Fクラスが居る体育館は異様な空気に包まれていた。
「なんだこりゃ。」
「むぅ…緑なのだ。」
坂本雄二 86点(槍兵) VS 土屋康太 33点(弓兵)
「うわ、俺ってばついてねぇ。よりにもよってどっかの神話の有名どころが相手かよ」
「口のわりには随分と余裕じゃねぇか。なぁ、どっかの森の
ムッツリーニの召喚獣に並ぶ緑色のサーヴァントが面倒そうにぼやけば、雄二の召喚獣と並び立ち、赤い槍をくるくると回す青いサーヴァント。
「はわわ、お姉さんが出てきましたよぉ…。」
「わしのサーヴァントも皆のと違うのじゃが…。」
木下秀吉 76点(
「…どうやら、戦いは避けられないようだ。いくぞ。」
「…お手柔らかに。」
美少女木下秀吉の黄金の鎧を纏う華奢なサーヴァントが、向かいのボンテージファッションの巨乳美女に静かな口調で宣戦布告をすると、瑞希のサーヴァントはアルカイックスマイルを浮かべそれに応じる。
「嫌だわ、いかにも汗臭そうな脳筋セイバーが相手なんて…最悪。
「へ、血ぃ!?」
不穏な言葉に島田は顔を真っ青にさせ、明久は何いってんのこの子?とキョトンと紅い槍兵を見つめている。
「血の風呂とは悪趣味ですね鮮血魔嬢エリザベート・バートリー。我が主にそのうす穢れた矛先を向けるというのならば、女性といえど容赦はいたしません。」
「う、痛っ。あんたのその声、頭に響くのよ!円卓の騎士だか、電卓の騎士だかしらないけど、その糞みたいな騎士道精神、叩きつぶしてやるわ!」
端から見るとRPGに出てきそうな美少女魔王と勇者みたいな二人だが、纏う空気が違う。
これが、ムーンセルシステムが構築したデータだと誰が思うだろうか。戦場の臨場と狂気が何故か平和なはずの学校の体育館を浸食していくようだ。
「せ、先生!私のサーヴァント何なんですかあれ!」
「ふむ、島田のサーヴァントはハンガリーに実在した伝説の悪女のようだな。バートリ・エルジェーベト。「血の伯爵夫人」と喚ばれ、吸血鬼のモデルとなった連続殺人鬼。その美貌を保つためにうら若い処女を殺し、その血を浴槽に満たしてその身を浸したと言う伝説が残っている。おそらくあの角と尻尾は吸血鬼(ドラキュラ)の語源、竜の子(ドラクル)からきたものだろう。」
「…うぅう。うちも頭が痛くなってきたかも。」
涙ぐみ顔色が悪くなる島田に、鉄人は苦笑する。サーヴァントは召喚した生徒の性質とどこか似た性質をもったものが召喚されるというのは教師しか知らない情報だ。
おそらくエリザベートと島田の共通点は「ぺったんこ、加虐趣味、ツンデレ」といったところだろう。
対してガウェインと明久の共通点がさっぱりわからない。
「対して吉井は伝説の円卓の騎士か…随分と規格外なサーヴァントを引いたようだな。」
その呟きは戦闘開始のブザーによってかき消された。
【
その文字が両者の頭に浮かび上がると、二人の足下が色鮮やかに輝き始める。
エリザベートは鮮血のような紅に、ガウェインの足下は朝の輝きの白に
その輝きに合わせるように明久の召喚獣がひょっこりとガウェインの肩に負ぶさり、島田の召喚獣がエリザベートの尻尾にしがみつく。それが必殺技の合図なのか互いに槍と剣を構える。
「幕を降ろすわ。とっておきのナンバーでイかせてあげる!」
エリザベートの可愛らしい声と共に、その背後に巨大な城が構築されていく。城の両脇には同じく巨大なステレオっが配置され、エリザベートはその槍を立てると、その矛先にふわりと降り立つ。
その背中には大きなドラゴンの翼が生え、ばさりと音を立てて広がる。エリザベートの尻尾に島田の召喚獣が堕ちないように足をばたつかせているのが、ちょっと間が抜けていた。しかし城が具現化するなんて、凄いエフェクトだ。
対してガウェインは体育館の窓からこぼれる日光に、確信の笑みを浮かべている。
「この輝きの前に夜は退け、虚飾を払うは星の聖剣!」
日の出の白い輝きを帯びたその美しき聖剣と共に、ガウェインの輝きが増していく。ガウェインの肩に負ぶさっている明久の召喚獣は、いつの間にかサングラスを目に装着している。
