雑種フレンズ   作:創生路ハイローラー

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第9話 後輩にごちそうするで!

 その後3人はジャングルで夜を明かした。かばんは夜行性ではなく、眠そうだったので、灯りのある場所で休憩を取ることにした。サーバルが調子に乗って木を倒した拍子に、ボスが現れ、かばんに何やら話しかけていた。ボスは余程かばんが好きらしい。かばんの周りをぐるぐると回りながら喋っていたが、かばんはといえば、ボスの長話は子守唄にしか聞こえなかったようだ。かばんが眠ったことを確認すると、いつものすまし顔に戻って声一つ出さなくなった。

「ねぇ、話せたの?何でたてがみちゃんにジャパリまんあげないの?」

「サーバル、その仕事熱心な飼育員と会話しよぅ思ても無駄やって。それよか、ウチは食いもんとってくるから、かばんの事頼むわ」

「う、うん」

 たてがみはそのまま狩りに出かけた。旅の食事をどうするかサーバルは考えていないようだが、ボスがいればなんとかなるだろう。

「それよりかばんが何を食うかやな。あのポンコツに気に入られとるからえぇけど・・・」

 かばんは他のフレンズとは明らかに違うところがある。自分と同様にジャパリパークの常識が通じないこともあるかもしれない。

「ちょっと奮発してみるか・・・」

 明けの明星が輝くまで、たてがみは狩りを続けた。

 

 

 翌朝、かばんは眩しい朝日と生臭い臭いで目が覚める。見ると、そこには血まみれのネズミを銜えたたてがみの姿が・・・

「うわぁぁぁあああああ!食べないでください!」

「ん?なんか悪い夢でも満たんか?」

 たてがみは何事もない様子でにネズミを頬張る。一見普通の少女が返り血を服に垂らしながら生き物の踊り食いをしている様は、なんとも血の気の引く光景であった。

「え、えっと・・・何をしてるんです?」

「何って、朝飯やけど・・・かばんの分もあるで。ボスも準備しとったみたいやけど」

 かばんの目の前にはまだ暖かいネズミの死体や虫や樹の実と、ジャパリまんが2個別に置かれていた。かばんは迷わずジャパリまんを取って食べ始める。

「うーん。そっちがえぇか。これもなかなか癖になるんやけど」

 たてがみは残念そうな顔をする。折角準備してもらったのに申し訳ないと考えたかばんは、樹の実だけを食べた。

「これ、酸味があって口がスッキリしますね」

「やろ~。肉ばっかり食っとると臭いがひどくなるからの、これでスッキリさせんと草食動物が怖がって近づかんねん」

 たてがみはハーブの葉を噛みながら言う。

「あ、起きたんだね!」

「おうサーバル。アンタも食うか?」

「私も樹の実だけにするね」

 サーバルはもう慣れきった様子で答える。かばんはサーバルの耳元に寄ると、たてがみの行動について尋ねた。

「たてがみさんって・・・何ていうかすごい食生活ですね」

「ジャパリまんをもらってないからね。でもフレンズはむやみに襲わないから大丈夫だよ」

 たてがみに少し不信感を抱くかばんをサーバルは安心させるために説明した。

「それに、さっきの樹の実みたいに、ジャパリまん以外の美味しいものも教えてくれるんだ・・・」

 話終わらないうちにボスが現れた。

『おはよう、かばん。じゃあ出発しよう』

「うわぁぁぁああああああまた喋った!?」

 

 

 その後、ボスに事情を話すと、バスという乗り物に乗っていくといいと言うことでボスの案内でアンイン橋を目指すことになった。途中で何匹かのフレンズに出会った。その中には、たてがみを知るものもいた。

