ベルセルク・オンライン~わたしの幼馴染は捻くれ者~ 作:兵隊
――――私があの人を見つけたのは、本当に偶然だった――――。
私の目的の障害になる可能性がある彼――――キリトの試合を観察し、ある程度見てから自分の試合を終わらせた。
相手は誰なのかもわからない。
対戦した人には悪いけど、脅威ともならない人へ意識を割くほど、今の私には余裕がない。
見敵必殺。
対戦相手を見つけたと同時に、私は腹ばいになり、狙撃をするために身体を安定させる。
一撃必殺。
こちらを視認してない相手を撃ち倒すなんて造作もない。棒立ちで警戒もしてない相手の頭を撃ち抜き、私は待機ドームへと帰還する。
そして辺りを見渡したのは無意識だった。
探すのはキリトの姿。別に彼を気にしているわけではない。彼の力が脅威であるから、自然と私は彼の姿を目で追っていた。
言ってしまえば、警戒してのこと。一挙手一投足、彼を観察し、動きの癖を掴み、戦略に組み込む。それだけのことをしないと、私は彼に勝てないだろう。
彼は化物だ。
戦闘を重ねれば、重ねるだけ動きが洗練され、立ち回りに迷いがなくなっていくのが見て取れる。
技術も群を抜いている。弾道予測線を予測し、弾丸を弾くなんて見たこともない。少しでも予測が失敗すると致命傷を負うのは明らかであるが、彼の剣に迷いはない。類稀なる反応速度。そして己のセンスを信じ、身を任せている。
自分を信じる。
簡単そうに見えて、それは難しい。
しかしそれを可能にしてしまうのが、キリトの強さなのだろう。
“はじまりの英雄”なんて大層な呼ばれ方をしているだけはある。それ以上に、曲がりなりにも“あの人”に認められているだけはある。
認めよう。
計算外であり、予想外であったことを、私は素直に認める。
これ以上彼が
だがツキはまだ私を見放してはいなかったようだ。
Fブロック予選決勝。
私達が順当に勝ち上がれば、そこで戦うことになる。
叩くのならそこで。完膚なきまでに撃ち倒すしかない。
――でもそれで、彼に勝って、先輩が私を見てくれるの?
――そんな勝ち方で、あの人と。
――明日奈さんと同じ土俵に立てるの?
そこまで考えて、私は頭を振った。
邪念を振り払うように、懸念を唾棄するように、目的だけに集中する。
気付かない、気付いてはならない。予感がする。私が“それ”に気付いたら、間違いなく
だから私は“それ”に気付いてはならない――――。
そう雑念。全ては些事。
今は違うことに集中しなければならない。
目的はキリトの打倒。今はそれしか考えてはならない。
そうして私は周囲を見渡した。
目的の人物を見つけるために、標的をもっと観察するために。
ふと、ある集団に目が止まる。
それは三組だった。黒髪の男性と、同じく黒髪の女性が対面に座り、黒髪の女性の傍らに立つ小柄な金髪碧眼の人。
奇妙な三人だった。殺伐としているBoBにおいて、和気藹々と、交流を深めているプレイヤーは少ない。ましてやここまで勝ち残り、待機ドームにいるプレイヤー達は腕の立つ者達ばかり。情報を得るために会話するのならまだしも、その三人のように呑気に友人達が会話するような柔らかい雰囲気を醸し出す者達はいないだろう。
不思議と私は眼を離せなかった。
黒髪の男性がキリトだったから――――ではない。
黒髪の女性が無邪気だったから――――ではない。
目が離せなかったのは――――小柄な金髪碧眼の人がいたから。
似ても似つかない。
姿も異なる。
まるで女の子とも、男の子とも、どちらとも言える精巧な人形のような。
しかし、二人を見るその人の眼に、私は見覚えがあった。それはダイシーカフェにて、私に向ける眼とは違う、戦友たちに向けている、優しくも特別な信頼を秘めた眼差しに――――私は見覚えがあった。
