雑種フレンズ   作:創生路ハイローラー

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第13話 スナネコって気も利くしおもろいし、可愛い奴やな

『もうすぐ砂漠地方だよ。よかったら上の窓から見てみて』

 翌日、バスはじゃんぐるちほーを抜けてさばくちほーに入った。さばくちほーは砂と石に覆われ、乾いた空気に暑い日差しが突き刺さる過酷な地だ。

「わーい!砂が沢山あるね!」

『砂漠地方は、雨が極端に少ないから、砂、岩石が多く・・・』

「Zzz・・・」

「たてがみちゃん、ボスの話聞いてあげようよ。ほら、周りじゅう砂だらけだよ」

 サーバルは砂漠の風景を楽しむ様子もなく昼寝しているたてがみを揺さぶった。

「ウチはエェから。ちょっと乗り物酔いもするし、涼しなったら起きるわ」

 夜型生活の長いたてがみは暑い場所にはめっぽう弱く、またバスに乗っていれば勝手に移動するからと昼寝を決め込んでいる。そのかわり夜の警戒は怠らないそうだが。

「しっかし、このポンコツはもっとマシな運転はできんの?さっきから砂山を登ったり降りたりガタガタガタガタ言うて昼寝もできへんわ」

 たてがみはバスの揺れに関してボスに不満を言った。バスが地形を無視してまっすぐ進んでいるせいで、その動きはかなり危なっかしい。それにはかばんも同意しているようで、ボスに問いかけた。

「この道、大丈夫なんですか?」

『運転は任せて、任せて・・・』

「こいつに任せて上手くいったことあったっけな?」

「たてがみさんはもっと穏便にいきましょうよ」

 昨日さんざんやらかしているボスに2人が訝しんでいると、サーバルが遠くに砂嵐を見つけた。

『砂嵐だね。砂漠では珍しくないけど、砂を吸い込むと体に悪いよ。迂回するね』

 ところが、バスのタイヤが砂にのめり込んで進まなくなってしまった。

「まったく、ホンマ使えん奴やわ。とりあえず押すで」

「そうだね、たてがみちゃん」

 3人はバスを後ろから押してみるが、バスは沈み込むばかりで進まない。

「これは・・・タイヤが砂を掘り返してます。何か噛ませるか持ち上げないと無理です」

「おい!タイヤ回すの止めろ!ポンコツ!聞こえとんのか!」

「マママママ・・・」

 ボスは茫然自失状態でフリーズしてしまっている。

「来てるよ!こっちに来てる」

 サーバルが砂嵐が迫っていることを知らせた。

「あぁもう!ウチに任せと・・・」

 たてがみがバスの荷台に手をかけようとしたとき、たてがみの頭の上に何かがぶつかった。

「うぉ!?なんやコイツ?」

「お?」

 サーバルに似たネコ科のフレンズが顔を出した。それが原因かは解らないが、バスは脱出に成功し走り出した。

「サーバルちゃん!そっちの方も、早くバスに!」

 たてがみ達は急いでバスに乗り込んで、砂嵐から逃れた。

 

 

「もう大丈夫そうだね。危なかった」

「助かりました。あなたは?」

 砂漠を抜けて、かばんは改めて闖入者の名前を聞いた。

「スナネコです」

「ウワサ通りすっごくかわいいね。声もすっごくかわいい」

「サーバルもウワサ通りのドジっ子ですね」

「えぇ、さっきのは私のせいじゃないよ」

 サーバルはスナネコに弁解する。

「しっかし、何でこんなところに飛んできたんや」

 たてがみはたんこぶに水瓶を当てながら言う。たんこぶはスナネコが降ってきた際に出来たものだ。

「砂嵐が来てたから、気になって見に行って、飛ばされて、気がついたらここに」

「なんやそれ」

「ボク、気になるもの見つけると、夢中に・・・・あなたの首の襟巻、熱そうですね」

「突然話が変わった!?」

 スナネコはたてがみの首元を触り始めた。チャームポイントに注目されて嬉しいのかたてがみは自慢げに説明する。

「でも、夜は温かいで。何より目立てるし」

「・・・そうなんですか。それよりも、ライオンのたてがみなのにヒョウ柄なんですね」

 スナネコはたてがみの言葉にはそっけなく返し、今度はスカートをパタパタとはためかせながら柄に興味を示す。かと思えば、今度はバスやかばんの帽子と、コロコロと感心が移り変わる。

