件の場所まで行くとそこには既に誰もいなかった。ここまでで少しだけ魔物の相手をしてたからだろうか、それともそのサーヴァントがとても用心深いか。
「ダヴィンチちゃん、反応は今どこに?」
「今は、大空洞から東に進んでから少ししたら北に向かう道があるんだけどそこを進んでいるね」
「わかりました。じゃあ進もう」
そう言ってまた俺は沖田さんに担がれながら移動した。流石サーヴァントだよね。標準体型だから重過ぎることは無いとは思うけど女の子が男を担ぐって…
とにかく、指示された場所に行く途中また通信が入った。
「どうやらまたサーヴァントと接触したみたいだ。もう少しした所にふたつの反応がある。気をつけて」
言葉通り少しした所にサーヴァントがいた。1人は白銀と蒼を基調とした鎧を身に纏った騎士と、黒と赤の鎧を身に纏った騎士。
これは…
「おいおいおいおい…マジかよこれ…」
「マスター?」
「…ダヴィンチちゃん、大聖杯にサーヴァントはいる?」
「ああ、もちろんいるね」
「………」
「マスターさん、どうかしました?」
「お母さん?私達も行かないの?」
「…ここは、様子を見ていた方が良い」
俺が言った白銀と蒼の鎧の騎士、それは男性だった。
そして、黒と赤の鎧の騎士、それは女性だった。
ここで、俺のメタ知識が発動する。
女性騎士はこの特異点Fにおいて大聖杯にて待ち構えているはずのサーヴァントだ。だから俺はダヴィンチちゃんに大聖杯の所にサーヴァントはいるかと聞いた。つまり、女性騎士はセイバーオルタさんだ。
そして、男性騎士は本当にイレギュラーな存在だろう。少なくとも俺の次元ではFateGOには実装されていないサーヴァントだ。だから最初はガウェインとかの見間違いかとも思ったが、色合いが合わない。つまり、このサーヴァントは/Prototype系統のセイバー、アーサー・ペンドラゴンだ。
アーサー王VSアーサー王の戦いという事なのだろうな…これでは無駄に入る事はかなわないだろう。
………………アーサー王実装されてたら欲しかったなぁ……………
「貴女は…そうか、別の時空での私という事か」
「そんなことはどうでもいい。貴様は私の前に来た。つまり刃を交えに来たという事だろう?」
「…ああ、不穏な気配を感じたからね。洞窟の奥の方がその気配も強かったが、こちらの方も無視出来なかっからね」
「ほう…つまり貴様は私に勝つこと前提で来ているという事だな?随分と舐められたものだ」
「私もそれなりに思うところがあるからね」
そして、2人は構えを一層厳しくした。明らかに開戦目前、まさか舌戦から始まるなんて思わなかったけど、すぐ終わったけどね。
え?何で声が聞こえるのかって?割と近くに居るんだよ元々素質はあった気配遮断。多分Bくらいある。学校でも普通に気付かれずに授業が進んだ事とか普通にあるし、順番に当てられるのにナチュラルに飛ばされたりとか。という訳でジャックと2人で結構近くにいて、ほかの2人は遠めな所で待機してもらっている。
そして、2人はどちらからとは無く…ほとんど2人とも同士に動き出し正面から刃が交じりあった。
その衝撃は凄まじいものだ。たった1度だけ合わさっただけにも関わらず衝撃波で俺なんか飛びそうに…あばばばば!あぶっ!?危なっ!!本気で吹き飛ぶところだった…魔力が無ければ飛んでたな。(関係ない)
それからセイバーオルタさんが一太刀、二太刀としたのをアーサー王が受け止め、アーサー王が一太刀、二太刀としたのをセイバーオルタさんが受け止める。そんな剣同士が交わる攻防が続く。
(ジャック、もう少し下がろう。ここじゃ危険だ)
(うん、分かった)
小声で話し、少しだけさっきよりは距離を取った。その間も攻防は続く。魔力量の影響か、魔物が寄ってきたりしていたがその衝撃波で吹っ飛んだのとかいる。哀れ魔物。
そしてまた俺の直感スキルが働いた。明らかに嫌な予感を拾った。それを裏付ける証拠もある。それは2人が最初よりも大人しくなったからだ。そして2人は距離を取った。その後剣を下に下げた構えを取る。
メタ知識的にまじでやばい。
「十三拘束解放、円卓議決開始!」
「卑王鉄槌、極光は反転する。」
「ジャック逃げるぞ!明らかにまずい」
「え?…うん分かった。」
俺はジャックに担がれすぐにその場から急いで離れる。
「『承認、ベディヴィエール、ガレス、ランスロット、モードレッド、ギャラハッド』
是は、世界を救う戦いである
『アーサー』」
「光を呑め!」
「「約束された勝利の剣!!」」
片や金色に光輝く斬撃波、片や黒く悍ましく映る斬撃波が2人の丁度真ん中でぶつかり合う。その衝撃波たるや先程の剣と剣が打つかるなんて比ではない。大量の爆弾が爆発したとか、隕石が落ちてきたとかそんなレベルに相当するだろう。
斯く言う俺らもかなり距離を取ったと思っていたが吹き飛ばされた。2人で宙を舞っていたが何とかジャックを抱きかかえクッション代わりになり、俺が背中から木にぶつかっただけで済んだ。危ねぇ、折れるところだったぜ、俺の背骨が。ジャックだったら折れてたな。