「……あ」
あの人が誰なのか、どうして私は思い出したのか、どうしてここにいるのか、そういった疑問の数々を無視して、考える間もなく私は駆け出した。
冷静に分析することを放棄して、私は本能のまま、あの人の元へと駆け出した。
胸が高鳴る。
頬が高揚するのを感じる。
私を見て欲しい、あの眼差しを独占したい、あの人と話したい、声が聞きたい。
感情が暴走する。
欲望のまま走り出す。
もはや抑えが効かないまま、私は駆け出して。
一言。
ありとあらゆる愛と恋をかき混ぜて、その言葉を口にしていた――――。
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2025年12月13日 PM16:45
ガンゲイル・オンライン BoB予選
「――――で、お前がユウキで」
「うん!」
目の前に座っている美女を指差し、
「で、お前が――――」
「オレだ」
その指は横にスライドし、美女の隣に立っている人物を指す。
キリトの目の前に見える光景。
確かな事実であり、歴とした証拠でもあり、何よりも本人たちの名乗りがあったとしても、キリトは認めたくなかった。
まるで妖艶な美女が――――茅場木綿季であり。
まるで可憐な
その事実に、キリトはどうしても認めたくなかった。
命を狙われている、かもしれない。どうして伝えるようか、悩んでいたとき。
そんなときに、笑えないジョークのようで冗談の姿で現れたのだから、それは認めたくもなくなるというもの。
なんともちぐはぐな兄妹である。
妖艶な見た目でその気になれば男性プレイヤーは虜になるような雰囲気であるのに、無邪気に振る舞うユウキが全てを台無しにしており。
微笑むだけで周囲をを和やかにさせる愛らしくも、妖精のようなあどけない姿にもかかわらず、その粗暴な言動と人を食ったような表情でこれまた全てを台無しにしているユーキ。
これがもし逆であるのなら、幾分マシに見えるというものだが悲しきかな。
神様は皆に平等であり、不平等を振りまく存在。それはこの二人にも適用されているようである。
キリトは深い、これまた深いため息を吐いた。
こちらの気も知らないで。いいや、言っても意味がないし、何だったら会ってもいなかったのに察しろというのが無理な話だが、そう思わざるを得ない。
どうやって知らせようか、と躍起になって考えていた自分がバカらしくなったのか、気持ちに余裕が出てきたキリトはユーキが背負っている獲物を見て尋ねる。
「随分とゴツいなそれ」
「それだと?」
どれだ、と自分の身体をゴミでも着いているのかとチェックするように確認し、
「これか?」
腰に差していた軍事用スコップを取り出す。
対していいや、とキリトは横に首を振って。
「違う。いいや、それもそうだけど。なんだそのスコップ。というか、なんでスコップ。どうするんだよそれで?」
「どうするってオマエ、ぶん殴るに決まってんだろ」
「やだ、凄い野蛮。スコップってそういう使い方するっけ?」
本来の用途にズレた使い方をする非常識を見て、若干キリトは身を引かす。
ユウキもその言動に同意するかのように、腕を組んでウンウンと何度も頷きながら。
「そうそう。わかるよキリト。にーちゃんはデリカシーが足りないんだよ」
「デリカシーだぁ? 使い方間違ってねぇか?」
「合ってるよ~。こうカッコいい感じが足りないの。ボクとキリトみたいに光る剣使ってさぁ~! 勿体ないよ、そんな可愛い格好なのに!」
それにキリトは同意する。自分と同じくユウキも剣で戦うのか、と思うと同時に、見た目ならユウキが言えたことでもないな、と心のなかで呟いて、二人のやり取りを静観することにする。
ユーキはというと、あー、と考えながら訪ねた。
