俺はなんとか学校に着くことが出来た。メルティに飛べると聞いたのはいいものの、思ったより速くて何回か嘔吐感に襲われた。
それで今は校長の話である。校長の話はかなり長く、寝ている生徒がちらほらいる。そしてその俺も、うとうと睡魔が襲ってきている。このままではまずいと思い、手をつねったりしているがあまり効果はない。
何かないかなと思って体育館の上の方にある窓を見ていると
そこにはメルティが俺を探しているであろう姿が見えてしまった。
思わず吹きそうになるがグッと我慢した。メルティは俺を見つけると笑顔で手を振ってきた。手を振ることは出来ないので視線で返すと、それに気付いたのか喜んでいた。
というか今気づいたが、他にもあそこの窓を見ている奴はいるだろうに全く、気づいていないのだろうか、なんの反応もしていない。俺しか見えてないのか……?
そう思いながら校長の話が終わったので慌てて視線を戻す。他の先生達の話も窓から見えるメルティの姿に気になってしまい、集中することが出来なかった。
入学式は終わり、それぞれ決められた自分のクラスに行く。どうやら俺はDクラスみたいだな。
そう思っていると、後ろから俺を呼ぶ声がする。振り返ると
「よう十夜、お前何クラスだった?」
こいつは滝村 裕二。中学校からの友人でここの高校を一緒に受験して見事合格することが出来た。かなりイケメンなので中学校のときは女子にめっちゃ告白されていた。
「俺はDクラスだよ。」
「俺もDクラスだわ。まあ仲良くしていこうぜ!」
そう言って肩をポンポンと叩かれる。はぁ……またクラスの女子がこいつに夢中になるな。
どのくらいモテているのかと言うと、魅惑のチャームを持った〇ィルムットみたいな感じである。
そんなこんな考えているうちに、Dクラスに着く。黒板に貼ってある席の場所について書かれた紙を見て席に座る。ちなみに俺は左側の一番下の窓側である。漫画だとよくある主人公席ってやつかな。
漫画では窓の外からいきなり女性が主人公の前に現れるみたいな展開が多いけど、所詮漫画の話だからね。
『そうですよね~。やっぱり漫画だけですからね』
そうそうやっぱり漫画だけ……ん? 今誰か俺に話したか?
そう思って窓の方を見ると
『十夜~ここ開けてくださ~い』
前言撤回。やっぱあったわそんな展開。そう思いながら、窓を開けるとメルティが窓から教室に入ってくる。
俺は一つ気になったことがあったのでそれを聞こうとすると
『あっ人がいるときに私と会話したければ頭の中で思ってくれれば、私に通じるので』
こいつ脳内に直接_……! そんな茶番は置いておいて、早速質問する。
『他の人にはメルティって見えてない?』
そう聞くとメルティが返事を返してくる。
『はい! でもヴァンパイアを信じている人や、人間ではない人には見えてしまいますけど』
メルティがそう答える。なるほど……でもヴァンパイアを信じている人なんていないと思うが。ん?……待てよじゃあなんで昨日俺は見れたんだ? そう思っていると
『私が許可すればどんな人にでも私を見せることが出来ますよ』
なるほど、そんなことも出来るのか。あともう一つ気になることがある。
『メルティって日が出ているときに外出ても大丈夫なの?』
そう聞くと、メルティは途端に自慢げな顔をする。
『よくぞ聞いてくれました! 私はヴァンパイアの中でも特殊な存在で外に出ても全く問題ありません! なので私はヴァンパイアの中でも最強なのです!』
そう言ってメルティはえっへんと胸を張る。胸を張るのはやめてくれ。
そう思っていると先生が入ってきた。
「立っているやつは席に座れ~」
先生がそう呼びかけると、皆、席に座る。
「今日からDクラスを担当する荒川 剛だ。皆よろしく頼む。」
そう言うと皆、宜しくお願いしますと言う。担任は男の先生か。
『あれが先生ってやつですか。』
そう言って少ししょんぼりとしている。何か先生を勘違いしてないか?
そう思っていると先生の話が終わって解散となる。
ちなみに上級生の噂で、男子が女子にお前を殺すと言ったという噂が流れていた。なんかやばいこと言ってるなぁ。
『私達も早くかえりましょ♪』
そう言って俺の手を掴む。まっ……まさかメルティ、飛ぶんじゃないだろうな?
『大丈夫です。今度はバレないように、魔力で認識されないようにしてますから』
そんな問題じゃない~! そう思いながら空の旅が始まった。俺の日常は何処に行ったんだろうね……返して、俺の日常。
少年の想いは決して届かない。決して誰にも。