雑種フレンズ   作:創生路ハイローラー

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既にお気づきの方もおられると思いますが、この小説はたてがみの主観を軸にして展開しています。

本編開始時点でサーバルちゃんとたてがみちゃんの関係がある程度固まっているのでかばんちゃん中心の本編と比較して物語全般に渡って人間関係の確変がおきており、
かばん×サーバルの話が好きな方のご期待には応えられないかもしれません。


第16話 口と口くっつけるんって、どういう意味なん?

 バスが到着するとたてがみは早速バスを降りて周りを見て回ろうとしたが、穴に足を取られて盛大に転んだ。

「だれや!こんな所に穴掘ったんは!」

「あれじゃないでしょうか?」

 かばんが指差した先に、地面に頭だけ埋まってジタバタしているフレンズを見つける。

「ちょっと待ち」

 たてがみはフレンズの足を持つと、片手で引っこ抜いた。

「ウェヘッへ・・・何するでありますか!生き埋めにしてやるであります!」

 少女は逆さ吊りのままたてがみに抗議する。

「え?オレっちたちじゃないっすよ」

「勝手に埋まっとったのはアンタやろ。ちょっと頭冷やし」

 たてがみは瓶から水をかけて頭を物理的に冷やさせた。

「わっ、冷たいであります」

「動くんやないって、とりあえずこれでエエかな?」

 たてがみは少女を地面に座らせて泥だらけの顔を拭いてやった。たてがみはきれいになった少女の頬をペチンと軽く叩く。

「ほら、これで終いやで。なかなかべっぴんさんやん」

「ふぅ~スッキリしたであります。貴女は結構いい人でありますな。お名前をお伺いしてもよろしいでありますか」

「ウチはたてがみって呼ばれとる。あっちの姉ちゃんの手伝いでちょっと森まで来たんやけど。そしたら地面が穴だらけで、あんたが埋まっとったから引っこ抜いたんや」

 たてがみがかばんたちのいる方に視線を向ける。かばん達も挨拶をすると、漸く状況を飲み込んだ少女も立ち上がって自己紹介を始めた。

「ほうほう。そうでありましたか。いやぁ申し訳ないであります。プレーリードッグであります!皆さんに挨拶をさせてほしいであります!」

 そう言うと突然プレーリードッグはたてがみの頬を掴み、唇を合わせてきた。

「んん~!?」

「「!?」」

 たてがみにキスをする様子にかばんは耳を赤くして目を覆い、サーバルとビーバーは混乱する。

「な、なんや・・・舌が入ってきて・・・頭ん中がフワフワするで」

「たてがみちゃんに何したの?」

「プレーリー式のご挨拶であります!皆様も!」

 プレーリードッグはそう言うと問答無用で3人にもキスをして回った。

「あわわわわ」

「ビックリしたっス」

「うぅ・・・口の中はたてがみちゃんにも探られたことないのに・・・」

 3人はファーストキスに三者三様の反応を示した。正気を取り戻したたてがみが、話を仕切りなおす。

「けったいな挨拶もあったもんやな。それよりプレーリーはんはどうしてここに?」

「見晴らしのいい場所に家を作ろうと思ったのでありますが、掘れども掘れども崩れてしまって・・・」

 どうやらプレーリードッグも巣作りで悩んでいるらしい。だが、こちらは家造りに悩んでいるというより、家造り自体に問題があるようだ。その証拠にビーバーの目利きにプレーリーは深く感心を示した。

