【完】垣根「婚約者出来た」心理定規「とうとう頭の方も常識が通用しなくなったのかしら」   作:吉田さん

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 一瞬だけいい話にしようかと気の迷いが生まれましたがまあいいやと開き直ってそのまま行きましたまる


エピローグ

 垣根帝督がのめり込んだネット結婚の真価は『相手を観測していない』ところにある。

 一方通行(アクセラレータ)が推察した通り、学園都市の能力開発と同じ理論で科学的な根拠の元に成立してしまった今回のネット結婚だが、これの穴は相手を観測した瞬間に幻想との乖離性が凄まじければ凄まじいほど一瞬で殺される事だ。

 結婚しているのに別の家! どころか結婚しているのに顔も見た事ないし性別すら把握していない! そもそも実際に会ったことがないから実在しているのかすらも分からない! それがネット結婚の実態である。

 

 勿論、これは別に悪い事ではない。

 本人達が幸せならなんの問題もないし、学園都市にはそんな人間が少なからず存在する。

 なんせ、学園都市ではこれを用いて幸福度を高めてメンタルケアなんて療法も確立されてきたレベルである。幸せなら、科学の街なのに幻想で人を救うという意味深な現象が起きていても是非もないよね。

 

 そもそも、ネット結婚を学園都市の外の意味で用いれば理想の夫婦の誕生の可能性は秘められているのだから、そこはさしたる問題ではない。

 

 話を戻そう。

 結論から言うと垣根帝督の幻想は木っ端微塵に――――砕けなかった。

 これには、様々な要因が複雑に絡みすぎてよくわからない状況に陥ったことが起因している。

 垣根が他の『超能力者(レベル5)』に自慢しに行った際、一方通行(アクセラレータ)は暖かな家庭の空気を匂わせていて、

 

 

「あ、いたいた見つけたわよアンタ! ……ね、ねえ待ちなさいよ。待ちなさいったら! ちょ、なんで!? なんで私はこうも複雑な要因が絡み合って悉くスルーされるわけ!? 世界が私に敵対しているとしか思えねえ!」

 

 

 御坂美琴は青春していて、

 

 

「……ねえ滝壺? 私は仮にもアイテムのリーダーよ? それってつまり浜面を使いっぱしる正当な権利を持ってるってことじゃね?」

 

「……はまづらは渡さない」

 

 

 麦野沈利は滝壺理后やらと修羅場を形成していて、

 

 

「……婚約者、ね。垣根さんのメルヘン力は高いけれど、今回は心の底から祝福してあげるわぁ。……おめでとう」

 

 食蜂操祈は触れがたい雰囲気を発していたため土下座しなくてはならなくなって、

 

 

『データなし』

 

 

 藍華悦は影も形も掴めず、

 

 

「何も知らない相手と結婚なんてすげえ根性だな!」

 

 

 削板軍覇にはと一見煽りに聞こえるが純粋に祝福され……と、垣根のメンタルはその時点で割と砕けかけていた。

 

 ぶっちゃけ、相手が男でもいいからこの際会いたいと思う程度に垣根はメンタルというメンタルが崩壊していた。

 なにしろ、垣根は相手の外見やその他の要因に惹かれたのではない、相手の心に惹かれたのだ。

 常識の通用しない彼なら、偏見やらなんやらも通用しないのだ。多分、きっと。

 

 そして、そこにトドメとばかりに誉望万化と心理定規(メジャーハート)から婚約者の詳細を証拠とともに告げられれば……結果は明白であった。

 

 アレイスターは『人間』である。

 男性にも女性にも見える『人間』である。

 繰り返すが男性にも女性にも見える『人間』である。そこに性別という概念は存在しない。

 いや、正確には存在するが現在のアレイスターにはその概念が通用しない。

 その場にいない。〇と一で説明できる領域にいないアレイスターを、魔術側の知識を持たぬ垣根帝督では正確に感知できない。

 加えて、垣根が観測したのは装置の中にいるアレイスターだ。そうすると例え聖人であろうと、アレイスターという存在を正しく認識できないだろう。

 

 そして、正しく認識できないが故にネット結婚の理論はこの場合成立してしまう。

 アレイスターという存在が実在するか否かなどはこの際どうでもいい。虚像たり得るならばそれはもう婚約者なのだ。

 

 故に、

 

『アレイスター……俺と――』

 

『……流石の私にもこの展開は読めなかった。いや、確かに私の人生に成功した例はほとんどない。思い通りに事が運ばない事を知っているからこそ幾つもの枝分かれした道を並行移動させ『計画(プラン)』を進めているのだから。……だが、流石にこの展開は読めなかったよ垣根帝督』

 

 結果としてその場に居合わせた土御門は白目を剥き、心理定規(メジャーハート)は「どうしてこうなった」と頭を抱えた。

 他の面々はと言われると誉望はゴーグルの紛失によるアイデンティティの消失から引きこもり、弓箭はネットアイドルとなり、一方通行(アクセラレータ)はアイドルとなり、アレイスターは無言のままに垣根帝督を冷蔵庫に封印した。

 なぜ冷蔵庫なのか、と言われれば冷蔵庫だからだとしか答えようがないとアレイスターはそのとき語ったという。

 今後、垣根帝督印の冷蔵庫は常識の通用しない冷蔵庫として大量販売が見込まれたりは別にしていない。

 

 この後、学園都市統括理事長の名の下にネット結婚プロジェクトは永久凍結が決定され、事態は水面下で幕を下ろした。

 

 

 しかし、まだ物語は始まったばかりだ。

 何故なら、垣根帝督は生きている。

 確かに、彼は冷蔵庫にその身を封印されただろう。

 確かに、彼のメンタルは半ば崩壊しているといっても過言ではないのだろう。

 

 だが、彼は生きている。

 生きているのならば、彼のネット婚約生活はまだ続いているのだ。

 

 その男は牙を研ぎ続ける。

 具体的に言うならそう、魔神という無限の可能性を秘めたネット結婚の枠に現実で当てはまる系キャラの軍勢が登場するあたりまでは牙を研ぎ続ける。

 

 彼の婚活生活は、まだまだこれからだ!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「……偽りの距離は虚しいけれど、こうなるくらいなら能力で無理やり心の距離を私が婚約者とやらと同じになるべきだったわ」

 

 ――完。




 あらすじの通りだから問題ないですね!
 あらすじを読んでいて、ネット結婚の条件が原作におけるアレイスターの地の文と初期のオッレルスによる魔神の解説が関連してることに気づいていた方はこの結末を読めていたのでしょうね…(適当)
 

・ていとくんの婚約者候補。
→僧正、ゾンビ、ネフテュス、娘々、プロセルピナ、ヌァザ、テスカトリポカ、キメラ、『忘れられた神』、etc。
 やばいなていとくん。うまく手綱を握らないと太陽とか降ってきそうだぞ(新約十七巻の魔神のアホっぷりを見ながら)。
 この作品でもオティヌスもといお人形さんは上条さんの家で三毛猫と戦ってますよ。原作でインデックスと一緒に上条さんに噛みついてるのを見て感動したのは僕だけじゃないはず。


 それはそれとしてご愛読ありがとうございました!
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