早めに寝るのであった。

 

 

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数日後

エリ「来たわねリヴェル君」

 

私が朝にオッサン…じゃなかった、黒崎部長の部屋に行こうとすると部屋の前にはエリさんが立っていた。…そうか私を待っていたのか。

 

RV「遂に来ましたわ、此処に」

 

と、ちょっと格好付けて言ってみる。

 

エリ「この数日間で得た物は?」

 

RV「情報と最後の決断、ですかね。もう迷わず100%返答出来そうです」

 

この数日間で人とはあまり会わなかったものの、346本社の雰囲気は大分掴めてきた。なら後は実践有るのみ、ってね。

 

エリ「正直な所、黒崎部長の事嫌いでしょう貴方」

 

心の中では常に中指を立てております。

 

RV「良くお分かりで。大きな声では言いませんが大嫌いです、エリさんには悪いですけども」

 

エリ「別に良いのよ、私は彼の下に居るだけ。それだけよ」

 

…もしかしてエリさんもあのオッサンの事嫌いなのか。

 

RV「黒崎部長はもう中に?」

 

エリ「ええ、居るわ」

 

RV「さて、行きますか」

 

そう言いながらドアに手を掛ける。…ちょっと緊張してきたな。

 

エリ「楽しみにしてるわよ貴方の言葉」

 

RV「そんなプレッシャーかけないで下さいって…」

 

 

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エリ「黒崎部長、失礼します」

 

黒崎「来たかね、まあ2人共座りたまえ」

 

RV「はい」

 

ああ、やっぱりこのオッサンは雰囲気からして苦手だ。いけ好かないと言ったら失礼だろうが、そんな感じがする。

 

黒崎「さて…あんまり遠回しな言い方は私も好きじゃない。単刀直入に聞こう、答えはどうかね?」

 

RV「では改めて返事させて頂きます」

 

私の決断は決まっているが…そう簡単に答えてやるものか。タダでYESと答える訳にはいかない。伊達にあの人の下で働いてないからな。

という訳で皮肉たっぷりの感情を込めながら

 

RV「答えはNO、お断りさせて頂きます」

 

エリ「…」

 

エリさんは少し苦笑いしている。私の考えている事はバレているようだ。

 

黒崎「その顔はただのNOという訳じゃ無さそうだね」

 

RV「ええ、半分冗談です。というのも、もし私が提示する条件を付けて頂ければ快くOKを出します」

 

そうだ、有利に立てる状況なら引っ張り出せるものは引っ張り出さないと。貰えるものは貰っておけ精神だ。

 

黒崎「言ってみなさい、出来る限りの事ならその条件を飲もう」

 

OK、乗ってきたな。

 

RV「では3つ程」

 

黒崎「ふむ」

 

黒崎部長は手を顎に当てて私の言葉を待つ。

 

RV「1つ目、プロデューサーになる際に1人サポートとなる人を付けて頂きたいです」

 

黒崎「構わんとも、君の好きな人物を秘書なりなんなりすると良い」

 

…実はサポート役にしたい人決まってるんだよな。向こうがOKと言ってくれるかは分からないが、個人的には居てくれると助かる。

 

RV「2つ目、誰か指導者が居ると良いのですが」

 

黒崎「当然、付けるとも。素晴らしい実績を持つ人材が居る」

 

素晴らしい人物ね、一体誰なのだろうか。

 

エリ「…それだけかしらリヴェル君?」

 

黒崎「給料の話とかしてきそうな気がしたのだがな」

 

お、中々話の分かるオッサンじゃねえか。まあそれは後で聞くとしよう。

 

RV「いや、ある意味当たり前の事をお願いしたまでです。…ではその話は引き受けますが、私に何か求めることは?」

 

黒崎「そうだね、此処は実力主義であり、結果を重んじるプロダクションだ。もしも結果を出せなかったら解任という事態に陥るかもしれない。だが、ある程度は安心したまえ。なるべくは私が君の事を守ろう」

 

私が利益を出す限りは、という事かな。つまり不利益な存在であれば即刻見放されると思っておこう。私だって自ら地雷を踏む事はしたくはないから今は大人しくしておこう。

 

RV「お心遣い感謝致します。それと先日と先程の無礼、失礼致しました」

 

黒崎「気にしなくて良い、それ位の胆力が無くてはプロデューサーは務まらない。リヴェル君、楽しみにしているよ」

 

上辺だけの言葉を並べておく。

 

エリ「ふふ、リヴェル君。今日から貴方は346のアイドルプロデューサーよ」

 

エリさんは笑って私の事を見る。なんというか…また線路の上を歩かされている感じはするが。

 

RV「…まだ実感は湧きませんが、全力を尽くします。そういえば私が担当するアイドルというのはもう決まってるのですか?」

 

黒崎「ああ、その件なのだが。本当は近々有るオーディションから君が気に入った子を選んでプロデュースして貰いたいと思ったのだが…エリ君」

 

黒崎部長はそう言ってエリさんの方に目を向ける。

 

エリ「私から説明するわ。貴方には実はもう担当するアイドルが一人決まってるのよ」

 

RV「ほう?」

 

もう決まっているのか。そこも選択権は無しなのかもしかして。

 

エリ「まあ色々思うところは有るでしょう。けれど大丈夫、貴方の知ってる子よ…入りなさい」

 

RV「私が知ってる子…?」

 

というか今来てるのか。一体誰なんだ…と思っていると部屋のドアが開かれた。

開いたドアの方を見ると…ああ、成程。確かに其処には見たことの有る人物が居るな。

 

まゆ「…佐久間まゆです。よろしくお願いしますね、プロデューサーさん」

 

二度見したが確かに其処にはまゆが居た。何故?という感情が今頭の中で回りまわっている。まゆの方を見たまま固まってしまった私はどうにか言葉を振り絞った。

 

RV「…マジか」

 

この言葉しか出てこなかった。

 

まゆ「ずっと…これから…よろしくお願いします」

 

運命という言葉をあまり信じてはいなかったが、この出来事をきっかけに少し信じるようになったリヴェルであった。

 




という訳この話で第一章が終わりです。次回からは第二章「スカウト編」に突入します。お楽しみに!
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