スクストZ!-memory of hydrangea -   作:ドットフロント

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中篇 サトカ激震!目覚めろ最強パワー!

午前五時、まだ日が上り始めでかすかに明るくなっていたころ、サトカとアコは学園横の歩道で合流した。

 

サトカ「さて、あの手紙に書かれた重要データとは?」

アコ「このSDカードを見ればわかるのだ。サトカっちと話したあの後、もう一度隠し扉の中に入ったのだ。そしてとうとう、決定的証拠を掴んだのだ。ショコラデのメンバーが実験材料にされている場面を!」

サトカ「やはり・・・!」

 

そして、サトカがアコからSDカードを受け取った、そのときだった。

 

サトカ「危ない!!」

アコ「はにゃ?!」

 

サトカは真上からいやな気配を感じアコを突き飛ばした。サトカがバックステップでその場を離れると、その直後

2人がいた場所で爆発が起きたのだ。

 

サトカ「アコさん、大丈夫ですか?!」

アコ「こっちは大丈夫なのだ!」

サトカ「爆撃とは、こちらの動きを捉えられたようですね・・・次が来る!ひとまずここを離れましょう!」

アコ「はいなのだ!後で合流するのだ!」

 

サトカとアコは再び襲い掛かってきた爆撃を避けつつそれぞれ反対方向に逃げていった。

 

 

サトカ「ここまで来れば見失ってくれたですか・・・」

 

サトカはとにか学園中を走り回り、敵の気配が消えたことを確認してアルタイル・トルテの寮へと戻った。ふとパトリで時間を確認すると、画面は七時と表示していた。

 

サトカ「2時間も走り続けていたのですね・・・」

 

本来サトカは体力がある方とはいえないのだが、この時のサトカは2時間も走り続けいたにもかかわらずそこまでの疲れを感じていなかった。

 

サトカ「これもやはり、超エテルノ人という存在に近づいているからなのでしょうか・・・」

 

サトカはふと自身の右手を見ると、その手に見える紫色の炎の揺らめきが以前よりも濃くなっていることに気付いた。そして、サトカはアルタイル・トルテの寮内の異変に気付いた。

 

「・・・誰もいない」

 

寮の中に人の気配が感じられなかった。本来ならばこの時間は朝食を取っている最中のはずである。サトカを探しているにしても、サトカがここに戻ってくることを考えず全員が探しに行くとは考えにくかった。そしてサトカはもう一つ気付いた。

 

サトカ「私が逃げている最中も、誰にも会っていない・・・私が鮮明に人の気配を感じられるようになっているのに、アコさん以外の気配さえなかった。」

 

エテルノでは朝方でも誰かが散歩していてもおかしくない。それに加えほかのチームの寮の前を通ることもあったが、寮の中にさえ人の気配を感じなかった。

 

サトカ「・・・いや、丁度いいです。ここでデータを見てしまいましょう」

 

サトカはアコから受け取ったSDカードをパトリにセットし、その中のデータを見ることにした。そしてその中には、信じがたい映像が収められていた。

 

サトカ「こ、これは・・・!」

 

 

サトカがデータを確認した後に向かった場所は五稜館学園三階、隊長のいるマイルームであった。サトカはノックもせずそのままドアを開ける。マイルームのテーブルの上、そこに黒猫の姿の隊長がいた。

 

隊長「サトカ、どうしたんだ?」

サトカ「このエテルノで行われていること、全てアコさんから聞かせていただきました。どういうことか、説明をいただきたいのです。」

 

隊長を睨むサトカ。隊長はそんなサトカを邪険にするような表情をした。

 

隊長「やれやれ、あれだけ口外厳禁と言い聞かせていたのだがな・・・」

サトカ「やはり、本当でしたか・・・」

隊長「あぁ」

サトカ「では聞かせていただきましょうか。まず、超エテルノ人とは何なのですか?」

隊長「通常の人間がたどり着けない領域に足を踏み入れた存在のことだよ。メモカの力を必要としない、生身でどんな境界の人間よりも強い存在となったもの、それが超エテルノ人だ。そして、君こそその超エテルノ人となろうとしているのだよ」

