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「珈琲をお取替えしてもよろしでしょうか?」
「うむ、頼む。」
ここはナザリック内の図書館にある読書用のスペース、玉座の間にてまた何故かアルベドが感極まったような表情で服を脱ぎだしたので取り敢えずの避難先として選んだ場所。
なお全く口を付けてない珈琲を”喋る骨”が交換していくのは、
ただ図書館にいた”喋る骨”に何か命令をすることを懇願され、うっかり頼んだ後で現在の自分が骨であることに気が付き、持ってこさせた理由を「香りを楽しむ」と誤魔化した結果である。
(舌も喉もないのに声が出せる以上、飲めてもおかしくはないよな?)
ただ今は喉の渇きを感じないので試す必要もない。
モモンガは今までやっていた作業であるモモンガ=鈴木悟メモの再確認を再開した。
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再確認しても現在のモモンガが最も必要とする『中の人の発狂』または『ゲーム世界の現実化』に対する解決法が描かれたメモは存在しなかった。もっとも、普通に考えればそんなものが存在するはずが無いのは当然であるが。
しかし『サービス終了が何らかの事情で延期になった場合』という項目を発見する。
(まず『運営に延期に対する補償対応を要求するメールを送る』か、これは不可能だな。次に『設置中に維持コストが常時発生するタイプのトラップの解除』か・・・・・・。)
3つ目に『延長されても運営が対応するまではモモンガを続ける事』について極めて丁寧でありながら狂気を感じるお願い文章が記されていてモモンガは恐怖を感じ、また冷静に戻る感覚を味わった。
取り敢えずトラップの解除を行うことに決めやり方を読む。
(なになに、トラップの解除にはまず、コンソールを開く?)
コンソールは現在、使用不可能である。使えるのであればとっくにログアウトを実行している。
少し考え、モモンガは近くにいる”喋る骨”に声をかける。
「現在のナザリック内のトラップの状態はどうなっている?」
「はっ、図書館にあるトラップは発動しておりません。」
「そうか、ではナザリック全体のトラップはどうなっている?」
「申し訳ございません。私では判りかねます。アルベド様かデミウルゴス様であればご存知かと思います。」
「うむ、そうだな。」
アルベドの興奮が収まるまで、できるなら接触は避けたい。
モモンガがデミウルゴスという人物?の居場所を”喋る骨”に質問すると、”喋る骨”は一瞬、やや不思議そうな態度をし、そしてそのような態度を取ったことを謝罪してから答えた。『第7階層赤熱神殿』である。と
「ふむ、ではデミウルゴスに確認を取るか。」
モモンガは『PKをされる可能性があるからナザリック外に出ない様に』とやや強めに注意を受けており、ナザリックの外に1度も出たことが無い。
また、特に注意はされていないがモモンガ本人に認められたモモンガ本人ではあっても部外者でもあり、不必要に動くのは良くないとの考えでナザリック内もほとんど移動したことが無い。役目の為に必要な「ログイン地点である円卓の部屋」、「玉座の間の手前の大広間」、「玉座の間」を除けば、時間を潰しに本を読むことを目的に何回かこの図書館に来たことがある程度だ。
(でも、こうなったら仕方がないよな・・・・・・)
モモンガは指輪を起動させ、未知の場所である第7階層赤熱神殿へと転移する。
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その場に残された”喋る骨”が呟く。
「≪
そして、それが至高なる主人の行動に疑問を持つ言葉であると感じ、”喋る骨”はモモンガが消えた後の空間に向かい跪き深く深く頭を下げた。