それでは、どうぞ。
真夜中の殺人
真夜中の横須賀。人の気配のない鎮守府・・・のはずであった。真夜中の静寂を破り、狙撃銃の発砲音が聞こえた。だれも気づかない。だって、夜なのだから。
朝早く、私は親友の探偵、相模京介にたたき起こされた。私が起きる時間より数時間早くおこされたために私は不満だった。
「悪いねぇ、直樹。」
我が親友は私、折川直樹に早く起こした理由を説明した。どうやら桂川警部がこちらに来ているらしい。私はしぶしぶ着替え、下宿のリビングへと行った。
「用は何です?警部。」
京介が警部に質問した。
警部は答える。
「新聞で見たろう?あれだよ。」
「新聞に載っている記事もいろいろあります。一寸(ちょっと)直樹、机の上にあるA新聞の一面の見出しを読んでいってくれないか?」
「お安い御用さ。・・・○○事件の被告人、死刑判決。これですか?」
私は警部に問いかけた。
「違う。」
あっさりと否定された。気を取り直して・・・
「真夜中の艦娘殺人事件。」
「それだよ!」
今度は正解。
「で?それで?なんで僕なんです。」
京介は警部に問いかけた。
すると、警部は京介の方を向き、悔しそうな声で言った。
「警察には手に余るんだ。警視庁と神奈川県警と横須賀署で捜査にあたっているが、捜査に全然光が見えてこなくて・・・。」
「で、僕に手伝えと。」
「そうなんだ。頼む。」
最後の方には、警部は泣き崩れそうになっていた。
それを不憫(ふびん)に思ったのか、京介はこう言った。
「・・・わかりましたよ。捜査に協力します。」
「ありがとう。」
警部はお礼を言うと、『依頼人の椅子』に腰掛けた。
「さあ、事件の概要を話して下さい。」
京介は警部にそう言った。私は、京介の座っている椅子の横でメモをとる準備をした。
京介が、口を開く。
「被害者は?」
「赤城だ。主力の空母だ。
「ふぅむ。死因は?」
「銃殺。狙撃銃で頭を撃ち抜かれて逝っている。」
「成程。第一発見者は?」
「同僚の加賀だ。」
「そいつも主力?」
「そうだ。」
「・・・発見時間。」
警部が手帳を見ながら言う。
「8月8日午前8時1分。加賀が起きたら自分の寝台の横に赤城の遺体が転がっていたらしい。」
「それからどうした?」
「怖くなって何も言えなかったらしい。それでもかろうじて動けたらしいから、提督に言いに行ったらしい。」
「その前の日に提督は何を?」
「・・・。」
気まずい沈黙の間が数秒続いた。口を開いたのは警部だった。
「・・・き・・聞いてない。」
「はぁ。」
京介は呆れ顔でこう言った。そして、こう続けた。
「まったく・・・それを聞かなきゃ意味が無いでしょう。事件では事件現場にいた人全員を疑わなきゃいけないのに、最低限のデータが無いなんて。」
警部はうなだれている。数秒後、私が口を開いた。
「まずは、現場を見たらどうだ?京介。」
「Yes.You are right.(そうだ。君が正しい。)行くか。」
そうして、桂川警部、私、相模京介は下宿を出た。