闘争こそ、我が日常也て   作:鎌鼬

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アンケート結果を活動報告に載せます(2017/07/01現在)

それに加えてこれからの予定についても載せておくのでご覧下さい。


不穏な影・4

 

 

悪滅の剣(イービルキラー)〟の攻略組への参加の申し出から一週間後、〝ナイトオブナイツ〟と〝血盟騎士団〟の準備が整ったのに合わせてフロアボス攻略が開始された。今回の攻略は〝悪滅の剣(イービルキラー)〟の試験も兼ね合わせていて、8パーティー中の3枠を〝イービルキラー〟に預け、〝ナイツオブナイツ〟と〝血盟騎士団〟が2枠ずつ、残り1枠を〝笑う棺桶(ラフィン・コフィン)〟で使うことに決定した。とは言えど〝笑う棺桶(ラフィン・コフィン)〟の参加者は俺、ユウキ、シノン、ストレアの4人だけ。ユナとノーチラスは今回は休み、シュピーゲルは言わずもがな。なので残りの2人はキリトと〝血盟騎士団〟からアスナを借りる事で埋めた。

 

 

「いやぁすごいな、あぁいう装備があるって聞いてたけどマジで装備するとか未来に生きているとしか言えねぇよ」

 

「私も驚きだよ。性能が優れているのは知っているがまさかビキニアーマーを装備する猛者がいるとはな」

 

 

攻略開始時刻までの待ち時間の間にヒースクリフと話すのは〝悪滅の剣(イービルキラー)〟の女性プレイヤー。SAOにRPGでおなじみと言っていいビキニアーマーが存在し、性能は優れているとは知っていたがその露出度の多さから倦厭されて所謂ネタ防具になりつつあったそれを装備し、しかもその上からローブを羽織るというマニアックなスタイルで堂々としている姿をある種の感心を覚えながら見ていた。

 

 

しかもその姿でセーヤの後ろに立っているとかもはやシュールを通り越してギャグに近い。笑いを堪えるのに一苦労だ。

 

 

『ところで〝悪滅の剣(イービルキラー)〟についてどう思う?』

 

『かなり危ないな』

 

 

ビキニアーマーを話題にしながら不可視モードのウインドウを操作してヒースクリフとメッセージでチャットを行う。先週の攻略会議でやった事だが意外と内緒話をするのに役に立つ。

 

 

『リーダーのセーヤの顔見てみろよ?あれ完全にどこかイかれてる奴の顔だ。それに他の団員たちの顔もヤバい。まるで()()()

 

 

3パーティー18人が〝悪滅の剣(イービルキラー)〟のプレイヤーなのだがどいつもこいつも一目見ただけで危ないと評価出来る雰囲気を纏っていた。

 

 

まずはリーダーのセーヤ。二十五層で会った時には戯言を吐くだけの夢見る甘ちゃんだと認識していたが何を経験したのかその目には甘さが存在しない。寧ろ、()()()()()()()()()()()目をしている。パーティーに参加しているメンバーは全員が女性プレイヤーで、どう見ても()()()()()()()()()()()()()。セーヤを絶対だと思っているのか、それともセーヤに依存しているのか分からないが完全に正気を失っているように見える。

 

 

そして残りの2パーティーもヤバかった。どいつもこいつも()()()()()()()()()()。無表情とか鉄面皮とかいうレベルでは無い。元からそうであったと思えて仕方がない、マネキンだと言われても納得出来るくらいに人間性が欠落していた。

 

 

一言で言えば異質な存在としか言えない。実際、〝悪滅の剣(イービルキラー)〟は他の攻略組のメンバーからは明らかに距離を置かれて孤立していた。

 

 

『どこからどう見ても厄ダネのオンパーレードだろ。何を経験したのか何をしたのか興味は欠片も無いけど真っ当じゃ無い。害悪以外に何と言ったら良いんだ?』

 

『確かにそうだが人材に悩まされる攻略組にとって500人を抱える〝悪滅の剣(イービルキラー)〟の参加は魅力的だ。危険なのは重々承知だが見えないところで企まれるよりも目の届くところで監視した方が良いだろう?』

 

『俺なら迷わずに斬り捨ててる。物理的に』

 

『それだからキチガイと呼ばれるのだよ』

 

 

キチガイと呼ばれてイラっとしたので中指を立ててればにこやかに笑いながら逆さまのサムズアップを返してくる。

 

 

ヒースクリフの行動は正しいのだろう。どこか見えないところで悪巧みをされるよりも目が届くところに置いて監視した方が良いのは分かる。

 

 

だけど、()()()()()()()()()()()()。肝心なのはユウキとシノン、そしてSAO内で出来た親しい者たちの安全だ。

 

 

悪滅の剣(イービルキラー)〟が使えるのならば擦り切れるまで使ってやろう。ボロボロになったら捨ててやろう。

 

