闘争こそ、我が日常也て   作:鎌鼬

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ワイルドライフ

 

 

PoHと出会い、殺し合いをしてフレンドになってから三日後。攻略メンバーが二日酔いから完全復活し、〝ウルバス〟周辺の探索も完了したので迷宮区に向かう為に第二層のフィールドボスである〝ブルバス・バウ〟を攻略する事になった。

 

 

〝ブルバス・バウ〟の見た目は完全にリアルの牛と同じ。ただそのサイズが見上げる程に巨大なだけだ。アルゴからの情報によればこれといった特殊攻撃は無く、取り巻きである蜂型のモンスター〝ウインドワスプ〟が無限湧きするくらいだとか。

 

 

ネズハに与えると約束した〝チャクラム〟は〝ブルバス・バウ〟のLAボーナスでドロップするという話だった。だから現段階で攻略メンバーのリーダーとなっているディアベルと交渉し、LAボーナスを取らせてもらう代わりに、俺が〝ブルバス・バウ〟を動けなくする事になった。〝ブルバス・バウ〟を動けなくする事で無限湧きの〝ウインドワスプ〟を狩り続ける。そうすれば経験値とアイテムが大量に手に入るから。攻略メンバーの強化に繋がり、俺の目的が果たせるとなれば断る理由はなかった。

 

 

今、俺を含めた攻略メンバーは〝ブルバス・バウ〟が居座っている広場の近くの崖でボス攻略の前の休憩をしていた。鼻息を荒くして動き回っている〝ブルバス・バウ〟から目を離して後ろを見れば、会った時の様にカーペットに座ったネズハがプレイヤーたちから鍛治の腕を絶賛されていた。NPCの鍛治スキルはお世辞にも高いと言えず、強化を依頼しても失敗する事がある。それを考えるとNPCよりも鍛治スキルの高いネズハの存在は重要だろう。

 

 

そして、ネズハの近くには〝ウルバス〟で買える装備に身を包んだ〝伝説の勇者(レジェンド・ブレイブス)〟の姿があった。

 

 

PoHから教えられた強化詐欺だが完全にネズハの独断で行われた事らしく、ネズハの口から強化詐欺をしようとしていた事を聞いた〝伝説の勇者(レジェンド・ブレイブス)〟のメンバーは顎が外れそうな程に口を開けて驚いていた。

 

 

そしてメンバー全員がネズハの事を殴り、悩んでいる事に気づいてやらなくて済まないと泣きながら謝っていた。

 

 

ネズハがFNCである事を知っていたのにその苦悩に気づかず、強化詐欺という手段を取らせるほどに追い詰めていた事を悔やんだのだろう。親身になって泣いている彼らの姿は胸を打つ物があった。

 

 

そして彼らがこの場にいる理由だが、アルゴが調べたい事があると言ってエギルたちがいたパーティーを護衛として雇った為にレイドに空きが出来たからだ。さらにキバオウのパーティーも姿が見えない為にこのボス攻略に参加しているのは戦えないネズハを含めても42人とフルには足りないが今回に限って言えば問題ない。

 

 

「ーーー良し!!みんな、準備出来たな!?」

 

 

ネズハの手が止まり、メンテナンスと武器の強化が終わった事を見計らってからディアベルが声を張り上げる。今回のリーダーもディアベルが取る事になり、それに誰も異論を出さなかった。

 

 

この前鼻フックして酒樽に詰められていた奴とは思えない。

 

 

レイドの誰もが武器を抜いて戦闘準備完了を態度で示している。〝伝説の勇者(レジェンド・ブレイブス)〟も今回が初めてのボス攻略だと言うのに興奮している様子はあるが萎縮している様に見えなかった。

 

 

「それじゃあ、ウェーブさん」

 

「はいよ」

 

 

吸っていたタバコを投げ捨てて立ち上がる。今回のパーティーは〝イルファング・ザ・コボルドロード〟の時と同じ。だが、〝ブルバス・バウ〟の相手をするのは俺だけだ。事情は前もって話して、了解は取ってある。

 

 

〝イルファングブレード〟を片手で引き抜き、〝色絶ち〟と〝隠蔽〟で隠密を実行して崖から飛び降りる。〝ブルバス・バウ〟は後ろを向いていて無警戒、〝ウインドワスプ〟も飛び回っているが俺を見つけた様子は無い。

 

 

そのまま駆け出す。狙いは〝ブルバス・バウ〟のみ。〝ウインドワスプ〟は全て無視する。未だに俺の接近に気付かないでいる〝ブルバス・バウ〟の背後を取って跳躍しーーー左後ろ足を付け根から斬り捨てた。〝イルファングブレード〟の高スペックからか、それとも刀という斬る事に特化した武器だからか、ものの見事に〝ブルバス・バウ〟の左後ろ足を切断する事に成功した。

 

 

それで隠密が剥がされて〝ブルバス・バウ〟と〝ウインドワスプ〟に気付かれるがもう遅い。そのまま支えとなっていた足を一つ失った事で転倒した〝ブルバス・バウ〟の残っていた後ろ足を切断。四本の足の内の二本の後ろ足を失った〝ブルバス・バウ〟はもう立つ事が出来なくなる。

 

 

「ーーー全員行くぞぉぉぉ!!!」

 

「「「おぉぉぉぉぉぉぉ!!!」」」

 

 

その瞬間にディアベルの指示に従いプレイヤーたちが雪崩れ込んできた。フィールドボスである〝ブルバス・バウ〟を無視して取り巻きの〝ウインドワスプ〟に攻撃する。俺のパーティーを始めとしたプレイヤーたちの攻撃により凄まじい勢いで〝ウインドワスプ〟は駆逐されて行くが、それよりも僅かに遅いスピードで新たな〝ウインドワスプ〟が現れるので問題ない。

 

 

「アイテムだ!!アイテム寄越せ!!」

 

「経験値をくれよぉ!!蜂さんよぉ!!」

 

「ハチミツオトセェ!!」

 

「ハチミツハチミツハチミツハチミツハチミツハチミツゥゥゥゥ!!」

 

「ねぇユウキ、どっちが多く倒せるか競争しない?」

 

「良いよ?負けた方が次の街にあるトレンブル・ショートケーキの奢りね!!」

 

「良いわねそれ。私たちもやりましょう?キリト君」

 

「ちょ!?あれ美味いけどクソ高いやつだよな!?」

 

「フハハ!!我らも負けておらぬなぁ!!〝伝説の勇者(レジェンド・ブレイブス)〟の力、今こそ見せる時ぞーーー!!」

 

「良い空気吸ってんなぁあいつら」

 

 

誰も彼もが嬉々として武器を振るい、〝ウインドワスプ〟を取り合っていた。後ろ足を失いながらも立ち上がろうと踠いている〝ブルバス・バウ〟の残った前足を斬り落としながらその光景を見る。ふと気になって崖の上のネズハを見れば顔を引攣らせていた。

 

 

第二層フィールドボスの〝ブルバス・バウ〟はもはや俺たちの敵では無く、ただの効率の良い狩場としか見られていなかった。

 

 






〝ブルバス・バウ〟戦だと取り巻きは無限湧きなんだって?じゃあボスの手足もぎもぎして動けなくしたら狩り放題じゃん!!という事で始まった蜂狩り大会。攻略メンバーが満足するまで三時間の間、〝ブルバス・バウ〟は放置されてました。〝ブルバス・バウ〟は泣いても良い。

伝説の勇者(レジェンド・ブレイブス)〟たちも攻略メンバーに参加。彼らもリアル重視SAOに適応して元気に暮らしてます。

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