ベルセルク・オンライン~わたしの幼馴染は捻くれ者~ 作:兵隊
2024年8月17日 PM16:20
サラマンダー領 首都『ガタン』 中央広場
中央広場に配置された、とうの昔に朽ち果てた噴水跡地にて、その人垣は出来ていた。
円形に“ナニ”かを囲むように、事の成り行きをそれぞれの感情を持って見守っている。
ただ純粋な興味本位の者もいれば、今から始まる蹂躙に心を躍らせる者も存在する。ましてや、悲痛な面持ちで見守っているのは極少数と言い切れるだろう。
そう、大半の連中は期待している。圧倒的なる暴力を、手も足も出ずに無残に斬られる光景を、最強の
ここはサラマンダー領。
ならば彼らが求めている勝利が誰に向けられたものなのか一目瞭然である。
曰く『将軍』。曰く『魔剣の担い手』。曰く『ALO最強の男』。彼には様々な異名があり、恐れられていた。
その実力も決してハッタリなどではない。猛禽類を彷彿とさせる鋭い眼光、屈強なる体躯を持つ鍛え抜かれた身体、更に言えば何者も威圧させる強者たりえる素質。
最強といえども大したことがない。彼と対峙したことがない者は最初はそう言う。どいつもこいつも威勢は良く、いざ彼と対峙したものなら震え上がるばかりだ。
彼と打ち合えば五合と持つ者はいなかった。
そして誰もが認める。なるほど、彼が最強である、と。口を揃えて断言するのだ。
ユージーンは妥協しなかった。
それこそが彼の強さにもなったのだろう。プレイヤースキルを鍛えるのは当たり前として、装備にも彼は全力を注いだ。防具、アクセサリー、消費アイテムから何もかもだ。
極めつけは彼の武器、獲物である愛剣『グラム』である。
その剣は両手剣に属される。
しかしその剣脊、剣刃、剣身は両手剣のそれではない。言ってしまえば両手剣ではなく、それは大剣と呼ぶに相応しいほどの巨大で、強大な剣であった。自在に操るには、並外れた膂力を持っていなければ振り回すことは勿論、装備すら出来ないだろうと思わせる。
それだけではない。ユージーンが持つグラムは魔剣と称されており、中でも
魔剣と言われるだけあってか、彼がグラムを手にしてからというもの一時期は狙われるようになった。
何せ手に入れて装備すれば単純な戦力アップに繋がり、売買するものなら高値で売り払える。狙われるのも無理はないだろう。
だがそれも一時期なものだ。
手に入れているプレイヤーがユージーンであるとわかるや否や、彼を狙う輩は徐々にいなくなっていった。彼に歯向かうのは数少ない命知らずばかりだが、最近になってまた数が減り、今となってはユージーンを狙う者は存在しない。
既にユージーンの名はアルヴヘイム・オンラインでは広まっており、彼と戦う者は存在しないだろう。モンスターを狩り、クエストをこなし、またモンスターを狩る。特に何かがあるわけもない毎日を、ユージーンは過ごしていた。
単純な話、彼は退屈していたのだ。
彼の兄であり領主でもあるモーティマーはグランドクエスト制覇を最終目標としている。だがユージーンには正直な話、そんなもの興味がなかった。
ユージーンの目標は己の存在の証明、強者との血湧き肉躍る闘争だ。自分に挑む敵を斬り、誰も彼もを粉砕し、己の力を刻み込む。だからこそ、彼はPKが推奨されているアルヴヘイム・オンラインに足を踏み込んだ。
なのにも関わらず、最近では己に挑む輩は現れない。
むしろ自分が誰なのかもわからない者は
ユージーンが求めていたのはこんなことではなかった。仲間達は攻略しやすくなった、とほくそ笑んでいたがユージーンは違った。冗談ではない、と。自分が求めていたモノはこんな虚しいものではなかった。もっと、もっと、瀬戸際の闘争を、一瞬の油断が命取りになる戦いを、望んでいた。それだけなのに、どうして――――。
そんな時だった。
『でも、わたしの仲間は言いました。考えがあると、確かに言いました。わたしはそれを、信じるだけ』
会議室で声が聞こえた。
聞こえによっては他力本願。とてもではないが、闘争を求めるユージーンとは相容れない声が聞こえた。
しかし心が惹かれるものを感じ、一度だけ顔を見ておこうと立ち寄った。
それが中々どうして。
――何だ、ヤツは。
――貧相な装備だ。
――俺に挑んだ誰よりも弱者であるはずなのに。
――誰よりもヤツは……強いッ!