サトカ「やはり私が特別な力に目覚めようとしていること、既に気付いていましたか」

 

サトカの右手に紫色の炎が浮かぶ。それを見た隊長は話を続けた。

 

隊長「超エテルノ人、またはそれに準ずるパワーに覚醒する存在は非常に限定される。それらを探そうものなら、砂漠の中で一粒の砂金を探すようなものだう・・・そこで我々は、探せないのならば生み出せばいいという結論に至ったのだ」

サトカ「それが、この実験だというのですか!」

 

サトカは自分のパトリの画面を隊長に見せた。そこにはアコから渡されたデータの中にある映像データが、「因子」を流し込まれ、荒廃した境界で暴れ回った果てに次々とエネルギーの暴走で爆発四散するショコラーデ・ミラのメンバーが映し出されていた。

 

サトカ「なぜこのような実験を容認したのですか!こんなことに何の意味があるというのですか!」

 

サトカの言葉には明らかに強い怒りがこもっていた。しかし隊長は気にも留めず続けた。

 

隊長「強い力を持たなければ生き残れないからだ。全境界に存在する脅威はごまんといる。その中で生き残るためには力を持つしかない。何物にも負けぬ力をな。もちろんそれが一人や二人では足りない。大きな軍隊レベルでなくてはな」

 

サトカは隊長の態度に怒りで手に力が入る。それでも怒りを抑え、質問を繰り出していく。

 

サトカ「・・・ではなぜ私の力に気付きながら、今まで私を放置していたのですか?」

隊長「もしこの計画に気付こうものならば、その力で計画を妨害するだろう?だからそうなってもいいように成功体が現れてから君を誘うつもりだったのだ」

サトカ「当然ですね。では、なぜアコさんをあの隠し部屋に入れたのですか?」

隊長「そもそも超エテルノ人の存在を発見したのが、アコなんだ。とある境界を探索中、今までにないような強い反応が次々とオブリを消していくのをアコが観測したのだ」

サトカ「それで、アコさんの発見したその存在を利用するために、この計画を考案したと」

隊長「そうだ。そしてこの計画のほとんどは、モルガナによって進められていた」

サトカ「モルガナはどこに!」

隊長「さぁな。だがたった今行われた実験によって因子が完成したと言っていたから、おそらく隠し扉の中か・・・」

 

たった今おこなわれた実験、という言葉を聞いてサトカはハッとなる。

 

サトカ「その実験とは・・・?」

隊長「このエテルノに残ったずべてのストライカーに一度に因子を流し込み、因子に適応した存在から因子を取り出すことだ」

サトカ「では、今朝から皆さんの気配を感じなかったのも・・・!」

隊長「そうだ、アコ以外は皆因子を流し込まれ、別の境界に送り込まれたのだ。すでに全員死んでいることだろうな」

サトカ「隊長、あなたはストライカーを見守るべき存在だったはず、なのになぜ死なせるようなことを・・・!」

隊長「この計画が始まった時点で、ストライカー達はただの実験材料に過ぎなかったよ」

 

隊長の話を聞いたサトカは一瞬唖然とした。そんなサトカをよそに隊長は、テーブルに仕込まれていたサトカを排除するための装置を起動させるスイッチを押そうとした。

 

隊長「話しは終わりだ。すべてを知ってしまった以上、お前も生かしておくわけにはいかない」

サトカ「・・・!!」

 

そのとき、サトカの怒りが爆発した。

 

サトカ「う、うおあぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!!」

隊長「なっ?!うおぁ?!」

 

怒りの咆哮を上げるとともに自らの中の気があふれ、部屋の中で暴風を巻き起こす。窓が割れ、家具もガタガタと震え、隊長の座っていたテーブルもひっくり返り、その拍子に隊長も床に転げ落ちた。サトカの全身が紫色の炎のような気で包まれ、すさまじいエネルギーを放出し空気さえも震わせていた。

