レオンたち4人が帰ってしばらくしたあと、俺は部屋のベットの上で作業をしていた。
作業といっても元いた世界の女神様から送られてきた魔法の袋から武器を取り出し、軽く確認、そしてアイテムボックスに放り込む。触った感じ使い心地や重さは変わらない。素振りをしたいが、明日街の外に出たさいにやることにした。
ようやく全部詰め替え終ったと思ったら紙が1枚出てきて布団の上に落ちた。どうやら手紙のようで宛先は俺で送り主は元いた世界の女神になっていた。要約すると、
貴方が使っていた武器一式を送ります。そちらの世界でも使えるように自動修復の加護などを付けておきましたが、あまり無茶な使い方をすると壊れてしまいます。万が一壊れてしまっても良いように予備でもう一式入っています。ご活用下さい。
それから僅かではありますが、貴方の努力が報われるよう祈りをかけておきました。
そちらの世界でも元気にお過ごしください。
貴方の世界の女神 ナチュムより
なんか独り暮らししている息子に仕送りしたお母さんにみたいな手紙だった。俺が手紙を読み終わると、手紙は光の粒子のようになって俺の体に溶け込んだ。恐らくこれが祈りってやつなんだろう。不思議と光が体に馴染んでいく感覚がした。ステータスに反映されてるのかな?そう言えばレベルアップもしていたはずなのでステータスを見てみようか。
「ステータスオープン」
目の前に半透明な板が出現する。
名前:ソウヤ・カニエ
種族:人族 異世界人
性別:男
レベル:4/40
HP:126/126
MP:3524/3524
SP:28/28
攻撃:20
防御:13
魔力:21
速度:16
運:12
《魔法》
《スキル》
《耐性スキル》
《特殊スキル》
・異世界言語翻訳
・鑑定
・アイテムボックス
基本ステータスが全体的に上がってる、それはいいとしてだ。……なんかMPの値おかしくね?前見たときは24だったよね、なんで3500も上がってるの!?
『やぁやぁ、ごめんね。驚かせちゃったかい?』
頭の中に中性的な声が響く。この声は、
「ディバイン様!?」
『そうだよ、この世界の管理者であるディバインさ。ボクの声は君にしか聞こえてないから、声を出さず念じたほうが良いと思うな。周りの人から変な目で見られたいなら別だけどね。』
急いで口を両手で押さえる。思わず大きな声が出たので、隣の人に聞こえたんじゃないかヒヤヒヤする。今度は口に出さずに脳内でディバイン様に向かって念じる。
(聞こえてますか、ディバイン様。)
『うん、聞こえてるよ、可仁江宗谷君。』
(えーと、このMPのあり得ない上昇はディバイン様が?何でこんな上がってるんですか?)
『昨日君の体から薬を抜いても大丈夫なように軽く加護を与えたんだけど、その時にボクのMPがほんの少し君に流れちゃったみたいでね。でも安心してよ、その程度なら人族の寿命でも人生の全てを魔法のために捧げれば到達できるくらいだよ。』
(全く安心できませんよ!若干18歳にして人族の魔法を極めし者とかどんだけですか!?)
『いやいや、いくら使用できる回数が多くても威力が出なければ怪しまれることはないと思うよ?人前で使う魔法回数に気を付ければいいだけだからね。』
なら3500を0と考えて使用すれば丁度くらいかな。もちろん命の危機とかのさいは全力で使わせてもらうけど。
『それとね、鑑定の最適化をするなら手伝ってあげようかと思って声をかけたんだ。』
(あー、そう言えばやろうとしてました。手伝ってもらえるのは嬉しいんですが、良いんですか?前に大したことは出来ないって言ってたから下界に干渉できないとかなのかなぁ、って思ってたんですけど。)
『確かに世界の管理者であるボクたちが君たちに干渉するのはご法度だ。けどね、少しくらいなら許してくれるんだよ。神様ってそうゆうとこ案外緩いから。』
(神様緩いんですか、ならお願いします。実際、鑑定の最適化なんてどうやるのか検討もつかなかったんで。)
『じゃあまずは君の鑑定の得意不得意を知っていこうか。君が得意なのはスキルや魔法、物質に対する鑑定だね。そして不得意としているのは基本ステータスかな。』
前にゴブリン・アサシンを鑑定した時に基本ステータスが表情されなかったことを思い出す。
『そして最適化についてなんだけど、大まかに分けて2パターンあるんだ。得意を伸ばして不得意を切るか、得意を普通にして不得意を補うか。1つ目だとスキルや魔法、物質についてののかなり詳しい説明まで見れるけど、基本ステータスがさっぱり解らなくなる。2つ目だと詳しい説明が見れなくなる変わりに、基本ステータスが見れるようになる。どうする?』
スキルや魔法、物質が詳しく見えるよりは基本ステータスが見れるようになる方がいい気がするが、だからと言って平均的にしたんじゃあ面白味がない気もする。悩みどころだ。
『なら鑑定をいじれるようにするから自分で調節するといいかもね。』
(そんなことできるんですか?)
