「もう朝か……」
そう言うと俺はまだ眠い目を擦りながら、ゆっくりと目を覚ます。辺りを見回すと、誰もいなかった。
やっぱりあれは夢だったのだろうか。ヴァンパイアがいきなり俺の家にいるなんてそんな話ありえないか。少し漫画の観すぎなのかな。
そう思いながらベットから出ようとすると腕を掴まれた。誰かいるのかと思い掴まれた方向を見ると、そこには赤い髪を持った女性が俺のベットに寝ていた。あぁやっぱり現実だったのね。
途端に昨日の記憶が蘇る。いきなり俺の家にきたこと。学校の行き帰りに空を飛んでいったこと。そして学校に入ってきたこと。思い出すだけでも頭が痛くなる。
まあその事は置いておいて、ひとまず彼女を起こさなければいけない。そう思いながら声をかける。
「メルティ、もう朝だよ起きて」
そう言うと彼女は、目を擦りながらあと5分と言ってきた。
「どうせあと十分といって伸ばしていくんだろ」
そう言うと、彼女はうーんといいながらベットから出ようとしない。まったく、意地でも出ようとしないな……こうなったら。
「あと十秒でベットから出なかったらメルティに悪戯するぞ」
こう言っておけば、すぐにベットから出るだろう。俺はそう思っていたが、メルティは全く行動を起こさない。なんだと……もしかしてその気なのか!? 一瞬そう思ったが、メルティは俺にそんな感情を抱いてないだろうと思い否定しようとするが、いやちょっと待て。そういや昨日……
俺は昨日のことを思い出す。確か学校から帰ってきて、ふと気になった事を質問したんだっけな。その内容は、俺のことどう思ってるの? そう聞いてみたのだ。するとメルティが「人間の中では変わっているけど、そんな十夜を私は大好きだぞ」と返された。ということは彼女は俺を好きってことなんだよね? そうなんだよね? 嘘なら嘘だと言ってよ! メルティ!
頭の中でそう言いながら、今の現状をどうしようか悩む。悪戯しようにも、どんな悪戯しようかと。頬でもつついてみるか。
そう思いながら俺はメルティの頬をつつく。メルティはうーんと言いながら体勢を変えようとする。意外と柔らかいな、ぷにぷにしてるぞ。そう思いながらまだ続ける。意外と楽しい。そうやって続けていると、突然腕を引っ張られ、倒れる形となる。
「さっきから、私頬ばっかつついて……お返ししてやる!」
そう言うと、俺の首元にメルティが噛み付き、血を吸い始める。別にこれだけなら何ともなかったが寝ている体制でメルティに抱き締められながらである。
これ本当、やばい。胸と当たってるし、いや我慢するんだ、俺頑張るんだ。そう思っていると、もう頑張らなくていいんだよ。と悪魔の囁きが……そして俺の頭の中に言葉が浮かんできた。
『もう、ゴールしてもいいよね……?』
そう言いながら俺は意識を手放した。
――――――――――――――――――
「はっ!?」
俺は目が覚めると急いで身体を起こす。そういえば、朝からメルティに血を吸われたんだっけ……今日は休日でよかった。
そう思いながら、ベットから出ると扉を開けてリビングの方へ行く。リビングの扉を開けるとそこにはメルティがいた。
「おはよう、といっても少し遅いけどね」
「メルティが血を吸ったからでしょ」
「私の頬をつつくのがわるいんですっ」
「それは起きなかったからでしょ」
「むーっ……何も言い返せない」
そう言った会話をする。一昨日までは一人だったから、家の中は全く静かだったのにメルティが来てから変わったな。
「それより、朝御飯食べてください! ちょっと遅めですけど……」
「いいよ。折角、メルティが作ってくれたんだから食べないとね」
俺はそう言いながら椅子に座る。女の子の手料理なんて、初めてだからなぁ楽しみだな。
「はい、サンドイッチ作ったの」
メルティはそう言いながらサンドイッチが何個か乗せてある皿を置く。見たことのない肉だけど、何だろう
そう思いながらいただきますと言ってサンドイッチを1つ掴んで食べる。
「どう、おいしいかな……?」
メルティは俺にそう聞いてくる。……なんて言えばいい のだろうか、素材本来の味がする。それはいいことだと言う人もいるだろう。違うのだ、素材本来の味しかしないと言ったところか。これは正直に言った方がいいのだろうか? でもそれでは悲しんでしまうだろうし、でも言わなかったでちょっと嫌だしどうしよう……
この間の思考僅か1秒である。それで俺は考えを決める。
「とてもおいしいよ、これなら毎日食べたいな」
そう言うとメルティは嬉しそうな顔をする。すみません、悲しむ姿を見たくないんです。あとこれどこの肉か聞いてみよう。
「ねえメルティ、この肉ってどこの肉かな?」
そう聞くとメルティが答える
「それは、私の世界の牛肉でかなり人気なんですよ」
あっ素材本来味しかしない理由がわかった気がする。
「あと調味料とかは何を?」
「これです!」
えっと……竜をも泣かせた胡椒……? なんて商品名なんだと思いつつ、蓋をあけて、手に少しばかり振って舐めてみる。あぁ……何の味もしねえ。これって要するに、メルティの世界のものは俺たちが食べても何の味もしないってことか。
そう思いつつ、メルティに話す。
「あのね、メルティ。次作る時はこっちの世界の食材と調味料がいいな」
「何故です?」
「それは、俺は食べ慣れた食材の方が良いからね。メルティもそうでしょ?」
「……言われてみれば、そうですね」
「だからさ、メルティは料理がとても上手いんだからこっちの世界のもので作ってくれたらもっとおいしくなると思うんだ」
「……はい、十夜にもっと褒めてもらえるよう努力します!」
とりあえず俺は皿に乗っていたサンドイッチを全部食べる。せっかく作ってくれたんだから全部食べないとね。
「だから……今褒めてもらう代わりに……」
ん? 何だか嫌な予感が……
「十夜の血を吸わせてくださ~い♪」
「うわっ!?」
そう言って俺の座ってるところに飛び込んでくる。俺はそれを受け止めると椅子が倒れて、メルティに押し倒された体制になる。
「あの~メルティ?」
「十夜がそんなにおいしい血を持っているのが悪いんですからっ」
そう言って俺の首元に噛み付く。またかと思いながら、俺は意識をぎりぎりのところで保っている。
そうしているうちにメルティが首元から離れる。
「やっぱりとてもおいしい♪ 癖になっちゃいそう」
そう言って顔を笑顔にする。
「そう、それなよかっ……」
俺は立とうとして、少しふらつく。やはり2回目はきついのかな。
そう思っていると
「大丈夫、多分慣れていくと思うから」
慣れるとかの問題なのかな。俺はそう疑問に思う。
「とりあえず今は少しだけこれで我慢して」
メルティがそう言いながら俺の頬にキスをしてきた。えっ……まじで?あっ駄目だ気が緩んで……
そう思いながら、俺は今日、3度目の睡眠をする事になった。