 

隊長「な、なんだと・・・!純粋な超エテルノ人は、ここまでの力を持つのか!」

サトカ「あなたは・・・あなたは!!」

 

サトカの右手に激しく燃え上る力が収束する。その右手の指を剣のように揃えると、隊長のいる前面に大きく横に薙ぎ払うように振り、爆炎のような気の波導を放った。

 

隊長「!!!」

 

サトカの攻撃により、激しい爆発音を上げて部屋の窓側の壁が吹き飛び、部屋の中もすべてのものが燃え尽き、何もなくなっていた。サトカの目の前にいたであろう隊長も、サトカの攻撃によって声を上げることもできずに跡形もなく消滅した。

 

サトカ「はぁ・・・はぁ」

 

急にエネルギーを使い、汗を流し息を荒げるサトカ。しかしすぐに次の行動に移る。

 

サトカ「アコさん・・・!」

 

サトカは壁が消え去り外が見える所から飛び降り、地面に着地した。普通は高所から飛び降りようなどとは考えないところだが、サトカの目覚めた力がそれを無意識の中で平然と成せると思わせ、実行させたのだ。

 

アコ「サトカっち!」

サトカ「アコさん!」

 

サトカの着地と同時に、敵から逃げ切り爆発の様子を見に来たアコと合流することができた。

 

サトカ「無事ですか?何か、されたとかは・・・?」

アコ「大丈夫なのだ!あの後攻撃をかいくぐって、ステラプリズムに細工をしてきたところで隊長の部屋から爆発音が聞こえてきたから、様子を見に来たのだ。」

サトカ「隊長は私が殺しました。して、細工とは?」

アコ「それは・・・」

 

そのとき、サトカは自身の背後で今まで感じたことのないおぞましく強烈な気配が迫るのを感じた。その気配はあっという間サトカとアコに迫り、2人の前に現れた。

 

モルガナ「やはりここでしたか。気を探索できないという欠点、解消する必要があるそうですね」

サトカ「モルガナ!」

 

強烈な気の正体は大人の姿のモルガナであった。サトカはモルガナに、自分と同等以上の力を持っていることを感じ取っていた。

 

サトカ(なんだ、あのモルガナの持つパワーは・・・。まるで私が持つものと同じような。まさか、あのモルガナも超エテルノ人なのか?)

モルガナ「フフ、驚いているようですね。そう、今の私は人を強化する因子を完成させ、それを自身にとりこんだ状態。そうですね、さしずめ「スーパーモルガナ」とでもいいましょうか」

アコ「ばかな!あの因子の完成は向こう2年はかかるといわれてたはずなのだ!まさか・・・!」

サトカ「私とアコさん以外のフィフスフォースを同時に実験することで、期間を大幅に早めたとでも?!」

モルガナ「そうです。そして発見したのですよ。フィフスフォースの中にただ一人だけ、因子に完全に適合した人物を。美山椿芽、彼女だけは因子の力を自分のものとして生き残った。私は再び彼女を拘束し、その完全に人間の身体に適合した因子・・・「適合因子」を取り出し、彼女を始末した。そしてその因子のデータを取ってから、自身に適合因子を取り込んだのです」

アコ「どうしてなのだ!この計画は、この境界を他の脅威から守るためという目的のはずだったのだ!」

サトカ「そうです、それに、すべての計画はあなたが仕組んだとも隊長は言った。なぜそんな力が必要だったですか!」

モルガナ「私が全境界を支配するためですよ!まぁ、隊長にはこの世界を生き残らせるためという建前を繕いましたが」

 

モルガナの話を聞き、サトカは再び怒りで全身に紫色の炎の気を纏わせる。

 

サトカ「そんな計画に利用した挙句、皆殺しに!許さない・・・!」

 

