雑種フレンズ   作:創生路ハイローラー

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たてがみちゃんがDQNぶりを発揮します。


第14話 地下迷宮?ぶっ壊せばエエやろ

 バスは闇に覆われたバイパスを走っていたが、途中のカーブで何やら入り口のようなものを見つけた。

「あれ?なにかあるよ」

「なんだろう?歩いて入るのかな?」

 中は暗くてよく見えないが、奥行きはありそうだ。3人はバスから降りて中を探索してみた。入り口は大きな部屋で、紐の付いたポールが端に設置されている。

「うーん。変なところやな」

「奥にも部屋があるよ」

 サーバルが扉を指差す。そこにはバイパスの光が入らない。

「ウチが先入るわ。2人はちょっと待っといて」

 たてがみが部屋に入ろうとすると、足元に何か置いてあることに気付いた。

「なんやこれ?」

 たてがみはそれを無造作に蹴飛ばすと、中に入ってしまう。すると、背後のドアが独りでに閉まり始めた。

「たてがみちゃん!」

「しまった!」

 たてがみは慌てて戻ろうとしたが、ドアは完全に閉じてしまった。

「はぁ、なんちゅうこっちゃ・・・」

 たてがみは頭を掻きながらため息をつく。まずは目を慣らさなければと考えたが、それは杞憂に終わった。明かりが部屋中を覆ったのである。安心したのもつかの間、突如背後から素っ頓狂な声がした。

「あ゛アアァアアアア!?」

「うわっ、びっくりした」

 たてがみが身を翻すと、声の主は物凄い勢いで柱の裏に隠れた。

「なななな、なんだお前はー!」

「あんさんこそなにもんや?」

 たてがみは驚く様子もなく聞き返す。答えを聞くよりも先に、どこからともなく声が聞こえた。

『ようこそ地下迷宮へ、君は出口までたどり着け・・・うっふふふ・・・』

「なんやどっかで聞いたことある声やな?」

 たてがみは声の主にどことなく聞き覚えがあった。一方、謎のフレンズはフードのしたから目を光らせてたてがみを糾弾する。

「お、お前!そこ閉めたのか?コノヤロォーッ!」

「ん?なんか閉まってもうたわ。てか誰?」

「見れば解るだろ!ツチノコだよ!」

「すまん。知らんわ」

 たてがみはあっさりと切り捨てる。

「くっそぉ、あの扉が閉まると簡単には出られないから挟んでおいたのに!」

「挟んだって、このガラクタのことか?」

 たてがみが先程蹴飛ばした下駄を拾い上げる。するとツチノコは更に怒りを大きくした。

「やっぱりお前か!このアホ!」

「アホとはなんや!怖くて顔も出されへんくせに!」

「んだとコラァ!」

「あぁん?」

 常時喧嘩腰のツチノコに売り言葉に買い言葉のたてがみ。いい加減埒が明かないと考えたたてがみは、ツチノコの目の前までジャンプして一気に距離を詰める。口程には肝が太くないツチノコは腰を抜かせた。

「ギャアアアアア」

「そないに騒がんでエエって。ホラ、これは返すから。な?」

 たてがみは下駄をツチノコの胸元に押し付ける。たてがみにその気はないが見下されたツチノコはチンピラに絡まれたような気分で、足がガクガクと震えてしまう。

「はやく返せ!さっさと出て行け!俺は別のところから出るから!」

「その言い方やと何度もここ来てるみたいやし、道案内してくれへんか?」

 たてがみは白い歯を見せるが、かすかな血肉の臭いがしてツチノコは震え上がり断ることができなかった。

「わ、わかった!だが、絶対オレの指示に従え!いいな?」

「うん。ありがとな、ツチノコはエエやつやな」

 奇妙な2人連れは迷宮の探索を始めた。

 

 

