ぐだ男「名付けて『美味い料理でも食って仲良くしようぜ』作戦だ」   作:レモンの人

2 / 2
続きです。無茶苦茶設定ですがノリと勢いですのでお許し下さい。


後編

「王よ!モードレッドからの緊急入電です」

「分かった」

アルトリアはランスロットから受け取ったトランシーバーを耳に当てた。

「私だ」

『父上!アレが完成した。今、最速で向かってる!これからオレが出す条件を整えてくれ!』

「分かった」

アルトリアはトランシーバーをランスロットに返却するとメディアに声を掛けた。

「メディア、頼みがある」

「何よ?」

全力でラフム達に応戦しているメディアは鬱陶しげに振り向いた。

「竜牙兵を大量生産して欲しい。出来るか?」

「…やるだけやってみるわ。」

「助かる。ランスロット!血路を作る!力を貸せ!!!」

アルトリアはドゥン・スタリオンを勇気付けるとロンの槍を天に掲げた。

 

「ヘタレな父親だろうと私はブリテンの王…人と天を繋ぐロンの槍を持つ者!竜牙兵よ!私に続け!!!」

「…って事だからお願いね」

メディアはこっそりと先頭の竜牙兵に耳打ちすると骨の兵士達総勢30人が骨をガチャガチャ鳴らした。

 

 

 

 

 

「よし、見えた!マーリン!もっと早く走れ!」

「ご老体に無茶言わないでくれたまえ…」

俺はモードレッドとマーリンによって組まれた騎馬に大鍋と共に乗り、アルトリアが作った血路を走る。竜牙兵達の何体かがケイオスタイドの上に横たわり、黒泥から身を挺して守ってくれている!

「行け行け!マスター!もっと魔力をオレに回せ!!!」

 

 

「最果てより光を放て……其は空を裂き、地を繋ぐ! 嵐の錨! 『最果てにて輝ける槍(ロンゴミニアド)!!!」

 

 

アルトリアが慄くドゥン・スタリオンを励ましティアマトの体を駆け上がる。俺はモードレッド達に魔力を注ぎ続け、彼らの足の疲労を無理矢理誤魔化し、肉体の限界を越えて走らせた。失敗すれば全ての生きとし生ける者が死ぬ!さぁ、これが命懸けの戦い(おもてなし)だ!!!

「よし、父上!受け取れ!!!」

最上近くまで届いたモードレッド達は俺と大鍋をアルトリアに投げ渡した。ロンの槍を躊躇せず投げ捨てたアルトリアが俺と大鍋を受け止める。柔らかな感触なんて味わう余裕無し。意識はティアマトの顔に向いていた。

「おもてなしを断るタァいい度胸だな!!!我が麗しき父への叛逆(いいから口を開けよ美味いから)!!!」

至近距離で宝具を鼻先にぶっ放したモードレッド。だが、跳躍して放った為に軌道が反れ、左目に直撃する!!!

 

AaAAAAAAaaaaaaa!!!!

 

 

「ぁああああああああああああ!!!命綱忘れてたあああああああああ!!!」

「おっと危ない」

が、落下する前にマーリンがモードレッドを受け止めてくれた。ありがとう!クソッタレ!そして、ティアマトの口が今の痛みにより開かれた。

「俺ごと投げろ!!!」

「ですが───!」

「正確に投げるにはそれしか無い!早く!」

「───分かった!」

アルトリアは俺を掴むと満身を込めてティアマトの口へ向けて投げた。俺は鍋をその口に投げ込む!その勢いのままに俺もティアマトの口に呑まれそうになる……だが、入る直前にマーリンの魔術により届く事無く、宙に浮きマーリンの元に戻った。

 

 

 

 

ティアマトは、突然動きを止めた……………。

口に入ったものが何なのか…彼女にはそれが理解出来なかった。それが何か理解するのに数秒の時間を有した。

 

 

そして、それが何かを漸く理解した時…彼女は何故自分の体が熱いのか…汗を掻いているのか気付いた。

 

 

辛い…辛い辛い辛い辛い辛い辛い辛い辛い辛い辛い辛い辛い辛い辛い辛い辛い辛い辛い辛い辛い辛い辛い辛い辛い辛い辛い辛い辛い辛い辛い辛い辛い辛い辛い辛い辛い辛い辛い辛い辛い辛い!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!