「……もしかして、デリカシーじゃなくて、スタイリッシュって言いたいのか?」
「あっ、そうそう! すたいりっしゅ!」
「スタイリッシュ」
「すたいりっしゅ!」
悪気もなく満面の笑みで頷く義妹に、義兄は一言だけ事実を述べた。
「オレには縁遠い言葉だな。ンで、他にゴツいもんってなると……」
これか、と背に背負っていた一丁の銃を取り出した。
見ようによってはライフルにも見える。しかしキリトに知る一般的なライフルとは違う。形状は一般的なライフルのようであるにも関わらず、弾倉がマガジン式ではなく、回転式弾倉を備えたリボルバーのような小銃だった。映画などの映像媒体ではあまり見たことがなく、銃に疎いキリトは余計にそのライフルような小銃が物珍しく感じた。
現にキリトもまだ数人とはいえ銃相手に戦ってきたが、未だにユーキが取り出した小銃の相手をしたことがない。
「そうそれ。まさかそれでぶん殴るとか言わないよな?」
「言わねぇよアホ。……いいや、偶にぶん殴ってたか?」
隣りにいるユウキに訪ねて、彼女は間髪入れずに。
「殴ってたよ?」
「銃を鈍器に使うとか、ストロング過ぎないか? こっちまで来て、やってることがALOとSAOと変わらないってどうなんだ?」
「オマエにだけは言われたくねぇんだよ。こっちまで来て剣を使うとか、湧いてんのか?」
正直、傍目から見たら五十歩百歩なやり取りと言えるだろう。
片や、銃の世界と言われているのに関わらずスタイルは剣で戦う近距離特化。
片や、銃を使っているのに、いざとなればそれを鈍器として扱う何でもありの戦い方。
どっちもどっちとは、彼らのことを言うのだろう。
ユーキは、まぁいい、と吐き捨てるように片付けて。
「MTs-255っていう銃だ。まぁショットガンだな」
「えっ、その見た目で? ライフルじゃなくて?」
「ショットガンだ。意外と使いやすい」
「……本当に色々な銃があるんだな」
「銃の世界って呼ばれてるだけはある。中には本当に使えるかわからねぇ形状の銃もあるぜ」
「そういうのは大抵レアアイテムだね。使うには難しいけど、高く売れるんだよ?」
なるほど、と軽くレクチャーを受けてキリトは頷いて。
「かなり順応してるじゃないか」
「そういうオマエは、見ていられねぇくらいテンパってたけどな?」
小馬鹿にするような笑みを浮かべて、意地の悪い声色で言うユーキに対してキリトは何も言えずに言葉に詰まった。
現に、二人の顔を見るまで、キリトは考えが纏まらずに八方塞がりとなっていた。この兄妹の顔を見なければ、どうしていたかわからないほど、キリトは追い詰められていた。
いつものやり取り。
売り言葉に買い言葉。どちらかが挑発し、どちらかがそれに乗る。そんな単純なやり取りを眼にして、ユウキもいつもの調子で疑問を口にした。
「それで、何があったの? よければボク達が話しを聞くよ?」
「おい、ナチュラルにオレも巻き込んでじゃねぇよ」
「えっ、にーちゃんも心配だったんじゃないの?」
「誰がコイツの心配なんざするか。勝手に悩んでハゲ散らかせ」
「と言いつつ、声をかけたのはにーちゃんなんだけどね? 心配だけど素直になれない人って、ツンデレって言うんだってアスナに教えてもらったよ?」
「……」
「わっ、わっ! どうして無言でチョップするのさ!」
「そこに叩きやすい頭が合ったからだ。とりあえずあの
現実の姿ではなく、今の姿であるからこそチグハグに見えるのだろうか。
小柄な可愛らしい姿で凄むユーキに対して、背丈の高い美女の姿だが涙目で頭を両手で守ろうとしているユウキは、第三者からみたらかなり奇妙な光景だった。とてもではないが、現実味がない光景を見て、キリトは思わず笑みを浮かべる。
緊張をほぐすためにわざとやっているのかもしれない、はたまた素で何も考えずにやり取りした結果なのかもしれない。