両者、この一撃で勝負がきまるだろう。
「Aaaaaaaa~~~~~~~♪」
「
宝具「
宝具「
つんざくような声が音の攻撃と共にガウェインに向かって放たれたが、灼熱の太陽のような白い剣撃がエリザベートの攻撃をはじき返し、そのままエリザベートの身体を容赦なく包み込んだ。
残されたのは、焼き焦げのアフロへアになったエリザベートと、0点となったアフロヘアの美波の召喚獣の姿だった
「うわあああああん!子リスと豚のくせに生意気よ!あんた達覚えてなさいよ!」
エリザベートはアフロヘアがショックだったのか泣きながらその身体を消し、残された美波の召喚獣もデータの量子に消えていく。
島田美波 0点 VS 吉井明久 37点
勝者・吉井明久
「うそおおおおおおおおおおおお!!!!アキに負けたぁあ~」
「戦死者は補習!!」
鉄人に運ばれていく美波を見送ると暢気に明久は新しいシステムに感嘆していた。
「へぇ…すごいエフェクトだなぁ。」
正直サーヴァントの力は凄いが、ゲージが溜まるまでの三分以内に戦っていたら、確実に明久の負けだっただろう。
頬を高揚させ、キラキラとした瞳でガウェインをみつめる明久の顔は、ヒーローショーを見に来た子供そのものだ。そんな明久の元に、明久の召喚獣を肩に乗せたままガウェインが歩み寄る。
「改めて、ご挨拶申し上げます主。本日より主のサーヴァントの一人として馳せ参じました、ガウェインと申します。よろしければ、貴方の御名を教えていただけませんか?」
「あ、僕、吉井明久といいます。あの、主とか堅苦しいから明久って喚んでください。」
「承知いたしました。明久。」
「さっきは凄かったですね。えくすかりばぁー・がらてぃーん、でしたっけ?」
「ああ、はい。私の宝具は、太陽の加護を受けた剣なので、太陽が出ている時は通常の攻撃力の三倍の威力を発揮します。」
「宝具?」
「ざっくりと説明すると私たち、サーヴァントの逸話や偉業が具現化したものです。サーヴァントアシストではその宝具の発動が必殺技としてサーヴァント召喚時に発動します。」
「へぇ。」
「その、明久、私も一つお訊きしたい事があるのですがよろしいですか?」
そこまで言うと、ガウェインは明久の顔をじっとのぞき込む。端から見ればBL臭が漂っているが、本人達は気がついていない
ガウェインの視線に困惑する明久は、おずおずとガウェインに口を開く。
「あの、ガウェインさん?」
「明久には、妹君がいますか?」
「え?いや、姉ならいるけど。」
唐突の質問に明久は素で答えると、ガウェインはがっかりしたような表情を滲ませた。
「残念です。貴方の妹君ならさぞ可憐な容姿でしょうに。」
「ガウェインさんて、年下が好みなの?」
「ええ、十五歳以下ならなお良いです!」
その問いにガウェインは爽やかな笑みを溢しながら、変態臭い台詞を堂々と明久に言い放った。
明久は明久で、鷹揚に「そうなんだ~」と同じく爽やかな笑顔を浮かべた。
基本、明久は他人の趣味と恋愛事情にツッコミを入れない。
周りは皆戦闘中でツッコミが誰もいない。唯一のツッコミである島田も今は鉄人と補習室への道中だ。
体育館の窓から漏れる太陽がガウェインと明久の周りをキラキラと照らしている。
もし、鉄人がこの場所に居たら、ガウェインと明久の共通点を確信したかもしれない
二人の共通点は「爽やか、正義漢、変態紳士」と
と言う訳で、美波のサーヴァントはエリザでした。
・エリザベート・バートリー
槍兵
【島田美波マスター時】
筋力A+(美波補正)耐久B 敏捷D 魔力D 幸運C 宝具A
スキル
狂化E- 精神異常A 対魔力B(美波補正) 頭痛もち
島田美波との共通項「ペッタンコ、加虐趣味、凶暴性、ツンデレ、無駄な筋力」
・ガウェイン
【吉井明久マスター時】
筋力B+ 耐久A+(明久補正)敏捷B 魔力A 幸運B++(明久補正) 宝具 A++
スキル
対魔力B 騎乗B 聖者の数字EX
吉井明久との共通項「爽やか、正義漢、変態紳士、幼女、鈍感」