異世界に行こう(凍結)   作:紺色メガネ

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3話 翻訳スキルでもゴブリンの言葉は解らない

よいこのみんな、こんにちは!

 

俺の名前は可仁江宗谷、18歳だよ♪

 

ひょんなことから異世界に飛ばされた俺はただいま絶対絶命の大ピンチさ☆

 

え?何でピンチなのかって?それはねぇ……。

 

 

「ゴブリンとのドキッ☆命懸けの鬼ごっこ開催中だからだよー!」

 

 

「ギャギャギャ!」

 

「グガギャギィー!」

 

 

いくら歩けども草原は終わらず、出口のでの字すら見えない。もしかしたら森の中に出口が!?なんて血迷った事を考えて森にふらふらと歩み寄った。そんな時に森から出てきたこのゴブリン二匹とばったり出くわしたのだ。

 

 

「いい加減に諦める気はないのか、ゴブリンよ!」

 

 

俺は走りながらも後方のゴブリン2匹に声をかける。すでに二時間ほど水分を取っていない喉は既にパサパサで、大声を張り上げるのすら辛い。そんな辛い思いをしながら声をかけてやっているのにも関わらず、ゴブリンからの返答は「ギャギャギィー!!」のみ。やっぱり言葉は通じないみたいた。うん、知ってた。

 

このまま逃げ続けても俺の体力が切れる方が早いだろう。かくなるうえは戦うしかない。しかし戦況は2対1だ、勝てる見込みは低いがやるしかない。

 

 

「くー、仕方ねぇ!殺ってやるぞ、コラァ!」

 

 

俺は走っている方向を急激に左に変え、ゴブリンどもが一直線になるように誘導する。

 

そして、アイテムボックスからこん棒を取りだし左足で急ブレーキをかける。そのままこん棒を振りかぶり、右足を上げてボール(ゴブリン)を待つ。

 

 

「ギャギャ!?」

 

 

驚いた顔をしている先頭のゴブリンの顔面に全力のスイングを打ち込み、後方にふっ飛ばす。気分は高校球児だ。

 

 

「ガッ、ギャ!」

 

「ギィギャギャギャ!?」

 

 

そして無様にも重なりあってもがいているゴブリンを、2匹まとめてこん棒で滅多打ちにした。しかし衝撃のほとんどが上に乗っているゴブリンにいったらしく、上のゴブリンは息絶えたが下のゴブリンは同族の遺体に身を潜ませながらも反撃のチャンスを虎視眈々と狙っていた。

 

俺が悪寒を感じて飛び退くのとゴブリンのこん棒が振られるのはほぼ同時だった。痛手をくらうことは免れたが、距離を取られてしまった。

 

攻撃を外したゴブリンは苛ついているのか自分の上に乗っている同族の死体を乱雑に横に避けた。その姿に自分の手で葬ったとはいえ、ゴブリンに感嘆の念を禁じ得ない。

 

 

「おいおい、俺が言うのも何なんだけどさ、一緒に(獲物)を追いかけた仲なんだろう?その扱いはあんまりなんじゃないか?」

 

 

言葉が通じないとは解っていても思わず問わずにはいられない。日本人としての感性が、魔物だとしても死体に鞭打つのは許せなく感じたのか、同族に酷い扱いをしてるゴブリンが許せないのか。本心は解らなかったが、目の前のゴブリンに怒っているのは確かだった。

 

俺とゴブリンが睨みあっていると、俺の頭のなかで声が鳴った。

 

 

『経験値を14獲得しました。

 レベル3まであと9の経験値が必要です。』

 

 

この世界に来て初めての人の声、それはやけに明るい女の子の声だった。確か、初めてゴブリンを殺した時にも鳴っていた気がする。

 

経験値。魔物を倒すと経験値を得ることができ、得た経験値が一定数まで到達するとレベルが上がる。レベルが上がることでステータスが上昇、さらに魔法やスキルを覚えることができる。これはゲームで良くある設定だが、恐らくこの世界でもそうなのだろう。

