蛇の守り神   作:堕天使

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二話

「それでねエンリとネムが可愛くてね……」

 

「はいはい、それは耳にタコができるほど聞いた」

 

私とメリが出会ってから数十年が経ってメリは結婚してもう二児の母となって、私は幾度かカルネ村の脅威を取り除いていたらそれを見た村人たちから村の守り神として崇められてしまっていた。

 

それに気づいたら霊基再臨の最終段階の姿となって更に能力が強化されて、巨大竜巻をブレス一つで吹き飛ばす辺りもう完全形態の大魔王様かよと呆れてしまうぐらい強くなっていた。

 

「それにしても時が経つのは早いな」

 

「そうだね。ゴルゴーンと会ったときまだ私がネムぐらいの歳のときだったしね」

 

「ああ、あんなちっちゃかったお前がこんなに大きくなったんだもんな。あの頃はお前に散々色んなことに付き合わされたものだ」

 

「あはは…苦労かけたね」

 

「全くだ。だが、そのお陰で全然退屈しなかったがな」

 

「じゃあ、ゴルゴーンはあんまり会えなくなって今は退屈なの?」

 

「そ、そんなわけなかろう。わ、私は一人でも大丈夫だぞ、うん」

 

子供のように無邪気な顔をしたメリの質問に私は顔を赤くして強がって答えるとメリはゴルゴーンってたまに子供っぽいところあるよねとクスクスと笑みを浮かべたその時、突如爆音が鳴り響いた。

 

「な、なに!?」

 

「落ち着け。カルネ村の方で大爆発が起きたみたいだ」

 

私はカルネ村の方から立ち上る煙を見てそう判断する。

 

火事、いや、火事であんな爆音が出るなんてそうないし、人為的に起きた現象か……どちらにしてもただ事ではなさそうだと思った私はカルネ村に向かおうとするとメリに手を握られる。

 

「危険だ。お前を連れていく訳にいかない」

 

「わかってる。でも、子供が危険に晒されているかもしれないなかおとなしく見ているだけなんて嫌なの」

 

決意を決めた表情でそんな風に言われたら断れるものも断れるわけなく、私は離れるなという条件をつけて同行を許可して、メリを背中に乗せてカルネ村に向かっていく。

 

「……強くなったのは私だけではなかったみたいだな」

 

「え?」

 

「何でもない。全速力で行くからちゃんと捕まっていろ」

 

「うん!」

 

村に着くと家は燃やし、壊され、村の人々が多くの兵士によって襲われ、中には既に殺されている者もいた。

 

「チッ、思ったよりも酷い状況だな」

 

「ひどい……」

 

「ああ、少し止めてくる。隠れていろ」

 

本来ならメリの村を襲ったこいつらを皆殺しにしたいところだが今回は人命救助が優先だし、何よりメリの前で人殺しの化け物にならないと私は魔眼の力を解放して、周辺の兵士だけを気絶させていった。

 

「守り神様だ。守り神様が来てくれた」

 

「俺たち助かるぞ」

 

町の人が囃し立てる中、メリの方を見るとメリはぼろぼろになっているが軽傷程度の傷を負った旦那さんの方に駆け寄っていた。

 

「貴方良かった……」

 

「ああ、だけどエンリとネムが逃げてあっちに……」

 

あっちって言うと私が出てきた森とは逆の方か。助けに行きたいがこのまま離れれば村人がまだ交戦してない気絶してない兵士たちがいるかもしれないし、襲われる可能性があるし、奥の手の一つを使うしかないかと考えていると森の中から灰色と色褪せた鎧に禍禍しいゾンビのような肉体を持ったモンスターが現れる。

 

こんなのはこの辺にいなかったから恐らく誰かが召喚したモンスターであろう。倒すかと考えるとその目は私が気絶させた騎士の方に向き、倒れている騎士に剣を突き刺して、とどめをさしていくだけで町の人には関心を持っていないようだった。

 

恐らく大丈夫だと思うが念のために保険をかけておくべきかと考えた私はさっき言ってた奥の手を一つ使うことにした。

 

「お前たち任せるぞ」

 

そう私が髪を何本か抜くと、それは紫色の大蛇の姿となって、町を周回し始めた。

 

この蛇たちは私の力の一端であり、あの程度の魔物が暴れたとしても町への被害を出すよりも先に倒すことができる。

 

それに、蛇たちの視覚、聴覚を共有することができるため問題があったとしてもすぐに駆けつけることができる。

 

蛇に任せて、メリの娘であるエンリとネムの方に向かうとそこから装飾をつけたローブを身に纏い仮面を着けた私が見た中で一番の魔力を持つであろう何かと血のように女性用の真っ赤な鎧を身に纏った私と同じような魔物の女性と対面した。

 

恐らくこの世界で出会った中で一番強いであろう奴等、あの騎士たちの仲間である確率もあるし、ここでも大蛇を出現させて、メリの娘たちの探索にあたらせ、私は目の前の二人に質問する。

 

「貴様ら何者だ?ここら辺では見慣れない顔だが、アイツらの仲間か?」

 

「貴様……アインズ様に貴様ですってぇ、礼儀を知りなさい。この蛇女風情がっ……」

 

鎧を身に纏った女性が襲いかかって来そうだったので魔眼を用いて行動を制限しつつかなり好戦的な性格をしてるなと内心で思う。

「貴様も行き成り攻撃しようとしてくる辺り初対面の奴に礼儀の欠片もないがな。それでどうなのだ?」

 

「ああ、私はただの通りすがりであって、あの騎士たちの仲間ではない。その証拠に先程、兵士に襲われていた娘二人を保護し、傷を治した」

 

仮面をして、声にも落ち着きがあって真意の判断がつかないので蛇たちがメリの娘たちを発見するのを待っていると間もなく結界が貼られ、その中に無事でいることが分かり、目の前にいる仮面の何かが言っていることが真実であることが証明された。

 

とりあえず、二人が無事だと分かり、安心しつつこの仮面のナニカに頭を下げて、謝罪する。

 

「疑ってすまなかったな。あの二人は私の大事な友の娘たちだ。救ってくれて感謝する」

 

「いや、当然のことをしたまでだ。それで疑いが晴れたならその魔眼の力を解除してくれないか?」

 

「ああ、わかった」

 

魔眼を解くとさっきの女性が再び襲いかかってきたが、仮面の何かが一言制するとその女性は失礼しましたと私に謝罪してきた。

 

「気にするな。私はゴルゴーンだ」

 

「私はアインズ・ウール・ゴウン」

 

「アルベドでございます」

 

「ところでゴルゴーン、お前はユグドラシルって言う言葉に聞き覚えがあるか?」

 

「ユグドラシル……北欧神話の話か?」

 

「まぁ、それもあるんだがそれ以外のユグドラシルは知っているか?」

 

「それ以外は知らないな。質問は以上か?」

 

「ああ」

 

「なら、私は二人を迎えに行く」

 

私は二人がいるところに向かいながら思考に耽っていた。

 

北欧神話、そんなものはこの世界には存在していない。だが、それを知っていると言うことはアインズやアルベドは私と同じ転生者なのか?だが、それ以外にユグドラシルという言葉がない以上、同じ転生者でも前世の世界が違うということか。

 

だが、そんなことはどうでもいいか。敵対したときは闘うだけだし、この世界には自分の力を全力で出せる相手がいなく、やっと骨がありそうな者を見つけられた。

 

「いつか手合わせしたいものだ」

 

私は舌をなめずりをして楽しみに思いながら野を蹴った。

 

 

 

 

 

 


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