「あ、たてがみ」

「おう、フォッサ。久しぶりやな」

「知り合いなの?」

「たまにさばんなに来る奴や。元気にしとったか?」

「おかげさまでね。そっちは、噂のサーバル?」

「何でわかったの?」

「たてがみから聞いてるから。たてがみと揃ってさばんなちほーのトラブルメイカーズ」

「みゃあ!そんなことないよ!」

 フォッサにからかわれてサーバルは反論する。かばんはと言えば、フォッサの長い尻尾に夢中だ。

「たてがみ、この子は?」

「かばんや。お互い図書館に用があるから一緒に来てん」

「へぇ、遠くまで大変だね。気をつけて行きなよ」

 フォッサに見送られて再び歩きだす。

「たてがみさんって、顔が広いんですね」

「まぁ、さばんなに来てるフレンズやったら、だいたい知っとるで」

 縄張りが交通の要衝であちこち歩き回っているたてがみの存在は、おっちょこちょいのサーバルと並んで他の地方にも知られているらしい。

「でもひどいよー!たてがみちゃんと友達なのは解るけどトラブルメイカーだなんて」

 サーバルは頬を膨らませ、先程からかわれたことに不満を表した。

「まぁ、サーバルと仲いいのを皆に知ってもらっとるんは嬉しいけどな」

「そ、そんなこと」

 たてがみの歯の浮くような台詞にサーバルの顔が赤くなる。かばんもその光景を見て微笑ましく思った。

「二人って本当に仲良しなんですね」

「まぁ、初めてのダチやし」

「そうだよ。私がたてがみちゃんにさばんなのイロハを教えたからたてがみちゃんのお姉さんで、たてがみちゃんはかばんちゃんのお姉さんみたいなものだよ」

 サーバルはフフン、と鼻を高くした。

 その後も、インドゾウにぶつかったり、アクシスジカとたてがみが一緒になって岩塩を舐めたり、威嚇するコアリクイをたてがみがデコピンで倒したり、サーバルが蔓に巻かれたりしながらも川までたどり着いた。

「え?」

「これって・・・」

「マママママママママ」

「わーい!たーのしー!」

 道は川に寸断されて、かつての橋桁は、コツメカワウソが戯れる遊び場と化していた。

 

 

「あかん・・・探検終了!さばんなへ帰ろう!」

「えぇ!ダメだよたてがみちゃん!」

 あっさりと諦めて帰ろうとするたてがみをサーバルは慌てて止める。

「まだかばんちゃんの正体がわかってないのに、諦めたらダメだって」

「せやかてサーバル。川が割れへんでもない限りここは渡られへん。ウチらネコ科やし、泳ぐのは無理やて。肝心のボスもポンコツやし、ここで川が干上がるのを待つより、さばんなで生活を立てて博士を待つほうがエエと思うで、なぁかばん?」

「え、えっと・・・僕は」

 かばんはたてがみのあまりにそっけない態度に困惑した。すると、一行に気がついたコツメカワウソが川を泳いでやって来た。

「おーい!わたし、コツメカワウソ。今日は良い滑り日和だね。君たちも遊びに来たの?」

「うぅん。歩いてきたんだけど、ここで道がなくなってて。カワウソ、何か知らない?」

「ここを通る子なんてみたことないなぁ。結構前からわたしの遊び場だよ!さーて、もうひと滑りしてこよう!」

 コツメカワウソはまたすべり台に戻ろうと走り出す。このままでは図書館へいくことは叶わなくなってしまうかばんは、一縷の望みをかけてカワウソに話しかけた。

「あの!アンイン橋について、何かご存じないですか?」

 地名を言うと、カワウソは何か思い出したように振り返った。

「それならジャガーちゃんに乗せてってもらえば?あれもさいっこうに楽しいんだよ!わたしも泳げるのについ乗っちゃうもんねー!」

「その・・・ジャガーさんはいつ来られるんですか?」

「少し待ったら来ると思うよ!日向ぼっこしながら待つといいよ!」

 問題はあっさりと解決してしまったらしい。

「よかったぁ・・・川が干上がるまで待つ必要はなくなったみたいだね」

「あ、うん・・・よかったな~」

 面目が潰れたたてがみが暫く口が聞けなかったのは言うまでもない。

 

 

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