サトカがモルガナに向かっていこうとしたその時、アコが口を開いた。

 

アコ「サトカっち。元をたどればこの惨劇の原因はアコっちなのだ。超エテルノ人なんて存在を見つけなければ、こんなことには・・・」

サトカ「アコさん・・・」

 

サトカはモルガナを見たまま、アコの言葉を聞き、そしてサトカも言葉を返す。

 

サトカ「アコさんは悪くないですよ。超エテルノ人の発見なんて本当に偶然で、アコさんはそれをこの世界にとっていい方向に使ってほしいと願っていたんですよね。ですから、アコさんは悪くないです。本当に悪いのは、目の前にいるこいつです・・・!」

アコ「サトカっち・・・!」

サトカ「アコさんは先に別の境界に逃げてください。そして、生き残って助けを呼んでください。こいつは私が足止めをします」

アコ「そんな・・・!」

サトカ「早く!」

アコ「ら、らじゃ!」

 

サトカに促されその場を離れるアコ。サトカは最後までモルガナから目をそらさなかった。

 

モルガナ「友達との最後の会話は終わりましたか?あなた方にも、私の糧になっていただきましょう」

 

アコとの会話を終え、サトカはモルガナとの戦いに向かう。モルガナの気を深く感じ取ると、モルガナが真っ黒に燃え上る気を纏っているのが見えた。

 

サトカ(力の差は歴然・・・。もとより死ぬ気、しかしどこまで足止めできるか)

モルガナ「死ぬ覚悟はできているようですね。では、行きますよ」

 

圧倒的な敵との力の差を感じ緊張と恐怖で汗を流すサトカに対し、モルガナは余裕の笑みを崩さずサトカに向かってきた。

 

モルガナ「はぁ!!」

サトカ「でぇぁ!!」

 

2人同時に拳を突き出し、その拳同士がぶつかり合う。それにより激しい衝撃が旋風を起こし、木々は大きく揺れ、空気が震えた。

 

サトカ「うっぐ・・・!」

モルガナ「ふふ・・・」

 

自身の拳に激痛を感じるサトカ。しかしモルガナは表情を変えることなく次の攻撃の手に出る。

 

モルガナ「これはどうでしょうか?」

サトカ「はっ?!」

 

モルガナの左拳でのパンチをサトカは両腕をクロスさせ咄嗟にガード、モルガナは攻撃の手を緩めず次々と両拳で攻撃を繰り出していく。モルガナの猛攻にサトカは反撃できず防戦一方となった。

 

モルガナ「どうしました?防いでるだけでは私は倒せませんよ?」

サトカ「くっ、このままでは!」

モルガナ「ほら、そこです!」

 

モルガナがサトカのガードの隙を突きサトカの腹に重い一撃を叩き込む。

 

サトカ「がぁっ・・・!」

モルガナ「ふふ♪いいですねぇ!」

 

モルガナの拳がサトカの腹に深く突き刺さる。軋むような音を立てるサトカの身体に手ごたえを感じ、モルガナは追撃の回し蹴りをサトカの顔めがけ放った。

 

モルガナ「はぁ!!」

サトカ「だぁぁぁっ!!」

 

顔面に強烈な一撃を受けたサトカは大きく吹っ飛び、そのまま地面に叩きつけられた。モルガナは倒れたサトカに迫ってゆく。

 

サトカ(やはり、力の差が大きすぎる。それでも・・・!)

