異世界に行こう(凍結)   作:紺色メガネ

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閑話 とあるダンジョンマスターの憂鬱

 

僕の名前は、原田臣斗(おみと)、ダンジョンマスターだ。

 

何を言っているか解らないかもしれないが、安心してほしい、僕も解らない。

 

高校受験の帰り道、信号無視して突っ込んできたトラックに引かれたと思ったら真っ白な空間にいて、目の前に神を名乗る男がいた。

 

その自称神である男は僕の疑問や問いかけに一切答えずに、

 

 

「お前をダンジョンマスターに任命する!詳しいことは追々解ってくんだろ。じゃ、頑張れや。」

 

 

とだけ言って指を鳴らし、僕の意識を落とした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

目が覚めると僕の部屋に寝ていた。夢でも見ていたのかと思ったが、違かった。

 

代わり映えしない部屋の真ん中に、見たことのない物が置かれていた。人一人が丸まったくらいの大きさの水晶が台座の上に置かれている。

 

僕の部屋にこんな物が置いてあった記憶はない。そして部屋の外にでると、土の洞窟が続いていた。

 

最初は信じられなかったよ、夢であってくれとも思った。でも数日たってから部屋の中央に鎮座する水晶に触れてみたんだ。なんとなくだけど、自分のすべきことをしようって気になったんだ。これが本当にすべきことなのかは解らないけどさ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そこから数日かけてダンジョンについて学んだ。大体のことは水晶に問いかければ表示してくれた。最初は驚いたけど、今では便利だなぁ程度の感想しかない。

 

ダンジョンについてのものは全てDP、ダンジョンポイントなるもので購入することができる。

 

DPはダンジョン内で侵入者を倒したり、魔物を飼うことで増やすことができる。他にも一定時間侵入者をダンジョン内に入れるなどがある。

 

つまりダンジョンとは人を誘い込み、餌食とすることで発展していくらしい。

 

しかしダンジョン奥地にあるダンジョンコアを破壊すると、ダンジョンは崩壊し、機能を停止する。

 

ダンジョンコアってのは部屋の真ん中にある水晶のことだろう。そしてこれを壊されたら僕も死ぬらしい。これは問いかける前に、水晶が警告してきた。

 

合計で1週間ほど無駄にしてしまったが、ようやく自分がすることが解った。僕の役目はダンジョンを強化し、自分が死なないようにすること。そしてゆくゆくはダンジョン内に街でも作って安心して暮らしたい。

 

一般的な日本人である僕は人殺しはちょっとな、という思想のもと頑張っていこうと思う。もちろん殺らなければ殺られる時は非情にもなろう。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

僕が決意決めた日から3ヶ月ほどたったある日、ついに初めての侵入者が来た。

 

侵入者の様子やダンジョン内のマップは、コアが壁に写してくれている。スクリーンみたいな機能も備えているらしい、ほんとに便利なコアだ。

 

侵入者の数は4人。先頭は赤髪の剣士。真ん中に薄紫の髪をした魔法使い風の女性とローブを深く被った小柄な人。そして後ろに鎧に大きな盾を装備した茶髪のナイスガイ。

 

4人は注意深くダンジョン1層の草原を進んでいく。

 

 

 

 

 

 

現在ダンジョンは5層からなっている。

 

地上である1層はただただ広い草原エリアだ。森や花畑、丘と川などを作り、その場にあった魔物を配置している。もっともDPがまだ全然ないので数も少なく、弱いのだが。

 

2層は山を、3層は森をメインに作っている。下層に降りる階段があるフロアボス部屋はどちらも見つかりにくくなっている。

 

4層と僕の部屋がある5層は石の迷宮にした。これが案外高く、魔物を十分に増やすことができなかった。しかし、それは問題ない。

 

僕の目標は人との共存だからだ。1層は弱い魔物を配置し、新人さんでも訓練できる場所にする。2層、3層は資源溢れる場所として人々の役に立つ。防衛としての戦力は最下層に集める。

 

これで簡単にコアを破壊しようとは思わないだろう。そうじゃないと困る。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「……ん?あれ、新しい侵入者だ、一体何処から?」

 

 

4人の冒険者は下層に続くフロアボス部屋を見つけたようだが、ボスには挑まず1層をくまなく捜索している。1週間が経過したので3回ほどDPが振り込まれる。4人で2000DP、1人あたり500DPか。今のところ基準がいないから解らないけど、ゴブリン1匹購入するのに10DPなのでかなり強いんじゃないかな。

 

それよりも今は新しい侵入者のことか。入口からもフロアボスの部屋からも離れた草原に突如現れた侵入者。ほんとに何処から来たんだろう。確認するためにコアを使って新たな侵入者にズームしてみる。

 

そこには美少女が全裸で立っていた。

 

何故全裸なんだ!?

 

 

全体を写して肌色一色だったため、細部を確認する前に即座に顔だけに切り替える。危ない、鼻血が出るところだった。じっくりと美少女の裸を眺めることはできるが、そんなことしたら失血死しかねない。それに僕は紳士でありたい。でも、ちょっとくらいは…………いやいやいや、無理だ!顔をアップで写している今でも、あまりの美少女っぷりに顔が赤面する。

 

 

 

肩にかからない程度の長さの艶やかな黒髪。

 

形のいい眉は、長いまつげと相まって大きな瞳を際立たせる。

 

ふっくらとした小さな唇は白く決め細やかな肌に良くはえる。

 

 

 

しかし今、その顔は険しい表情をしている。どうやらゴブリンと遭遇してしまったみたいだ。1人と1匹はにらみ合いを続けているが、いつ戦闘が始まってしまうかは解らない。

 

これは大変なことだ、確かゴブリンは他種族のメスも苗床にする生態をもつ。つ、つまり、その……ゴブリンとこの子が……し、しちゃうかもってことで。急いで助けないと行けないが、相手は美少女で、しかも服を着ていない。ダンジョン内の物や人は僕の自室に呼ぶことができるが、 いきなり自室に呼び寄せるのはいかんせん僕が耐えきれない。

 

僕があたふたとしていると、ゴブリンと美少女の戦闘が始まってしまった。コアが僕を気遣ってくれているのか、映像が美少女の前からを写すことはない。本当によくできたコアだ。……別に残念がってなんていない。

 

美少女は軽快な動きでゴブリンの攻撃を避け、しまいにはゴブリンに馬乗りになった。

 

 

……え?美少女ってこんなに強いの? 

 

 

そのまま美少女は右腕を何度もゴブリンに振り下ろした。殴る、殴る、殴る。ついにはゴブリンは生き絶えてしまった。

 

怖かった。下着すらまとわぬ美少女がゴブリンを殴り殺したことにも恐怖を覚えるが、なによりゴブリンを殴っている時の表情が怖かった。無感情に、ただ目の前の物体を殺すというために拳を振り下ろす。その表情に人間味など人欠片もない。顔が綺麗なだけに、その表情は恐ろしい。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

その後、美少女が先に入っていた侵入者4人に助けられ、ダンジョンから脱出するまでの間、僕は自室のベットで布団にくるまり丸くなっていた。

 

 

……美少女、怖い。

 

 

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