年齢不詳引きこもり男。
さざ波が聞こえる・・・
顔半分に一定の間隔で塩水がかかる。
しょっぱい塩水に目が覚める。
いつものように寝て起きたらそこは海辺であった。
「ええええ!!!」
驚愕。外の世界のストレスで引きこもっていたのになんと海辺の砂浜に打ち上げられている。
周りには何もない。いや、、、ある。
海、砂浜、に続く森である。
そんなことよりも全裸。生活していた場所からはかなり遠いだろう。
こんな姿が人に見つかればそくお縄である。
「か、隠すもの。」
近くに貝殻?ヤドカリの宿?っぽいものがあったのでそれで大事な所を隠す。
だが何かおかしい、冷静に考えると日本にこんな場所があるのか?
日本は領土が狭く、海辺には必ず人工物がある。
だとしたら海外?
とりあえずじっとしても仕方ないので森の方に入る。
安易な考えであるが森には道があるかもしれないと思った。
鹿や猪などたくさんいる。
森を歩くが方角も分からず、日が暮れはじめる。
恐怖と不安が増してこのまま死んでしまうのではないかと心配だ。
まさか一日前引きこもっていていつ死んでもいいと思っていた僕がこんなことを思うとは想像が追い付かない。
引きこもっている間は昼夜逆転していたが今は緊張が張りつめ、逆に気を張って疲れ眠たい。
火起こしなんて出来るわけもなく目を閉じてしまう。
木に背中をもたれていつの間にか全裸で寝てしまっていた。
殺気を感じ目が覚める。
目の前にはサバイバルナイフのようなものを持った少女?が立っていた。
服装はメイド喫茶で働いていそうな感じだがエプロンは白いがドレスは薄茶色で、髪の毛はブラウンで瞳もブラウン、だが肌は北欧人のような白さである。
だが何回か泥をかけられたのかあるいは何か月も洗ってないくらいの姿で汚く臭かった。
相対して腰に長い葉っぱで大事な所を隠しているだけ。
「ま、まさか、殺さないよな?俺なにも、てか下着すら身ぐるみすらないんだぜ?」
必死に命乞いをする。
だが少女は口を真一文字にして憎しみを吐き出すかのように。
「黙れ!!!つり目!!!」
右手でナイフを強く握りしめ、顔面めがけて襲ってきた。
一か八かで腰に巻いていた葉を彼女の顔にめがけかぶせるとそのまま木に激突と同時にナイフが抜けなくなった。
目に被さった葉を振り払っている隙に取り押さえた。
衝撃で彼女は下敷きになる形で気絶した。
彼女が気絶している間に幹に刺さったナイフを外して、彼女のメイド服のエプロン部分をナイフで切り取る。
エプロンドレスはただの薄茶色ドレスになった。
汚いエプロンであったが腰にまきふんどし替わりにした。
彼女の両手をツタの葉で拘束して、頬を軽く叩く。
「んん・・・」
少女は眉間にしわを寄せた後目を少しずつ開く。
視界に入ったのだろう。
彼女はもう死ぬかのように、
「早く、早く・・・殺しなさいよ!!!」
叫び散らすが森は広い。
「日本語ペラペラ!!!」
じゃあここは日本なのか?そんなことを考えながら。
「つり目、早く殺して。。。」
少女は声を裏返しながらも鼻声で煽る。
一体どうなっているんだ?つり目ってなんだ?
「こ、殺さないから、殺そうとした目的を話せ。」
と口に出したことのない言葉をしどろもどろと出すw
すると両手を縛られているにもかかわらず少女は逃げる。
「おい!」
少女を追いかける。
少女は足を木の根っこにひっかけ転ぶ。
内心安心するが・・・
少女に向かって興奮した猪が突進してくる。
「死にたくない!!!」
その一言が突き動かす。
転んでいる少女を飛び越えて猪の頭にナイフを突き刺す。
と同時に宙に一瞬体が舞ってその後は記憶がない。
熱い、暑い、篤い?