始めた感じた感覚だった。
弱い筈なのに強い、弱者である筈なのに強者。相反するモノが、発言した者に内包している。
故に、ユージーンは人知れずに言葉を漏らした。
それは彼自信が意図せずに、勝手に無意識に呟いたものだった。
――――面白い、と彼は笑みを零す。奴と戦ったら、他の連中とは違う何かを持っている者と戦えば、退屈な日々を抜け出せるかもしれない。そんな期待を胸に、ユージーンはヤツと詳した彼女に刃を向けた。
そうして、彼女とユージーンは刃を交わった。
ルールは『完全決着モード』。それは文字通り、HPゲージを全損させるか、もしくは相手が降参するまで決着がつかないモード。一撃入れれば決着するなど生ぬるい、半減削れば勝敗が決するなど味気ない。だからこその完全決着であった。
しかしユージーンの表情は晴れない。
グラムのエクストラ効果を切り、様子見で一合剣を交わった。所詮は様子見、ユージーンは半分程度の力で剣を真横に薙ぎ払っただけに過ぎない。なのにも関わらず、彼女はユージーンの剣を受けると身体の軸が大きく揺れてたたらを踏みギリギリで立つ。
まさか、と二合目は振り下ろし。やはりと確信を得るために三合目は振り上げる。全力ではなく、一合目と同じく半分程度の力でだ。
それだけで確信した。
――――この女は、やはり弱い、と。
プレイヤースキルなどの問題ではない。根本的な問題、シンプルに弱いのだ。
身体能力、この世界ではステータスと呼ばれる数値が、彼女は低い。低すぎるほど低く、最弱と言える部類だろう。
現に、彼女は一合目の薙いだ剣を受け止めるのやっとで、二合目の振り下ろしに片膝を折れ、振り上げた三合目で足が宙を浮き地面に転がる。瞬間、上がる歓声がユージーンを讃えた。
やはり将軍は最強だ、
何をバカな、と思わずユージーンは苛立ち気に舌打ちをする。
こんなもの、彼の中ではただの弱者を甚振るだけの行為に過ぎない。女子供を嬲って歓声を上げるなど、戯言にも程が有るものだった。
――もういいだろう。
――俺が勝手に期待した
――その結果、ヤツを道化にしてしまった、俺の落ち度だ。
――ならば一思いに、斬るとしよう。
ユージーンの表情は影に落ちていた。
目に浮かぶのは失望ではなく落胆。そして弱者を無駄に傷つけてしまった、自身に対する自己嫌悪が見え隠れしていた。
図らずとも、彼女を道化扱いにしてしまった。
自分の過ちは自分で片を付ける。そうして、ユージーンはエクストラ効果を発動させる。受けようとしても物体を非実体化させ、対象を必ず切り捨てる魔剣グラムのエクストラ効果『エセリアルシフト』を、ユージーンは発動させた。
これで終わる。
ユージーンは目にも止まらぬ速度で彼女に近付き、両手剣を真横に薙いだ。
それで終わりだ。細剣で受けようものなら、彼女の上半身と下半身は真っ二つに分かれ、この公開処刑は幕を閉じる。終わる筈―――――。
「なっ――――!?」
――――だった。
なんと彼女は剣で受けることをせずに、右足を思いっきり振り上げる。ユージーンの片手に持つグラムの刃ではなく柄を蹴り上げ、強引に軌道をずらした。
彼女の行動はそれでは終わらない。その反動で、後方へとバク転しながら下がる。
あまりの身のこなし。
軽業師のような身体捌きに、ユージーンを応援していた
それはユージーンも同様である。
まさかこんな方法で、強引とも呼べるやり方で、剣すらも使わずに防がれるとは思わなかった。彼自身、必殺を確信した一撃を、彼女は容易く防いでみせた。
いいや、よく見れば容易くではない。
「……ッ……フゥ……ッ!」
油断なく、警戒心を顕にしながら、細剣を構える。
汗が頬を伝い、肩で息をする彼女を見て、どうして容易くと言えるだろうか。勝ち目がないからこそ可能性を必死に模索し、負けたくないからこそ最大限の努力を重ねる。容易くなんてとんでもない、道化なんてとんでもない、彼女は必死なのだ。必死でユージーンと対峙している。
それからのユージーンの行動は速かった。
再び、彼女に向かって勢いよく推進すると、両手剣を自在に操り右に左に、上へ下へ、と刃を容赦なく彼女に向ける。