どちらでもいい。何度も眼にした兄妹のやり取りに、キリトの緊迫とした雰囲気が和らいだのは明らかだ。
だがすぐに気を引き締める。
先ほどとは違い程よい緊張感を保ったまま、地獄を生き抜いてきた戦友に切り出す――――。
そうして、キリトは全てを語った。
今の自分の現状、死銃というプレイヤーの存在、菊岡からの依頼、そしてシノンに協力してもらいBoBの予選に出場出来たこと。
それを聞いてユーキは沈黙を保っていた。腕を組み、熟考するかのように目を瞑ってキリトの話しを聞いている。
対するユウキは半信半疑でいまいち要領の得ない様子だ。
無理もない。ここがソードアート・オンラインであるのならまだしも、あの世界とは違い生死に関わりのないゲームの世界。人間が意識不明になる原因を作っている可能性のあるプレイヤーと聞いてもピンと来ないだろう。ましてやそんなプレイヤーが自分たちを狙っているというのなら尚更。
えーと、とユウキはキリトの言葉を整理しながら、たどたどしく訪ねた。
「死銃って人がボクたちを狙ってるんだよね?」
「あぁ、そう言ってた」
「なんでかな? ボクたちってみんなに意地悪なことしてたかな?」
本人たちに悪気はなくとも、周囲は不快な思いをし、それが恨み辛みになることもある。
それはキリトも理解している。そんな気はなかった、なんて星の数ほどあり、その数だけ争いは起きているのは承知している。
しかし今回は、今回だけは否定する。
ありえない、と。自分たちは命を狙われるだけの理由があることを否定して、キリトは首を横に振って。
「俺達に落ち度はない」
「それじゃどうして――――」
「でも心当たりがないわけじゃない」
そこまで言うと、キリトは視線をユーキに移す。
見られていることに勘付いたのか、ユーキも目を開けてキリトに視線だけを送った。
キリトは問うた。
「
「それって、にーちゃんが……」
チラッと、ユウキは義兄を見やる。
対する彼の反応は薄いものだった。特にリアクションを起こすこともなく、再び目を瞑り熟考の海へと彼は潜っていく。
キリトはユウキの言葉に頷いて。
「そう、ユーキが潰したギルド。多分、死銃はその残党なんだと思う」
「なんで言い切れるの?」
「……ユウキは覚えてるか? ソードアート・オンラインの最後で、俺達はアイツらと戦ったろ?」
「……うん、覚えてる」
忘れもしない。
ソードアート・オンラインで生き残っているプレイヤーが団結して挑んだラストダンジョン。
最初のダンジョンにして、最後のダンジョンであった第一層迷宮区にて、
片や、時間稼ぎのために、全力で身を守り。
片や、希望を摘み取るために、全霊を以て殺しにかかった。
ユーキに残すことなく叩きのめされ、余すことなく黒鉄宮に投獄されていた
だが事実だけを述べると、連中は確かにキリト達の前に現れた。
どれだけ謎に包まれていようとも、これだけは変わらない。連中の全員が、
構えていた剣で、突き出された槍で、隠し持っていた小刀で、躊躇いなく斬り抉りその首を落とそうとする凶刃を、誰もが
だからこそ、キリトは思い出した。
死銃から向けられた殺意。それには確かな既視感があり、過去に経験したそれに似ていることに。
「俺は死銃から
「あの人達かー……。うー、ボク嫌いなんだよね……」
「……俺もだよ」
ユウキは付け狙われていた
死銃が
だがユウキにはどうしてもわからないことがあり、その疑問をキリトに相談する。
「でもどうしてボクやにーちゃんがいるってわかったのかな? 名前もソードアート・オンラインのときと全然違うのに」
「え、そうなのか?」
「うん。ボクはYuukiのままだけど、にーちゃんは――――」
そこでチラリ、とユーキを見るが彼は何も反応を示さない。