モルガナ「もうおしまいですか?純粋な超エテルノ人、その力をもっと見せてください」

 

モルガナは両腕を大きく広げ、サトカに攻撃を促す。

 

サトカ「挑発のつもりですか。言われずともいきますよ・・・!はぁ!!」

 

サトカもすぐさま立ち上がり、モルガナに飛び込んでいった。サトカはとにかく何か攻撃を当てようとパンチやキックを繰り出していくが、モルガナは余裕の表情を崩さずそれをかわしていく。

 

モルガナ「もっと攻めてきてもいいのですよ?」

サトカ「このぉ!!」

 

モルガナの挑発により、サトカの攻撃の勢いがさらに増す。そして連続攻撃をかわされ続けてきたサトカだが、ついにサトカの渾身の正拳がモルガナの顔面に直撃した。しかし・・・。

 

サトカ「くっ・・・!」

モルガナ「まぁ、こんなところでしょうね」

 

顔面への直撃をものともせず、なおも余裕の笑みを浮かべるモルガナの顔を見て、サトカはそれでも負けられないという思いを奮起させると、そこから飛び上がりモルガナの真上を取った。

 

モルガナ「フフ、せいぜいあがいてください!」

サトカ「お前なんかに、やられるわけにはいかないですよ!!はぁぁぁー!!!」

モルガナ「何っ?!」

 

サトカは真下のモルガナを視界に捉えると、隊長を焼き払ったときのように右手に気を収束させ、それを大きく横に切り払うように振り、気の爆炎を放った。爆炎はモルガナとともに木々や地面を焼き尽くす勢いで燃え上り、同時に激しい衝撃と旋風を起こした。

 

サトカ「はぁ・・・はぁ・・・」

 

爆炎が収まり、黒い煙があたりを包むところからやや離れた位置に着地し、そのまま片膝をついた。全力の攻撃を放ったサトカの消耗はすさまじいものであった。

 

サトカ(これだけの威力を出せば、少しは堪えるはず・・・!)

 

しかしサトカの思惑とは裏腹に、黒い煙の中から見える人影がサトカに近づいていく。煙が晴れ、その中にいた人影、モルガナが現れる。その姿はやや傷が見えるものの平然そのものであった。

 

サトカ「あ、ああ・・・」

モルガナ「ふふ、やればできるじゃありませんか。この私にかすり傷をおわせるとは」

サトカ「そんな・・・化け物ですか・・・!」

 

驚愕の表情を浮かべるサトカ。モルガナはそんなサトカの姿を見ながら自身の提案を告げた。

 

モルガナ「澄原サトカ、私と共に来る気はありませんか?あなたの力は発展途上。その未知の力があれば、私と共に全境界を支配するなど造作もないことでしょう。あなたには将来性があります。その力、ここで潰すのは惜しいものですよ」

サトカ「・・・」

 

サトカは膝をついたまま動かず、モルガナを睨む。そして迷いも恐怖もないまっすぐな瞳でモルガナに答えを返した。

 

サトカ「そんなことは死んでもお断りですよ。そして私が死んだとしても、お前の野望が叶うことはないでしょう。あの時見た緑色の彗星、同時に感じた私の中に溢れる力。あの彗星も私と同じ、超エテルノ人のような超越した力だと、確信しているです。今思い出しても、あの彗星から感じた力はお前の力をはるかに上回っていた!だから・・・!」

モルガナ「そうですか、では残念ですが、あなたとはここでお別れですね!その彗星とやらのことも、あとで調査しておきましょう」

 

モルガナの拳に黒い気が収束する。サトカはいよいよ自分にとどめを刺しに行くのだと理解した。モルガナの攻撃から逃げねばならない。しかし、サトカの身体は疲弊とダメージで動かない。

 

サトカ(ダメだ・・・体が動かない、こうして立っているだけでやっとだ・・・ここ、までなのか・・・)

モルガナ「さぁ、お別れです!!!」

 

モルガナの黒い気を纏った拳がサトカの顔めがけて放たれた。

 

(ドガォッ!!)

