真剣で私に恋しなさい!A4-星の記録ー   作:テングマン

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書いている最中、サブタイトルをどうしようかと長い時間迷うのは、私だけでしょうか?ウーン
誤字脱字がありましたら、教えて下さると幸いです。


第三話 史進と京

ここ川神学園では、週に一度全校生徒をグラウンドに集めての朝礼が行われる。普段であれば学園長川神鉄心の至極どうでもいい話を聞き流すだけで終わってしまう。しかし、今日に限ってはそうでもないようで・・・。

 

「今日は皆に転入生を紹介するぞい」

 

「転入生?」

 

ざわめきの中で直江大和は訝しげにつぶやく。

 

「おいおい、ついこの間源氏トリオが転入してきたっていうのに。ま、可愛い子ちゃんならいくらでもウェルカムだけどな!」

 

「・・・は!?私の恋敵が増える予感がするんだ」

 

「相変わらずだね京は」

 

隣に立つクラスメイト、島津岳人の言う通り。学園では、源義経率いる源氏クローン組の転入で一悶着あったばかりなのだ。

騒ぎは秀才の集うSクラスにまで波及する。

 

「転入生?おい、義経。これはどういうことじゃ?」

 

「し、知らないぞ!クローンは義経達以外にいないし・・・」

 

「マープルもそう言ってたしねー」

 

「まさか・・・組織の連中か」

 

「こらこら愛しき庶民ども、声が大きいぞ」

 

「庶民ではない。選民、不死川なのじゃ」

 

「・・・いつもなら、ロリ川に少し萌えてる所なのに、今の俺は、その転入生とやらが、何故か気になる。まさかいるのか?肌に不純物のない小さな女の子が」

 

「準。考えが口に出てますよ」

 

「キモイのだ」

 

皆が大なり小なりのリアクションを示している所で川神鉄心は続ける。

 

「それじゃ、舞台に上がって一人ずつ挨拶をしなさい」

 

その言葉に合わせて六人が一斉に登壇する。「うぉぉぉおおおおおお!!!」と男子生徒たちから大歓声が巻き起こった。それもそのはず、一人を除いて皆絶世の美少女である。健全な男子生徒であれば吠えないわけがない。

 

「ふぉふぉ、予想通り男子にはバカ受けじゃのう。まぁワシも・・・うん・・・満足しとる・・・へへ」

 

「チョットー!照れてないで説明してあげて下さイ!」

 

「おー!わっちら大人気じゃん!イェーイ!」

 

「浮かれている場合か九紋龍」

 

観衆に応えてピースサインをする史進を武松が諭す。

 

「あー、気づいてるよ。もう闘気ぶつけてきてる」

 

「大河の濁流のような荒々しい闘気だ。乗せられるなよ」

 

肌を刺す。そんなピリピリした空気がぶつかる。常人では感じることができない感覚を少女達は受けていた。

 

(これが川神。何人か壁越え。または近い者がいる。武神と川神院関係者以外では・・・)

 

林冲は眼下の学生たちをグルリと見回す。

 

(噂のクローンと従者部隊か。欧州の猟犬に・・・松永燕・・・他にもいるな。さすが難易度《天》の任務。気を引き締めねば)

 

武神を抜きにしても、一国の軍事力に匹敵するほどの暴力がこれ程までに集中してる場所など他に有り得ないだろう。この全部を欺き、任務を遂行することの厳しさを林冲は実感した。

 

「ねみゅい・・・ふわ・・・」

 

「お前は相変わらずだな、公孫勝」

 

「そう言う曹正だって、あまり緊張してる様には見えないが・・・」

 

「はぁ♥パンツがいっぱい。パンツの遊園地だぁ♥」

 

「こっちもかよ」

 

「ハーイ、それじゃ一人ずつ挨拶していってネー!」

 

川神院師範代、ルー・イーは急かすように言う。学園長の我儘に付き合わされる彼も大変なのだろう。

 

「わっちは史進!天微星九紋龍、史進!よろしくゥ!」

 

「天傷星の武松」

 

「天雄星、豹子頭の林冲だ」

 

「天暗星青面獣、楊志。よろしくね・・・ふふふ」

 

「天間星入雲龍の公孫勝。天才だからそこらへんよろしく」

 

「地羈星は操刀鬼の曹正。仲良くしてくれたら嬉しいです」

 

史進は意外だが、ここで問題を起こすわけにはいかないからかそれぞれが障りの無い自己紹介をする。

 

「おいおい見たかよ!転入生の女の子たち俺様の方を見てたぜ!」

 

「いやぁ。案外好きもので俺を見てたかもしれないぞ」

 

(ガクトとヨンパチの言うことは的外れとして、なぜこちらを見てたんだろう?)

