魔力が少ないのに召喚されるのはバーサーカー   作:くれ悪

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いやぁ、半年振りです。


幕間 我、英雄ナリ

焦げ臭い……、身体中の穴から水分が搾り取られる感覚がする。

 

「……はぁはぁ」

 

マシュとともに飛ばされた冬木市、美しかったであろう自然は見る影もなく全て燃えている。私たちの周りには炭化した木材やら骨などが散らばる。

 

「藤丸、いいわね。さっき言った手順で召喚しなさい。ここでしっかりと強いサーヴァントを引き当てれたらもう勝ちよ!」

 

「わ、わかりました所長」

 

所長がプレッシャーをかけてくる。内心自分がやれと思ってしまったが一応偉い人なので心の中に留めておく。

 

息を深く吸い、支給された星晶石を砕く。この星晶石を砕くと大量の魔力が生まれてサーヴァントを召喚の手伝いをしてくれると聞く。

 

呪文を唱える。

 

「素に銀と鉄。 礎に石と契約の大公。

 

降り立つ風には壁を。 四方の門は閉じ、王冠より出で、王国に至る三叉路は循環せよ」

 

魔力というものはまだよく分からない。だけどなんか凄い力が渦巻き始めたのは分かった。

 

閉じよ。閉じよ。閉じよ。閉じよ。閉じよ。(みたせ。みたせ。みたせ。みたせ。みたせ。) 繰り返すつどに五度。 ただ、満たされる刻を破却する」

 

               

 「Anfang(セット)

 

意識が飛びそうになる。光の輪が収縮する。ぐるぐると光の輪が三本回り始める。

 

「告げる。汝の身は我が下に、我が命運は汝の剣に。聖杯の寄るべに従い、この意、この理に従うならば応えよ誓いを此処に。我は常世総ての善と成る者、我は常世総ての悪を敷く者。」

 

そして、通常は使わないという呪文を挟む。

 

「されど汝はその眼を混沌に曇らせ侍るべし。汝、狂乱の檻に囚われし者。我はその鎖を手繰る者――。」

 

「なっ!しょ、所長!もしかして!」

 

「マシュ、黙ってなさい」

 

「っ!!」

 

「 汝三大の言霊を纏う七天、抑止の輪より来たれ、天秤の守り手よ!」

 

三本の光の輪が収縮して人の形を作る。

 

「……問う。君が俺のマスターか?」

 

光が収まると同時に青年が現れそう私に聞く。

 

「は……はい!藤丸立香です。私があなたのマスターです!」

 

「りつ……か……?はは、ああそういうことか。あ、すまんこっちのことだ。

ごほん。サーヴァント、バーサーカー。真名、無名。召喚に応じ参上した。俺の拳、剣は全て君に預けよう」

 

現れた青年は真っ白な髪をしており首には赤いチェックのマフラーをしており腰には西洋風の剣を携えている。そして服から覗く右手には火傷の痕が見える。

 

これが私のサーヴァント……。

 

「ちょっ!ちょっと無名ってどういうことよ!!」

 

所長がヒステリックを起こしながら聞く。

 

「……あ、懐かしい。おっと……いや、ははは。だって……ねぇ?」

 

「ねぇ……じゃないわよ!!!」

 

「まぁまぁお嬢さん落ち着いて下さいよ。これでもサーヴァントなのですから!強いよ俺〜」

 

「どうしてバーサーカーなのに喋れるのよ!」

 

「え?そりゃ俺狂化ランク低いから」

 

「さ、最悪だわ……。素人のマスターにせめて狂化によるステータスアップ狙ってたのに……」

 

あ、バーサーカーが所長の肩に手を乗せ凄くいい笑顔で

 

「どんまい!」

 

サムズアップした。……うん、それは怒るでしょ。

 

わぁわぁ騒いでるとその騒ぎにおびき寄せられたのか骸骨兵がぞろぞろと出てくる。

 

「よーーし、俺を強いって分からない。白髪女に俺の強さを教えてあげましょう」

 

「ふん!あなたなんか1発で死になさい!!」

 

「ははは、仲良いですね先輩」

 

「うん、そうだね」

 

「じゃあ、行くか。ああ、マシュちゃんはそこで見ててね?」

 

「は、はい分かりました!」

 

そう言うとバーサーカーは一気に骸骨兵に向けて走り出した。……そういえばマシュの名前って教えたっけ?

 

「うん、剣を使うまでもないな」

 

バーサーカーの身体に電気が走る。

 

そして骸骨兵を殴る、殴る、殴る、殴る、殴る、殴る、殴る、殴る、殴る、殴る、殴る、殴る、殴る、殴る、殴る、殴る、殴る、殴る。

 

「ふぅ、いい汗書いた」

 

うん、この人脳筋だね!!


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