だがそれを、紙一重で皮一枚で、彼女は回避した。転がるように、蹴り上げて、細剣でユージーンの手を突き強引に軌道をずらして、必死に致命傷を避ける。
それでも、彼女の身体は傷ついていった。徐々に、HPゲージが削られていく。対して、ユージーンは無傷に近い。力量はともかく、装備、何よりもステータスが大きさが差がある。
アリがライオンに挑んでいるものだ。何匹も徒党を組んで群がったところで、獰猛な肉食獣には勝てるわけがない。そんな無謀で無茶な戦いを、彼女は行っている。
「……大した腕だ」
「……えっ?」
距離を開けて、ユージーンが剣を下ろし思わず称賛する。
肩で息をする彼女は聞き返すも、その眼は過敏にユージーンの一手一足に注目していた。
「何故俺の剣を、グラムを受けなかった?」
「……何か嫌な感じがしたので」
「嫌な感じ、つまりは勘ということか。なるほど、貴様の戦闘経験は遥かに俺を凌駕しているらしい」
しかし、と言葉を区切り両手剣の剣先を彼女に向ける。
「貴様に勝ち目はない。これまでの一撃で、わかっただろう。貴様の攻撃では、俺に致命打を与えることはできんぞ」
「……つまり貴方は何を言いたいの?」
彼は躊躇いなどしない。
少しの希望を念入りに摘み取り、ただの少しの期待すらも否定するように、厳格な声で事実だけを口にした。
「諦めろ。ティターニアと言ったか? 貴様では、俺に敵うわけがない」
「………」
その言葉は重く、そして何よりも心に訴えるものであった。
充分やった、戦えない身でありながら奮戦した。現実世界で策を講じている仲間も、非難することはないだろう。むしろ良く頑張ったと、労ってくれるはずだ。
何よりもいま行っているモノは、完全決着モード。つまりは降参しない限り、HPゲージが全損しなければ決着がつかない。普通のプレイヤーであれば、全損したあとは蘇生が待っているのだろう。
しかし彼女は蘇生されるとは限らない。ナーヴギアを頭に装着した彼女にとって、HPゲージの全損は何が何でも避けねばならないことだ。どうなるかわからず、最悪――――死ぬかもしれない。
ならばここで降参するのは仕方ないことだ。誰も彼女を責めはしない、むしろそうしなければならない。
だが彼女は顔を伏したまま――――。
「……教えて下さい」
「何だ?」
「どうして、わたしをティターニアと呼んだんですか?」
「
彼女の心は決まっていた。むしろ問答の余地などどこにもない。最初から、彼女はどうするか、何をするかなど決まっている。心が命じたことは止められない、彼女は自身に何を命じたのかなど――――。
「一人の男の子を見てきました。その子は、誰よりも無茶をして、自分の命すらも投げ出して、戦いに身を投じてきました」
「……それは、つまり」
「えぇ、わたしは諦めない。その子なら、彼なら、あの人なら、絶対に諦めない。剣を握って前を向いて、敵を睨みつけている筈だから――――!」
顔を上げて、再びユージーンを視界に収めた。
腰を落とし臨戦態勢に、彼女は入った。敗北するつもりもない、彼女は本気で――――勝つつもりだ。
「――――、」
彼女に向けていた剣先を下ろし、ユージーンは両手で構え直す。
ユージーンは無言だった。応じないのではなく、応じる必要がない。彼女の心は決まっているのだから、これ以上の問答など不必要である。これ以上の無駄口は彼女の礼に反するというもの、
だからこそ、ユージーンも無言で応じた。彼女の決意は揺るがずに、ユージーンも心意気を買う。その結果、お互いに口を開かない。ただそれだけのことであった。
魔剣グラムの剣先が揺れた。
今まで発動していたエクストラ効果を解除したのだ。眼の前にいる彼女はエクストラ効果に過敏に反応する、それをユージーンは逆手に取る。
そうして――――。
「しまっ――――っ!」
一瞬の隙が出来る――――。
それは文字通り、瞬く程度のモノであった。その程度の気の緩み、だが相手はALO最強の男。たかが一瞬が、致命的な結果へと繋がる。
低い姿勢から滑るように、最強は彼女へと襲いかかる。
迎撃な不可能、回避するにしても遅すぎる。ならば彼女の行動といえば――――。
