「すー…すー…」
シオンが静かな寝息を立てている。
その無防備な姿や寝顔を見て、フミはため息をついた。
…殺すはずだった。
実際、殺そうとは思っていた。
新種のモンスター。
しかも他の種を進化させるほどの強大な力を持った未知の生物。
人々の不安を取り除き安心して過ごせるようにする為にハンターをしている。
モンスターから1人でも多くの命を救う為に、害なす可能性のあるモンスターは殺そうと心に決めていた。
それなのに…
シオンの恐怖と混乱で引きつった表情や絶望と焦燥を込めたような声を聞いた時、その決意は揺らいだ。
自分たちとなんの変わりもない、人のように見えた。
単にそれだけの理由で躊躇っていた。
...笑えてくる。
人に似ているから?それがどうした?
モンスターだ。
人に危害を加える。それは変わらない。
それでも....
──もしも人と竜が互いに歩み寄れるのなら、それはそれで良いかもしれない。
なぜだかわからない。
頭の中でありえない考えが浮かんだ。
できるとしてもこちらの意思を伝えるのが限度だと思っていたのに。
そんな夢のような話考えたこともなかった。
ただ、シオンを見ているとそんなことすら可能なんじゃないかと思えてくる。
フミはその想いに賭けてみる事にした。
フミがあの青年のことを奏音竜だと思ったのにはちゃんと理由があった。
一つ目はディアブロスの死体の周辺に散乱していた奏音竜のものらしき鱗。
それが気絶していた青年の装備や太刀にもあったこと。
もう一つはフミたちを見て明らかに(普通の人間にしては)動揺していたこと。
そしてフミの取り出した幻想剣【思】を見て、その音色を聴いて少しだけ安堵の表情を見せたこと。
人間の姿になったシオンは人間の表情が変わりやすいことを知らない。
あの時も自分がどんな顔をしていたかわからなかったはずだ。
シオンと話している時、フミは違和感を感じていた。
時々、知らないはずの言葉を使ったりそれが本人にもわからないようで....
記憶力が良く何一つ欠けることなくその時あったことを話し、一度教えた言葉はなぜか完璧にできる。
話し方は少し幼くてそれはあまり言葉を知らないせいなのか。
考える事が多すぎてどうしたらいいのか....。
これからどうしましょうか。
シオンの記憶力には文句の付け所がない。
人間の常識を覚えて仕舞えば難なく溶け込めるほど。
最初は人間の生活に慣れさせるしか..。
「うっ....ぐ..」
突然聞こえて来た声にハッと意識を戻す。
さっきまでは穏やかに寝ていたシオンがうなされている。
「シオンさん、シオンさん!」
フミが慌てて声をかけるとシオンは目を覚ました。
心配そうな顔をしているフミを見て、シオンは首をかしげる。
どうしたんだろう?
横になったまま周りを見る。
無意識に片方の手は枕に爪が立つほど握りしめていた。
どうやら悪い夢を見てうなされていたらしい。
なにか、とても怖い夢を見ていた気がする。
「...大丈夫ですか?」
「大丈夫(だと思う)。」
「良かった。」
「なにか持って来ます。」と言いながらフミは部屋を出て言った。
どのくらいうなされてたんだろう...?
シオンは先ほどまでみていた夢を思い出そうと眉間にしわを寄せる。
とても重要なことだったような...。
それに何処か懐かしかった。
シオンは窓から空を眺め、飛んでいく鳥が群れをぼんやりと眺めながめた。
....どうやったら元の姿に戻れるかな?
ルーツが勝手に擬人化させ、戻り方をシオンは知らなかった。
ここで人間と仲良くしたいけど、今は....。
とにかく動けるようにならないと。
ふぅ。
なんとか自力で起き上がり呼吸を整える。
人ってやっぱりすごい。これを1人ですぐにできるし。
ていうかもっとこう...ガバッと起き上がってたし....
床にそーと足をつけ立ち上がってみる。
なんとか行けそう...。
壁に寄りかかりながらゆっくりと歩く。
一歩一歩慎重に....ちょっとマシになったかな?
そう思った次の瞬間、壁の一部が動き外側に開いた。
「え?あ....」
それがドアとか言うのだと気づいた時にはシオンの体は倒れ始め....
ドアの向こうから手が伸びてきて体が支えられた。
「全く。何をしているんですか?」
シオンが頭上から降って来た声に上を向くと呆れ顔のフミの顔があった。
もう片方の手には平たい板にカップが二つ乗っている。
「えっと...あの、ごめんなさい?」
「謝ることではありませんが...まだ傷も治ってませんし、少し気をつけてください」
フミは近くの椅子を引き寄せシオンを座らせながら言った。
「それに、こんな時『ありがとう』と言われる方が嬉しいんですよ」
「...ありがとう」
シオンが少し戸惑いながらもお礼を言うとフミは柔らかく微笑んだ。
この人なら信じてもいいかも、とシオンは感じ不器用ながらも微笑み返す。
表情がコロコロ変わるシオンを見ながらフミはカップを差し出した。
「塩ミルクです。口に合うかわかりませんがとにかく温かい飲み物がいいかと」
「みるく...?」
シオンは初めて見る飲み物に興味を持って覗き込む。
匂いはいい匂い....。
シオンは思い切って一口飲んでみた。
...?