「私達、木を探しに来たんだ」

「そういうことでしたら協力するであります!」

 プレーリーは快く材木選びに協力してくれた。ビーバーの指示を頼りに木を吟味しようとするが、ビーバーはなかなか踏ん切りがつかない。

「えっと長さがこれぐらいで・・・」

「とりあえず!突撃であります!」

 ビーバーが考えている間に、プレーリーは木を切り倒してしまう。後先考えずに木を掘り返してメチャクチャな方向に木を倒すのである。

「頭でっかちのビーバーに無鉄砲なプレーリー。一体何が違ってこうなるんやろう?」

 プレーリーの仕事ぶりは悪くない。しかし、がむしゃら過ぎるところがある。ビーバーは正確な思考だが、手をつける順序を組み立てるほどではなかった。

「たぶん、生活の違いじゃないでしょうか?」

 たてがみが頭を捻っているとかばんがふと呟く。

『プレーリードッグは、群れで巣穴をほって生活するよ』

「プレーリーさんはチームで家を作ってるから、フットワークは軽いですが、指示する役がいないと突っ走ってしまうんでしょう。ビーバーさんは真逆ですね」

「なるほど、ウチとかばんみたいなもんか。なら・・・」

「なになに?どういうこと?」

「つまり、ビーバーさんの見立てでプレーリーさんが実行すれば、上手くいくかもしれないです」

「なにそれ?すっごーい!」

 その後はかばんの予想したとおりだった。ビーバーがやり方を教えてプレーリーが実行する。あっという間に木材が集まり、かばん達は湖に帰ることが出来た。しかし・・・

「岩がーっ!」

「模型の模型から・・・」

 2人別々に家を作り始めるとまた作業が進まなくなった。たてがみは呆れて2人を集めた。

「はい、2人集合。ようわかった。あんたら一人で仕事させたらアカンな」

「ビーバーさんとプレーリーさん。2人一緒に作ったらどうでしょう?」

 せっかく巣作りをしているのに、2人共別々に作業しているのは勿体無い。何よりもたてがみ達が手持ち無沙汰になってつまらない。

「でも、オレっちに合わせたら時間掛かっちゃうっスよ」

「私も、ビーバー殿の家を壊してしまいそうであります」

 問題はそこである。ただ協力するなら、設計も施工も人数が限られてしまう。お互いに真逆の方向性で自信がないため、足の引っ張りあいにならないか心配なのだ。

「そうやな。そこが問題なんやけど」

「プレーリーさんは作るの専門、ビーバーさんは模型作りと指示に集中するのはどうでしょう?」

 かばんの知恵がここで働き、画期的な分業が行われることとなった。

「じゃあ、あとはどんな家にするかやな」

「えっと・・・」

 こうして案を出し合い、湖の沖合いの島に地下道を通し高床式のログハウスを作るという壮大な建設計画が纏まった。

「なんかすっごいデカイ仕事なんやけど、大丈夫か?」

「そこは2人の実力次第ですね」

「せやけど、あの島まで材木運ぶのはちょっと手間やで」

「・・・資材運びのための橋の建築を打診しましょう」

「アンイン橋の経験が役立つとエエけど・・・」

 こうしてある程度かばんが監修を行い、いざ建設が始まれば、たてがみとサーバルは力仕事を担当した。

「たてがみさん。あっちの長尺運んできてください」

「任しとき。サーバル、はいこれ」

「うみゃ、受け取ったよ!」

「たてがみさん。その資材なら個々により分けてますよ」

 身軽なサーバルがとび職でたてがみは資材運び、かばんが資材分類と、こちらも分業に加わって家造りを手伝った。皆で役割分担を行ったこともあって建築はかなりはかどり、家は無事完成した。

「おぉ」

「いい見晴らしであります!」

「寝床とか家具とかもあったら最高やな」

「これでどうっスか?」

「早!?」

「早速作ってみたであります!?」

「こっちも早!?」

 共同作業ですっかり気心の知れた仲になったビーバーとプレーリー。それを見ていると、かばんはもう一組のカップルを思い出す。その2人はと言うと・・・

「なんだか、私もお家が欲しくなってきちゃった」

「ウチはそうは思わんけどな・・・サーバルは狭い部屋で暮らしたいんか?」

「違うよ。そうじゃなくて、その・・・」

 サーバルは口ごもる。言いたいことが言葉に出来ないのだろう。かばんは、そんなサーバルに助け舟を出すことにした。

「一緒に暮らしたいってことですよ。同じ時間を同じ場所で、僕らのバスの旅みたいに」

 共に暮らすビーバーとプレーリーのように、物理的に区切られた空間で生活を共にすることで、そこで生まれる出来事を共有したい。それが、住処を同じくするということの本質的な意味ではないだろうか、かばんはそう感じたのだった。

「そう!旅が終わったら、たてがみちゃんと一緒の巣をつくって、ずっと一緒に住みたいなって。もちろん、かばんちゃんも一緒だよ」

 種族が違っても、家族のような関係でいたい、それがサーバルの願いであった。

「そういうことならオレっち達も手伝いに行くっスよ。最初にたてがみさんが手を伸ばしてくれなかったら、オレっちもこんな素敵な家、なかったっスから」

「私も!ビーバー殿に出会えたのは、皆さんのおかげであります!かばん殿も、たてがみ殿も、サーバル殿も、手助けできることがあれば不肖、プレーリードッグがいつでもお助けするであります!」