よほど深く考え集中しているのか、口を開く気配すらなかった。
それがわかったユウキは再びキリトに視線を戻し、困った笑みを浮かべて。
「今はMobuって名前なんだ」
「Mobu……。モブ?」
「そう、モブ」
お前のようなモブがいるか、とユーキ改めモブに声をかけようとするも口を一文字にキュッと閉じた。
どうせ言ったところで、今の彼からまともな反応は期待できないと思ったのか、話しを戻す。
「わからないな。俺やユウキはソードアート・オンラインで使っていたネームが一緒だったかで通るかもしれないけど……」
「今のにーちゃんと“アインクラッドの恐怖”が同じ人だ、ってなるのは違うと思うな……」
「そう、だよな……」
ソードアート・オンラインに囚われていたプレイヤーであれば――――SAO
今のユーキからは以前のような暴威も威圧も、ましてや恐怖すら感じない。抜身だった刃のような雰囲気はなく、鞘に収まったような気配であるユーキからは何も感じない。
ましてや名前すら変えている今となっては【ユーキ=モブ】とはとても結び付けられない。
だが死銃は知っていた。ガンゲイル・オンラインにユーキがいることを、そして“絶剣”ユウキの存在を、死銃は二人の存在を把握していた。
天真爛漫に振る舞っていたユウキの表情に影が落ちる。
銃撃した者を意識不明にする力を持っているかもしれない、そしてこちら側の情報を握っている。そんなプレイヤーに狙われているのだ。気味が悪く感じるに決まっている。
暗い表情のままユウキは口を開いた。
「なんか嫌な感じだよ。そもそも死銃なんて聞いたことなかったもん」
「やっぱり有名じゃないのか?」
「うん。アインクラッドの恐怖の偽物でガンゲイル・オンラインは大賑わいだったよ?」
キリトもガンゲイル・オンラインに来るまでの間、軽く情報サイトや掲示板等を除いてみたが、死銃の名前など見かけるほうが少なかった。
話題に上がるとしても噂程度で、直ぐに違う話題にすり替わる。その程度の話題性でしかなかった。
ユウキは、そうだ、と声を上げて提案する。
「死銃のこと、みんなに聞いてみる? 知っている人いるかも知れないし」
「得られるものは少ないだろう。ここに残っている連中がまともに取り合ってくれるとは思えない」
「だよね。今も警戒されてるもんボクたち」
見られている、とキリトもユウキもわかっていた。
少しでも有益な情報を見逃さないと、聞く耳を立てている者がいる、動向を観察している者もいる。
それもその筈。今となっては、本物かもしれないと評されるキリトと仲良く談笑しているのだ。それは注目もされるし、観察もされるだろう。そんな連中に世間話で話したところで、死銃の情報など得られないに決まっている。
となると残りの手段と言えば――――。
「なぁ、二人は数ヶ月ガンゲイル・オンラインでインしてたんだろ?」
キリトは思い出す。
今の二人はアスカ・エンパイアにいると明日奈が言っていたことを。しかし二人がアスカ・エンパイアではなく、ガンゲイル・オンラインにいたことを踏まえると、本当はガンゲイル・オンラインにいたとキリトは推察する。
そしてその推察通り、ユウキは肯定するように頷いた。
「そうだよ?」
「フレンドとかいないのか?」
フレンド、つまりは普段からガンゲイル・オンラインで組んでいるプレイヤーのこと。
数ヶ月もガンゲイル・オンラインにいるのなら、フレンド登録しているプレイヤーもいるだろう。ましてやコミュニケーション能力お化けのユウキと、猫かぶりのユーキだ。ユウキが打算がない付き合いをするが、ユーキは利用する者は利用する程度の腹黒さがある。フレンド登録しているプレイヤーがいるに決まっている。
返ってきた言葉は予想通り。
