火葬の翌朝、
「あの森にいたのは敵から逃げてきたのか?」
少女は軽く頷く。
「婚約者のことは残念に思う。」
「ああ、、、どうも。」
そっけなくお礼を言う少女。
「俺は東亜皇軍に似てるようだからやっていけそうだが君はどうするんだ?」
それとなくそっけなく質問する。
「さあ、自分では死ねずに海に身を投げに森まで来たから、なんなら野たれ死んでもいいかと思って。」
ならなぜ昨日抵抗したのだろうか?
「だったら昨日なんで泣いていたんだ?」
「生きたいって衝動じゃないかな?」
「もし俺が君の婚約者だったら生きて欲しいがな、、、まあこれもわがままだが。」
「・・・そうね、一応助けてもらったしここから一番近い町案内するよ?」
「いや、いいよ。荷車の来た跡を辿るから。最後に名前を教えてくれ?」
「アン・テイラー。」
こうして彼女とは丘の上で別れた。
荷車の跡をひたすら辿ると道が出てきた。
道を往く。
すると突然現れた門番兵に聞かれる。
「遅いぞ、もう一人はどうした?」
焦ったが自分と同じアジア系で軍服も着ている。
落ち着け俺、ここを切り抜ければ上手くいく、多分。
「もう一人は殉死しました。」
「何?残党兵か?」
「はい、しかし始末しました。」
荷車がなく丸腰の状態に門番兵は不審がる。
「そうか、ならば所属と名前を言え。」
「私は占領軍の第2中隊のユウタであります。」
答えると門番兵はメモ用紙を確認する。
「確かに第二ユウタタケル死体処理活動とあるな。」
納得した門番兵は姿を消す。
またしばらく歩くと町が見えてきた。
町に入ると自分と同じアジア人が武装して白人を奴隷として使っている。
白人男性が肩に乗せた樽を落とすと、
「白豚!!!」
「ミスです!!!わざとじゃないんです。助けてください!」
兵士が奴隷を竹刀でしごく。
そんな光景が町で盛んに見られる。
そんな中この世界を知る為図書館に足を運ぶ。
図書館にはアジア人しかいない、この町の8割が白人なのに。
「司書員、歴史書を見たい。」
と尋ねるとノートに記入を頼まれる。
第二中隊ユウタと記入。
「できれば出身も・・・」
と口に出しずらそうに
「私は占領軍だ、上官に報告してやろうか!!!」
といきなり理由もなく恫喝してみた。
すると司書員は怯えて、奥から歴史書を出してきた。
題名・世界史。
年表。
1580年和国東大陸侵略。
1650年西側戦争。
1700年和国東亜皇軍創設。
1710年和国東大陸植民地化及び東亜皇国建国。
1800年東亜皇軍西大陸進軍。
1801年西側連合創設。
1850年和国世界征服。
今何年だ?
年表をざらっと見たがこの世界は和国の統一した世界らしい、さっぱり分からないが。
だが今までの経験から見れば俺は少なくとも東亜皇軍側の人間ということか。
それからこの世界について知る為より多くの本を読んだ。
閉館時間によって締め出されたので宿を借りることに。
もうすぐ暗くなる、空が茜色だ。
ランタンを灯している家も少なくない。
するとあちこちでアジア系の売春婦が東亜兵を誘惑するのが見られる。
「お兄さん、寄ってかない?」
と誘惑される。
いい世界かもしれない。
といつの間にか品定めをしていた。
そこに突然金髪白人女性が、
「な、何か食べ物を。」
食べ物を乞う。
臭くて汚い身なりであった。
思わず口で息する。
「や、宿まで教えてくれ。そうすれば何か食べ物やるから。」
「は、はい。」
宿まで案内させた。
宿は五右衛門風呂つきの部屋の旅館だ。
旅館に入ると、
「待て、ここからは東亜兵しか入れん。」
と東亜兵に足止めされる。
「俺の奴隷だ。それでも無理なのか?」
「なに?貴様雌豚が好みなのか?」
と煽られる。
「ああ、俺は白人女が大好きだ。」
「ハクジン?その奴隷のことか!!!」
そこに女将が来る。
「はいはい、そのぐらいにしないと拠点長に報告しますよ。」
女将がそう言うとつかかってきた東亜兵は去った。
「ここはこの町唯一の和式旅館、あなた和人?」
「あ、ああ、これは奴隷だ。なんとか入れてもらえないか?」
「あら、珍しい。西の人が好みなんてw」
どうやら大丈夫なようだ。
部屋を案内してもらいご飯を持ってきてもらった。
炊いたお米に味噌汁に魚。これが和式のご飯である。
「ありがとうございます。」
とお礼を言う金髪女性。
「ああ、まあいいよ、なんかよくわかんないし。」
「私エレーナと言います、あなたは?」
「俺?ユウタ。」
「ユウタさん、感謝してます。」
「それよりお風呂行ってきて。」
ずっと臭かったし、多分ホームレスだったんだろう。
「先に入ってもいいんですか?」
「ああ、いいから。」
エレーナは風呂に入る。
その間この二日間の自分を復習する。
アン・テイラー、二人の東亜兵士、勝者と奴隷。