とある科学の絶対波動〈アブソリュートウェーブ〉 作:skav
夏休み。ソレは学生生活の中で最も長い長期休暇であり最大のイベントだ。
「あぁ・・・なんで瀬那さんは補修が無くて上条さんにはあるのですかー」
「そりゃあアレだ開発の単位が足りてないからだろ?」
「だってしょうが無いじゃん!俺の右手は観測不可能なんだから!」
「ま、いつもの不幸だと割り切れよ。どーせ夏休み中は何もしてないんだろ?」
「うう・・・不幸だ」
一部の単位が足りていない学生を除いては。
「じゃあ、俺は先に帰ってるなー」
玄関を出ると、携帯電話が震えた。
「はい、もしもし。」
「急用で少しばかり帰りが遅くなる。夕食は先に済ませてくれて構わない。」
「別にメールでも良かったのでは?」
「たまには通話しないと君が寂しがると思ってね。」
「そんなことあるわけ無いでしょう・・・はあ、分かりました。」
「私の分も用意しておいて欲しい。」
プツン、ツーツーツー・・・。
「・・・カレーでも作るか。」
あと少しでスーパーのタイムセールスが始まるはずだ。
・・・って、コレじゃどっちが保護者だよ!?
自分で自分に突っ込みを入れ、形容しがたいむなしさに駆られながら瀬那はスーパーに向かった。
夕食のカレーを作り終わり、自分の分をテーブルに置いてテレビを付けたタイミングで木山春生が帰ってきた。
「意外に早かったじゃないですか。」
「予想より早く用が済んだのでね」
急いで彼女の分のカレーを盛りつけてテーブルに置いた。
「ほう・・・今日はカレーかい?」
「ええ・・・まあ。」
「カレーで思い出したのだが、先ほど彼女にあったよ。」
「・・・彼女?」
「御坂美琴・・・と言ったかな確か。君を助けてくれた子だよ。」
「へえ・・・ソレは偶然でしたね」
「ああ、彼女のおかげで用が早く済んだ。」
「ちなみに用って何だったんですか?」
「私の車を止めた場所が分からなくなってね・・・。」
「またやったんですか?」
そう、彼女はよく自分の駐車場の場所を忘れる。どんなに近場の駐車場に止めてもだ。
そのたびに苦労するのが決まって瀬那だった。
カレーを口に運びながら瀬那は美琴に同情した。
「そこで私は彼女に関する重要な事実を発見した。」
「重要な事実?」
「そう・・・彼女は実はツンデレだった。」
「・・・・・・はい?」
「昔流行っただろう?好きな人に冷たくしてしまう・・・」
「いや、知ってますよ。何ですか、そんなことが重要な事実なんですか?」
「・・・そうか」
・・・ったく。変なところにばっかり眼が付くからなこの人は。
「・・・む」
「今度は何ですか?」
「なぜカレーにニンジンを入れるのだね?」
「はいはい、あなたがニンジン嫌いなのは知ってますから我慢して食べてください。」
「・・・・・・」
「教え子に言われますよ。『木山せんせーニンジン嫌いなの?』って。」
「・・・もぐもぐ。」
こうして少しだけ非現実的な日常はゆっくりと過ぎていった。