辛い時、苦しいとき、悲しいときに。
どこからともなく現れて、助けてくれる無敵のヒーロー。
そんな人がいてくれたらと、あの日の私達は望んでいた。
闇に焦がされながら、狂おしいほど願っていたんだ。
そして無論儚い願いは届かない。
悲劇とは往々にして無情であるから悲劇なのだ。救いの祈りは用をなさず、
騎士王が振るう聖剣の闇はあらゆる希望を飲み込んでいく。
時は西暦2015年、
人理継続保障機関「カルデア」により、人類は2017年で滅び行く事が証明されてしまった。
何の前触れもなく、何が原因かも分からず。
カルデアの研究者が困惑する中、近未来観測レンズ「シバ」によって西暦2004年日本のとある地方都市に今まではなかった、「観測できない領域」が観測された。
これを人類絶滅の原因と仮定したカルデアは人類絶滅を防ぐため、実験の最中だった過去への時間旅行の決行に踏み切る。
それは術者を過去に送り込み、過去の事象に介入することで時空の特異点を探し出し、解明・破壊する禁断の儀式。
しかし、最初の人理修復の戦況は狂えるほどに絶望的だ。
過去への時間旅行「レイシフト」その実験時に発生した爆発事故、
47人のマスター候補が瀕死の重傷を負い、被害を免れ特異点・冬木へレイシフトを果たしたマスターはただ一人。
冬木へと降り立った最後のマスターは増員不可能という状況の中で共にデミサーヴァントとなり共にレイシフトした後輩と、現地にて召喚されていたキャスターの助力によりこの難題を乗り越えた。
しかし訪れた次の難題、次の次の次の次の。
大聖杯を守護する騎士王、アーサー・ペンドラゴン。
大聖杯より供給される潤沢な魔力によってなされるは対城宝具による純粋な力押し。
守りの要となっていた後輩は膝をつき、特攻同然のキャスターの攻撃も騎士王には届かず返す刀で倒れ伏した。
まさに地獄だ。終わっているし、救いがない。
騎士王は依然変わらず無傷。
闇を纏う聖剣を振るう騎士王。この惨劇を生み出した悪魔が居る以上、次の一振りが彼等の、そして全人類の終焉となるのは語るに及ばず、自明の理で。
「はぁ、はぁ、はぁ、はぁ―――」
痛みによって今にも崩れ落ちそうな体に鞭を打ち、
足の震えを無理やり抑えつけ、最後のマスターは後輩を守るために立ち上がる。
才能なんて欠片も無く、切札なんてものも当然持ち合わせていない彼に騎士王の一撃を防ぐ事は出来はしない。
それでも溢れんばかりの恐怖をこらえ、励ますように彼女は後輩の手を握った。
伝わるか細い温もりを確かな心の支えとしながら、精一杯の勇気と共に騎士王に立ち向かう。
そう、だって約束したから。
「―――お前達には期待していたのだがな」
その光景を憐れむように見つめながら騎士王は聖剣を構える。
ああ、なんて自分は弱いのだろうか。
大丈夫だと、任せてと、不安を払う言葉さえ口に出来ないなんて。
只々無駄な意地を張ることしかできない今が、泣きたいほどに情けなくて叫びたいほど悔しかった。
力が欲しい、強くなりたい。
この願いが聞き届けられないといのなら。弱いまま無力に嘆けと言うのならどうかここに救い手を寄越して欲しい。
―――辛い時、苦しいとき、悲しいときにどこからともなく現れて、助けてくれる無敵のヒーロー。
地獄を砕く救世主。涙を希望へ変えてくれる光に満ちた英雄を、どうかこの地へ呼んでください。
その到来を讃えます。打ち震えながら歓迎します。舞台は既に整っている。
犇めく慟哭、溢れる闇、それらを勇気で祓うのはまさに今しかないじゃないか。
だからどうか―――
「誰か、助けて」
そして無論儚い願いは届かない。
悲劇とは往々にして無情であるから悲劇なのだ。救いの祈りは用をなさず、
騎士王が振るう聖剣の闇はあらゆる希望を飲み込んでいく。
「安心しろ、おまえの慟哭は、ここで終わる」
与えられるのは絶望のみ。
淀み無く解放される闇の波動。
響き渡る破壊の波が彼等を引き裂く、その刹那―――
「―――そこまでだ」
響く鋼の宣誓がすべて絶望を灼滅させた。
痛み、嘆き、絶望。それらあまねく負の因子を鎧袖一触する煌めきが、覚悟とともに騎士王を射抜き、守護を誓うと宣誓していた。
そう、ゆえに悲劇はこれにて閉幕。
これよりは、光に満ちた英雄譚。
作者が宗教上の理由(ガラケー教)でソシャゲができずFGO知識がガバガバなため続きません。
誰か書いて。
ついでに天躯翔なデミサーヴァントの居るFGOも読みたいな(人任せ)