「……っ!」
――――後退であった。
なるべく衝撃を分散するように、致命傷を避けるためだけの延命処置。
同時に――――。
「ハァァァァ!!」
裂帛な気合とともに、ユージーンから振り下ろされる一撃。
それは何よりも、今までで一番、苛烈な一撃を、彼女へ叩き込んだ――――。
「……ッ!」
「待て」
吹き飛ばされた彼女を見て、今まで辛うじて見守ってきた
本当にいつでも飛び出しかねない様子であった。現に、リーファは身体を震わせている。今まで黙ってみていた自分に怒り、最悪を危惧しながら、これ以上我慢が出来ないと言わんばかりに、リーファは身を乗り出していた。
思わずリーファは掴まれていた片手を振り払う。
それは乱暴なもので、力任せで、シグルドの片手の拘束などいとも容易く振り払うなど充分なモノだったが、再びシグルドはリーファの腕を強引に掴んだ。
「離して! これ以上、見ていられないでしょ!?」
「だが彼女はお前に大丈夫だと言った筈だ。それを無視するのか?」
「モノには限度があるでしょ!? これ以上やると――――っ!」
もはや問答する時間すら惜しいと言わんばかりに、リーファは飛び出そうとする。
リーファは
致命傷。後ろに下がり、衝撃を逃したところで関係がない一撃を、彼女はまともに受けてしまった。
HPゲージは大きく削られ、最悪もう全損している可能性すらある。
戦いにすらならないことなど、最初からわかっていたのに止められなかった。そんな自分に、リーファは嫌気が差す。
止められたはずだ、必死に、もっと必死になっていれば、無謀な戦いに赴く彼女を止めた筈だ。なのに――――。
「自己嫌悪になるのはお前の自由だ。だが待て、戦いは終わっていない」
「何を言っているのよあんた! 終わりよ、あんたも見たでしょ!?」
「あぁ、見ていた。そして、今もな」
「何を――――」
振り向いてシグルドはリーファではなく、前方へと向いていた。
その視線を、追うと、そこには――――。
「そうか、これがキリト殿の信じた彼女か。なるほどこれは……」
シグルドの感嘆とした声に答えられない。
リーファが見たモノ。それは――――。
視界がぼやける。
いいや、視界だけではない。今は既に朽ちた噴水に激突した衝撃で、満足に舗装されていない道が砕け、噴水だったものは崩れ、辺りに戦塵が舞っていた。
痛みは、ない。
ぼんやりと、意識が遠退くのを、必死に彼女は繋ぎ止める。
ここで目を閉じてしまえば今度こそ、敗北が決定される。これ以上何が出来るものではないことは、彼女自身が理解している。だがそれでも、何もしないで負けることは許されない。
「ぅ……」
何はともあれ、自分はまだ負けたわけではない。
五体は満足であるし、ぼやけている視界がその証拠だ。HPゲージも危険域、つまりはレッドゾーンとなり赤色に変色している。
ならばまだ戦える。
両の足で立ち上がれ、その手に剣を握れ、その双眸に敵対者を納めろ。
そうでもしなければ、自分は負けるのだ。負けないために、今一度“彼”の隣に立つために、今度こそ“彼”という存在を守る為に――――。
――――頑張るのは結構だが、もういいだろう――――
「えっ……?」
声のした方へ、前方へと彼女は見やる。そこには、見慣れた背中があった。
黒い長袖のインナーの上から胸部を覆う白色の鎧。手首には手甲が装備されており、堅実さよりも身軽さを追求したようでもある。黒色のズボン、その腰からは濃い蒼色の布が垂れている。そして腰のベルトには――――紅色の宝石の付いたペンダントがぶら下がっていた。
面倒臭そうに、苛立ちを募らせるように、乱暴に両手剣――――アクセル・ワールドをその肩で担いでいる。
いつだって“彼”はその背を彼女に見せてきた。
泣きそうになっているときに、近所の子供から守るときも、デスゲームに巻き込まれた時でさえ、その背を彼女に見せていた。
まるでそれは、守るように。彼女へと刃が向けられないように、いつだって、どんなときだって、彼自身が傷つこうとも引くことなどしなかった。いつも守られてきた背中が―――――彼女の前に立ちふさがっていた。