「しっかし、ここは一体なんや?」

「昔作られた・・・遺跡だ」

 たてがみはツチノコの後ろについて歩く。ツチノコはどんどん歩いて行くが、迷う様子はない。

「随分迷いなく進むんやな」

「匂いがするからなぁ~、外の空気の」

「こんな淀んだ空気から?すごいなぁ」

「お前の鼻は飾りか!・・・あぁ、いや。ついいつもの癖が」

 ツチノコはたてがみに萎縮している。かばんがいればここでフォローを入れるところだが、たてがみは容赦なく言葉を突き刺した。

「友達いなさそうな割に声でかいよな」

「なっ・・・付き合いがないのは、UMAのステータスなんだ!別にボッチなんかじゃ」

「・・・可哀想に、寂しいんやな。気持ちはわかるで」

「話を聞け!」

 すぐ言い合いになる2人であったが、分かれ道に差し掛かると、ツチノコは足を止めた。

「ん?どないしたん?」

「こっちは出口だが、セルリアンがいるな。迂回して行く・・・」

「じゃあこっち行くわ。さっさとぶちのめしてはよ外に出よ」

「人 の 話 を 聞 け !そういう約束だっただろ!」

「あぁ、そんな約束したっけな。でもウチがいるから大丈夫や。外にダチ公待たしとるし、はよ行こう!」

 たてがみはセルリアンのいる方へ歩いて行く。セルリアンは壁の向こうにいたが、たてがみが急接近し引っかくと霧散してしまった。その手際にツチノコも舌を巻く。

「強いんだな、お前」

「当然や。さばんなのたてがみとはウチの通り名やからな」

「ほう、噂のさばんなちほーのハンターってのはアンタだったか」

「知ってるんか?」

「遺跡の調査のために図書館によく行くからな。そん時に博士から話を聞かされてるよ」

「へぇ。どんなふうに」

「もふり魔の変態悪食獣だって。これほど鱗しかない体に生まれてよかったと思ったことはないね」

「ええこと聞いたわ。博士にはよーくお礼を言わんとな」

 たてがみは博士をどうやって脅かそうか考える一方、意外なつながりに感心する。世の中が狭いのか、或いは博士の顔が広いのか。たてがみの噂は思いの外広がっているらしい。

 そうこうしているうちに、出口の一つに着いたが、そこは溶岩に阻まれて出られなかった。

「チッ、ここはダメだ。他当たるぞ」

 たてがみ達は別の出口を探して歩き回る。角に差し掛かった所でツチノコが再び足を止めた。

「セルリアンがいるな」

「さっきからどうやって解るん?」

「ピット器官ってので、赤外線が見えるんだよ」

「そっか、ちょっと片付けてくるわ」

「おい待て!そっちのセルリアンは・・・」

 ツチノコが止めるよりも早く、たてがみはセルリアンと壁一枚の距離まで近づく。しかしセルリアンはたてがみより大きく石もない。狭い通路で戦うのは困難な相手であった。たてがみに気付いたセルリアンは、壁を倒すとたてがみ達に襲い掛かってきた。

「のわぁぁあああ!なんてことしてくれるんだお前!」

「何で言ってくれへんねん!」

「お前が無視したんだろがこのタコが!」

 たてがみ達は右へ左へとセルリアンから逃げるが、行き止まりに追い込まれてしまった。

「くそっ、ここまでか」

「道がないなら、作るまでや!」

 たてがみは咄嗟に壁の薄い部分を打ち破って逃げ道を作る。

「ギャアアアアアアア!遺跡がァアアア!」

「ツチノコもさっさと来い!」

 たてがみがツチノコのフードを掴んで走っていく。

「のが・・・うぇえっ!首締まる!締まるから離せ!」

「離したら死ぬわ!もっと急ぐで!」

「ヤメロぉおおおおおおおおお!」

 ツチノコの悲鳴が地下迷宮に響いた。

 

 

「ふぅ、なんとか倒しきった」

「ぜぇ、ぜぇ・・・フザケンナ、コロス、あとで絶対コロス」

 2人はなんとかセルリアンから逃れて一息つく。漸く解放されたツチノコは恨めしそうにたてがみを睨んだ。遺跡の状態は酷いものであった。たてがみはツチノコを引き摺ったままセルリアンから逃げ回り、進路にセルリアンが現れれば出会い頭に切り裂き、壁の裏に入れば壁ごと押しつぶし、橋に追い詰められれば橋を叩き壊してまとめて殲滅した。こうしたゴリ押しに次ぐゴリ押しで(遺跡と)セルリアンは蹂躙され、たてがみが走った道には嵐が通り過ぎたかのような爪痕が残された。