 

激しい打撃音。しかし、サトカの身体に痛みはない。モルガナの拳は確かに直撃した。サトカとは別の、突如としてモルガナとサトカの間に割って現れたものに。その突如現れたものの姿に、サトカは驚愕した。

 

モルガナ「!!」

サトカ「あ、アコ・・・さん?」

 

それは逃したはずのアコだった。アコの胸にモルガナの拳が突き刺さり、拳に宿る黒い気が、拳が当たった場所を焦がしている。アコがモルガナの攻撃を受けて、倒れかかった刹那、アコはサトカの方に首を振り向いた。アコの顔は口から血を流しながらも、笑んでいた。

 

サトカ「アコさん、どうして・・・!」

モルガナ「邪魔が入りましたが、すぐにあなたも仲間の後を追わせてあげますよ!!」

 

自身の代わりに犠牲になったアコを見て、サトカは悲しみに顔を歪める。しかしモルガナはアコが倒れるのを待たずに、アコの横を素早く抜けて再びサトカに襲い掛かる。そのとき、サトカはアコの右手に力が抜け、そこから鮮やかな青色のボールが零れ落ちるのを見た。その瞬間、青いボールはまぶしい光を放ちサトカとモルガナの視界を光で満たした。

 

モルガナ「なっ!?」

サトカ「?!!」

 

その光が放たれた瞬間、モルガナは青いボールの放つ光に弾き飛ばされるように大きく吹っ飛ばされ、サトカと距離が離れた。それとは逆にサトカは、全身を強い力で引き込まれるように青いボールに吸い込まれていく。

 

サトカ「う、うおぉあぁぁぁぁぁぁ?!!」

モルガナ「な?!何がおきているのですか!」

 

すぐに青いボールの方を見ようとするモルガナだったが、強い光に目を開けることができず、ただサトカの悲鳴を聞くことしかできなかった。そして、サトカを吸い込んだ青いボールは、彗星のような炎を纏いロケットのように飛び上がり、そのまま空の果てに消えていった。強い光を放つ青いボールが消え、目を開けるモルガナ。そこにはサトカの姿はなく、ただ瀕死の状態で倒れるアコの姿しかなかった。

 

モルガナ「高嶺アコ!あなた、一体何を?!!」

 

倒れるアコに詰め寄るモルガナ、アコはすでに目の前さえも見えないほど衰弱していた。

 

アコ「強制・・・境界移動装置・・・うま、く・・・起動、してくれた、のだ・・・」

モルガナ「強制境界移動装置?!いつの間にそんなものを・・・!フン、すぐにでも追跡を・・・」

 

モルガナがサトカを追うべく境界移動をしようとしたその時、突然激しい地震が起き始めた。モルガナはその揺れに立っていることもできず、状況を把握することもできなかった。

 

モルガナ「な、なんですかこれは・・・!」

アコ「に、しし・・・。アコっちが、ステラプリズムに、細工をして・・・移動装置が、起動、したら・・・自動的に、暴走する・・・ように・・・」

モルガナ「な、なぜそんなことを?!そんなことをしたら、この境界そのものが消滅する危険もあるのですよ!」

アコ「始めから・・・そのつもり、なのだ・・・!これで、お前は・・・ここから、出られない!・・・お前も、あたいと、一緒に・・・あの世に・・・!」

 

そして地面に亀裂が入り始め、五稜館学園が大きな音を立てて崩壊。それに伴って亀裂が大きくなっていき、そこから強い光が放たれる。アコの倒れている地面にも亀裂が開き、アコは亀裂に落ちていく。その刹那、アコの脳裏にはサトカの姿があった。

 

アコ(サトカっち、あたいを逃がしてくれたのに、ごめんなのだ。でも、サトカっちを助けられてよかったのだ。・・・サトカっち、どうか、生きて)

モルガナ「く、くそぉぉぉぉぉっ!!!!!」

 

モルガナの雄たけびとともに、世界は光に包まれる。そして、その境界は星の爆発のように粉々に砕け、消滅した。




ほい、サトカです。アコさんが命を懸けて私を逃がしてくれた。救われた命を無駄にはできません・・・

しかし、私はどこにたどり着いたのでしょう・・・?!あ、あなたは・・・!

次回 スクストZ!

託された希望!その名は超エテルノ人!!

絶対みてくださいね
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