 

「大和・・・」

 

「ああ京。どうも嫌な予感がする」

 

自分が刺客に狙われていることを、さらに彼女たちが自分を守るために来たことを大和はまだ知らない。

 

「彼女たちは梁山泊という所から来たそうじゃ。あー、皆の者。くれぐれも仲良くするように」

 

一応、くぎを刺す鉄心だが生徒たち、特に腕に覚えのある者たちの間で動揺が広がる。

 

「梁山泊・・・。たしか中国の傭兵集団と記憶しているが」

 

「紋様、名刺を用意しておられますが彼女たちをスカウトするのは無理かと」

 

「ふっははー!優秀な人材を見るとついな!」

 

「どう思うモモちゃん?」

 

「うーん。流石にプロの傭兵集団。気を上手く操作しててよく分からん。・・・が!あの黒髪ロングの子はいいな!スリスリしたい」

 

「平常運転だねん」

 

こうして多くの興味、疑念を残したまま全校集会は終わった。

 

 

 

___________________________________

 

 

 

 

 

場所は変わってここは2-Fの教室。

 

「先生!それで俺様たちのクラスには、どの子が来てくれるんですか!」

 

「自分がこの前転入してきたんだ。別のクラスではないか?」

 

「本人たちの希望で3人がうちに来ることになる」

 

「なんだってそうピンポイントでうちに来やがる」

 

大串スグルはクイッとメガネを上げる。

 

「こっちを見てたことと何か関係あるのかしら?」

 

「多い方がいいじゃーん。騒がしくなりそうで」

 

「風間の言う通り。美少女は何人いようと困らねぇ、ううぇるか~む」

 

「うーん。クリスの美人っぷりにダメージ受けてたのに・・・」

 

「さらに美人系きたらアタイ系の人気系ちょいやばい系・・・」

 

「安心しろ、もう下がらんから」

 

「はい出ましたツンデレ系!やれやれ系」

 

「はしゃぐのは分かるが静粛に。3,2,1・・・」

 

シーン。担任である小鳥梅子の号令で一瞬のうちにクラスは静寂を取り戻す。

 

「よーし。転入生を紹介する、入れ」

 

「やっとお呼びがかかった。うぃーっす!」

 

「どーもー」

 

「・・・」

 

ガラッと扉を開けて入ってきたのは史進、楊志、林冲の三人であった。しかし、三人が入ってきてもクラスは騒がない。

 

「ま、間近で見ると・・・より美人・・・ごくり、だぜこいつは」

 

あまりの美形っぷりに言葉を失ったのである。

 

「とても同学年には見えません!この大人のお姉さんから見ても大人に見えます」

 

「髪も綺麗だなぁ」

 

「モロ・・・。修業が足らんぞ」

 

「自己紹介であったように、史進、楊志、林冲だ」

 

「わっちらは川神が武術の街って聞いて来たんだ」

 

「これからよろしくね、色々と・・・ハァハァ」

 

((((なんでハァハァしてるんだろう))))

 

「みんなとは仲良くしていけたらと思っている」

 

担任教師に促され、三人は軽く挨拶をする。転入生のありふれた挨拶、どこにでもある風景。しかし・・・

 

「と、とくに・・・その・・・」

 

と林冲は続ける。

 

「ほら、リン」

 

「悩んでると、皆の前でPANTUを取っちゃうよ」

 

「分かってる。・・・ふぅ、よし」

 

意を決した林冲はツカツカと歩いていき、ある男子生徒の前で立ち止まった。そして・・・

 

「直江大和!お前と・・・特に仲良くなりたい」

 

「え?・・・え!?」

 

ピキピキとクラスの空気が凍りついた。

 

