とある科学の絶対波動〈アブソリュートウェーブ〉 作:skav
妹達~シスターズ~
真昼の炎天下の中、瀬那は公園で昼食を取っていた。
「木山さん?こんなところで昼食ですの?」
風紀委員の仕事中らしく、腕に腕章を着けた黒子が瀬那に話しかけてきた。
「おう、まあそんなところかな。先日は身内が騒いで悪かったな。」
「いえいえ、結局なんで警備委員が木山春生の拘束命令を取り消したのか分かりませんでけど・・・。」
「ふーん。」
その実行犯は黒子の言葉をしらばっくれてサンドイッチを食べ続ける。
「全く、あなたの身内のおかげで仕事に追われて大変ですの。」
「ははは・・・まあ、治安の守るためだと思ってがんばれよ!じゃあな。」
「はい、さようならですの~。」
ゴミを掃除ロボットに片付けさせて瀬那は公園内を歩き始めた。
瀬那の穴場であるこの公園は広い敷地にも関わらず人があまりいない。
そのとき見知った姿を目撃した。
御坂美琴だ。彼女は路傍の片隅に置かれている段ボール箱をしゃがんで覗いている。
「お~い美琴、何やってるんだ?」
「・・・・・・?」
御坂美琴と思われる人物は突然話しかけてきた瀬那に対して誰だコイツ?的な表情をした。
「・・・あれ?御坂美琴さんデスヨネ?」
「私はお姉様の妹ですと、ミサカは答えます。」
妙な言い回しに戸惑いながらも瀬那は会話を続けた。
「もしかしてお前・・・妹達ってやつか?」
「そういうあなたは木山瀬那さんですね?と、ミサカは脳内の情報とあなたをリンクさせます。」
「確か計画は凍結されたはずだけど・・・。」
「ZXC741ASD852QWE96'3とミサカは符丁の確認を取ります。」
「・・・はい?」
「この符丁を解析出来ないということはあなたは実験の関係者では無いのですね。先ほどの質問にはお答えできません。」
「・・・分かったよ。で、今お前は何やってるんだ?」
「これですと、ミサカは指をさします。」
御坂妹の肩越しに瀬那も段ボールの中を覗くと、一匹の子犬がうずくまっていた。
長い間放置されていたのか、衰弱が激しくもってあと数十分といったところだろう。
「どうしましょうと、御坂は困惑しながらあなたに問います。」
全くそのようなそぶりを見せずに彼女は瀬那に聞いた。
「可哀相だけど・・・もうどうしようもないな。」
小刻みに震える子犬は弱々しい声で鳴き声を上げていた。
「そう・・・ですか。」
そう言って御坂妹は立ち上がってその場を去ろうとする。
「おい、ちょっと待てよ。」
瀬那はその彼女の腕を掴んで引き留めた。
「何でしょう?と、ミサカは掴まれた腕を見ながら質問します。」
「せめて最期まで看取ってやろうぜ。死ぬまで一人ってのも可哀相だろが。」
御坂妹はしばらく考えた後、瀬那の提案を了承した。
御坂妹とを看取ること20分後に子犬は静かに息を引き取った。
二人は敷地の森林にある一番大きな木の下に亡骸を埋めた。
「悲しいな・・・命が消えるってのは。」
「・・・・・・はい。」
「この子犬も死ぬために生まれてきた訳じゃないのに・・・。」
「・・・・・・。」
「さっきの符丁を解析したんだが、お前達は良いのか?あんな実験の為に利用されて。」
「質問の意味が分かりませんと、ミサカは一瞬で解析を終えたあなたに驚嘆しながら答えます。」
「殺される為に生まれてきたんだぞ?意味分かってるのかよ!?」
「はい、私達妹達は殺されるために生まれてきた実験動物ですから。」
絶対能力者進化計画。
御坂美琴の軍用クローンを使って二万通りの戦場を用意するこことで成立する狂気の実験。
それはたとえ非公式ながらもレベル6になった木山瀬那が存在しても関係がないようだ。
以前木山春生が言っていたとおり木山瀬那は研究者にとって不要なレベル6なのだ。
だから実験は行われる。
「・・・・・・くそっ!」
瀬那は御坂妹に背を向けて公園を去った。
その日を境目にとある噂が学園都市中に広まった。
「超電磁砲のDNAを使った軍用クローンが製造されている。」