 

だが親しい者たちに、俺が大切だと思える者たちに手を出したのならーーー殺す。500人だろうが1000人だろうが絶対に殺す。傷一つ付けた瞬間に、絶対に殺すと誓う。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そしてフロアボスの攻略が開始された。

 

 

五十一層のフロアボスはアルゴからの情報にあった通りに〝ハーディス・オブ・スコーピオン・キング〟という身体の半分が腐っている20メートル程の巨大な蠍。甲殻も腐っているので防御は低そうだが昆虫とアンデットタイプなので痛覚は存在しないだろう。つまり、いくら攻撃しても痛みを感じずに平然と攻撃してくる。

 

 

アスナの考えた攻略としてはキリト、ヒースクリフ、ストレアで鋏の攻撃をパリィし、シノンと俺で尻尾を防ぎその間に攻撃する手筈となっていた。

 

 

それを、〝悪滅の剣(イービルキラー)〟は初手からぶち壊してくれた。

 

 

「ーーー突撃」

 

 

〝ハーディス・オブ・スコーピオン・キング〟の登場と同時にセーヤが突撃命令を発し、それに従って〝悪滅の剣(イービルキラー)〟のメンバー12人が動き出す。

 

 

()()()()()()()()()()()()()()()()

 

 

「なーーーッ!?」

 

 

驚愕して動けないのも仕方がない。鎧を鳴らしながら一直線に〝ハーディス・オブ・スコーピオン・キング〟へ向かって走る彼らはただの愚者、それはどう考えてもただの自殺行為にしか見えない。

 

 

そうなれば、当然死ぬ。

 

 

鋏が彼らを切断し、尻尾の針が彼らを刺す。舞い散る血飛沫に大きく削られるHPゲージ。驚愕して固まっていたプレイヤーたちがそれを見てようやく再起動するのだがもう手遅れだ。彼らに追いついて助かるよりも死ぬ方が早い。

 

 

しかし、ここで予想外の展開があった。死ぬ以外の未来が無い彼らが動いたのだ。自分を切断した鋏に、自分を刺した尻尾にしがみ付いて張り付く。そんなもので行動を封じられるはずもない、無駄な行為だった。

 

 

そしてーーー()()()。纏わり付いていた12人が同時に紅蓮の華に変身し、〝ハーディス・オブ・スコーピオン・キング〟を包み込む。爆風と轟音が遠く離れていたはずの俺たちにまで届いた。

 

 

「自爆ーーー」

 

 

そう、あれは()()()()()。五十層の攻略で使われていたと聞いていたが、その時と今回とでは全く意味合いが違う。

 

 

五十層の時では、少しでも多くのモンスターを道連れにしようと最終手段として自爆を使っていた。

 

 

しかしこいつらは、初めから自爆するつもりだった。セーヤの指示と迷いない突撃が何よりの証左だった。

 

 

爆炎と砂埃が晴れ、そこにいたのは爆発でボロボロになっている〝ハーディス・オブ・スコーピオン・キング〟。武器であった鋏と尻尾は千切れていて、足も無くなっているので動くことは出来ないだろう。5本あったHPも今では2本半にまで削られている。

 

 

「〝無限槍〟ーーー」

 

 

そこへ追い打ちをかけるかのように飛び掛ったのはビキニアーマーを着ていた女性プレイヤー。()()()()()()()、しかもその両方にソードスキルのライトエフェクトを纏わせて〝ハーディス・オブ・スコーピオン・キング〟を蹂躙していた。キリトが使う〝スキルコネクト〟とは違うソードスキルの連続使用。恐らくは俺の〝暗黒剣〟のようなユニークスキルだと思われる。

 

 

死ねーーー(〝両手剣:フュリアス・デストロイヤー〟)

 

 

そしてとどめとなったのがセーヤのソードスキル。両手剣の五連撃により〝ハーディス・オブ・スコーピオン・キング〟のHPゲージは全て砕け散り、動かなくなる。

 

 

フロアボスを倒したというのに攻略組の間では歓声の一つも上がらない。それはそうだろう、こんなものを見せられて歓声を上げられるとしたらPoHくらいなものだ。

 

 

「とんでもない問題児がやって来たな」

 

 

ファンファーレの音に紛れるように呟きながら、俺たちは次の階層へと向かっていく〝悪滅の剣(イービルキラー)〟の6人の背中を眺めることしか出来なかった。

 

 

 





SAOがRPGだというのなら!!ビキニアーマーがあってもおかしくないだろう!!とのことでビキニアーマー登場。性能は良いのだが未来に生きてると評価される。だってあんな格好で戦うとか正気を疑うんだよなぁ……

自爆を作戦に組み込むような新たな問題児の参戦。修羅ってる攻略組からもドン引きされてるぞ!!

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