東京にあるその教育機関はある特殊な専門職を育成する場であり俺にとっては仇敵ともいえる相手を育成する場所でもある。
あるコネを使わなければこうもあっさり編入することはできなかったであろう。
もっともコネが使えなければ実力行使で潜入していたが……。
「さて、彼女はどこにいるんだ?」
着いたがいいが彼女の所属する学部もクラスもわからない。
よくよく考えたら俺、彼女が此方で名乗っている名前もわからないんだよな……。
……。
仕方ない……。
先ずは職員室に行って手続きを終わらせて様子をみて彼女の情報を探るか……。
なら先ずは職員室の場所を聞かないとな……。
誰か適当な奴に聞くかな。
そんなことを考えながら一歩学校の敷地に足を踏み入れると突然銃声が聞こえてきて俺の足元に弾が撃ち込まれた。
――――バシュ
「!?」
周りを見渡すと数人の生徒がグランドで撃ち合っている。
どうやら流れ弾が撃ち込まれたようだな。
これが流れ弾でよかった……。
流れ弾じゃなければ全員殺していたところだ。
グランドを眺めているとある男子生徒が放った銃弾が狙いを外れて俺に向かって迫ってきた。
俺は慌てず、騒がず、回避せずの3原則?に従い銃弾を回避せずにその身に浴びせた。
――――ピシュ
放たれた銃弾は俺を貫き背後の校門の壁に当たって止まった。
事態に気がついたのか撃ち合っていた数人の生徒が慌てた様子で俺の側に駆け寄ってきた。
「き、君、大丈夫か?」
「救急車!!
救護科の奴を呼んでこい!!」
騒がしく騒ぐ生徒達。
俺は何事もなかったかのように平然としていた。
「問題ない。
あの程度で俺は倒れないさ……。」
自嘲気味に笑う俺を見て引く生徒達。
「俺にはどんな銃弾だろうが効かないからな……。」
あまり情報を与えたくなかった俺はそう言って彼らに逆に尋ねた。
「この学校にフォースという名の生徒はいるか?
それと職員室の場所も教えてくれ。」
尋ねると残念ながらフォースという名の生徒は知らないと言われ職員室の場所は教えてくれたが何故か生徒達は行くのを止めた。
たかが学校の職員室に行くのに何故そんな怯えて引き留めようとしているんだ?
解らないな……。
たかが学校の教師だろ?
戦場に行くわけでもあるまいし……。
数十分後
俺は激しく後悔していた。
確かに職員室には着いた。
着けたはいいが……。
そこは職員室という名の戦場だった……。
S&W M500を持ち戸を開けただけで銃撃してきた女。
タバコ?っぽい違法な薬物を吸っている中毒女。
初対面にも関わらず背後に立ったというだけで狙撃しようとしてきたイカツイ男。
オネエ言葉を口にするが何処かに隠れて姿を見せないお釜。
白衣を着て人骨?っぽい物を机に置く女性。
挙げ句の果てに校長とも体面したが……。
特徴という特徴がなく、どこにでもいそうな中年男性。
記憶に残らないようにあえてしているが残念ながら俺にはどんなに気配を消しても隠しても感じないようにしても解る。
普通の奴なら記憶に残らない透明人間みたいに感じるんだろう……。
相手が俺じゃなければ通用したな……。
「ようこそ!
東京武偵高に……。
私達は君を歓迎するよ?」
「はぁ……。
そりゃあどうも……。」
歓迎するっていいながら周りの教師は得物を出してあきらかに俺を狙っているんだけどな……。
「先ずは君の適性学部と学科、ランクを図ろうか?」
はぁ~。
ここに来てまで身体検査っぽいことをやるのかよ……。
面倒だな……。
「あとついでに君の実力試験をしたいんだが……。
相手はここの教師全員になるけど構わないかね?」
はぁ?
編入生相手に教師全員でリンチ?
この国だとそれが普通なのか?
「おっと……早速一人目が動いたようだね。」
校長の声を聞きながら視線を向けると俺に銃口を向ける女教師がいた。
コイツは確か……最初にドアを開けただけで銃撃してきた女だな。
はぁ~。
面倒なことになったな……。
「さて、死ね、死にさらせや~。」
女教師はそんなことを言ってトリガーを引いた。
発射された弾は俺の左胸の位置に当たりそのまま通過して背後の壁にめり込んだ。
「!?」
驚愕した顔をする教師達。
「……。
今、何をしたんだ?」
それまでの雰囲気を変えて質問してきた校長。
「……。」
言うか言わないか迷いながら俺は話すことにした。
数多くある能力の一部とはいえ本当ならまだ誰にも言いたくなかったんだが彼女と会うためには下手に騒ぎを起こして警戒されたくなかったしな……。
「わかりましたよ、答えます。あれは俺の能力で『透過』ですよ……。」
ま、俺の能力の中でもあまり希少価値はないけどな……。
「透過だって……!?」
驚く教師達。
「ええ、物体をすり抜ける能力です。」
「超能力者だったのか?」
ん~。
ただの超能力者じゃないんだけどな……。
どちらかというと人工超能力天才《ステルスジニオン》っていう感じかな?
まぁ、話す気ないけどな……。
「G《グレード》はいくつかね?」
G?
えっと……超能力者を図る力の大きさだっけか?
えっと……。
「確か……。
Gは30くらいだったと……。
興味なかったんではっきりとは覚えてませんが……。」
ちなみに測定の時は透過しか使っていない。
正確な数値は俺にも解らない。
「……。
これほど驚いたのは久しぶりだ……。
よく武偵高に来たな……。
あらためて歓迎するよ……。
ようこそ!!
東京武偵高へ!!」
この日から俺の武偵としての日常は始まった。
もう1つの仕事との兼任になるが彼女と再び過ごす為なら俺は武装探偵になる!!
闇の中を歩く俺が正義の味方?になるなんて皮肉だけどな……。