某所のコンテストに応募した作品です。消すのももったいないので投稿することにしました。
もちろん許可はとってあります。
暇つぶしにでも読んでいただけたら幸いです。
夏と言えば人は様々な事を思い出すだろう。私が夏と聞いて思い出すのはあの夏の不思議な体験である。
かなり昔の事なので細かいところは思い出すことはできないが、確かこんな話だった。
夏に入る少し前の事だ。私は学校の後輩と共に食事をしていた。
食事中、私はふと、今年の夏の予定がほとんど何もないことに気がついてそのことを話した。
それを聞いた後輩は私にこんな提案をした。
「夏の予定がないなら私の祖母の家に一緒に行きませんか?」
どういった事なのか詳しく聞くと、後輩の祖母は最近夫を亡くして一人暮らしをしているらしい。
夫が亡くなったため遺品がそこそこ出たのだが、後輩の祖母は親戚が少なく、遺品の引き取り手も同様に少なかったそうだ。
祖母は遺品を見ると夫の事を思い出してしまうため、遺品を処分したいそうだ。
後輩は夏休みの間その手伝いをするつもりだが、少しでも人手がほしいとのこと。
また、祖母の家は田舎にあり、この期間中夏祭りも開かれるため私にとっていい思い出になると思う、ということであった。
田舎に興味があった私はその提案を受けた。
実家に行く用事を済ませた後の三日間、後輩の祖母の家に滞在することにした。
後輩と共に電車に長い間揺られながら到着した後輩の田舎はある建物は木造の古めかしい構成と思えばその間にビルがあったりと、昭和と平成が入り交じったかのような雰囲気だった。
古くなった場所を現代の技術で直している。
そんな町並みに親しみを感じつつ私は後輩に案内してもらい、祖母の家に向かった。
後輩の祖母はだいぶ年をとっていたが、老いを感じさせない印象を受けた。
少し気になって聞いてみたところ、祖父は寿命で亡くなったらしい。
後輩に祖父がどんな人物だったのか聞いてみたが、あまりいい返事はもらえなかった。
祖父はぶっきらぼうな人だったらしく、後輩も会話をしたことはあまりなかったそうだ。
どんな人物であったのか想像しながら私は眠りについた。眠りにつくとき、私は不思議と落ち着いていた。
ここは田舎だからか静かで空気もおいしい。
こんな環境で生活しているから、祖母は元気なのかもしれない………
翌日。遺品処分を手伝った後私は家にあった自転車を借りてこの町を探索することにした。
道は舗装されていない場所が多く、移動するのは大変だった。
しかし、この町にはところどころに普段目にすることのない自然があった。
それを見ていると移動する苦労なんてどこかに飛んでいってしまったかのようだった。
その帰り道。整備がされていなかったのか、自転車のチェーンが急に外れて私は転んでしまった。
その時、私の近くに一台の自転車が止まった。
「大丈夫か?」
声をかけてくれたのは私と同い年くらいの男性だった。私は幸い少し腕をすりむいた程度で済んだのだが、問題は自転車だ。見たところ大きな傷はないようだが、私には外れてしまったチェーンを直す方法がわからなかった。
そんな私を見かねたのか、男性は慣れた手つきで自転車のチェーンを直し始めた。
ふと気付けば、男性の乗っていた自転車は私の借りた自転車にうり二つだった。
なるほど、同じ自転車なら修理に慣れているわけだ。
私が感心している間に男性はチェーンを直した。
男性に礼を言うと、ぶっきらぼうに「気をつけろよ」と言って去って行った。
後輩の祖母の家に帰った私はその日地元の神社で開かれるという祭りに向かった。
後輩は祖母と一緒に来ると言っていたので、先に一人で祭りを楽しんでいると、先程自転車を直してくれた男性に出会った。
私は男性を誘い、一緒に祭りを回ることにした。
男性は昔からここに住んでいるらしく、後輩の事も知っていた。
後輩のことをどう思っているのかと聞くと、大切な人と答えられた。どういう意味なのか尋ねたが、はぐらかされてしまった。それから男性は様々な後輩の話をしてくれた。
後輩の友人である私からすると、とても面白い内容だった。
「住んでいる場所が離れていると、なかなか話もできないんだよなぁ………」
話の途中、男性はそんなことを言っていた。
男性は後輩と仲良くしたかったが、話をするのが苦手なのと住んでいる場所の違いもあり、なかなか会話をすることすらできなかったらしい。
男性はそれを悔いているように感じた。
それからしばらくすると、男性は用事があるといって私と別れた。
その直後に後輩と出会った。
後輩に先程出会った男性の話をしてみた。しかし。
「そんな人は私は知らないんですが………」
そう答えられた。あの男性は後輩の記憶に残っていなかったらしい………
それから帰るまでの間、私はあの男性と再会することはなかった。
八月十六日の暑い夏の出来事だった………
………それからあの男性が後輩と会うことがあったのかどうか。私は知らない。
あの男性は後輩とどんな関係だったのだろうか。残念ながら今の年老いた私は後輩とは会う機会がなく、後輩に尋ねることはできない。
ただ、奇妙な話がある。
あの町を立ち去った後、後輩からあの男性についての話を聞けた。
後輩は私が立ち去った後もあの町に残っており、あの男性について聞き込みをしてくれたのだ。
それは、私の出会った男性はあの町には住んでいない可能性が高いということだった。あの町は少子化が進んでおり、若い人も少ないためあの男性は目立つはずだ。それだというのに、目撃情報が全くといっていいほどなかったらしい。
一体どういうことなのだろうか。
あの夏の体験は不思議な体験として心に残っている。
………あの男性に、今の私なら。そう遠くない内に会えそうな気がする。どうしてなのかは話を聞いてくれたあなたの想像に任せるとしよう。
つまりあの青年は友人のおじいちゃんだったんだよ!
みたいな意図で書いたはず。なにしろ半年以上前に適当に書いたものだから記憶が結構曖昧。
日付はお盆を意識しただけで戦争は関係ないはずです。
改めて読み返すと時間がなかったからかなり酷い出来………