とある科学の絶対波動〈アブソリュートウェーブ〉   作:skav

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シフト

目的の地下施設に着くと、そこには思っていたとおりの光景が広がっていた。

カプセルの中には眠ったように横たわる子供達。

ケーブルをたどった先には一代のパソコンがあった。

おそらくここから子供達の脳波を計測したり時には”実験”したりしているのだろう。

子供達を恢復させるには15人の脳を同時に制御し、原因を究明して元に戻さないと行けない。

しかし複数の脳を同時に操るのは普通では不可能だ。

そう”普通”では。

瀬那は今まで大事に持っていた音楽プレイヤーを手に持つ。

「ついにここまで来ましたよ春生さん。」

瀬那は躊躇無くイヤホンを耳に入れ再生ボタンを押した。

「・・・うっ」

頭の中に流れてきたのは大量の情報。それら一つ一つを瀬那は吟味しては吸収していく。

そして瀬那は自分の頭の中に妙な違和感を感じた。

思い出せそうでなかなか思い出せない妙な感覚。瀬那は無理矢理その記憶を呼び起こした。

そして自分の知らない記憶が崩壊したダムのように流れ込んできた。

10年前の記憶。それは瀬那が自らの手で封印した記憶だった。

 

不治の病にかかり毎日リハビリを続ける生活。

一緒に病気を乗り切ろうと努力する仲間達は一番の家族だった。

だがそれはもろく砕け散ってしまった、自らの手で破壊し尽くしたのだ。

そう”この研究室所を”。

 

カプセルの中で寝ている子供達があの時身動きがとれないまま死んでいった仲間達とかぶる。

その瞬間瀬那は絶叫した。あの時のように。

「うわああああぁぁぁ!!」

結んだ髪は解け、自らの手でぐしゃぐしゃにする。

恐怖、焦り、殺意、憎しみ・・・全ての負の感情が瀬那の心を支配していく。

ついに瀬那は体中の力が入らなくなり、床に倒れる。

あのときの記憶がフラッシュバックし、瀬那の精神を蝕んでいく。

「俺は・・・俺は・・・なんでこんな怪物に生まれてきたんだよ・・・。」

ただ普通の生活が出来ればそれで良かった。レベル5とかそんなのどうだって良い。

救いが欲しかった・・・手を差し伸べて欲しかった。レベル5なんて名前だけだ。俺はこんなにも脆くて弱い存在なんだ。

誰でも良い・・・誰か・・・。

 

『全く・・・君だって男だろう。いつまでも泣くな』

 

聞き慣れた声。今ここには絶対にいるはずのないあの人の声が聞こえた気がした。

少しずつ全身に力がこみ上げてくるのを感じた。

 

そうだ・・・ぼろぼろになった俺を救ったのはあの人じゃないか。

そして今ボロボロになっているのはあの人だ。そのために俺はここまで来たんだ。

瀬那は再び自らの脳の開発に集中する。

すると今まで感じることが出来なかった様々な現象を認識し始める。

物質波に始まりすべての物体の根源である原子、重力までもが認識できる。

そして音楽プレイヤーには完了の文字が。

瀬那はカプセルの中で眠る子供のウチ一人に触れた。

それだけで充分だった。一瞬のうちに原因を究明し、対処法を構築していく。

再びパソコンに戻ると、ワクチンソフトのプログラムを組んでいく。

昏睡する前のデータと昏睡した後のデータを照合し足りない分を足し、余計な部分を削除していく。

「・・・よし、これで。」

ワクチンソフトを起動させると同時に子供達の脳波を同時に干渉して、異常がないかを細かく監視する。

ゲージが少しずつ100%に近付いていく。

「・・・・・・終了。」

やりましたよ春生さん。

 

だが、最後にもう一仕事残っている。

 

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