雑種フレンズ   作:創生路ハイローラー

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第8話 サーバルと可愛い後輩にいいとこ見せんで!

「がいど!がいど!さばんながいど!」

 陽気なサーバルを先頭に3人はサバンナを行く。途中の道でトムソンガゼルやシマウマを見たり、セルリアンに遭遇したりしたが、順調に進み、休憩所の木陰に着くと体を休めた。

「たてがみちゃんの縄張りに到着!ここでちょっと休憩!」

 地面に寝転がるサーバル、たてがみはかばんにソファーを勧めた。

「どう?気持ちええやろ」

「はい、なんだか落ち着きます」

 かばんもソファーを気に入った様子だ。たてがみはソファーに座るかばんの膝に頭をあずけてくつろぐ。サーバルが休んでいることを確認すると、かばんはたてがみをじっくり観察した。すると、たてがみがかばんの方を見たので、かばんは驚いた。

「す、すみません。ジロジロ見てしまって」

「見られるんは慣れとるから、気にしとらんで。それより、サーバルと一緒に歩いて、どうやった?」

「えっと・・・凄く優しいフレンズさんなんだなって・・・たてがみさんも、セルリアンと戦っているとき、とってもかっこよかったです。僕は、たてがみさんやサーバルさんに頼ってばかりで、サーバルさんは励ましてくれるんですが、なんだか、場違いな気がして・・・」

 どうやらかばんは守ってもらってばかりの自分にコンプレックスを抱いているようだ。たてがみは昔の自分を見ているような気になった。

「えぇねん。ウチやって最初は勝手が解らんで、サーバルがおらんかったら今頃どうなっとったか・・・」

「たてがみさんが・・・ですか?そんな風には見えなかったですよ」

「力があっても上手くいかんことも沢山あるんや。サーバルかて別におべっかで言っとるんとちゃうで。アイツドジやから、みんなに認められようと努力して、自分の出来ることと出来へんことをよう理解しとるんや。だからこそ、出来ることには必死なるし、自分が出来んことは素直に褒められるんや」

「そう・・・なんですか」

「だから、ウチのことも助けてくれたし、かばんの事もほっとかれへん。今は焦らんでもえぇから、得意なことは図書館に行くまででも、博士に教えてもらうでもして見つけ・・・それまでは先輩のウチに頼ってエエで」

「は、はい。ありがとうございます」

 かばんは少し元気が出たようだった。たてがみもそれを見て安心する。

「あの、たてがみさん」

「ん?どないしたん?」

「サーバルさんもですが、たてがみさんも、サーバルさんのことよく見てますね」

「当然やろ、サーバルはウチの・・・ダチやからな」

「ダチ?」

「あぁ・・・昨日なんて」

「あっ、かばんちゃん、もう回復してる!」

 たてがみが昨日のことを話そうとすると、サーバルが割り込んできた。

「サーバルさん?どうかしたんですか?」

「うん。疲れたときには・・・あれがいいかなって思って。たてがみちゃん。蜂蜜は?」

「昨日全部舐め・・・」

「あぁあああ!そそそうだったね!じゃあ、お水汲みに行こう!先は長いし」

 サーバルは顔を真赤にして息を荒くする。

「サーバル、息が荒いけど、まだ休みたらんのとちゃう?」

「大丈夫だよ!泉はすぐそこだし!早く行こう!」

 サーバルは足早に丘を目指して歩いて行く。たてがみはテーブルから瓶を取り出すが、蜂蜜の匂いにつられて蝿がたかっていた。

「あぁもう!はよ洗わんといかんな!」

「それって?お水を入れたりするものなんですか?」

「せやけど、甘いもん入れると虫が湧くから、大変なんや・・・」

 たてがみは瓶を叩いて虫を追い払いながら言う。かばんはそれを見て、周りの地面を探る。丁度ソファーの下に、薄い金属製の板を凹ませたものを見つけた。

「多分、これでふたをすればいいと思いますよ」

 かばんは瓶の口に金属片をねじり込む。すると瓶が密閉され、虫が寄り付かなくなった。

「かばん・・・アンタ、すごいな!」

「あ、ありがとうございます・・・」

 

 

 その後一行は泉にたどり着き、カバと出会った。カバはかばんの気に障るような発言をしたが、たてがみにはかばんのことを頼むと言った。相変わらず素直でないフレンズである。

「セルリアンにあったら、基本逃げるんですよー!」

 さらに道を行くと、たてがみ達はゲートの近くに目印を見つけた。そこに置かれたケースをかばんがあっさり開けてしまったので、サーバルとたてがみは驚いた。ケースには2人が開けようとした引っかき傷がたくさんついていたが、中には折りたたまれた紙が入っていて、かばんにはそれがパークの地図だった事がわかった。その直後、サーバルがかすかに響く悲鳴を聞いた。