「いるよ。ピトフーイって人で、親切なんだー」
「その人に聞けないか? GGO歴が多ければ多いほどいいんだけ」
キリトは一抹の希望を託すが、無情にもユウキは困ったように笑みを浮かべて。
「んー、今は無理だと思う。ボクたちもBoBの予選前に連絡したんだけど、繋がらないんだよね。ログインはしてるんだけどなー」
クエスト中なのかな、とユウキは言うと直ぐに、そういえば、とユウキは疑問を口にする。
「シノンって誰?」
「えっ? あぁ、知らないのか。シノンって朝田だよ」
「えーっ!? 本当なのそれ!? ボク知らなかったよ!」
「てっきり知っていると思ってたぞ」
「知らないよー。あっ、それならさ。シノンに聞いてみる?」
良い案であると、キリトも思う。
共通の知り合いで、一番ガンゲイル・オンラインに精通しているのは、シノンこと朝田詩乃だろうことは断言できる。触りとは言え、キリトも彼女にガンゲイル・オンラインでの立ち回りや、銃の種類などレクチャーを受けた身。その言葉の端々には、知識と経験が見え隠れしているのは感じていた。
そう考えればなるほど、確かに彼女に聞けばなにか情報を得られるかもしれない。
「――――必要ねぇ」
そこで漸くユーキが口を開いた。
どこか様子がおかしい。重く、拒絶するように、否定から入る言葉に、キリトは眉を顰めて問うた。
「どうしてだ?」
「アイツの力を借りるまでもねぇだろ。所詮死銃なんて雑魚だ。オレ達がやられなければいいだけのハナシだ」
そこまで言うと、視線をキリトに向けて。
「ゴミ野郎はオレとコイツを殺して、最後にオマエを殺るって言っただな?」
「あぁ」
「いつでも殺れる手段があるなら、とっくの昔にオレ達は死んでる。だがオレ達が五体満足ってことは、殺すために準備が必要、もしくは何かしらの理由があってなんだろう。今すぐ死ぬってわけじゃねぇなら簡単だ」
不安そうにしている、義妹の頭を乱暴に撫でてユーキは続けて言った。
「朝田を巻き込む必要もねぇ。ゴミ野郎はそのうち処理される。それまでオレ達がゴミ野郎に殺られずに立ち回ればいいだけだ」
簡単そうに言う。
その言葉に、キリトは違和感を覚えた。
らしくないのだ。今までの茅場優希という人間の性格からで言えば、死銃という存在は見過ごせないものだ。彼の言葉風にいうのなら目障りな対象でしかない。ともなれば、殲滅に赴くに決まっている。ましてや義妹が狙われていると言うだけで、彼が動く理由としては充分すぎる。
だが先程の彼の言葉は驚くほど受動的。事の成り行きが解決してくれるのを待つ、という彼らしくないにも程がある。
キリトは疑問を口にしようとする。
――――何か知っているのか、と口にする前に遮られることになる。
それは少女の声。
期待や羨望、そして狂おしいほどの愛情込められた言葉。
それがユーキに向けられて、キリトは黙り、少女の方を見ると――――。
「――――先輩!」
シノンが――――朝田詩乃が、息を切らしてそこに居た。
>>モブ
GGOでのユーキ。
可憐な姿。金髪碧眼でロリともショタとも見れる。一度食べて二度美味しい。
そこ、どこのデグレチャフとか言わない。そこ、どこのエヴァンジェリンとか言わない。そこ、どこのボイジャーとか言わない。
>>ユウキ
GGOでは美女。
170cmくらいある。妖艶な美女。黙っていれば美人。
川神百代ではない。
>>軍事用スコップ
ユーキ「鈍器だよな?」
>>MTs-255
兵隊的に凄いカッコいい銃。
方天画戟と同じくらいカッコいい。ソードオフショットガンとこっちで迷った。
偶に鈍器になる。
>>本当に使えるかわからねぇ形状の銃
人はそれを変態銃と呼ぶ
>>「朝田を巻き込む必要もねぇ」
もしかして:過保護
>>「――――先輩!」
あーあ、出会っちまったか。