「直江大和。父親・・・直江景清の資料を調べている時にお前の存在を知った。そして・・・惹かれていった」

 

「なッ!」

 

ドンッと京は思わず椅子から立ち上がる。

 

「そういうわけだから・・・その・・・宜しく頼む」

 

「あ、うん、よろしく」

 

健全な男子高校生の純情を崩すような話だが、林冲の言葉は嘘である。対象を油断させ接近を容易にする。いかにもという話だが、今回は護衛が任務のため護衛対象の警戒を崩していく作戦である。しかし、クラスはドッと盛り上がった。

 

「ヒュー、いきなり積極的ね!」

 

「電光石火です!お姉さんは心臓が止まるかと思いました!」

 

「異議あり!直江大和君のドーピング検査を希望します!」

 

「なんでやねん」

 

「残りの二人も大和に興味があるのか?」

 

「いやいや、リンだけ。でも・・・」

 

「直江大和に興味が無いって言うと嘘になるね・・・フフ」

 

「なんと!驚き桃の木山椒の木だな」

 

「あわわわわわわわわわ・・・」

 

「どうしたのですか、ワン子ちゃん?」

 

「そんなに押せ押せだと、京が・・・」

 

瞬間、一子の心配は的中する。

 

「ちょっと待ってもらおうかッ!」

 

ズイッと林冲と大和の間に入る京。先ほどとは一変し、肌を刺す闘気が教室を包む。

 

「貴方は・・・?」

 

「大和と将来を誓い合ったものだッ!前世でも妻!」

 

「いや、嘘つくなよ」

 

訝しげに問いかける林冲に対し、京は大胆に言い放つ。

 

「あれだね、天下五弓の椎名京。花栄が言ってた・・・」

 

「なるなど。どうりでいい気を持っているわけだ」

 

やはり世界規模で暗躍する傭兵集団。腕の立つ武芸者のリサーチには余念がない。

京はさらに続ける。

 

「川神に来たからには川神の流儀で歓迎したい!」

 

「それはつまり・・・」

 

「決闘だッ!」

 

京は校章の入ったワッペンを床に叩き付けた。

川神学園独自のルールとして挙げられることの一つに、この生徒同士の決闘システムがある。簡単なことで、生徒同士のイザコザは生徒同士が互いの《武》を競い、勝敗を決するというもの。教師の立会いの下、一対一で行われる為、ある意味で公平性は高いと言える。

 

「いや、私は・・・」

 

「はいはいはい、ちょっと間に入らせてもらうよ」

 

両者の間に史進が割り込む。

 

「悪いね天下五弓。リンは《一応》総大将ってことになってる」

 

「《一応》ね・・・フフフ」

 

「そんなに《一応》を強調しなくてもいいじゃないか・・・」

 

「リンと戦いたかったら名目上は部下である、わっちを倒してからにしてくれないか」

 

「貴方を?」

 

「無粋で悪いねえ。でもこれ決まりだから」

 

「私はそれでも構わない」

 

「お!流石に川神の人間。その気概グーット!」

 

「さらにもう一つ!」と史進は続ける。

 

「わっちらはこれでも名の知れた傭兵なんだは。梁山泊の名がかかってる以上は手加減は出来ない。最低でも骨折は覚悟してもらうぜ」

 

「うん」

 

「!」

 

脅しとも感じられる史進の挑発に対し、京は覚悟を持って応える。

 

「手を抜かれるより全然いい」

 

「へぇ、心配は野暮だったか。・・・それじゃ、こうかな?」

 

史進がワッペンを重ねる。

 

「京、大丈夫なのか?」

 

「心配しないで大和、これは自分の気持ちの問題だから」

 

(大和の同意があるなら兎も角。目の前で別の女に粉かけられるのを黙って見てるほど、ぬるくなった覚えはない)

 

久々の決闘。沸き立つクラスメイトの中にあって、京は静かに、そして激しく闘志を燃やしていた。

 

川神学園 椎名京

  VS

梁山泊 史進

 

戦いの火ぶたが切って落とされたッ!

 

 

 

 

 

 

 

 




次回は、戦闘シーンが多めになりそうです。
ドウシタライインダ・・・
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