とある科学の絶対波動〈アブソリュートウェーブ〉   作:skav

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依頼

「・・・・・・んん、眩しい」

瀬那は目元に差し掛かる光で目を覚ました。

周り見渡すと、ここが公園の中だと認識できた。

どうやら昨日の夜はここで寝てしまったらしい。

「・・・昨日の夜・・・そうだ、俺は。」

反射された御坂美琴の超電磁砲を美琴自身からかばってそのまま気絶をしたはずだ。

その美琴の姿はすでに消えていた。

すると胸ポケットに、一枚の紙が入っていることに気が付いた。

そこには女の子らしい字で、「ごめん」とだけ書かれていた。

「ここにいたのかい?瀬那クン。」

朝早くなのにスーツをしっかり着た木山晴生が現れた。

「春生さん・・・どうしてここに?」

「君の帰りが遅いから探していたのさ。」

「・・・一晩中ですか?」

「・・・悪いかね?」

「学園都市中を?」

「たかが街中さ。」

そう言い、木山春生は缶コーヒーを瀬那に渡して隣に腰をかけた。

「その様子だと、君は昨夜何かしらのトラブルに巻き込まれたのかい?」

「・・・はい。」

「トラブルの大本はやはり”彼女”か。」

「・・・・・・春生さん、一つ聞きたいことが。」

「何かな?」

「バッテリーの消費が大きくなったのはやっぱり・・・。」

「ああ、そうだ。レベル6へ進化した影響で脳の処理容量が増えたことが原因だろうね。」

どうりで昨日は早い段階で電池が切れた訳だ。

コレじゃあ本末転倒じゃないか。

「だがしかし、瀬那クン。君はまだレベル6には至っていないようだ。言うなればレベル5+と言ったところかな。」

「どういう意味です?」

「そのままの意味だよ。君の脳にインストールした情報はなんだか分かるかい?」

そう言えばあの時膨大な量の情報が流れ込んできたことは分かったが、それが何の情報なのかは分かっていなかった。

「いったい何の情報なんですか?」

「例の実験で得た学園都市中の学生が持つ情報だよ。」

「それってまさかAIM拡散・・・。」

「そんなつまらないものじゃない。君にインストールしたのはパーソナルリアリティの情報だ。」

パーソナルリアリティ、自分だけの現実。それは超能力を使うための重要な鍵でもある。

超能力は強い思いこみで現実をねじ曲げてしまう現象だ。その基盤となるのがパーソナルリアリティ。

「つまり、君の脳は理論上不可能と言われた多重能力に最も近い現象を起こすことが出来るんだよ。」

「多重・・・能力・・・。」

「とりあえず今の君は自分自身をもう一度見つめ直す必要があるみたいだ。一度家に帰ろう。シャワーも浴びたいし、腹も空いた。」

木山春生に手を引かれながら、瀬那は一つの事を考えていた。

御坂美琴はたぶん学園都市の闇と戦おうとしている。暗底なしの闇と。

 

 

 

「木山さん来客です。すぐに来てくださいそれに瀬那さんもです。」

それから数日が経ち、実験の手伝いをしていた午後。二人に来客が訪れた。

「これはこれはどうも済みませんお忙しい中。」

色白でどこか疲れたような表情の男が立ち上がり頭を下げた。

「いえ、ご心配なく。それで、今日はどのような用件で?」

「ええ、実はそこの彼。木山瀬那さんに用件があるのです。」

「俺にですか?」

「ええ、是非とも私どもに力を貸していただきたい。」

男はせっぱ詰まったような顔で身を乗り出してきた。

「それは実験かなにかですか?」

「いえ、率直に申し上げれば私どもの研究所お呼び関連の研究室は連日正体不明の爆破事故に見舞われてまして・・・。」

「ああ、最近よくニュースで取り上げられてるな。」

「その爆破事故は能力者の仕業であると分かりまして・・・ぜひあなたの協力をお願いしたいのです。」

「待ちたまえ、それは警備員の仕事ではないのか?」

「そうなのですがどこに現れるか分からない正体不明の能力者の襲撃なんて言ったところで信じちゃくれませんよ。」

「・・・・・・ふむ。」

木山春生は顎に手を添えて少し考えるような仕草をとった。

「瀬那クン、どうだろう引き受けてみては。」

「・・・春生さんがそう言うなら別に構わないですけど。」

「ほ、本当ですか?ありがとうございます!この報酬は必ず・・・。」

「ああ、いや。報酬は結構だよ。その代わり失敗したときは一切こちらで責任は負わないと書面で約束して欲しい。」

「ええ、もちろんですとも。では明日にでもその書類を準備いたします。」

「その必要はない。いまここで作ってしまうから少し時間をいただけないだろうか?」

「いやいや、そんなそこまでしていただかなくても。」

なぜか男はすこし額に汗を浮かべて木山春生の申し出を断ろうとした。

「ならばこの話は無かったトコで構わないのだが?」

「・・・・・・よろしくお願いします。」

 

 

 

 

その場で書面にサインをした男はファイルを一つ差し出し期待していますと一言だけ告げて去っていった。

木山春生は二人分の珈琲を入れ直してソファに座った。

「良いんですか春生さん引き受けちゃって。」

「実際に動くのは瀬那クンだろう?君こそ良かったのか?」

「まあ、そうなんですけど・・・。」

「薄々感ずいていると思うが正体不明の能力者とは彼女のことだろう。」

「調べたんですか?」

「まあ、私も少しは関係していることだからね。」

「そう言うことは早く教えてくださいよ・・・。」

「どのみち君に依頼していたことが少し早まっただけだよ。まあ、がんばりたまえ。」

木山春生は瀬那にファイルを手渡すと研究室の方へと戻っていった。

瀬那はソファに座り直してファイルを開いた。

そこには現在稼働中の研究室の数と”継続不能”になった研究室の場所がのった地図があった。

その他にはどのように研究室が壊滅させられたのか細かく記載された紙が数枚。

最後に依頼日時と場所が書いてあった。

 

「・・・・・・今日の夜か。」

 

 

 

 

「はあ?また正体不明の能力者ぁ?」

『ええ、今回はまた別の能力者みたいね。』

「・・・・・・~。」

「あ、今麦野ちょっとほっとしたでしょ?」

「黙りなさいフレンダ・・・次言ったら消すわよ。」

「それで全壊は超失敗してノーギャラだったのですが今回はどこからの依頼なのですか?」

『安心してちょうだい、今回は前払い付きで成功したらさらに上乗せ、もし撃退じゃなくて撃破したら倍の報酬よ。』

「へえ、随分と太っ腹じゃないの。」

「へへへ、私欲しいものがいっぱいありすぎて困ってたんだ~。」

『それは引き受けたって事でいいのね?あ、それと助っ人が入るみたいだからよろしく~』

最後の言葉にアイテムの四人は首を捻った。

「結局その助っ人って誰なわけなの?」

『それがこれも誰だか分からないのよ。』

「なんだか超怪しいのですが・・・。」

『依頼者によると一緒に撃破してしまっても構わないそうよ。』

「それって助っ人っていえるのかしら?」

『こっちだってよく分からないんだからしょうがないでしょ!文句言わないで仕事しろ!』

 

学園都市の暗部組織も陰で動き始めた。

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