目を開けたら空に一面の惑星が見える。
上体を起こすと焚火を少女がしている。
「逃げなかったのか・・・」
手を動かそうとすると自由に動かない、どうやらツタの葉で両手を拘束されたようだ。
「はは、形勢逆転だな。」
こんな肝心な時に失敗する自分を反省する。
少女は無言で焚火しながら猪肉を焼く。
「料理もその年で出来るなんて良い嫁さんだな。」
ご機嫌を取ってみる。
「婚約者なら東亜皇軍に殺されたわ。。。」
「婚約者?東亜皇軍?」
婚約者は分かるがトウアコウグンって何?
「あなた記憶喪失?」
「今度は質問される側か、いいだろう。記憶は確かに喪失してるかもなw」
現に前の世界の記憶は日本人で引きこもりであるという以外に情報などない。
「まあ、いいわ。あなたを殺して私も自殺よ。」
そこに草むらから物音がする。
また、動物か?
少女はナイフを持ち警戒する。
「捨てろ。」
と野太い声が聞こえる。
徐々にその声の主が現れる。
姿は明治維新後の日本新政府軍の軍服に近い恰好をしていた。
そして手にはスナイパーライフルのようなほとんど木製の銃を装備していた。
「おい、助けてくれ。」
と声を掛けると少女に猿轡と手錠をした後、拘束を解いてくれた。
「大丈夫か?」
「ああ、助かったよ。」
これでメンヘラ少女の悪夢から救われた。
兵士はリュックから着替えを渡してくれた。
ずっとエプロンを巻いていただけだったのでなんだか身が引き締まる。
少女を先に行かせ、後ろから逃げても撃ち殺せるように銃を構えながら、
「同胞よ、名前はなんと申す?」
「え、俺?ええっと・・・」
やべー、思い出せない。
「でわ、私から名乗ろう、私は占領軍の第2中隊のユウタだ。」
「俺はねえ・・・記憶喪失なんだ。」
あえて本当のことを言ってみる。
「そうか、あの雌豚にひどいことをされたのか・・・」
兵士は何か察したようだ。
話していると丘の上に到着。
荷台がある。
もう一人兵士が荷台の後ろから銃を構えて出てくる。
鼻を刺激する悪臭。
なんだこの臭い。
少女や兵士たちは何も感じていないようだ。
荷台にはたくさんの死体が山積みに転がっている。
「その女は白人か?」
「ああ、こいつは同胞を痛めつけていた。」
「そうか、同士を痛めつけるとは根性がいいなあ。」
兵士たちはこちらに聞こえないようにひそひそ話す。
六連式リボルバーを渡される。
「なあ、彼女は捕虜じゃないのか?」
兵士たちは煙草をふかしながら、
「お前の手で殺してやれ。記憶喪失にされたんだろ?」
兵士たちは死体を積んでいる荷台にもたれて見物している。
「これは正義なのか?」
少女の頭に銃を突き付けて考える。
少女は猿轡でもふもふ言って目を閉じながらも涙を流している。
リボルバーを兵士たちに向ける。
「どうした同胞?」
すると一人の兵士と揉みあいになる。
お互い胸ぐらを掴みあい、睨み合っている。
「この世界は狂ってる!!!」
「今のお前の方が狂っているぞ、目を覚ませ同士!!!」
狙いを定めるが揉みあいで定まらない。
すると少女が両手を拘束されつつもリボルバーを拾い、二発撃つ。
これが今の置かれている状況なのか。
「銃をおろせ。」
少女は拘束されていてもリボルバーを撃った。
二人の兵士は少女の銃弾で倒れている。
銃口はこちらを向いている。
少女の小さな手が震えている。
「なあ、殺さなかっただろ?婚約者を殺された怒りは今は抑えるんだ。」
すると銃をおろす。
近づこうとしたとき、銃声が鳴る。
少女は撃った。
撃たれたと思ったが、どうやら虫の息の兵士を撃ったようだ。
再びリボルバーをおろす。
少女に近づき猿轡と両手の拘束を解く。
猿轡から解放された一言は
「死ぬかと思った。」
「ああ、俺もだ。」
二人で荷台の山積みの死体を見る。
「なんだこれ、、、異常だ。」
「彼らは西側連合の官僚たち。」
東亜皇軍と西側連合が戦ってるって構図か?
歴史映画のパロディーの世界に入った気分だ。
「彼らはどう葬る?」
「・・・無念だけど、そのまま火葬ね。」
東亜皇軍兵士二人の死体も荷台に乗せ、荷車ごと燃やした。