『スナネコの体は、熱しやすく冷めやすいと言われてるよ。フレンズ化のときに、その影響があったのかもね』

「わー、ボスが喋ってる!でも・・・騒ぐほどではないか」

「・・・ホンマ調子狂うな」

 スナネコのフリーダムさに、さすがのたてがみも閉口するのだった。

 

 

 その後、バスは岩石砂漠に移り、荒野を走った。代わり映えしない景色にたてがみは再び昼寝をしようとしていたが、車の熱がそれを許してくれない。元々熱に強いスナネコ以外は、床の暑さにも耐えられなかった。

「瓶の中の水まで暑いわ。いっそ床にぶちまけた方がエエかもな」

「そんなことしたらかえって蒸し暑くなっちゃうよ」

「じゃあ、ボクの家に来ませんか?」

 スナネコの提案に乗り、洞窟に入った。砂漠の暑さを凌ぐには十分な奥行きがあり、一休みするにはちょうどいい場所だった。さらにスナネコはジャパリまんで3人をもてなしてくれた。

「夜まで待ってもエエけど、すこぶる寒くなりそうやな」

「じゃあ、奥の穴を通りますか?」

 洞窟の奥には大きな道に繋がる穴があった。

『これは、バイパスだね』

 スナネコは穴をバスが通れる大きさまで拡げてくれた。

「まさに至れり尽くせりやな。助かったで」

 たてがみはスナネコを撫でると、スナネコは嬉しそうに喉を鳴らす。大層気持ちがよかったのかスナネコは大きな欠伸をした。

「ふぁぁ~。やっぱり昼間は眠いですね」

「同感。ウチらは先行くけど、昼間はウチと添い寝でもいいからついてけぇへん?」

 たてがみは、かばんが思わずあんぐりと口を開けるようなとんでもない言い回しでスナネコに案内を頼む。サーバルに対してもそうだが、たてがみは時々歯の浮くようなセリフを堂々と言ってのけるのだ。しかし、スナネコはあっさり断った。

「あなた達と一緒にいると飽きませんが、今度会うときまで楽しみはとっておきます。今日はここまで。また遊びましょう」

「そっか。元気でな」

 一行はスナネコと別れるとバイパスを奥へと進んだ。たてがみはかばんに膝枕してもらいながら(初じめて会った日以来、たてがみのお気に入りの場所である)、スナネコのことを振り返った。

「変なやつやったな。可愛かったけど」

「そうですね。それと、今回はスナネコさんが天然だったから良かったんですが、たてがみさんはもっと言葉を選んだほうがいいと思います・・・」

「どういうこっちゃ?」

「いえ、その・・・」

 かばんはサーバルの方をちらりと見る。先程からサーバルの機嫌が悪いことにかばんは気づいていた。あれだけたてがみを好きなサーバルが、たてがみと目を合わせないのだ。その意味はかばんにも理解できた。しかし、自分からそれを言う勇気は、かばんにはなかった。

「・・・なんでもないです」

 かばんはたてがみのもふもふした毛を触りながら目を逸らした。たてがみは喜んで目を細める。

「そっか、サーバルは?」

「私も、なにもないよ」

 サーバルは暗い道に目を向けてつまらなさそうに答えた。

「でも・・・もしスナネコちゃんが付いてきたら、バスでお昼寝しにくくなってたかもね」

「せやな。まぁ、今ぐらいがちょうどええか」

「そうだね。添い寝なら私がしてあげるもん」

 これといった考えなしに答えるたてがみと、同じく無自覚な嫉妬心を募らせるサーバルに、一人戦慄するかばんであった。

 

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