山田太郎のΨ難   作:Key太郎

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斉木楠雄のΨ難

僕は斉木楠雄。超能力者だ。

今僕はかつてない違和感に苛まれている。

まるで自分の知る世界に異物が入り込んだような感覚。

この世界は今、とある理由があって僕がマインドコントロールしている。

だからといって地球上に起きてること全てがわかるわけでも個人を管理してるわけでもないが、だがそれでもある程度はわかってしまう。〝おかしなものが入り込んだ〟

 

言っておくがどこかの中二病とは違い僕は本物の超能力者だ。マインドコントロールが世界規模なだけに些細な出来事なら僕は無視するどころか感知すらできないだろう。

だが今は違う、言い表すなら家に帰ったら部屋の家具の位置が違った……くらいの違和感なのだ。

これはそうとう大きなことが起きていることを表す。

 

そして違和感の正体は……。

 

「どうも、丸抜高校から転校してきました山田太郎です。よろしくお願いします」

 

この、転校生だ。

 

「山田くんていうのかー」

「結構かっこよくない?」

「凄い平凡な名前だな」

 

太郎ってもはや珍しいくらいだろう。

……恒例のイベントに誰も違和感を持ってないな。

まあ、これも僕がマインドコントロールしたせいだが。

僕の知る人間に〝ベタ〟を引き寄せる者がいたが、僕にも似たような力がある。それが

 

〈青春イベントの強制発生〉

 

不思議と僕の周りに濃い人間が集まったり、それがみんな転校生だったりするのはこのせいでもある。

このイベントがいつ起きるかは僕にも予知できない、しかしある程度イベントの矛先をずらして今まで目立たないようにしてきたのだ。

 

……だが高校生になってからというものまるでうまくいかない。その証拠に、

 

「じゃあとりあえず斉木の後ろ空いてるからそこに座ってくれ」

 

これである。

待て、おかしいだろう。僕の席の後ろは坂本くんのはずだ。転校生なんだから窓際の後ろに行けよ。

……確かに朝から何故か坂本くんが一つ後ろに下がっていたことに疑問は持っていたが本人が何も感じていなかったから何も読み取ることができなかった。

こういうことだったのか……。

 

「やあ、よろしくね……斉木楠雄くん」

 

いかにもな爽やかイケメン転校生だな。

そしてやはりこの男……。

 

「……何か顔についてるかい?」

 

……心の声が聞こえない。

本当に何者だこの男。燃堂のように何も考えてないアホにも見えない、かと言って思考がない人間など存在しない。こいつは……。

 

『何か、顔についてるかい?』

 

ッ!!

こいつまさか、わざと思考を漏らしたのか。

 

『ご名答』

 

……僕の思考もわかるとはな。

 

『流石に全部じゃないさ』

 

山田太郎、お前は何なんだ。一体……。

 

『まあまあ、答え合わせは後で……目立ってるぜ?』

 

……確かにそうだな。

男2人がたった十数秒とは言え無言で見つめあってたら何を勘違いされるかわかったものではない。

 

「なあ、あのふたりそういう関係なのか?」

「えっ、でも転校してきたばっかりだろ?」

「でもほら、燃堂のこともあるし……」

「山田×斉木……ありね」

 

ねーよ。

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