『今回だけだからね、しっかりと設定するように。解りやすいようにゴブリン召喚するね。結界張っとくから安心して鑑定してくれ。』
パチンっと音が鳴ったと思うと目の前に半透明な立方体の箱が現れ、その中にゴブリンがいた。ゴブリンは何が起こったのか解らないといった様子でキョロキョロしていたが、こちらに気付くと手に持ったこん棒をこちら側の壁を叩き始めた。しかし壁はびくともせず、中の音すら聞こえてこない。防音機能までついてるみたいだ。確かにこれなら安心して鑑定を試すことができる。
(あのディバイン様、俺が今見てる自分のステータスってのは鑑定スキルで見ているものなんですよね?)
『そうだね、言わば自分で自分を鑑定している状態だ。それがどうしたんだい?』
(いえ、やりたいことが少しあったので。)
それだけ言うとゴブリンを鑑定し、ゴブリンのステータスを開く。これで目の前には自分のステータスとゴブリンのステータスが表示される。さて、色々と試したいことがあるんだ。早速取りかかろう。
2つのステータスをいじりながら試行錯誤すること1時間ほど。ようやく理想の形となった。
納得できる出来映えになったのでこれで設定してもらおうとディバイン様に呼びかける。
(ディバイン様、完了しました。設定お願いします。)
『はいはい、ただいま。……よし、設定し終わったよ。君がどんな風にしたのか気になるから少し見せてもらっていいかい?』
ディバイン様からの案を了承し、自分とゴブリンのステータスを開く。
名前:ソウヤ・カニエ
種族:人族 異世界人
性別:男
役職:迷い人 冒険者見習い
状態:良好
レベル:4/40
HP:126/126
MP:3524/3524
SP:28/28
攻撃:20
防御:13
魔力:21
速度:16
運:12
《スキル》
・異世界言語翻訳
・鑑定
・アイテムボックス
《称号》
種族:ゴブリン
性別:オス
状態:怒り
レベル:4/20
HP:68/68
MP:12/12
SP:8/8
《スキル》
《称号》
『こ、これは……、』
(はい。《魔法》《耐性スキル》《特殊スキル》を《スキル》に統合して、新しく役職、状態、そして《称号》を着けました。更にはHP、MP、SPを見やすいように横棒で表示してみました。どうですか?)
スキルや魔法なんかは最初にステータスを見たときから統合しても構わないような気がしていたのだ。見辛くなったら整頓すれば良いわけだし。
そして新しく付け加えた3つだが、統合したさいに欄が空いてしまったので在ると便利な項目を付け足してみた。加えられたということはこの世界でも反映されるということだし、称号もあるんだろう。
最後の横棒はHPは緑、MPは青、はSPはオレンジで表示している。もちもんHPバーは全体量の半分程になったら黄色に変わり、危なくなったら赤くなる。横棒の右側に数字は表示されたままだが、これでずっと見やすくなった。
『はぁー、随分と面白くしたもんだね。自分自身のステータス表示をいじって、相手の鑑定にまで影響を及ぼすとは。これについては攻撃以下の基本ステータスを切り捨てて、HPなどを見えるようにしたってことかい?』
(そんな感じです。でも何となくは解りますよ?)
『え?何となく解るって何がだい?』
(ゴブリンの基本ステータスです。多分、統合や切り捨てで空いた容量のお陰で見えないけど感じれる状態になったんじゃないでしょうか。)
『なるほど、表示だけじゃなく、中味まで面白くなってるみたいだね。これなら活用しやすそうだ。』
(はい、自由にやらせて頂いてありがとうございます。)
『いやいや、これだけ面白いものを見せてもらったんだ。こちらこそお礼を言いたいくらいだよ。と、いうわけでボクから少し贈り物してあげるよ。ついでにナチュムの加護も表示させたげる。』
自分のステータスのスキルの欄に変化がおきる。見てみると、異世界の女神ナチュムの加護というのが追加されていた。これは先程の手紙のやつかな?詳しく説明を読んでみるとスキル習得速度上昇とスキル成長速度上昇というとんでもない加護だった。努力が報われるようにって流石にこれは報われ過ぎると思う。そしてディバイン様からのは……見当たらない。
『ボクからはスキルのレベル表示を加えてあげたんだけど……まだレベル表示が必要なスキルを持ってないみたいだね。これからスキルを身に付けたら横にステータスのレベルと同じように表示されるはずだよ。』
(なるほど、重ね重ねありがとうございます。)
『良いんだよ、君にはこれから苦労をかけるだろうからね。』
(え?)
『いやー、経験値通達がカチュリアから変わってただろう?彼女はサンダエラって言ってボクらの先輩なんだけど、怠惰な人でね。恐らくこれから経験値通達やレベルアップ通達が来ない時があるかもしれないけど、今回のことでチャラにしてくれ。』
(え、いや、それは困り
『それじゃあ、元気でやってくれ!』
ディバイン様はそれだけを言うと、いくら呼び掛けても返答してくれなかった。それもしばらくすると目の前の結界とゴブリンが消えて、俺も諦めて寝ることにした。通達がなくても逐一ステータス開けばいいかと妥協したとも言う。