よく味がわからない...。
何度飲んでも味がよくわからずシオンは美味しいという結論を出した。
そんなシオンをフミは面白そうに眺めていた。
フミの視線に気づきシオンが顔を上げ首をかしげる。
シオンの思ったより面白い反応にフミは我慢できずに笑った。
ひとしきり笑ったあと、フミは安心したような顔をした。
「味覚は私たちと変わらないのかもしれませんね。もうすぐ夜ご飯なのでシオンさんが良ければ下で待機している皆さんと食べませんか?」
「大丈夫かな...?」
「うまく歩けないのもしばらくは傷が痛むと言い訳できますし、良いリハビリになるんじゃないですか?」
シオンはリハビリという言葉がよくわからなかったが、フミを信じてわかったと返事をした。
〜Now loading〜
シオンが階段を降りていくと、美味しそうな匂いが漂ってきた。
同時にレオとミキがシオンを見つけ声をかける。
「おーい!こっち空いてるぞ〜」
「あっ!私が先に話そうと思っていたのに!!」
「これは早い者勝ちという事なんだな」
「何を〜!」
ぎゃーぎゃーと騒ぎ始めた2人を見てシオンは困惑する。
2人の向かい側に座っていたリョウガがそれを見て「こっちの方がいいな」と隣にシオンを招いた。
喧嘩中にもそれを見逃さない2人は同時に「あっ!!」と叫び悔しそうな顔で席に着いた。
シオンは、意外と諦めは早いんだな...と1人納得する。
そこに見計らったかのようにフミが料理を運んできた。
「竜の合挽ハンバーグと古代真鯛のあら汁、天空の雪山サラダです。」
「毎度思うけどフミって料理人みてーだな」
「バランスも良いしどっちかっていうとお母さんじゃない?」
シオンはと言うと竜の合挽きハンバーグに釘付けだった。
肉が赤くない...!
火を吐けない人が肉を焼くなんて!
肉の形と匂いも違う...。
フミは軽く咳払いして注目を集め言った。
「とりあえず皆さん自己紹介でもしながら食べましょうか」
「じゃー今度は私から〜!」
「私はミキ!片手剣をよく使うよ〜!よろしく〜」
「俺はレオだ。切断系武器ならほとんど使える!よろしくな!」
「....リョウガだ。得意武器はランス。よろしく」
「知っているとは思いますが...。フミです。太刀を主流としています。改めてよろしくお願いします」
「し、シオンです。よろしく」
「じゃー自己紹介も終わったし食おうぜ!」
「おー!」
レオとミキは自分の分をガツガツと平らげおかわりの順番で言い争う。
巻き込まれないようにそーとシオンは手を伸ばす。
知らない言葉が飛び交い、楽しそうに笑うフミたちを見てシオンもつられて微笑んだがそれに気づいた人はいなかった。
賑やかな騒ぎは食事の後にも続いた。
....(無言の土下座)
今回も最後まで読んでいただきありがとうございます!
受験勉強やら行事が重なりなかなか投稿できなかったんです許してくださいなんでもしますから!!(なんでもするとは言ってない)
...はい。凄い人はどんなに忙しくても投稿しますよね。本当にすみません。
今回は誰目線というのを設定してないので「あれ?」ってなる方が多いと思います。
ちょっとした日常みたいのを書きました。
UA8000件、お気に入り80件突破ありがとうございます!!
しおりも15件以上来ていて感動すると同時にプレッシャーが(笑)
できるだけ投稿速度を上げられるよう頑張りますのでこれからもよろしくお願いします!
感想って意外と書くの勇気いりますね....。
「そうだそうだ!」って方は評価だけでもいいのでお願いします!!
えーと今回はリオレイアですね。(1話開けたことをバックレる)
緑風の舞姫リオレイア(毒霧姫)
◇毒霧姫の紫鱗、毒霧姫の焔緑鱗
毒霧姫の体を覆う鱗。紫鱗は猛毒を含み、焔緑鱗は衝撃を与えると時々炎が吹き出る。
◇毒霧姫の霧棘
主に毒霧姫の背中と翼に生える棘。毒霧姫の体内で生成された毒により色が変わる。元の色は銀色。
◇毒霧姫の霧翼
保温性や耐毒性が期待される短い毛で覆われている。時折体内の毒が棘から放出され毒を纏っているように見える。
◇毒霧姫の透刻爪
地を駆ける時にスパイクのような役割を果たす毒霧姫の鉤爪。生成された毒によって色を変える。
◇煌炎袋
煌炎帝や毒霧姫に共通する唯一の器官。圧倒的な火力を生み出す。
◇透霧袋
毒霧姫が使用する毒が作り出される器官。作り出された毒は空気中に放出されるまで無色透明である。
◇毒霧姫の天鱗
毒霧姫のエネルギーが煌緑玉とは別に蓄積された鱗。持ち主をあらゆる毒から守ると言われている。
◇毒霧姫の煌緑玉
毒霧姫のエネルギーが蓄積されてできる宝玉。持ち主を選び、時に毒霧姫の心情や状態により内部の様子が変化する。まれに毒霧姫の見た情景が映ると言われる。
◇煌火竜の鎧殼
鱗が集まり強固になった甲殻。煌炎帝や毒霧姫、煌陽炎、駆爆翼の甲殻の総称。
リメイク版は
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見たい(いる)
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見たくない(いらない)
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モンスターの活躍を楽しみにしてる
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ハンターの活躍を楽しみにしてる
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両者の活躍を楽しみにしてる