「あれは!ゲートからだ!誰か食べられちゃってるかも!」

「急ぐで!」

 サーバルとたてがみはゲートへと走った。たどり着くと、巨大なセルリアンがゲートを占領していた。

「たてがみちゃん!」

「一気に行くで!」

 サーバルとたてがみはセルリアンの前に立つ。スピードで翻弄して仕留めようとした。しかし・・・

「えぇ!?石がないよ!」

 弱点が見つけられず、サーバルは立ち往生する。するとセルリアンがサーバルの方を向いた。

「サーバル!危ない!」

 サーバルめがけて飛び込んできたセルリアンを、たてがみが爪で斬り裂いた。

「サーバル!正面はうちに任し!サーバルは弱点を探すんや!」

「うん!かばんちゃんにかっこ悪い所見せられないからね!」

 サーバルとたてがみは2手に分かれて攻撃を仕掛ける。たてがみはセルリアンの目玉めがけて拳を叩き込んだ。

「これでも喰らい!」

 たてがみはセルリアンの目玉を破壊して、一時的に動きを鈍らせる。その隙にサーバルがセルリアンの背面についた。やはり、セルリアンの石は後ろ側にある。

「あった!みゃみゃみゃみゃみゃみゃあ!」

 サーバルはセルリアンの石めげけて飛び跳ね、爪で切り裂こうとする。しかし、セルリアンはなんとサーバルが襲いかかろうとした真上に目を再生させた。

「!?避けれない!」

 セルリアンは触手を振り回してサーバルを払い除けた。

「きゃあ!」

「サーバル!」

 サーバルはなんとか着地するが、石の真上にセルリアンの目が生えたため、石への攻撃が困難になってしまった。

「くっ・・・どないすれば」

 たてがみのジャンプ力では石へ攻撃できない。触手をかいくぐって攻撃するのはサーバルにはリスクが大きすぎる。そんな時、たてがみの隣を何かが通り過ぎた。

「?」

 それは、かばんが折った紙飛行機だった。ゆっくりと飛翔したそれは、セルリアンの身体に当たってぽとりと落ちる。セルリアンの注意がこちらに向き、コアの石が攻撃できる位置についた。

「オーケイ!あとは任しとき・・・こっからはゴリ押しやで!」

 たてがみは自慢の俊敏さで一気にセルリアンと距離を取る。セルリアンは触手を使って迎撃しようとするが、あっけなくたてがみの爪の餌食となった。セルリアンはかばんの存在に気づき、そちらだけでも捕食しようと触手を伸ばすが・・・

「そっちへは行かせないよ!」

 サーバルの爪がかばんに伸びた触手を斬り裂いた。触手を全て切り落とされ、丸裸になったセルリアンに、たてがみがとどめの一撃を決めると、セルリアンは爆発四散した。

「・・・どうやら、私の出る幕はなかったようですわね」

 密かに後をつけていたカバも安心して帰っていった。かばんは呆然と立っていたが、サーバルとたてがみが戻ってくると、2人に飛びつかれる。

「あ、あの?」

「すっごーい!何あれ!」

「あれ!すごいわ!あとなんか懐かしいわ!」

「か、紙飛行機のこと?作ったんだけど・・・」

「「作った!?」」

 かばんは2人に質問攻めにあい、地図はもれなく紙飛行機になった。

 

 

 かばんが2人に紙飛行機の作り方を教えると、いよいよお別れになる。

「ありがとうございました・・・ほんとに、サーバルさんがいなかったら・・・」

 泣きそうになるかばんをサーバルとたてがみは励ます。

「かばんちゃんはこんなにすっごい技持ってるんだから、どんなところでもきっと大丈夫だよ!」

「せや、今日のエースはアンタや!また何か解ったら、さばんなに帰ってき。あと、ウチらのこと、さん付けせんでエエで。もうウチら、ダチやろ」

「わかりました!ありがとうございます・・・」

 行こうとするかばんに、たてがみは瓶を手渡した。

「これ、アンタが持っとったほうが上手く使えるやろ。持っていき」

「はい!ありがとうございます・・・それじゃあ、行きますね」

 かばんは何度も振り返りながらも、ついに決意を固めてジャングルへ向かって歩いていった。もう振り返ることはない。1日の冒険は、きっと彼女を強くして、あらゆることを乗り越える糧になるだろう・・・

 

 

トテトテトテトテ・・・ドサッ

 

「わぁぁぁああああああああああ!た、食べないでください!」

「食べないよ!」

 かばんが振り返ると、そこには別れたはずのサーバルとたてがみがいた。

「サーバルさん、たてがみさんまでどうして?」

「気になるから、ついて行こうかなって」

「かばんに影響されてもうてな。元々博士に名前を教えてもらう約束があったし・・・」

 たてがみは照れくさそうに告白した。

「あぁ、それと・・・サーバルちゃんって呼んでね。約束でしょう?次あったときの・・・」

 サーバルも期待しているように耳を動かす。かばんはそれを見て嬉しくなる。

「ふふ、さっき別れたばっかりじゃない・・・」

「細かいことはエエって。さ、行こ行こ」

 日の沈みかけた森を、かばん達は進む。辺りは暗くてよく見えないが、心強い友達がいてくれると、足は自然と前へ進んだ。

 

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