「しっかし、出口なんてどこもあらへんで。アンタ一体どうやって出てたん?」

「こうなったら意地でも教えるもんか。勝手にしろ。オレは暗くても構わないし」

「うーん。困ったわぁ」

 たてがみが途方にくれていると、突然壁が倒れてその裏の扉が開いた。

「大丈夫ですか?」

「たてがみちゃん!無事だった?」

 扉の向こうからたてがみとサーバルが入ってきた。

「おう!ようここがわかったな!」

「ラッキーさんに出口の場所を教えてもらったんです」

「ラッキービーストが・・・お前、もしかして!?」

「さぁ、早く出よう。バスも待たせてあるから」

 ツチノコが何か言おうとしたのを遮って、サーバルが外に出るように促す。外に出ると、ツチノコは妙にテンションを上げていた。

「ここはヒトを楽しませるためにわざわざ作られた場所だったんだ!」

 解説に熱中するツチノコを無視して、サーバルはたてがみに詰め寄った。

「もう!心配したんだよ。あのあと扉を開けようとあれこれ試したり、かばんちゃんとボスに頼み込んで裏口の場所を教えてもらったんだよ」

「すまんな。でも、セルリアンが結構おって危なかったから、ウチだけでよかったと思うわ」

「たてがみちゃんに万一のことがあったら、私だって悲しいよ。今度からは絶対に一人で行動しないって約束して」

 サーバルはたてがみに抱き付いて上目遣いに頼み込む。たてがみに断る理由はなかった。

「せやな。サーバルの言うとおりや。絶対サーバルとかばんから離れへん」

「約束だよ」

「約束や」

「そこ!何見せつけるようにイチャイチャしてんだオラァ!」

 二人の世界に入っていたたてがみとサーバルをツチノコが指差して叫ぶ。

「そろそろバスに戻りましょう。ツチノコさんも、またお話きかせてください」

「かばんは元気でな。サーバルも、ありがとな。助かったぞ」

 かばんとサーバルの別れの言葉に、ツチノコは好意的に応えた。

「帰りにセルリアン掃除しに寄るわ。また案内頼むで!」

「二度と来るなアホ!」

 ツチノコはたてがみにそう言って、3人を送り出した。

「まぁ、久々に楽しかったけどな・・・」

 

 

「ねぇねぇ、地下迷宮ってどんなところだったの」

「ん?なんや迷路になってて、セルリアンを倒したり、壁を壊したり乗り越えたりして進んで、めっちゃ楽しかったで」

「へー、私も入りたかったなー」

「なんだか違う気がしますが、僕も今度遊びに行きたいですね」

 




おまけ その頃のアライさん

 帽子泥棒を追いかけて、アライグマとフェネックの2人はさばんなちほーからはるばるじゃんぐるちほーへと旅していた。
「この橋があって助かったのだー!かばんさんは、命の恩人なのだ!」
 途中川で溺れかかったアライさんであったが、橋のおかげでなんとか川を渡りきることが出来た。会ったこともない『かばん』を称えるおっちょこちょいな相棒と違い、冷静なフェネックは早速ジャガーに帽子をかぶったフレンズの聞き込みをする。
「それなら、さっきまであの山に行ってたよ。もう下山したけど」
「はいはいありがとね~。アライさん、聞いた?」
「聞いたのだ!すぐに山に行くのだ!・・・それにしても、橋の一部が折れ曲がってるのだ。アレのせいで溺れかけたのだ・・・」
 本来であれば四の五の言わずに山へと突進していたアライさんであったが、自分が溺れかけた原因である折れた橋桁に興味が向いた。ジャガーは快く橋を守ったフレンズの話を始めた。
「それは、たてがみが・・・」
「たてがみ!?」
 たてがみ名を聞いた途端、アライさんが血相を変えた。
「そうか・・・やっぱりアイツが、アイツが犯人なのか・・・っ」
「どうかしたの?」
「ありゃ・・・蒸し返しちゃったね」
 先程までの能天気っぷりがウソのように怒気の籠もったアライさんに困惑するジャガーと、若干にやけているフェネック。アライさんは拳を握りしめ暫く黙ったが、すぐに感情を爆発させた。
「今すぐ追いかけるのだー!」
「ちょっと、山からもう下山して・・・」
「あぁなったアライさんはもう止められないから。兎に角、情報提供ありがとね~」
 フェネックはジャガーにお礼だけ言うと、山に向かって走り出すアライさんを追いかけてジャングルの中へと消えていった。
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