青の大狼《記録されない英雄》   作:綾式

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気づけば2000字…


第4話 万能にして未完成の武器、そして…

<国境警備隊駐屯地・イムカのテント>

 

駐屯地の中の自分のテントに戻ってきたイムカは自分のテントの中にグロリアが言っていた注文した前面装甲が置いてあった。すると、イムカは手に持っていたヴァールを側に置き、工具を取り出して作業を開始した。しばらくするとテントの外から声が聞こえてきた

「イムカ、今大丈夫か?」

「何?隊長」

その声は朝に起こしにきた隊長と呼ばれていた男だった。

「イムカ…とすまない、作業中だったか。少し良いか?」

「ん、何?」

「グロリアから話を聞いてな。軽戦車用の前面装甲を形まで細かく決めて注文したそうだが、何に使うんだ?装甲って事はシールドでも作るのか?」

男が聴くと、イムカはヴァールの元に戻りながら

「隊長の言う通り、シールドを作る。敵の銃弾ぐらいじゃビクともしないやつを」

と言った。その返事を聞きながら男もイムカのテントに入り

「だかな、イムカ。流石のおまえでも、ヴァールを持ちながらシールドを持つなど不可能に近いぞ。ヴァールを両手で使って軽々走るおまえでも、片手だとかなりきついはずだ。そこはどうする気だ?二つ同時運用は不可能だ」

と言うと、イムカはすぐに

「簡単なこと、二つがダメなら一つにすればいい。なんの問題ない」

「二つがダメなら一つにってそりゃそうだがな。どちらかを土嚢とかに隠して運用するのか?」

「そんなわけない。言葉そのままの意味。二つを一つにする」

「言葉通りに?…まさかっ!?」

そう言うと息を呑むように驚いた男の姿を見ながら、イムカは淡々と、まるで当たり前の事だとでも言うように

「ヴァールの側面に畳んでつけて、必要な時に展開すれば良い」

と簡単に言いのけた。それを聞いた男は、呆れたようなため息を吐くとイムカに向けて

「今のままのヴァールでもかなり重いはずだよな。それをさらに重くするのか?おまえの身体が持たんぞ。やめておくんだ、イムカ」

と諭す様に言った。それを聞いたイムカは

「おまえに私の限界を測る事は出来ない。今のヴァールはまだまだ強化の途中だ。それに…」

「それに?」

「今のヴァールはまだまだ軽い」

「は?軽いだと?ただえさえ重いブレードと対戦車槍を着けたヴァールがか?」

「ん。それに、元々ヴァールはこの装甲ともう一つのギミックを搭載したうえで完成と考えている。今のヴァールは未完成だ。完成したヴァールを運用するためにずっと身体を鍛えてきた。なんの問題もない。それに、最初軽装甲車用の装甲にしていたが、前に試しでヴァールにつけてみた結果、あまりにも軽かった。だから軽戦車用の前面装甲に変えた。もう接続も終わる。あとは、動作確認と、性能確認だ」

そう言うとイムカはヴァールを持ったままテントの中に立ち、ヴァールのクリップを持ったまま銃口を上に向けると

「シールド展開」

と呟いて手元のトリガーを引くと、側面に畳んでつけていた装甲がヴァールとイムカを守る様にシールドが展開された。それを見ながらイムカは

「動作確認完了。後は性能確認だけ」

と、満足した様な顔をしてテントから出た

その後を追う様に男も外に出てイムカに

「性能確認ってどうやるんだ?まさか帝国の奴らの元に行くとか考えてないよな?」

そう言うとイムカは直ぐに

「車両演習場に行く」

と言って歩き出した。

「車両演習場って何する気だ?」

とつぶやくと、イムカの後を追いかけていった。

 

<ギルランダイオ要塞・車両用演習場>

 

「もう一度言ってくれるかな?ダルクスの女。冗談じゃ済まないぞ?」

そう言うのは、演習場に居た要塞守備隊の戦車兵の1人だった。

それを聴くとイムカはまるで雑談をする様に

「私に戦車を使って一発砲撃欲しい。タイミングはそちらに任せる」

と言ってそのまま演習場の中央にヴァールを持ちながら歩いて行った。それを見ながら言われた戦車兵はどうなっても知らんぞ。とつぶやきながら戦車を起動させ演習場に入っていき、イムカに砲塔を向けた。それからイムカに向けて

「本当にいいんだな?おまえに撃つのは俺なんだから味方殺しで軍法会議には出たくないんだよ。その辺はどうなんだ?」

「問題ない。演習場の見学席に私の隊長が居る。隊長が私が死んでも

私が望んだと証言してくれる。心配は要らない」

「そうかよ、じゃあ遠慮無く撃たせてもらう。カウントとかは無しだからな。精々頑張れや」

そう言うと、戦車兵は砲塔の調整を行い、それからニヤニヤしながらスコープを覗いた。そして、直ぐに

「くたばれ!ダルクス人が‼︎」

と、同時にドン‼︎という発射音が響き、イムカは着弾の際の煙に包まれた。しばらくすると煙が風に乗って消えていき、その中にヴァールのシールドを展開して構えた状態のイムカがそこに居た。

「ん、展開速度、展開時強度、問題無し。私への被害、無し」

そう言うと、ヴァールのシールドを収納して、戦車に近づいて行った。

「テストは全て成功に終わった。結果は満足できる物だった。協力感謝する」

そう言うと、イムカは演習場を立ち去ろうとした。その時、要塞全体に非常事態を告げる警報が鳴った。警報音が示す内容。それは、

【帝国軍来襲】であった。それは、1932年4月の事だった。




隊長の名前、設定資料段階では作ってあるけど…どうするかなー
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