 

暴力的な辛さ・痛み・冷や汗…それら全てが彼女の皮膚を…体内を…徹底的に犯し尽くした。彼女が腹一杯食べられるようにと用意された麻婆豆腐…その大量の劇物が彼女から彼女足り得る物全てを破壊し尽くした。

 

「!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?」

 

ティアマトは奈落の底から天を仰いだ……そして…

 

 

「げぼおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!!!!!!!!!!」

体の中に溜め込まれていた体液全てが天に向け濁流の如く吐き出された。だが、その液体は嫌悪すべき黒泥では無く………

 

 

 

 

 

 

 

「麻婆豆腐だ…」

「麻婆豆腐だね」

「麻婆豆腐だよなアレ」

「えぇ…麻婆豆腐ですね」

 

 

麻婆豆腐の噴水だった。

 

************************

 

ウルク

 

「良かった!何とかウルクの街に辿り着けた」

無事冥界から帰還出来た俺達だったが……目の前には内容物を殆ど吐き出し、ファム・ファタールに戻ってしまったティアマトがいた。角はへし折れ、心もへし折れたのか…惘然と立ち尽くしている。

 

「ゲボッ…」ビチャビチャ

 

苦しげに吐く吐瀉物すら麻婆豆腐と化し、彼女の体から滲み出る筈の黒泥ですら麻婆豆腐と化していた。

 

「うん、美味いわこれ」

 

試しに指で掬って食べてみると美味かった。紀元前から現代まで熟成された麻婆豆腐の濃厚な味わい……これは美味。

 

「な…なななななな!?」

 

泰山名物麻婆豆腐の効果か、何故か喋る事が出来るようになったティアマトは足元を見て絶句した。体から出て来るのは…原初の羊水ではなく真っ赤な麻婆豆腐。生命を生み出す力など何処にも無かった。生み出されるのは濃厚な味わいの麻婆豆腐。あの、麻婆豆腐である。

 

「そん──な───バカな──」

 

余程ショックなのか…麻婆豆腐の海に崩れ落ちた麻婆豆腐──じゃなかった、ティアマトはポロポロと泣き始めた。哀れティアマト………あまりの辛さに肉体組織そのものが麻婆豆腐に変換されてしまったらしい。皮肉にもその影響で彼女はビーストにならずに現界する事が叶っていた。だが、『歩く麻婆豆腐製造機』になった所で何の役に立とうか。

 

「私──もう──お母さんになれないの……?」

「Oh…」

「なんか一周回って可哀想になってきたなおい」

 

うわーん、とガチ泣きを始めてしまったティアマト……そりゃそうだろ。人間に例えれば『子供が産めない体質』になってしまったのだから。子供が大好きなティアマトにとってこれはある意味『死よりキツイ罰』だな。

 

「なぁ、ティアマト…」

やっと意思疎通が出来るようになった為、俺は麻婆豆腐(ケイオスタイド)の上を歩いて彼女に近付いた。

「何……子供の産めないバツイチを慰める気…なの?」

うわぁ…こうなったら彼女の言う通りまさしくバツイチのアラフォーだなぁ…これは。

 

「フンだ…どうせ私の事なんて誰も───うっ…!?かはっ!!!」ビチャビチャ

 

グレながら麻婆豆腐を嘔吐する姿は最早麻婆豆腐の妖婦。どっかの誰かが見たら泣いて喜びそうな生命体と化した事に絶望していた。

 

“美味っ!辛過ぎないいい味わい…って辛ッ!?後から来るタイプかよこれ!!!”

“ランスロット…助けて……”

“王よ…もう水筒はとっくに空です”

“……(白目剥いて気絶する花の魔術師)”

“意外とイケるわこれ。甘党ちゃん達には無理でしょうけどこれは美味しいわ。汚れてない所は回収して持ち帰りましょ♪”

 

 

「なぁティアマト…」

「なに…?」

 

そんな彼女に対し、俺は優しく抱擁した。

「たとえ麻婆豆腐を生み出す女になっても……俺の好みどストライクだからな…」

そう耳元で囁いた瞬間。ティアマトは顔を真っ赤にして麻婆豆腐の海に沈んだ………。

 

「人類悪……ここに堕つる………か」

 

麻婆豆腐塗れになった俺は、全てを成し遂げた達成感に震えた。

 

 

 

 

第7章 完




この後ティアマトちゃんは麻婆豆腐サーバーとして持ち帰ったとさ。めでたしめでたし(おい)




  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定
▲ページの一番上に飛ぶ  X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。

評価する
※参考:評価数の上限
評価する前に 評価する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。