私は昔からとても引っ込み思案だった。
一日中家で絵本を読んでは絵本の世界に自分を沈める。
時には桃太郎のお供を、時には竜宮城のキレイな魚、三匹の子ぶたをいじめるオオカミになったりもした。
でも、絵本を読み終わるとちょっぴり寂しい気分になる。
でもそんな時はお祖父ちゃんに絵本のお話を、自分がいた世界のお話をする。
するとお祖父ちゃんはとてもニッコリしながら自分のことのように聞いてくれる。
そして、私が話終えたのを見て、決まって「それは良かったねぇ。楽しかったねぇ。」と言ってくれた。子供の、独りぼっちだった私にはその言葉がとても染みた。
そんな大好きだったお祖父ちゃんも私が中学生に上がる少し前、死んでしまった。私の制服姿を見て、いつものように笑ってくれていたお祖父ちゃんが、次の日には目を開けていなかった。
私はとても悲しかった。涙が止まらなかった。
お祖父ちゃんが亡くなって1週間、気持ちの整理もつき、お祖父ちゃんの遺品整理を始めようとしたときだった。
お祖父ちゃんのことを想いながらお祖父ちゃんの遺品の愛読書に手を触れた瞬間、私は妄想の世界に沈んでいった。
「ねぇねぇ、お祖父ちゃん、その本は何?」
「これか?これはとても悲しい本じゃよ。」
「じゃあなんでお祖父ちゃんはいつもその本を読んでいるの?」
「この本が好きだからじゃよ」
「悲しい本が好きなの?お祖父ちゃんは変ね」
「確かにこれは悲しい本じゃ。でもの、この本に出てくる娘をミサと重ねてしまうんじゃ。だからこの本が好きなのかもしれんな」
「その本に出てくる娘さんはどんな人なの?」
「頭が良くて、みんなに優しくて、とっても美人な娘さんじゃよ。」
「じゃあ私もその人みたいに美人さんになれるかな。」
「あぁ、ミサなら必ずなれるとも」
「うん!」
ミサはとても久しい感覚に包まれていた。
(あぁ、今はあの時と同じ感じなのか…)
昔から体験していた、妄想に落ちる時の感覚だ。これを感じなくなったのはお祖父ちゃんの本を触ってからだあの時のあれは一体…
気づくと目の前には母親がいた。
とても忙しなくキーボードを鳴らしている。
どうやら仕事中らしい。
「青葉さん、ちょっと」
「あ、はい。今行きます。」
(私の母はこんな風に働いていたのか…)少し母を見直した。
(今度は…教室かな?)
母は何十人もの学生の前で教鞭をとっている。
「ここは……で……だから……えっと………。」
「センセー!何言ってるか分かんねぇ!もっとちゃんと喋ってよ!」
「そ、そうね。ごめんなさい……」
「………」
(私の母はあんなにもの人の前で喋っていたんだ…)
母親に憧れを抱くと同時に少し親近感が湧いた。
(今度は音楽室?)
母は辺りを気にした様子でピアノの前をうろちょろしている。
「えっと…必要なものは、ちゃんと入れたわね。でもこれ一体なんの書類なんだろう…いけない!余計な詮索はしないお約束!」
「でもあの子ほんとに大丈夫なのかぁ……」
「まぁいいわ。私は私の仕事をするだけ!暗証番号は私が勝手に決めて良いんだよね!うーん…どうしよう。そうだ!ミサの誕生日でいいじゃない!」
そう言うと母は急いで箱に埋め込まれたダイヤルをカチカチと鳴らし始めた。
(あの箱!私達がさっき見た!)
と考えると同時に自分の周りが突然ブラックアウトしテレビの砂嵐のようなものが流れ出した………
「ミサ…大丈夫か?おーい…」
「ホントにミサちゃん大丈夫かな…」
「「……………」」
………ガバッ!
「うおっ!びっくりした!大丈夫なのか?ミサ」
「え、えぇ、大丈、夫」
「それより、さっきの、箱、見せて、」
「え?はい、箱だけど…どうするの?」
カチカチカチ……カチャ!
「え!?なんで!?どうして分かったの!?」
「母さんが、暗証番号、私の、誕生日に、してた、から、」
「うん?どういうことだ?」
「さっき、夢を見たの、お母さんの、夢。その時に、この箱を、お母さんが、何かを入れて、鍵を閉めるとこ、見たの。」
「それは本当に夢だったか?」
「……分からない。」
「でも、お母さんは、もう死んじゃってるから、夢、だと思う。」
「まさか…ミサ…お前…」
「ねぇユウくん!どういうこと!?」
「お前達、『サイコメトリー』って知ってるか?」
「うん。えっ!?じゃあミサちゃんサイコメトリー使ったの!?」
「かもしれん。サキの言ってたことあながち間違いじゃなかったのかも…」
「どういう、こと?」
「あいつ「『異脳』ってことはさ!頭おかしい集まりなんじゃない?」って言ってたろ?」
「あ…もしかして、」
「そう、俺達は頭じゃなくて脳が常人とは違うんだよ…みんな何かしらの力を持っているそれがミサの場合『サイコメトリー』だったって話じゃないか?」
「だからネオは僕達のことをひとくくりにして、『Numbers』って言ったってこと?」
「あぁ、つまり俺達も何かしらの力を備えてるってことだ…まだどんなもんかは分からないがな」
「でもミサちゃん!凄いよ!こんな事が出来るなんて!」
「ミサ、2つ確認させてくれ…普段はこんな事ないんだよな?」
「うん。もちろん」
「今までこんな事あったか?」
「うん。1度、お祖父ちゃんの、遺品に触った時に。」
「なるほど…サイコメトリーの発言条件は
1.物体に触ること
2.持ち主に深く関わりがある
3.持ち主が亡くなっている
これが条件なんじゃないか?」
「うん、そうだと、思う」
「あ、そういえば箱、開けただけで中身見てなかったね…」
「なんだ…紙?」
「うん、母さんが、書類だって」
「…………!?」
「こ、これは…」
「写真…?」
「マジかよ……ネオの狙いって……とにかく…職員室だ…行ってみるしかない!」
「や、やだよこんなの!だ、だって…」
それ写真は扉の隙間から這って外に出ようとする…………
血塗れの少年だった………
はい!いかがでしたでしょう!めっちゃシリアスな回になりましたが、個性の発現、血塗れの少年の写真、これから5人はどうなるのでしょう…作者すら分かりません笑
ですがなんとか書いていくのでこれからも楽しみにして頂けたらと思います!
ここまでの閲覧ありがとうございました!