――――オマエは十分やったろうが。もういいよ、下がってろ――――
――――あとはオレが、何とかしてやる――――
――――敵を指差せ、オレがそれを斬る――――
――――指示を寄越せ、オレが実行する――――
――――オマエが剣を握る必要なんざないんだ――――
ぶっきら棒でありながら、どこかその言葉には温かい。“彼”は変わらなかい。自分は二の次で、常に物事を考えている。
ここで頷けば、楽になれるのだろう。ここで“彼”に甘えてしまえば、今までどおり“彼”は守ってくれるのだろう。ここで、微睡みに、身を任せて、しまえば――――。
「ありがとう」
――――……頑固なヤツだ――――
「きみには負けるわよ」
クスクス、と笑みを零して震える足で立ち上がる。
頷けない、ここで頷いてしまえば、それこそ致命的な負けだ。彼女としての大事なモノが、譲れない信念が、今度こそ粉々に負けて決定的な敗北へと繋がるのだから。
“彼”は呆れる口調で言った。
振り向かずに、事実だけを口にする。
――――負けるぜ、オマエ――――
「わかってます」
――――勝ち目なんざねぇ――――
「わかってる」
――――それでも諦めねぇのかよ?――――
「当たり前でしょ」
そこまで言うと、彼女は歩みを進めた。
“彼”の背中を追い抜き、“彼”よりも前に立ち、振り向かずに彼女は背中で語る。
「わたしは、きみの幼馴染よ? 諦めが悪いに決まってるじゃない」
――――ハッ、そうかよ――――
鼻で“彼”は笑う。
遠退く彼女の背中を見ながら、後押しするように言葉を投げる。
――――思い出せ、オマエの全盛期の姿を――――
「うん」
――――オマエは誰だ? ティターニアって囚われるだけの女か?――――
「違う」
――――オレの幼馴染ってだけの女か?――――
「そうだけど、違う」
――――それじゃ、オマエは誰だ? 何者で、今まで何をしてきたヤツだ?――――
――――それを思い出せ。戦いなんざ気合が最後に物を言う――――
――――気張れよ団長。オレもあのクソには負けねぇ。だからオマエも――――
「負けんな、明日奈――――」
「――――はいっ!」
戦塵が晴れる。
ユージーンとしては、どちらでも構わなかった。倒れて気絶していようが、先程の一撃でHPゲージが全損していようが、はたまたまだ心が折れずに向かってこようが、どちらでもよかった。
やることは変わらない。
立ち上がってくるのなら全力で、今度こそ切り捨てるのみであるのだ――――。
「な、に――――?」
しかし予想外なことが起きた。
ユージーンだけではない。周囲に集っていた
現れたのは彼女、今までユージーンと戦ってきた彼女に他ならない。
しかし――――。
「わたしは、
姿が違う。
先程の装備、姿から何もかもが違う。
紅色のレザー・チェニックの上から、軽量な鋼のブレストプレートを装備している。その下半身はワインレッドのスカートを身に着けて、膝までのブーツを履いていた。そしてフード付きのケープを羽織っており、その首からは蒼色の宝石がついたペンダントがぶら下がっていた。
極めつけはその背中だ。アルヴヘイム・オンラインのプレイヤーがあるはずの翅が存在していない。幻想的な妖精とは違う、まるで今の彼女は――――人間そのものだ。
そして彼女は、腰に挿してある細剣を抜き放つ。
先程の振るっていたモノとは違う、かつて手にしていた白色のレイピア――――ランベントライトを手にし、その剣先をユージーンに向ける
「わたしは、アスナ。アインクラッド攻略組最高ギルド
ここに、ここに来て、『紅閃』が復活を果たす――――。
べるせるく・おふらいん
~休み時間の男たち~
英雄「なぁ」
恐怖「あぁ?」
英雄「どんなものも貫くペ◯スと、どんなものも跳ね返す処◯膜あるとするじゃん?」
恐怖「おぉ」
英雄「交わった瞬間サードインパクト起きちゃうのかな? どうするよ?」
恐怖「決まってんだろ。一生童貞貫くに決まってんだろバカ野郎」
英雄「お前、カッコいいかよ」
幼馴染「今、フラグが――――!」
後輩「――――折られた気がする!?」
義妹「パピコ買って、にーちゃんと半分こしよっと♪」