「つぅ…大丈夫か?ジャック」
「うん。お母さんは?痛くない?」
「痛くないって言ったら嘘になるな。でも折れては無いっぽいからな、さほど心配するものでもないよ」
「ありがとうお母さん」
しかし、1人だったら痛みでどうにかなりそうだったけどジャックがいて良かった。いい気付けになるな。
それにしても…なんて威力だよ。
街吹き飛ぶんじゃねぇかと思ったぜ。隕石の落下地点みたいにはなってるけど。とにかく行ってみるか。
「ジャック行けるか?」
「うん」
「よし、なら行こう」
またまた俺は担がれながら移動した。…いや、今回は仕方ない急いでたし背中痛いし、ジャックの方が早いし。
現場に行くと本当に隕石でも落ちたのではないかと思うほどクレーターが出来ていた。千里眼スキルを持っていない俺にはどちらが残っているとかは見えない。もちろんジャックにも見えない。というか、クレーターの端から肉眼で確認出来ない程遠くにいるってどんな威力なんだよ!まじで街壊せるだろ。
そのまま進んでいくとようやく肉眼で見えるようになった。そこに立っていたのはアーサー王の方だった。
アーサー王は剣を地面に突き立て足元に倒れているセイバーオルタさんを見下ろしていた。気配遮断をしたまま近づいて行くとセイバーオルタさんから光の粒子が出ているのが分かった。そして、何も言わず…若しかしたら言えなかったのかもしれないがすぐにその粒子と共にセイバーオルタさんは消えていった。…心苦しい。
「そこにいるんだろう?出てきたらどうだ?」
バレていらした。
俺は観念したように、しっかりと両手をあげて気配遮断を解いた。
「驚いたな。まさかマスターまでいるとは」
「ええ、まあ、元々気配を消すというか、影が薄かったというか…」
俺に続いてジャックも気配遮断を解いた。すると、遠くから沖田さんとえっちゃんも来て俺を守るように前に出た。
沖田さんはアーサー王から目を離さず背中を向けたまま俺に話しかけてくる。
「マスター、お怪我はありませんか?」
「少し背中をうった程度だよ。そっちは?」
「私達は問題ありませんよ。マスターさん」
「そっか、それは良かった。あと、構えは解いて。交渉なり説得、言いくるめ、舌戦、言葉攻め、言葉を使う手段の時はあまり表立って敵意を見せたらダメだからね」
その言葉を聞いて2人は構えを解いた。ちなみにジャックは最初から構えてない。最初に俺が両手をあげたのを見ていたからだろう。
「その相手を前にそれを言ってしまうのはどうなんだい?」
「俺としてはあなたの事は別に疑ってませんしね、あなたの目的だって大空洞の奥にいるサーヴァントを倒すこと。そうなのでしょう?アーサー王」
「…私の真名すら知っているとは」
「あなたほど有名な英雄は少ないですからね。でも、ご自身でも分かっているでしょうがこの世界ではアーサー王、アルトリア・ペンドラゴンは女性の英雄となっている」
「そうだね。それはさっきの彼女を見て分かっていた」
「話を戻します。あなたは大空洞の奥にいるサーヴァントを倒すという目的で間違いないですか?」
「ああ。私自身どうしてここに召喚されたかはわからない。でも奥にある邪悪な気配、そしてその付近にもある邪悪な気配を見逃すことが出来なかった」
「俺たちカルデアは以前ここの特異点を修復しましたが、何らかの影響によりまたここは特異点と化しまたここを復元しなければならないのです。
そして、以前大空洞の奥、そこには大聖杯がありそこに待ち構えていたのが先程あなたがたおした。アルトリア・ペンドラゴンオルタ。通称セイバーオルタと言ったところです。本当はあなたの手助けをすれば良かったのでしょうが…俺には少し野暮なような気がして」
「なるほど、大体は理解した。つまり君が言いたいことは私を味方につけたいという事かな?」
「簡単に言ってしまえばそういう事です。余計な敵は作りたくもない、有効な関係を築けるのなら築く、利用し利用される。目的が同じなら尚更です」
「…君はわざと私の顰蹙を買うような事を言っている感じがするね。意図的に自分の評価を…いや、印象を悪くさせるようなね」
「…不器用なだけですよ。他人を信頼する経験が少なかったんで」
「そういう事にしておこう。私としても3体のサーヴァントと君を相手にするのは骨が折れる。最悪私が負ける」
「それではよろしくお願いしますよ。アーサー王」
「ああ。そう言えば君の名前を聞いていなかったね」
「鈴桜です。烏丸 鈴桜」
「そうか、よろしく鈴桜」
握手を交わした。
………………ふぅ。ほんと、こういう雰囲気は息が苦しくないよ。
とにかくエクスカリバられなくて安心した。
正直腹いせでアーサー王を出しました。
原作をあまり知らないFateGO脳な私なのでアーサー王は本当に齧り程度の知識しかありません。何かおかしな点がありましたらご指摘下さい
そして、他の感想やご指摘はいつでも歓迎しております。