スクストZ!-memory of hydrangea - 作:ドットフロント
深い森の中にある広い湖の中心で、2人の戦士が相対す。片方は異世界より助けを求めるものを守るべく超エテルノ人の力を解き放つZチャンネルの高嶺アコ。片方は異世界から逃げたものを抹殺すべく禍々しき力で迫るスーパーモルガナ。湖に響く風の音、そして木々が揺れる音の中で、次元を超えた激戦が始まろうとしていた。
Zアコ「・・・。」
モルガナ「さぁ、いつでもどうぞ?」
冷静に相手の出方を見るアコ。モルガナはZアコの力が壮絶なものであることを理解しつつ、あくまで余裕を崩さず迎え撃とうとする。
Zアコ「はぁっ!!」
モルガナ「!!」
先手を打ったのはアコだった。ジェット機のごとく激しい水しぶきを上げ突撃するアコにモルガナの表情も驚愕のものになる。そしてアコがモルガナが反応できないほどの瞬く間にモルガナの目の前まで迫り、その顔面に強烈な先制のパンチを放った。
モルガナ「ごあぁ?!」
Zアコ「どんどんいくのだ!!」
アコの拳は見事にモルガナに命中。そして立て続けに回し蹴りを放ちモルガナを吹っ飛ばし湖に撃ち落とす。しかしすぐにモルガナは起き上がり、今度はこちらからと言わんばかりに黒い気を燃やしながら拳を構えてアコに突撃していく。アコも体勢を整えモルガナを迎え撃たんと拳を構え、2人同時にパンチを放つと拳同士がぶつかり合い、そのまま壮絶なパンチとキックを繰り出しラッシュのせめぎ合いが始まった。
Zアコ「だりゃりゃりゃ!!」
モルガナ「おおおああ!!!」
その光景を2人のサトカは期待と不安の混じる表情でただ見守っている。
サトカ「なんという戦い・・・。どうしてこれほどの力を?」
Zサトカ「超エテルノ人という領域の壁をある要因によって超越した存在。それが今のアコさんです。わたしも共に戦ってきましたが、その力は圧倒的と言えるでしょう。」
サトカ「であれば、きっとあのモルガナにも!」
Zサトカ「しかし、アコさんがあの領域にたどり着けたのもまだ最近のことで、自身の力になれていないのですよ。アコさんの戦い方は、なるべく早く決着をつけようとしているものです・・・」
Zサトカのいう通り、アコは力の出し惜しみをせず全力でモルガナに攻撃を撃ち込んでいる。そのせいかモルガナも余裕がなくなり、全力でアコの攻撃に対処しつつ反撃の機を伺っている。
モルガナ「ちぃっ!」
拉致のあかないせめぎ合いに業をにやしたモルガナは攻撃を止めアコの攻撃を受け流し、素早く後方へ飛び上がり空中へ行きアコと距離を取る。モルガナの燃えあがるように紅い目はアコを強く捉え、アコもモルガナを睨む。
Zアコ「どうした!逃げないで向かってきたらどうなのだ!」
モルガナ「言われずともそうしますよ!はぁ!!」
モルガナは両手に赤い気を込め始め、その手のひらに気弾を形成する。そしてそれを前面に突き出すと、アコに向け気弾をマシンガンの如く次々打ち出してきた。
Zアコ「そんな豆鉄砲いくら来たって当たらないのだ!」
相手の攻撃の雨にも恐れずアコは緑色の気を燃やし、高く飛び上がる。モルガナもそれを追うように手を上に上げ、攻撃を当てようとなおも次々気弾を放っていく。飛び上がりながら、アコは両手を脇腹あたりで構え、その両掌に気を込め始める。
モルガナ「あの技は?!」
Zアコ「もう決着をつけてやるのだ!!」
大きく飛び上がったアコはついにモルガナの真上を取る。モルガナもアコのいる真上に気弾を撃ち続けるが、気弾はアコの激しい気にはじかれるように軌道をそらし、アコに当たることがなかった。そして、アコの溜めていた渾身のエネルギーが放たれる時が来た。
Zアコ「かめはめ・・・破ぁー!!!」
モルガナ「う、うおあぁぁぁぁ?!!」
アコのかめはめ波はモルガナの気弾の雨をかき消しながらまっすぐ突き進み、そしてモルガナに直撃した。モルガナはかめはめ波に飲まれ、湖はその衝撃で高い水柱を上げる。
サトカ「やった・・・!」
Zアコ「ふう、なんとかなったのだ!」
アコも2人のサトカも勝利を確信した。アコは超エテルノ人を解除すると、2人のサトカのもとへと向かった。
Zアコ「けがはないのだ?」
