とある科学の絶対波動〈アブソリュートウェーブ〉   作:skav

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電撃使い

日曜日の午後。財布の中身が軽くなりつつあったので、瀬那はコンビニのATMで補充してアテもなく歩いていた。

すると、公園の敷地でクレープの移動販売をしているのを発見した。

「お、美味そうだな。」

丁度小腹が空いていたので、妙に子供が多く並んでいる列に加わる。

「…なるほど。コレが原因か」

立て掛けてある看板によるとどうやら先着で何かがもらえるようだ。

まあ、結構並んでたしさすがに終わってるだろう。

「次の方どうぞ~」

「じゃあ、バナナチョコレートを。」

うどんで言う素うどんに当たりそうなほどのド定番を注文した。

「はい、どうぞ~」

クレープと一緒に小さい子供に人気のあるゲコ太ストラップを渡された。

「ゲコ太ストラップの配布は終了で~す。」

 

どさっ…

 

瀬那の背後で誰かが崩れ落ちた。

何事かと思い、振り返るとそこには酷く落ち込んだ様子で両手両膝を付く御坂美琴の姿が。

「お前…何やってるんだ?」

「あ、アンタこそ何やってるのよこんなところで!?」

「俺はクレープを食いに来ただけだ。」

「わ、私だってクレープを…」

「だったら何でそんなに物欲しそうな眼でコレを見てるんだ?」

美琴の視線はもはや瀬那の左手にぶら下がっているゲコ太ストラップしか見ていなかった。

「お姉様。どうかなさいまし…って、あなたはこの前の。」

美琴の背後から現れたのは先日お世話になった風紀委員の白井黒子だった。

「この前は世話になった。で、お前はいつまで見てるんだよ。」

「はぁ、お姉様。いい加減そのようなお子様グッズを集めるのはよしてくださいな…?」

「うぅ…ゲコ太ぁ」

 

この一連の会話で瀬那は大体の事情を理解した。

「御坂。ほら、俺はいらないからやるよ」

「え、本当に!?あ…べ、別にそんなの欲しい訳じゃ」

「本当のことを言いなさい。」

「…凄く欲しいです」

「よし、じゃあ正直な御坂さんに進呈しよう。」

すると目にもとまらぬ速さで、瀬那の手からゲコ太ストラップを強奪した。

「し、しょうがないからもらってあげるわよ。」

 

言葉と行動がちぐはぐだぞ…。

 

 

その場の雰囲気で瀬那と美琴、黒子は一緒のベンチでクレープを食べることに。

「もぐもぐ…うん、美味いなここのクレープは。」

「うん…そうね。…あ、」

「…あ?」

「私まだアンタの名前聞いてなかったわよね?」

 

…そういえばそうだったな。

 

「お姉様…こんなに親しそうにしながら名前も聞いておられませんの?」

「し、仕方がないじゃない…聞くタイミングが無かったんだから。」

「まあまあ気にするなって。俺の名前は木山瀬那だ。ちなみに読心能力のレベル2だ。」

「…そこは納得いかないんだけど。」

「書庫にはしっかりとそう登録されてましたわ。お姉様。」

「それと、アンタその首の装置は何の小細工?」

「ああ…これ?」

瀬那はチョーカーのバッテリーを指で小突きながら説明を始めた。

「もともと身体が丈夫な方では無いんでね、電気的な補助をしてるんだよ。」

「…道理で普通の動きじゃ無かった訳ね」

「ま、そう言うことだ。」

 

瀬那は残りのクレープを食べ終え、ふと銀行を見た。

おかしなことに、さっきまで開いていた銀行の入り口は重厚なシャッターで閉ざされていた。

「おい、あの銀行様子がおかしくないか?」

ドガアァン!!

そう言う矢先、シャッターが突如謎の爆発で吹き飛ばされた。

 

「よっしゃ、引き上げるぞ急げ!!」

大きな鞄をもった集団が煙の中から現れた。

「木山さん急いで警備員に通報を!お姉様はそこにいて下さいな。」

「分かった!」

「…えー」

不満げな声を漏らす美琴の横で瀬那は携帯で通報した。その時、犯人の集団がどこかで見覚えのある顔だと感じた。

「あいつら…あの時の」

忘れようもない、路地裏で瀬那を死にかけさせた男達だった。

「待てお前達!」

瀬那の声で集団が一斉に振り向いた。

「き、木山さん!なにをしていますの!?」

黒子の声に耳を傾けることなく、瀬那は真っ直ぐ男達を見据える。

「あの時は世話になったな。」

瀬那の顔を見て、男達は一斉に笑い出した。

「ぎゃははは!誰かと思ったらあの時の逃げ腰野郎か!」

「つーかまだ生きてたんだな!信じられねー」

「なに、また殺されに来たのかよー」

 

一番巨体な男がゆっくりと瀬那との間合いを詰め始めた。

「オラァ!お望み通りぶっ殺してやるよ!」

瀬那はがら空きの巨漢の鳩尾に思い切り拳をたたき込んだ。その威力は凄まじく、複数人を巻き込んで吹き飛び壁に激突した。

「やるじゃねーか…少しは鍛えてきたって訳か。だが俺だってな」

長身の男が右手で炎を発生させ、右腕にまとう。

「発火能力者か…」

「どうした、ビビって動けねぇだろ!」

「まあ、結構なタマだが…所詮炎だろ?」

瀬那は男と向かい合わせになり、右手を差し出す。

「知ってるか?熱ってのは物質が振動して発生するんだぜ?」

「それがどうした。」

「つまり、物質を振動させればそれなりの熱を発生させられる。こんな風にな」

瀬那の右手から発生したのはプラズマ。空気中の水蒸気を極限まで振動させてプラズマ化させたものだ。

その温度はおよそ数万度。通常の炎のおよそ十倍だ。

コレに触れたモノは融解を通り越して蒸発するだろう。

「お前の炎と俺のプラズマ、どちらが熱いか勝負するか?」

「…くそ」

「今だ白井、拘束しろ!」

「全く…風紀委員をなんだと思っていますの」

愚痴を漏らしながらも黒子は流れるような手つきで男を金属矢で地面に固定する。

「…さて、残るはあと一人ですわね」

「くそ…!」

 

残った一人は焦った様子で、逃走用の車に急いで駆け寄る。

「…どけ!」

その時美琴と接触し、彼女の手に持っていたクレープが制服にベッタリとついてしまった。

「……あー黒子?」

「は、はいですの!」

「コレは私個人に売られた喧嘩ってことだから…手、出しても良いわよね?」

その瞬間、彼女の周りに火花がほとばしる。

そして、ポケットから取り出されたのは一枚のメダルゲーム用コイン。

「おいおい…こんな街中でアレをやるつもりか?」

アレは彼女の二つ名にもなっている大技。

「お、おい…まさか、アレが超電磁砲の!?」

「ええ、あの方こそが学園都市二百三十万にんの頂点」

 

綺麗な放物線を描いて空に舞うコインは吸い込まれるように彼女の正面に。

 

「七人の超能力者の第三位。」

 

打ち出されたメダルは極限まで加速し、一つの砲弾となって周りのアスファルトをえぐりながら目標に向かって突き進む。

わずかに直撃を免れた逃走車は爆風で吹き飛ばされ、道路に墜落した。

 

「超電磁砲、御坂美琴お嬢様。常盤台中学が誇る最強無敵の電撃姫ですのー」

 

 

 

 

その圧倒的な破壊力を目の当たりにして、瀬那は素直に驚いた。

「凄いな…これほどとは。」

 

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