 

 

「……てことは、お前を倒せばレベルアップかなっ!」

 

 

俺は拮抗した空気を壊すようにゴブリンに躍りかかった。こちらから攻撃してくるとは思ってなかったらしく、驚愕を顔に張り付けたゴブリンはかくして防御を選んだ。こん棒の両端を掴み頭の上に掲げるように持つ。弱点である頭部を守ることもでき、体格が俺よりも小さいため俺は攻撃しにくくなる。一見良い手だが、それは愚策だ。

 

 

「敵を前にして視界を塞いでどおするよ?」

 

 

右足を基点に体を右回転しつつ、深く身を沈めた。そのまま遠心力を乗せた左足の踵でゴブリンの両足を払い飛ばした。僅かに宙に浮いたゴブリンの体が地に落ち、慌てて立ち上がろうとする。しかしそれを頭部にこん棒を打ち据えることで防ぐ。強かに地面に頭を打つゴブリン。また起き上がろうともがく。そこに再度こん棒を振り下ろした。

 

そのあとはもう語るに及ばない。有利な位置(マウントポジション)を譲らずにひたすら凶器を振り下ろしただけだ。

 

 

『経験値を16獲得しました。

 レベル3に上がりました。

 レベル4まであと32の経験値が必要です。』

 

 

レベルアップきたー!と言うわけでステータスを開いてみる。

 

 

 

 

 

名前:ソウヤ・カニエ

種族:人族 異世界人

性別:男

レベル:3/40

HP:124/124

MP:29/29

SP:23/23

攻撃:20(+4)

防御:11(+2)

魔力:18

速度:11

運:8

 

《魔法》

 

《スキル》

 

《耐性スキル》

 

《特殊スキル》

・異世界言語翻訳

・鑑定

・アイテムボックス

 

 

 

 

ステータスが全体的に上がっている。攻撃と防御の横のプラスはこん棒と布の服の数値が足されているってことだろう。

更にアイテムボックスを開いてみる。

 

 

 

 

・ゴブリンの尖耳

・こん棒×2

・旅人の靴

・布の服

・ゴブリンの魔石×3

 

 

 

 

さっきまでアイテムボックスに入っていた物と今手にしているこん棒を差し引くと、ゴブリン2匹を倒して新たに六個のアイテムをゲットしたことになる。ゴブリンの尖耳は、まぁ耳なんだろうな、何に使うのかは知らんけど。それよりも気になるのが旅人の靴だ。待ちに待った靴だよ!さっそくアイテムボックスから取り出して履いてみる。ついでに鑑定かけとくか。

 

 

 

 

・旅人の靴

速度+1

ダンジョンの魔物に殺されてしまった者が履いていたとされる靴。

実際はただのドロップアイテムなので新品だが、履きたがる者は少ない。

微量であるが速度上げる効果がある。だが物凄く微量であるため、あまり実感できない。

様々な色があり、人気は青色。

 

 

 

 

 

俺の履いた旅人の靴は青色、人気なんだな。

 

……さて、服も着たし靴も履いた。武器だって持ってる。これで食料と水があれば文句はないのだが、流石に食料と水はドロップしないか。

 

慢心は良くないが、レベルも上がったし装備も紙装甲だが一応揃った。最初は吐いてしまったが、3回目ともなると慣れたのか気持ち悪さも薄れてきた。3匹以上で囲まれたり強い魔物が出てこなければ、あと2回くらいは戦えそう。

 

望むならもう戦わずにこのダンジョンを脱出したいが、まぁ無理だよね。

 

だってすでにゴブリンに囲まれている。その数5匹。今度こそ死んだかもしれない。でもまだ異世界を堪能してない。つまりは、ここで死ぬわけにはいかない。

 

 

「……団体様ごあんなーい。」

 

 

不敵に笑う。良く言うだろ?諦めたらそこで試合(人生)終了だって。

 

 

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