Zサトカ「えぇ、こちらは大丈夫です」
サトカ「あのモルガナを倒してしまうなんて・・・本当にありがとうございます・・・!」
Zアコ「にしし♪」
そして今度こそ3人でZチャンネルのエテルノへ帰ろうとしたその時、湖から再び水柱が立つ。3人が驚いて振り返ると、その水柱の中から倒したはずのモルガナが現れた。しかもその姿は全身が赤く発行し、白い煙が至る所から吹き出ている。
モルガナ「ま、まさか・・・超エテルノ人が、ここまでのものとは!せめて、貴様ら全員を道ずれに自爆してくれましょう!!!」
モルガナは自身のエネルギーの暴走で爆発寸前だった。そしてモルガナは3人めがけてすさまじい速度で突進してきた。
Zアコ「自爆なんてさせないのだ!・・・ッ!」
アコが再び超エテルノ人NTへ変身しようとするが、すでに自身の体力を使い切っており、超エテルノ人NTに変身できないどころか、気を放つことすらできない状態であった。
Zサトカ「アコさん!ならば私が・・・!」
Zサトカが何発もの気弾を飛ばして相手の動きを止めようとするも、モルガナの勢いは止まることはない。
サトカ(モルガナが止まらない!このままでは、全員ここで爆死してしまう・・・!もう、これしか手段はない!)
サトカは倒れたままステラボールをつよくにぎりしめ、それを上へと突き上げる。
サトカ「もう一人の私よ、私の力を、超エテルノ人の力を、使ってください・・・!」
Zサトカ「な、なにを・・・?」
そのときだった、サトカの握るステラボールが強い光を放ち始めた。その光は2人のサトカを包み、2人のサトカを強く引きつけ合う。光で白く染まった景色の中で、サトカはステラボールの中で話したアコの言葉を思い出す。
アコ(ステラボールの最後の切り札、それは自分と別チャンネルの自分を融合させることなのだ。2つの存在の力が1つになることで、戦闘力が何十倍にも跳ね上がることもあるのだ。今のサトカっちの超エテルノ人の力を、別のチャンネルの自分に受け継がせることもできるのだ。でも2つの存在を1つにするということは、片方の存在がもう片方に溶け込むこと。そして融合で意識の中心になれるのは、ステラボールを持つ本人ではなくステラボールから融合の力を受ける方なのだ。相手の存在に溶けた方の意識は完全に消えてしまうのだ。だからこれは本当に、どうにもならなくなったときだけ、使ってほしいのだ。今のサトカっちも相手の中で生き続けるけど、それは相手に引き継がれる記憶のデータとしてなのだ。)
サトカ「2人の私を融合させれば、もう一人の私に記憶と力を授けて、わたし自身の意識は消えてしまう。でも、それでもいい。もう一人の私に生きていてほしい。もう、それしかない。だから、お願いします。どうか、生きて。」
薄れゆく意識の中、サトカは祈った。そして目を閉じ、サトカ自身も光となり、Zサトカの中に溶け込んでいく。Zサトカも光の中で、自身の中に強い力と記憶が入っていくのを感じていた。そしてステラボールの放つ光が少しづつ消えていくと、その中から現れたのは、紫色の激しい炎のような気を纏うZサトカの姿であった。
Zアコ「さ、サトカっち・・・?」
Zサトカ「もう一人の私よ、あなたの力、たしかに受け取りました・・・!」
モルガナ「これは?!超エテルノ人がもうひとり・・・!」
融合を果たし一人となったサトカは、迫ってくるモルガナを迎え撃つべく拳に力を込める。そして紫色の気で燃え上る拳をモルガナに放った。
Zサトカ「うおぉぉぉ!!!」
モルガナ「ぐおぁぁぁ!!」
拳はモルガナの顔面に直撃!その一撃は最初にモルガナとサトカが戦った時とは比較にならないほどの威力であった。モルガナは攻撃を喰らった勢いで遥か遠くの上空に吹き飛ばされていく。
モルガナ「そ、そんな!!適合因子の力を持った私が!!こんな!!ぎゃぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!」
モルガナは自身のエネルギーに耐え切れず、ついに上空で大爆発した。空を覆うほど広がる爆炎を、サトカとアコは見届け、今度こそモルガナが完全に倒されたことを確認した。