 ビーバー達も手を貸してくれることを約束してもらい、サーバルは微笑んだ。

「ねぇ、みんなも応援してくれるみたいだし・・・たてがみちゃんとなら、ずっと一緒にいたいかなって・・・」

 サーバルはそう言うとこれ以上は恥ずかしくて言えないとばかりにすぐ視線をそらした。

「まぁ、今のバスの暮らしも悪い気はせんし。サーバルとならずっと一緒でも構わへんで」

 たてがみはサーバルの頬を撫でながら言った。サーバルは大喜びしてたてがみに飛びかかった。

「え?・・・あ、ありがとう!」

「あわわ・・・そんな抱きつかんでも」

「たてがみちゃん!大好き!」

「んんんっ!?」

 サーバルはたてがみにプレーリー式の挨拶を交わした。

「サーバルまでこんなことするんか?」

「これからは、お口の中もたてがみちゃんと一緒がいいからね。おはようも、いただきますも、お休みも」

 サーバルはたてがみの腕にくっつくともう離れないとばかりに抱き付いた。ビーバー達も黄色い歓声をあげて祝福し、たてがみだけが状況を理解せず取り残された様子だった。

「なぁかばん・・・これって一体どういう状況なん?」

「たてがみさん。サーバルさんとお幸せに」

「???」

 たてがみはそのままサーバルをくっつけてバスに戻り、ビーバーが作った「大きめの」ベッドをバスに積み込んで、こはんちほーを旅立った。

 

 

 

 その頃のアライさん 

 

※この物語は架空の世界のストーリーであって、実在の人物、団体、国家及び企業とは一切関係ありません。何が何でも関係ありません。いいね?※

 

「目標が下山してたのだー!」

 アライさんはフェネックに泣きつくと、ジャパリカフェのテラスに突っ伏した。

「だからゆっくり行こうって」

 たてがみを追いかけて(わざわざ)崖を登りジャパリカフェに着いたアライさんであったが、カフェにはたてがみの影も形もなかった。すぐに下山しようと思ったのだが、フェネックが折角来たのだからと頼み込んで、カフェで一服していた。

「じゃじゃ!一杯どう?」

「一曲どうかしら?」

 店主のアルパカと、店の名物歌手であるトキが親切にもてなしてくれ、アライさんは紅茶を楽しみながら心を落ち着かせる。

「いいねぇ~」

「落ち着くのだー・・・じゃないのだ!早くしないとたてがみにお宝が奪われるのだ!」

「お宝?」

「そうなのだ!たてがみはアライさんからまたお宝を横取りしようとしてるのだ!」

 アライさんの目には大きな焦りが見えた。なぜだか知らないが、アライさんはたてがみを目の敵にしているのだ。

「そういうふうには見えなかったけどねぇ。草刈りも手伝ってくれたし」

「次はろっこーおろしでも歌おうかしら・・・」

 アルパカもトキも、半信半疑といった様子で、アライさんは相手にされない。

「ろ~っこ~おろ~しに~」

「その歌はなんだか辛くなるからやめるのだ!」

「おぉ、歌ってるな?」

「なんか出てきたのだ!」

 突然店の奥からガイドブックの表紙に載っていそうな大型のネコ科フレンズが現れた。

「私はトラだ。この歌はたてがみが歌っていたらしいぞ」

「そうなのか!道理で気に入らないと思ったのだ!」

「私の歌を悪く言わないでもらいたいな。まぁそれより、これから先はどこに行くんだ?」

「たてがみを追うのだ。多分さばくちほーに行くのだ」

「そうか、ならこれを持っていくといい」

 トラは金属製の筒を渡した。

「なんなのだこれ?」

「それねぇ、飲み物を入れるとずっと同じ温度に保てるんだよぉ」

「魔法みたいなのだー!」

「アライさんには私のマークが入ったものをあげよう。アルパカ、冷たいコーヒーを淹れてやってくれ。私のおごりだ」

「わーい!なのだ!」

 アライさんは水筒にアイスコーヒーを入れてもらった。フェネックは別のマークのものを見つけた。

「これって・・・インドゾウかしら?」

「あぁ、2種類あってね、こっちは緑茶を入れるサービスをしてるんだよね」

 アルパカが緑の葉を見せて言った。アライさんはそっちも飲んでみたいと興味を示す。するとトラは対抗してコーヒーの水筒を推し始めた。

「私はコーヒーがおすすめだぞ。ここはコーヒーが美味いし、なにせ私はゾウより強いからな」

 フェネックは暫く悩んだ後、アライさんの顔を見て・・・

「んー、じゃあ私は緑茶をもらおっかな」

「・・・・・・」

 トラの微妙な表情をよそに、フェネックはアルパカに緑茶を淹れてもらい、足早にさばくちほーへと旅立った。

 




サーバルちゃんがガチの百合フレンズになっててヤバイ。このまま続けて大丈夫なんだろうか・・・
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